中小企業における事業承継の方法とは?課題・対策・活用できる制度を解説

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中小企業が抱える事業承継の課題や事業承継の方法について解説!事業承継の基礎知識やメリット・デメリット、注意点、事業承継の方法、贈与税・相続税対策、事業承継の相談先など、事業承継を検討する経営者が知っておくべき情報をまとめています。


▼この記事を読んで欲しい人

  • 事業承継の基礎知識を知りたい方
  • 老後に備えて事業承継を検討している中小企業の経営者
  • 事業承継の注意点やデメリットを確認して対策したい方

内容をまとめると

  • 事業承継は、法務や税務、登記など様々な専門知識が必要になる
  • 事業承継を行う際にはあらゆるリスクを回避するために専門家に相談することが重要
  • M&Aを活用して事業承継を行い場合は、会社の現状把握・経営改善を行うことで買い手が見つかりやすくなる
  • 事業承継や法人保険についての悩み事解決はマネーキャリアがおすすめ!
  • マネーキャリアは顧客満足度93%を誇り、スマホ一つで相談できるので忙しい経営者の方でも安心して利用できる!セカンドオピニオンとしても活用可能!

中小企業が抱える事業承継の現状と課題


中小企業が日本の産業を支えていますが、そんな中小企業の経営者の多くが高齢化に伴い、ある悩みを抱えています。


それは後継者に会社を託す、「事業承継」についてです。


事業承継では、後継者にふさわしい人物が見つからない、後継者が見つかったとしても経営者としての役目を果たせるほどの資質・能力がない、結果的に廃業の道を選ばざるを得なくなった、などの様々な問題が起こります。


それも、起こる確率の低いレアケースではなく、多くの中小企業がこれらの問題に直面したはずです。


そのため、まずは事業承継の現状と課題について、しっかりと理解しておくことが大切になります。


この項目では、事業承継の現状と中小企業が抱える課題について解説します。


解説内容は、以下の2つです。

  1. 経営者の高齢化で廃業する企業が増えている
  2. 後継者不足が原因で廃業する企業も増えている

それぞれ詳しく解説していきます。

経営者の高齢化で廃業する企業が増えている

平成28年に中小企業庁が公開した「事業承継に関する現状と課題について」によると、60歳以上の経営者の約5割が廃業を予定しています。


そして廃業理由の約3割には、「子供がいない」「子供に事業を継ぐ意思がない」「適任者が見つからない」と、後継者不足を原因とした理由が挙げられたのです。


また、東京商工リサーチの『2020年「休廃業・解散企業」動向調査』によると、休廃業した企業の約4割が、経営者の年齢が70代であったことが判明しています。


さらに60歳以上であれば約8割を超えるなど、経営者の高齢化が休廃業に大きく関与していることがうかがえます。

後継者不足が原因で廃業する企業も増えている

前項でも触れましたが、やはり後継者不在により、やむなく廃業の道を選ぶ経営者が多いようです。


中には、業績が好調であるにもかかわらず、適任者が見つからないことを理由に廃業する中小企業も存在します。


本来であれば、たとえ息子・娘などの親族や従業員・役員に適当な人物がいなかたっとしても、M&Aで外部の第三者に後継者として引き継いでもらうことは可能です。


しかし、それでは事業承継を円滑に進めることが少し難しくなると感じて、断念する経営者が多いと考えます。


他にも、会社を継ぐ意思のある未熟な後継者候補を育成し、今後の経営を任せることはできますが、育成時間が不十分だった場合にはあらゆる問題が起こり得るので、その点を懸念する経営者も少なくはないのでしょう。


たとえば、「事業承継後に業績が悪化する」「従業員・取引先からの不満が浮き彫りになる」などの事態が想定できます。


事業承継を行った結果、会社への信用が毀損されたり、利害関係者に多大なる迷惑をかけたりして経営が傾くようなことになるぐらいなら、潔く勇退する道を選んだ方がいいと考えるのでしょう。


