法人養老保険のハーフタックスプランとは?条件を確認!

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法人養老保険にはハーフタックスプランという、保険料の半分を損金に算入できるプランがあります。しかし、法人養老保険のハーフタックスプランで福利厚生費にするには、いくつかの条件を満たす必要があります。他にもハーフタックスプランの経理処理を詳しく解説します。

ハーフタックスプランとは?法人の養老保険と何が何が違うの?

法人保険を検討するにあたって、「福利厚生・損金計上の割合・貯蓄性」のバランスが大事が大切になってきます。


損金計上の割合を意識しすぎて支払保険料が膨大になったり、福利厚生が充実していないと従業員からも不満の声が漏れてくるかもしれません。


そのようなときに役に立つのが、「法人向けの養老保険のハーフタックスプラン」です。


しかし、節税の条件を満たしていないまま契約していたり、条件が煩雑なために否認されるケースなども実際にあります。


そこで本記事では「法人契約の養老保険のハーフタックスプラン」について

  • ハーフタックスプランとは?メリットは?
  • ハーフタックスプランにするための条件
  • ハーフタックスプランの経理処理

以上を中心に解説していきます。


この記事を読めば、ハーフタックスプラン自体についての理解が深まり、他の契約形態と比べた場合のメリットや注意点なども理解できるでしょう。 


 ぜひ最後までご覧ください。

ハーフタックスプランは法人の福利厚生プランと同じ!

ハーフタックスプランとは、被保険者の死亡等で途中解約となった場合に解約返戻金を受け取る事ができるプランです。

また、保険期間が満期になった場合には満期保険金を受け取れる保障と貯蓄の機能を併せ持った保険です。


ハーフタックスプランの契約形態は下の表のようになります。

契約被保険者死亡保険金受取人満期保険金受取人
ハーフタックスプラン法人役員または従業員被保険者の親族(遺族)法人


この場合、満期時には満期保険金を会社が受け取ることができ、被保険者が死亡した場合は死亡保険金を被保険者の親族(遺族)が直接受け取ることができます。


この内、死亡保険金にあたる保険料は全員加入前提であれば福利厚生目的で保険料を支払っていたものとみなすことができ、死亡保険金のための積立(損金)として1/2損金扱いさせることができます。


つまり、福利厚生費として1/2損金算入させることによって課税所得が減ります。

法人保険の損金ルールを簡単にわかりやすく解説!

ハーフタックスプランの仕組み

上記で解説したことをまとめますと「福利厚生」と支払保険金の「損金計上」2つの効果を狙って活用される契約形態がハーフタックスプランなのです。 


 また、出口戦略として満期保険金(益金)を受け取れる時期と社員の退職金(損金)が必要な時期を同じ時期にすることによって益金と損金とで相殺させることができます。

ハーフタックスプランのメリット

ではハーフタックスプランのメリットとはなんでしょうか。4つあるので解説します。


1.保険料の1/2が損金になる

これは上記でも解説しましたが、1つ目のメリットは保険金の1/2が損金になることです。


理由としては、保険料の1/2は会社の積立になり、残りの1/2は福利厚生費になるからです。福利厚生=ハーフタックスプランと考えると良いでしょう。


2.退職金支給の損金を、満期保険の利益が負担してくれる。

満期保険を会社が受け取ると、保険金の1/2を利益になります。退職金を社員に支払うと損金になるので、解約返戻金の利益でカバーできます。


3.解約返戻金の受け取り可能

養老保険は解約すれれば解約返戻金が受け取れるのもメリットの1つです。事業資金が無くなってしまったときの1つの手段として、解約返戻金を使うのもありです。


4.経営者貸付が使える

経営者貸付とは、お金が急に必要になったときに解約返戻金の90%までを、借りれる制度です。手続きも簡単で1週間ほどで借りられます。


※福利厚生のための法人保険の活用方法をさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

福利厚生のために会社が法人向け保険に加入するメリットとは?

ハーフタックスプランの適用条件〜普遍的加入が必要!



法人契約の養老保険で活用できるハーフタックスプランですが、契約にあたり条件がいくつかあります。


ハーフタックスプラン自体に必要な契約形態はもちろん、従業員の福利厚生としての面があるため「従業員の普遍的加入」が条件となります。


そのため、実際契約するにあたって

  • ハーフタックスプランの条件を満たす契約形態
  • 契約には署名と健康診断を提出すること
  • 従業員は基本的に「全員加入」

以上3点を満たす必要があります。


ここでは、それぞれの必要事項を詳しく解説した上で注意点もまとめてみましたので是非ご覧ください。

養老保険を保険金保険金受取人別に比較

法人契約の養老保険ですが「被保険者」「死亡保険金受取」「満期保険金受取人」の組み合わせで支払保険料の経理処理が変わってくる保険になります。


ここでわかりやすく養老保険について表にまとめてみましたのでご覧ください。

被保険者死亡保険金受取人満期保険金受取人支払保険料の経理処理
パターン1役員等法人法人全額資産計上
パターン2役員等被保険者の親族被保険者全額給与計上
パターン3
役員・従業員被保険者の親族法人1/2損金計上
パターン4役員等
法人被保険者

パターン2

全額給与扱いとなりますので、一見ハーフタックスプランよりも税務効果が大きいように感じますが、給与ということで所得税や住民税、社会保険料が発生してきますのでおすすめできません。

