生命保険の法人契約と個人契約には4つの違いが?4つの違いを徹底解説

生命保険の法人契約と個人契約では4つの違いがあります。法人契約では、資金効率を上げられますが、手続きが煩雑ですし、解約時の戦略が大切になります。一方の個人契約は節税効果はあまりありませんが、手続きが簡単です。他にも、自動車保険での違いに関してご説明します。

生命保険の法人契約と個人契約の4つの違いとは?

会社を経営されているかたにとって、万が一に備えての生命保険の検討は大切なことといえます。


生命保険の契約には企業が加入する「法人契約」と、個人が加入する「個人契約」の2種類の契約が存在します。


個人契約と法人契約の大きな違いといえば契約主が法人か個人かどうかで、実際に資金効率を上げるために、法人契約での生命保険を検討されている方も多いでしょう。


しかし、生命保険の法人契約と個人契約では手続き・支払いなどの事務処理が大きく異なり、この違いを知らずに変更してしまうと手続きに手間を取られたり折角の資金効率の効果が薄くなったりしてしまいます。


そこで本記事では、生命保険の個人契約、法人契約の違いを中心に

  • 生命保険の法人契約と個人契約の4つの違い
  • 個人契約から法人契約に保険を切り替えた際の注意点
  • 法人契約での生命保険の解約時の対策
  • 自動車保険での法人契約と個人契約の違い
以上を中心に解説していきます。

この記事を読めば、法人契約、個人契約それぞれのメリット、デメリットが理解でき、最適な生命保険の契約検討ができるでしょう。


ぜひ最後までご覧ください。

生命保険の法人契約と個人契約の4つの違い

生命保険の法人契約と個人契約では大きく分けて4つの違いがあります。


簡単に説明しますと

  • 法人契約での生命保険では資金効率を上げることが可能
  • 保険料の負担者と保険金の受取人が違う
  • 法人契約での生命保険は給付金の支払いが難しい
  • 法人契約は個人契約と比べて手続きが煩雑
が多きな違いになります。

基本的には法人契約での生命保険は資金効率の向上が期待できるため、特に検討しないまま法人契約で進めてしまいがちですが個人契約との違いを理解しておくことで計画立てた契約を進めることができるようになれます。

それでは順を追って説明していきます。

【違い1】生命保険を法人契約にすることで資金効率が向上

生命保険を法人契約に切り替えることで、保険料の支払いを個人から法人に変えることが可能となります。


その為、法人契約での生命保険の場合、保険料は損金算入でき資金効率を上げることが期待できるメリットがあります。


法人税は所得から計算されますがその計算式は

所得=益金-損金

となりますので、益金をいかに抑え、損金をいかに増やすかで法人税を抑えられるかどうかが決まります。


法人契約の生命保険の場合、保険料は前述通り損金として算入できるので、高い節税効果が期待できるのです。


ですが保険料が高くなればなるほど会社のキャッシュフローが悪化しますので、会社の経営状況を鑑みて契約する必要があります。


キャッシュフローの悪化で解約返礼率が低い時期に解約してしまったのでは法人契約でのメリットが少なくなってしまいます。


一方、個人契約の生命保険の場合、生命保険の控除はありますが法人契約のような会社としての資産効率の向上は期待できません。


資金効果についてまとめますと

効果保険料
法人契約での
生命保険
一部の保険は、保険料を損金として算入可能保険料が割高なので資金負担は大きい
個人契約での
生命保険
損金の割合は生命保険の控除の範囲内個人契約なので保険料は低い設定

となります。


また、後述しますが解約返戻金として受け取る保険金は益金として算入されるため解約時の出口戦略を練ることが資金効率向上につながります。

生命保険料控除に該当する対象期間や控除の申告期間はいつ?