いずれにしても、後継者問題は深刻化しています。

そもそも事業承継とは?まずは概要を理解しよう


事業承継の現状と課題を把握できたところで、この記事の焦点となっている事業承継について解説します。


そもそも「事業承継の意味はなんなのか」「事業承継とはどんなものなのか」気になる方も多いと思いますので、それらの基本的なことについてお伝えします。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 事業承継とは経営そのものを引き継ぐこと
  2. 事業承継には3つの構成要素がある
  3. 「事業継承」とは意味合いが違うため要注意

それぞれ詳しく解説していきます。

事業承継とは経営そのものを引き継ぐこと

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。


具体的には、建物や設備、自社株、技術・ノウハウなどの有形なものから無形の資産までを後継者に継承します。


優秀な人材が揃う大企業とは異なり、中小企業の経営者は会社の存立基盤となっていることが多いため、後継者に誰を選定するかによって会社の未来に大きく影響します。


そのため、中小企業の事業承継においては、単なる経営権や資産の引き継ぎではなく、会社の将来を左右する重大なイベントになるのです。


経営課題の一つとも言えるでしょう。

事業承継には3つの構成要素がある

では、会社を守るためにはどのようなものを承継するのでしょうか。


事業承継には、以下3つの構成要素があります。

  1. 経営権
  2. 資産
  3. 知的資産

それぞれ解説していきます。


経営権


会社の顔としての役割を担ってもらうために、経営権を後継者に引き継ぎます。


事業承継をする前には、後継者の選定・育成を行い、名実ともに会社の代表として活躍できるような人材に育て上げることが大切です。


資産


事業を継続できる資産を後継者に引き継ぎます。


引き継ぐ資産は、自社株や不動産、事業用の設備、運転資金などです。


知的資産


有形ではない無形資産も引き継ぎます。


決して軽視できない、企業理念や技術・ノウハウ、顧客情報、取引先との人脈などです。


現代では、SNSアカウントもその一つとされています。

「事業継承」とは意味合いが違うため要注意

事業承継と混同しがちな言葉に「事業継承」というものがあります。


この言葉の意味は似たようなものなので、誤用したとしても大きな差異はありませんが、厳密には少し意味合いが異なるので注意が必要です。


承継は先代の地位・事業などを受け継ぐこと指し、継承は身分・権利・財産などを受け継ぐことを指します。


本来、誤用であるはずの使い方でも、社会に深く浸透した場合には間違いが正解になってしまうのが世の中の風潮ですが、一般的には「事業承継」が適切な表現になるので気をつけておきましょう。


無料FP相談サービスのマネーキャリアであれば、このような事業承継の基礎知識から、事業承継を行う際に役立つ知識までを丁寧にアドバイスできるので、ぜひご活用ください。

事業承継にはリスクがある!実践前に注意点をチェック


事業承継にトラブルやリスクはつきものです。


しかし、それらの危険を事前に理解して対策を練っておくことで、回避することができます。


そこでこの項目では、事業承継の注意点について解説します。


注意点は、以下の5つです。

  1. 後継者同士や従業員との対立が起こる
  2. 後継者の育成に時間がかかる
  3. 負債や個人保証も引き継がれる
  4. 相続税や贈与税がかかる
  5. 遺留分を主張されるケースがある

それぞれ詳しく解説していきます。

注意点①:後継者同士や従業員との対立が起こる

親族や従業員・役員に複数の後継者候補が存在すると、経営者の座を狙って後継者同士で揉める可能性があります。


それが原因で、業務に支障をきたすようになり、会社の業績に甚大な被害を与えることもあるのです。


そのため、それらの利害関係者への配慮を心がけることが求められます。


また、事業承継を行う企業での職務経験がないにも関わらず、経営者の息子であるからといって突然に後継者になった場合は、長年勤めてきた従業員・役員から反感を買いやすいです。


