逓増定期保険をわかりやすく解説!デメリットや経理処理の方法とは?

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逓増定期保険とは、保険期間の満了まで保障金額が増加するため事業の成長と共に保障する経営者向けの法人保険です。しかしこちらの保険は経理処理や保障内容、保険の活用方法などが難しいため、こちらの記事でわかりやすく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

逓増定期保険とは?

逓増定期保険のイメージ図

逓増定期保険のイメージ図

逓増適期保険の読み方は「ていぞうていきほけん」で、逓増という言葉には「徐々に増えていく」という意味があります。


逓増定期保険とは、経営者が死亡した際などのもしもの事が起こった際に、資金準備をすることができる経営者や役員個人向けの生命保険になります。


まず上記図をご覧ください。逓増定期保険の保険期間は前半と後半の2つの期間に分けて考えられます。


前期・後期ともに一定期間経過後に契約時に定めた逓増率により、基準保険金額が徐々に増加する仕組みとなっているだけではなく、増加した分の保険金額は保険満了の時まで保証されるでしょう。


逓増定期保険は契約後あっという間に返戻率が高くなるということで、ほぼ100%の解約返戻率を5年で達成する保険の場合は損金算入率は約12%と言えます。


逓増定期保険は解約した時に保険会社から支払われる解約返戻金を用いて資産形成することも可能であるため、

  • 今後の事業を守るための事業保障
  • 経営者が引退した時の退職慰労金
  • 経営者が死亡した場合の死亡退職金や弔慰金

にあてることができるという面もあるのです。


こちらの記事では以下の内容をわかりやすく解説していくので最後までご覧ください。

  • 逓増定期保険の経理処理について
  • 逓増定期保険のデメリット
  • 逓増定期保険のメリット
  • 逓増定期保険の活用方法
  • 逓増定期保険に加入する際の注意点

逓増定期保険の経理処理の方法とは?改正前との違いをわかりやすく解説!



2019年に逓増定期保険や長期平準定期保険を含む定期保険などの保険料の取り扱い方法を見直すという発表が国税庁からされたことで、これまで全額損金算入できていた保険料が一定の範囲のみ損金算入できるというように改正されました。


以下が改正後の保険料の取り扱いについてです。以下の表は横にスクロールできるのでぜひご覧ください。

最高解約返戻率資産計上期間資産計上額取り崩し期間
~50%なし
なし
(100%損金算入)
なし
51%~70%保険開始から満期までの4割の期間
年間保険料30万超〜は40%
(年間保険料30万以下は100%損金算入)
保険期間の約75%が経過した後から
保険期間の終了日まで
71%~85%保険開始から満期までの4割の期間年間保険料の60%保険期間の約75%が経過した後から
保険期間の終了日まで
86%~以下のいずれか長い期間まで
①契約日~返戻率ピークとなる期間終了日まで
②上記①の期間経過後に、年換算保険料相当額に対して解約払戻金の増加割合が70%を超える期間
契約年〜10年:年間保険料-(年間支払保険料×最高解約返戻率×0.9)
11年〜返戻率ピークの年:年間保険料-(年間支払保険料×最高解約返戻率×0.7)
解約返戻金の最高額となる期間から
保険期間の終了日まで

最高返戻率が51〜70%の場合は「支払う年間保険料」、解約返戻率が86%〜の場合は「契約年から10年の節目」で損金割合が変わりますので経理処理には注意が必要です。

資産扱いになった保険料については加入からある程度時間がたった後に残りの保険期間の年数で割り、経理処理上損金に計上するようにします。

逓増定期保険などの法人保険の経理処理についてより詳しい内容を知りたい方は、以下からご覧ください。

逓増定期保険の3つのメリット


逓増定期保険の解約返戻率の上がるペースが他の保険では類を見ない速さということもあり、法人が退職金や慰労金を急ぎで用意したいということで加入することが多い保険です。