ハーフタックスプラン(パターン3)

これら4パターンの契約内容のうち、ハーフタックスプランはパターン3に該当します。


死亡保険金受取人を被保険者の親族(遺族)にすることによって、福利厚生費として1/2損益計上させ税務メリットを享受することが出来ます。


逆ハーフタックスプラン(パターン4)

通称「逆ハーフタックスプラン」と呼ばれている組み合わせで、保険料の1/2を保険料として損金計上させ、残った1/2を役員報酬または給与として損金計上させることで全額損金算入させることができるとされる方法になります。 


これだけ聞くと最もお得なプランに聞こえますが、他のパターンと違い税法上の根拠が乏しく、また、役員報酬にあたる部分がみなし給与として扱われるため報酬額が増えた分の所得税や住民税が先行してかかってきます。


また、満期返戻金をもらえるまでの資金負担が大きく、途中で解約した場合解約返戻金は法人が受け取るので所得税や住民税の負担だけが残ってしまいます。


取り扱いをやめてしまった保険会社も多く、今後国税局で否認される可能性もあるプランですので、もし加入を検討されているようでしたらリスクがあることを念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

ハーフタックスプランとして福利厚生費に計上するには「全員加入が原則」

福利厚生費にするためには社内での福利厚生規定や退職金規定なども必要になってきますが、「福利厚生」が目的ですので、普遍的加入が重要な条件となってきます。


普遍的加入

  • 全員加入が原則
  • 客観的判断に基づく基準をもって、従業員を選定する必要がある


客観的基準

普遍的加入における「客観的基準」とは、例えば「勤続年数が3年以上の従業員」といった基準のことを指し、「男子のみ」などの主観的な判断をもたない基準のことを指します。


福利厚生という観点からいえば、従業員全員の加入が原則といえますが、離職率が高いといわれる新入社員や勤続年数の短い従業員を含めてしまうと、短期の解約が増えてしまう可能性があり、普遍的な状態の維持がしがたいための救済措置とも言えます。


また、契約者のうち同族関係者が大多数を占める場合、福利厚生費ではなく給与課税される可能性があります。


実際、過半数以下の加入であったり、同族関係者が80%を超えていて否認されたケースもありますので注意が必要です。

ハーフタックスプランは対象者の「署名・健康診断」が必要

法人養老保険におけるハーフタックスプランは、福利厚生が目的の1つですので、対象者の健康診断と共に、保険内容を説明した上で署名・捺印をしてもらう必要があります。


これは保険対象者全員からしてもらう必要があるので、中小企業など人数の少ない企業では対応が容易ですが、従業員数の多い大企業の場合は負担が大きくなります。

法人保険の見直し・加入を考えたらまずは専門家に相談!


ハーフタックスプランも含め法人保険にはさまざまな種類の保険があり、商品によって損金計上割合や税務効果も異なります。


法人保険は加入してすぐに修正できるものではないため、徹底して調べてから加入を検討するべきですが、経営者やその周りの方は様々な業務があるため、とても手間のかかる事です。


そのため、最も後悔しない法人保険を選ぶ方法は複数の専門家や、もし社内にいたとしても念のために外部の専門家の意見も一度聞いてから納得することが重要です。


マネーキャリアならオンラインで法人保険の専門家と無料で相談ができるため、まずは気軽に気になることがあれば無料相談を利用してみてください!


ハーフタックスプランの経理処理を解説

ハーフタックスプランの場合、死亡保険金の受取人は被保険者の親族(遺族)となり、満期保険金の受取人は法人となるため経理処理はそれぞれ変わってきます。

まず、死亡保険金を受け取ったときですが、死亡保険金は被保険者の親族(遺族)に直接支払われますので、「保険料積立金」や「配当積立金」を「雑損失」として取り崩します。


(例)1,000万の保険料積立金、40万円の配当積立金があった場合

借  方貸  方
雑損失  10,400,000円保険料積立金  10,000,000円
配当積立金   4,000,000円


となります。


また、満期保険金を受け取ったときですが、法人で受け取りとなりますので資産に計上してある「保険料積立金」や「配当積立金」を取り崩し、受け取った保険金との差額を「雑収入」として計上します。


例えば満期保険金として2,020万円を受け取り、保険料積立金は1,200万円、配当積立金は20万円だった場合

借  方貸  方
当座預金  20,200,000円保険料積立金  12,000,000円
配当積立金    200,000円
雑収入     8,000,000円

となります。

養老保険の経理処理をわかりやすく解説!損金算入の割合は?

まとめ:ハーフタックスプランは複数の条件に気を付けよう

法人契約の養老保険でのハーフタックスプランの解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • ハーフタックスプランでは保険料の1/2損金計上が可能
  • 契約形態は死亡保険金受取人を親族(遺族)へ、満期保険金受取人を法人にする事
  • 契約には原則全従業員の加入と「署名・健康診断」が必要
  • 死亡保険金受取時と満期保険金受取時では経理処理が変わってくる

でした。


ハーフタックスプランは契約形態を満たしていればいいだけではなく、福利厚生費として扱うために細かな条件が必要になってきます。


扱い方1つで大きなメリットを生み出すプランなので、この機会にハーフタックスプランを検討してみてはいかがでしょうか?


最後までご覧いただきありがとうございました。ほけんROOMには法人保険に関する様々な記事が数多くありますので、ぜひご覧ください。

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