【違い2】保険料の支払人と保険金などの受取人が違う

当たり前の話ですが法人契約の場合は法人が保険料を支払い、個人契約の場合は個人が保険料を支払う形となります。


法人契約での生命保険で受取人を法人にした場合、会社に保険金が入るため経営者に万が一があった場合の売上減少を保険金で補填することができます。


ただし保険金は益金として算入されるため支払った保険料の分に法人税がかかってきてしまいますので注意が必要です。


対策として、初年度に保険金全てを受け取るのではなく、分割して保険金を受けとる方法があります。


初年度の法人税を抑えられることはもちろんですが、もし赤字が出てしまった年度でも分割した保険金でカバーすることができます。

【違い3】法人契約は給付金の支払いが難しい

法人契約の場合、個人契約での生命保険に比べ給付金の受け取りがしづらいというデメリットがあります。


法人契約ですと契約が法人ですので入院などで給付金を受け取るのは法人になるため当事者が直接給付金を受け取ることができません


そのため雑収入として処理した後、見舞金などで損金処理する必要があります。


経理処理の一例として、給付金として50万受け取り見舞金として3万支給した場合は下記のような処理になります。


1)雑収入、現金預金として処理

借  方貸  方
現金預金  500,000円雑収入   500,000円

2)見舞金を福利厚生費として処理
借  方貸  方
福利厚生費  30,000円現金預金  30,000円


また、雑収入として計上する必要があるため、相殺できる損金がない場合法人税がかかってくることもデメリットといえます。

【違い4】法人契約は個人契約と比べて手続きが煩雑

個人契約での生命保険の場合、法人税などの税金を気にする必要がなく、また保険金や給付金も直接個人が受け取れるため手続きがスムーズです。

しかし、法人契約の場合、受け取った保険金や給付金は益金として算入しますので法人税が発生します。

また、年々簡素化される個人契約の手続きとは違い、保険金、給付金の受取には複数枚の手続き資料が必要となります。

手続き等で悩んだ際は、保険のプロに相談してみてください。

法人保険にかかる疑問は保険のプロに無料相談!

「個人契約の保険を法人契約に変えた場合の効果を知りたい!」「変更手続きに必要な書類は何だろう?」「今の保険でいいのかな?」など法人保険に関するお悩みを抱えている方は多いでしょう。


法人保険の適切な運用を行うために知識を身につけることは重要ではありますが、そのために時間を失うことはとても惜しいです。


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また、すでに法人保険に加入している方も、一度セカンドオピニオンとして保険活用のプランや知識を吸収する機会になるため、ぜひ利用してみて下さい!

個人契約から法人契約に名義変更した場合は?

生命保険を個人契約から法人契約に切り替えた場合、個人から法人へ権利譲渡したものと見なされ会社へ資産計上する必要があります。


金銭の授受がない場合、個人側では処理をする必要はありませんが法人側では契約の贈与があったことになります。


また、金銭の授受があった場合は個人側で一時所得とみなされるため課税対象となります。

法人契約の場合は解約時の対策がとても大切

個人契約の場合、解約時の返戻金の受取人は個人ですが、法人契約で法人が受取人とした場合、解約返戻金を益金として算入する場合もあります

  • 解約返戻金>保険積立金の場合 ⇒ 解約返戻金と保険積立金の差額を雑収入に計上
  • 解約返戻金<保険積立金の場合 ⇒ 解約返戻金と保険積立金の差額を雑損失に計上
ですので保険料は損金として算入可能ですが、解約返戻金や保険金の受取時には雑収入として法人税が課税されるケースもあります。

そのため、出口戦略としてしっかりと解約時の戦略をたてる必要があります。

出口戦略とは解約返戻金や保険金の運用方法を保険加入時に考えておく戦略です。
例えば、解約返礼率のピークが役員の退職時期と同時期になるような契約をして益金(保険金)と損金(退職金)を相殺させる方法があります。

【参考】自動車保険では法人契約と個人契約はどう違う?

自動車保険の場合でも法人契約と個人契約ではそれぞれメリットとデメリットがあります。


法人契約にした場合以下のようなメリットがあります。

  • 10台以上の契約にあたるフリート契約の場合は保険料が割安に。
  • 損金扱い減価償却から節税につなげることが可能。
  • 自動車保険の等級を引き継ぐことが出来る。
  • 社員が変更しても契約を更新する必要がない。


一方、法人契約のデメリットは以下のようなものがあります。

  • 法人契約の自動車保険は個人契約とくらべ保険料が割高になる。
  • 1台の事故でも全ての保険契約車両の等級が下がってしまう。


以下の記事でより詳細に解説していますので、そちらも合わせてお読みください。

まとめ:生命保険の切り替えは将来のことを考えて慎重に判断を

生命保険の法人契約と個人契約の違いについて解説しましたがいかがでしたでしょうか?


今回の記事のポイントは

  • 個人契約から法人契約に変えることで資産効率向上に!
  • 法人契約では受取人が法人なので会社の売上減少の補填が可能。
  • 個人契約にくらべ法人契約では支払いや手続きが煩雑。
  • 法人契約の場合、出口戦略の検討が重要。
  • 自動車保険でも法人契約と個人契約それぞれにメリット、デメリットがある。
でした。


法人契約は資産効率向上を期待したり、万が一の際の会社への備えとしても検討していく必要があるといえるでしょう。


ただ出口戦略が不十分だったり、キャッシュフローを悪化させるほどの契約ですと法人契約でのメリットが少なくなってしまいます。


経営者に万が一のことがあったさいに会社の経営が傾くようでは法人契約した生命保険の意味がないともいえます。


法人保険でのメリットを最大限生かすためにも個人契約との違いや運用方法を把握し、検討していくことが必要です。


ほけんROOMは他にも読んでいただきたい法人保険の記事をたくさん掲載していますので、ぜひご覧ください。

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