逓増定期保険に加入することには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。


次からは、

  1. 標準契約期間が短い
  2. 解約返戻金がたった数年でピークになる
  3. 保険金額が最大5倍になる
これらのメリットについて説明していきます。

①標準契約期間が短い

逓増定期保険は、保険の契約期間が通常の掛け捨て定期保険よりも短くて済みます。


本来死亡保障が付いた掛け捨てタイプの定期保険は、解約返戻金そのものがないか、受け取れるとしても30年以上続けて満了後にようやく解約返戻金を受け取れます。


しかし逓増定期保険は保険期間がおよそ20年であるのにもかかわらず、タイミングを間違えなければ高い返戻率で解約返戻金を受け取ることが可能です。

②解約返戻金がある 5~10年で返戻率が最大に!

逓増定期保険は5~10年という加入から非常に短い期間で、解約返戻金が最大になります。


一例として、基本保険金額が1億円、年間保険料が約102万円の逓増定期保険において、どのように保険金が逓増するかをご覧ください。

経過年数(年)払込保険料合計(円)解約返戻金(円)返戻率(%)
110,266,9007,118,00069.3
220,533,80016,610,00080.8
330,800,70026,245,00085.2
441,067,60036,028,00087.7
551,334,50045,969,00089.5
661,601,40055,547,00090.1

50歳で加入した場合、たった6年で返戻率が9割に達しています。


この特徴を利用して、企業に何らかの大きな出費があると予定される年に合わせて解約返戻金がピークになるように保険に加入することで、ちょうど大金が必要とされるタイミングでまとまったお金を受け取れるのです。


その「大金が必要とされるタイミング」とは、

  • 役員報酬の支払い
  • 退職金の支払い
  • その他改修工事など大きなイベント
このように、企業にとって多額のキャッシュを必要とすると予測される時点のことです。

解約返戻金は益金で計上できるのみならず、将来的に会社が経営難に陥ってしまい費用が支払えなくなるといったリスクにも対処できるというメリットがあります。

会社全体としてのキャッシュバランスが保てるので経理上はもちろん、予測不能事態への備えという面でも一石二鳥と言えるでしょう。

③保険金額が最大で5倍になる

逓増定期保険は、保険金額が加入時と比べて最大5倍にまで倍増します。


さきほどと同じく基本保険金額が1億円の例を見てみましょう。

経過年数(年)死亡・高度障害
保険金額
1100,000,000
3100,000,000
5100,000,000
7225,000,000
9500,000,000


この逓増定期保険では、ちょうど加入10年目で保険金額が5倍の5億円にまで膨れ上がっています。


通常の個人が加入する定期保険でここまで保険金額が倍増するということは基本的にないと言えるでしょう。


逓増定期保険は法人だからこそ加入できる、まさに破格の保険だと言えます。

逓増定期保険の6つのデメリット



逓増定期保険には
  • 他の保険では類を見ない短期間で最大になる解約返戻率
  • 数年後にまとまったお金の出費が予定されている場合に適している
  • 標準保険期間が他の保険と比べて短めに設定されている

などのメリットがありましたが、デメリットも併せ持っています。 


 逓増定期保険のデメリットとしては


  1. 損金割合が低い
  2. 加入には健康診断が必要
  3. 病気の保障がない場合がある
  4. 解約返戻率のピーク期間が短い
  5. 保険の選択には幅広い専門的な知識が必要
  6. 法人保険エージェントの情報が不十分である
が挙げられます。
以下ではこれらのデメリットについて説明します。

逓増定期保険のデメリット①損金割合が低い

損金割合が他保険と比べて低いということが言えます。


逓増定期保険が販売されたはじめの頃は保険料が全て損金として扱われ会社から出た必要経費として計算されてきました。 


しかし逓増定期保険の税対策の効果があまりにも高く、他保険とのバランスが取れないということもあり国税庁の見直しが入ったのです。


その結果逓増定期保険は税制改正のメスが入り、逓増定期保険の損金の割合は2021年現在で12%にまで落ち着くこととなりました。 


税負担が軽減するためには、会社から出ていくお金の中でも「損金」としてカウントすることができる金額が多い方が望ましいのですが、逓増定期保険の場合損金とみなされる分は12%と少ないのです。 


つまり損金として扱える支出が少ないため税負担の軽減策としては十分ではなく、決算末における対策には不向きというデメリットがあります。

逓増定期保険のデメリット②健康診断をしないと加入できない

逓増定期保険の中には健康診断の結果提出が必須であるものもあるため加入条件には注意が必要です。


健康診断を受けることによって健康上の問題がないことを証明するために健康診断を受けることや結果の提出を必須としているのです。


つまり、保険会社があらかじめ決めた最低限の健康条件のボーダーラインを満たさないことには逓増定期保険に加入できないということです。


保険会社としては健康上のリスクを抱えている人に保険加入を許してしまうと保険金を支払う可能性が一気に上がってしまうということが言えます。


逓増定期保険をお考えの人は常日頃から健康に気をつけ、健康上のリスクをなるべく減らしておくべきです。

逓増定期保険のデメリット③病気の保障をしてくれない場合がある

逓増定期保険の中には契約してからの一定期間は病気の保障はなく、怪我による保障のみとする逓増定期保険もあります。


これは保険会社側の都合もあり、保険会社側の受け入れリスクを少しでも減らしたいということから始まった仕組みではあります。


しかし病気になるリスクは歳を重ねるごとに増えていくことは明らかであるため、病気の保障が付いていないとなると不安な一面もありますよね。


病気の保障がつかないということで、健康診断や健康上のボーダーラインが撤廃されていることからこれまで保険会社から保険加入を断られてきた人も保険に入りやすいという側面はあります。


しかし、いざという時の病気は対象外ということは頭に入れておきましょう。

逓増定期保険のデメリット④解約返戻率のピーク期間が短い

契約から解約返戻率は急上昇し、返戻率が最高潮を迎えるスピードは他の保険と比べてもかなり早い方ではあります


しかし、その点がかえってデメリットとなってしまうことがありますので契約の際には注意が必要です。


解約返戻率が最高値となるタイミングを待って確実に解約返戻金を受け取ってこそ、逓増定期保険を上手に活用できたと言えるのです。


しかし中には解約返戻率が山場を迎えていると気づかず、そのまま契約続行してしまう人もいるのです。


結果として解約のタイミングを間違えてしまう、解約しなければと手続きをした時には解約返戻率は下り坂で、想定していたよりも少ない額の解約返戻金しか受け取れなかったということも無きにしもあらずです。


逓増定期保険に加入申し込みすることに意味があるのではなく、申し込みをして解約返戻金を受け取ること意味があるのです。


いつ解約するべきか自分自身で把握し手続き忘れがないようにしましょう。

逓増定期保険のデメリット⑤幅広い専門的な知識がないと正しく選べない

逓増定期保険は様々な保険商品が販売されているということ、そして税制の変更もあったということもあり、加入しそのメリットを十分に享受するためには保険の知識が不可欠ということが分かります。


逓増定期保険は退職金対策として数年後多額のキャッシュが必要になるから、などと目先のことのみを安易に考えていた場合、数ある逓増定期保険商品を目の前にどれに加入すれば良いのか分からなくなってしまうでしょう。


会社によって多額のキャッシュが必要になるタイミング、理由、支払える保険料など十人十色であり、1つとして同じ会社状況はありません。


会社にとって必要な逓増定期保険はどの保険会社の商品か、見極めて加入するためには状況を知ることと同時に保険に対して幅広い専門的な知識を得ることが必要と言えます。


正しく選ぶためにも保険の仕組みを理解し、各保険会社でどのような保険商品を販売しているか、どのような特色があるかなどを理解しましょう。


他人にすべて任せるのではなく自分で知識を得てそれをもとに選択することが重要です。

逓増定期保険のデメリット⑥多くの法人保険エージェントの情報が不十分

保険エージェントでは逓増定期保険全てを取り揃えているわけではなく、特殊な保険は取り扱っていないということもあります。


保険に加入する際には保険のことには詳しいだろうと保険エージェントに相談する人が多いですが、保険会社の特徴やプラン全てを完璧に把握しているとは言い難い現状があります。


中には保険会社と手を組んでそこの保険商品のみを紹介する専属法人保険エージェントや、情報が少なく紹介できる商品が少ない法人保険エージェントもあるのです。


つまり法人保険エージェントが把握しているそもそもの保険情報が十分とは言えない現実があります。


そのため逓増定期保険に関する幅広い情報を手に入れることが難しい、この人に保険の相談に乗って欲しいと思える法人保険エージェントに出会うことが難しいというデメリットがあります。


やはりお金をかけて保険に加入するからには複数の保険商品をきちんと比較検討し納得した上で加入したいものですよね。


逓増定期保険にはそれぞれ特徴がありますので、最適な逓増定期保険はどれかをある程度目星をつけた状態で信頼できる法人保険エージェントを探すというのも方法の1つでしょう。

逓増定期保険の活用方法:節税対策だけではない!



逓増定期保険に支払った保険料の一部が損金計上されることで税負担が軽減されることに注目されがちですが、それ以外にも活用できる方法があります。


以下が逓増定期保険の活用方法です。

  1. 逓増定期保険加入で税負担を軽減することが可能
  2. 事業保障や事業承継に必要な資金を確保することができる
  3. 契約貸付制度が活用できるようになる
また自社として適切な活用方法を知りたい方は、法人保険の専門家に相談することをおすすめします。

それでは上記の内容についてわかりやすく解説していきます。

①逓増定期保険で税負担が軽減できる仕組み

逓増定期保険は、保険料の一部を損金として計上することで見かけ上の所得額を減らし、法人税も減らすことができます。


まず法人税は、

  • 課税所得金額(益金ー損金) × 法人税率
この計算式で求めることができます。

そのうち「損金」として計上できる分が逓増定期保険の保険料であり、現在は保険料のうち「2分の1」を損金として計上できます。

たとえば益金が1億円あり、そのうち1000万円を保険料支払いに充てる場合、
  1. 1億円(益金) ー 1000万円(損金) = 9,000万円(課税所得金額)
  2. 9,000万円(課税所得金額) ✕ 30%(税率) = 2,700万円(法人税額)
このような計算となり、年間で300万円ほど税負担が軽減できます。

ただし、保険料を損金計上するためにはある条件を満たさなければなりません。逓増定期保険の加入で法人が保険料の2分の1を損金計上するための条件は以下になります。
  • 保険金額の増額が5倍以内である
  • 保険満了時に被保険者が45歳以上である

この2つの条件を満たすことで、逓増定期保険で支払っている保険料を損金計上することができ、税負担を軽減することができます。

②事業保障や事業承継に必要な資金を確保することができる

続いての逓増定期保険の活用方法は、資金が必要なシーンで資金確保が可能になることです。経営者や役員の方々が万が一の事故に巻き込まれたなどで、死亡する可能性があります。


そうなった時に起こると予想されるリスクは以下になります。

  • 企業の一時的な信用力の低下
  • 取引先の条件が厳しくなる可能性
  • 経営者などが抱えていた借入金の返済が要求される可能性

このように資金が必要な場合に死亡保険金を企業の資金として確保することで、事業の継続をさせることが可能になります。

また事業承継の際には、後継者へ自社株を集中させ、経営権を移行させる必要があります。その自社株を移行する際の、自社株評価額が高いと、後継者に対して税負担が大きくなります。

そこで後継者が自社株を相続する場合には、企業が株式を買い取るという方法を取り、税負担を軽減させます。しかし買い取る際にはもちろん資金が必要です。その資金を逓増定期保険で活用することができます。

③契約貸付制度が活用できるようになる

最後は逓増定期保険に加入することで契約貸付制度が活用できるようになります。


契約貸付制度とは、一時的に資金が必要になった際に、契約している保険の解約返戻金の一部を保険会社から借り入れることが可能な制度です。


急いで資金が必要な際に銀行から借り入れるとなると、手続きが多く間に合わない可能性があります。


しかし逓増定期保険や他の生命保険に加入していれば、契約貸付制度を利用することでスピーディーに資金調達することが可能です。

逓増定期保険に加入する際の注意点


ここまでは企業が逓増定期保険に加入することのメリットばかりが目立っていましたが、実際は注意しなければならない点もあります。


次からは、

  • 元本割れに注意!
  • 返戻金は課税される!
  • 2分の1での損金参入は最初からできない!
これらの注意点を取り上げていきます。

①早期に解約返戻金を解約すると元本割れ

逓増定期保険は、解約返戻金がピークを迎える前に解約してしまうと元本割れします。


そもそも解約返戻金を将来受け取れることを前提に、資金をプールしておくことが目的であるため、普通は途中解約しません。


しかし解約返戻金のピークを迎える前にどうしても現金が必要になった、保険料が支払えなくなった、などの理由で安易に解約してしまうと、返戻率が低いため大損となります。


さきほど解約返戻金説明の部分で挙げた表によると、1年で解約してしまった場合返戻率は「69.3%」となり、約40万円も損失を出してしまいます。


保険によっては「契約者貸付制度」を利用して、保障を継続したまま一時的に資金を調達するようなことも可能ですが、一定の利息がかかるのと、一定年数を過ぎた場合は利用できないので、本当に必要に迫られたとき以外はあまりおすすめしません。

②解約返戻金による雑収入は課税される

逓増定期保険の解約返戻金は、保険金として積み立てた金額よりも高くなっても「雑収入」として算入するため、法人税の課税対象です。


このため加入期間中に節税できたとしても、返戻金の金額が大きければそれだけ多くの税金がかかることになります。


結局は元々かかるはずだった法人税を解約時まで繰延しただけになってしまうので、

  • 出費が多く赤字経営になる年に解約する
  • 従業員の退職金やボーナス支払い、役員報酬などに合わせる

このような出口対策を行うことが大前提となります。

逓増定期保険の加入をおすすめできる方


ここまでは逓増定期保険を活用について紹介してきましたが、どのような企業でも無条件でおすすめできるわけではありません。


この保険は、

  • 数年後に退職金や役員報酬など大きな出費が「確実に」ある
  • 経営状況が良く、保険料支払いも「確実に」滞らないほど資金に余裕がある
このような条件をクリアできるのであれば、経営者や経理担当者は一考する価値のある保険です。

メリットを享受するためには返戻率のピーク時に確実に解約する必要があるので、まずはそれまで高額な保険料を確実に支払い続けられるだけの財力や会社としての体力があることが前提となります。

おすすめの逓増定期保険を比較!



ここまで逓増定期保険の持つ特徴や法改正における資金や損金の扱い方の変更点などを見てきました。


実際に数年後、退職金など大きなキャッシュが必要となるなど、必要に迫られるとどこの保険商品が良いのか迷いますよね。


各保険会社ごとにそれぞれ特色が異なる逓増定期保険を用意していますので、自分の会社にあったプランや予算に合わせて保険を選ぶことをおすすめします。

【参考】国税庁によって逓増定期保険の名義変更プランが規制された!



退職金準備のために法人契約として逓増定期保険を契約している会社の中でも、裏技のように行われていたことが「名義変更」です。


保険料は変えず、契約者の名義のみを変更することになにかメリットがあるのでしょうか?


名義変更のメリットの説明のためには逓増定期保険の持つ特徴である「始めの期間は解約返戻率が低い」ということについて理解しなければなりません。


逓増定期保険は契約してから一定期間に限り解約返戻率は低く設定されていますが、契約後5〜10年後にピークを迎えます。


この解約返戻率がピークになる前に法人から個人が保険内容を買い取り、名義変更することによって個人の保険料負担は抑えつつ、退職金の所得税を抑えることができるのです。


名義変更で法人から個人に譲渡された解約返戻金はあくまで一時所得という扱いで税制上のメリットを享受できるだけでなく、課税対象金額が小さくなるというメリットがあります。


以上のことから名義変更プランは人気のプランとして利用されてきましたが、「法人から個人へ資金を移転させた」と見られ税務署の調査が入りペナルティを課せられるというケースもありました。


法の裏をかくような裏技としての「名義変更プラン」は規制の対象となったため、節税対策として名義変更すれば得をするという考えをしていた人はご注意ください。

国税庁は「ピーク時の解約返戻率で損金計上」というルールで名義変更プランを規制!

名義変更プランに国税庁のメスが入ったのは2021年3月のことで、節税対策の裏技として用いられてきた法人→個人の名義変更のルールを見なおすという内容でした。


国税庁の規制によって評価額が低い状態で譲り渡すことが不可能になったため、節税もできなくなったと言えます。


以前は名義変更したタイミングでの保険評価額は「名義変更の時に受け取れる解約返戻金」とみなされていましたが、規制によって「解約返戻金の金額が資産に計上した金額の7割に達しない場合、評価額は解約返戻率最高値のもので損益計上すること」と条件が付加されることになりました。


以前までの「評価額=解約返戻金」は、支払った保険料よりも安い金額で評価されるということであり、つまりは法人から個人に譲渡する際安く譲渡できるということでした。


しかしこの国税庁のお達しで裏技を使いながら名義変更を行う旨味はなくなってしまい、退職金準備にもなる上に節税対策にもなると喜んで加入していた中小企業にとっては大きな痛手となりました。

全損・半損タイプの逓増定期保険を含む法人保険は販売停止!

保険における「全損」「半損」とはどのような意味でしょうか。


「全損」は保険料の「全」額を「損」金に計上できる、「半損」は保険料の「半」額を「損」金に計上できるという意味で使用される言葉です。


保険料のほとんどを損金として扱えなおかつ解約返戻金も高いということで高い人気を誇っていましたが、いきすぎる税金対策に国税のチェックが入ったのです。


国税の「解約返戻率50%超の法人保険の税について見直しをする」と発表したことによって、一時期は保険会社から販売されていたおすすめ商品のほとんどが販売できなくなり、販売停止となりました。


「全損」のみならず「半損」も規制の対衣装となり販売停止を命じられたということで保険会社、企業双方にとって大きな痛手となったのです。


現在では税制改正のルールに則った保険商品が販売されていますが、かつての「全損」「半損」は全面禁止となってしまいました。

まとめ:逓増定期保険について分かりやすく解説!



逓増定期保険は解約返戻率が短期間で跳ね上がるという特徴から法人にとって退職金準備や数年後に多額のキャッシュが必要になる予定と言った場合に活用されます。


各保険会社でそれぞれ特色がある保険商品が販売されていますが、税制度の変更の理解や自分の会社にとってどれが適しているか客観的に判断するためには自分だけの力では理解が不十分になってしまうことがあります。


きちんと保険内容や仕組みを理解した上で、逓増定期保険のメリットをしっかり享受できるようにするためには法人保険に詳しい人に相談するのも一つの手です。


法人保険の検討の際には、法人保険の相談対応経験が豊富なマネーキャリアにご相談ください。


面談の予約から面談までオンラインで完結するという手軽さに加え、多種多様な保険商品を一度に比較検討することができるため自分にぴったりの保険に出逢うことができるでしょう。


料金は納得できるまで何度でも相談料無料ですので、この機会に気になることを色々相談してください。


ほけんROOMでは他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。

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