M&Aを活用した第三者への事業承継も同様に、外部の人間と内部の人間に溝が生まれ、対立する可能性があります。


関係者への配慮をできる限り行い、コミュニケーションを通して理解を得ることが大切です。

注意点②:後継者の育成に時間がかかる

事業承継を今はする気がなかったとしても、できるだけ早い時期に考えておく必要があります。


なぜなら、経営者が突然に病気を患ったり、気が変わったりすることがあるからです。


急に事業承継を始めようと思っても、後継者候補を十分に育成することはできませんし、何より適当な後継者が見つかるとは限りません。


手続きを進めるタイミングで後継者探し・育成にあたっても、もう手遅れの状態です。


経営者としての責務を全うできるような資質・能力がなければ、会社はあっという間に傾きますし、それこそ“普通の仕事も満足にこなせないような経営者”に対しては、尊敬も理解も得られないことから従業員にもう反発をくらうでしょう。


事業承継の予定がなかったとしても、後継者候補の選定・育成を少しずつ進めておくべきです。

注意点③:負債や個人保証も引き継がれる

事業承継は資産や純資産だけでなく、負債個人保証も引き継ぐことになります。


会社の利益で運転資金を確保することが厳しい場合には、その場を凌ぐために金融機関から借入を行うことがあります。


もし多額の債務が会社にあるのであれば、後継者として責任を持って債務を完済しなければならないのです。


仮に金融機関から借入をする際の担保として、旧経営者が個人保証を設定していた場合は、基本的にはそれも引き継がなければならず、会社が返済できない状態に陥ったときには、後継者の個人資産から返済することになります。


この点を懸念して後継者を断るケースもあるので、注意しておきましょう。

注意点④:相続税や贈与税がかかる

事業承継では、株式を含む会社の資産を後継者に引き継ぐことになるので、後継者には相続税贈与税の負担が生じます。


そのため、後継者は納税に向けて一定の資金を準備する必要があるのですが、中には納税するための資金を用意できずに事業の継続が厳しくなった後継者もいるのです。


個人資産とは比べ物にならないほど会社の資産は多いので、税金の負担はかなり重くなります。


計画的に事業承継を行わないと、納付が難しくなるので注意することが大切です。


ただ、条件付きですが「事業承継税制」という制度を活用することによって、贈与税・相続税の納税を猶予できるので、積極的に活用しましょう。

注意点⑤:遺留分を主張されるケースがある

相続で自社株や事業用資産を後継者に引き継ぐ場合は、他の相続人から遺留分を主張されることがあります。


遺留分とは、相続人に保障された最低限の遺産を取得できる権利のことです。


例えば、遺言書にて旧経営者が後継者にすべての資産を相続することを明記していたとしても、その他の相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。


つまり、「私にも資産を受け取る権利があります」と主張できるのです。


こうなると自社株が分散してしまい、役員の選任・解任や重要事項の決定がスムーズにいかず後継者が困ることになるため、対策を講じる必要があります。


弁護士等の専門家に依頼して遺留分トラブルを未然に防ぐことが賢明です。

中小企業では親族外承継が増えている!事業承継の方法3つ


昔の中小企業は、息子や娘に承継する親族内承継が一般的でした。


しかし、最近の中小企業では、後継者不在により親族外承継が増えてきています。


最適な事業承継の方法は会社によって異なるので、どの方法が自社にとってベストかを考えられるように、この項目では事業承継の方法とメリット・デメリットについて解説します。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 親族内承継
  2. 親族外承継
  3. M&A

それぞれ詳しく解説していきます。

事業承継の方法①:親族内承継

親族内承継とは、息子や娘、配偶者などの親族が後継者として事業を引き継ぐことです。

よほどの理由がない限り、中小企業の経営者はこの承継方法を選びます。


メリット


基本的には、従業員や取引先などの利害関係者から受け入れられやすいので、事業承継がスムーズにいきます。


また、相続で株式を後継者に移転できるので、経営と所有(株式)の分離を回避しやすいです。


デメリット


経営の資質と能力を持ち合わせていない可能性があることがデメリットとして挙げられます。


万が一、従業員が側から見て適任者でないと感じた場合には、強い反感を買う恐れがあるでしょう。


他にも、相続人が遺留分を請求して、後継者に経営権を集中させることが難しくなる可能性があります。

事業承継の方法②:親族外承継

親族外承継とは、従業員や役員が後継者として事業を引き継ぐことです。

親族に後継者候補がいない場合に、選択肢の一つとなる事業承継の方法になります。


メリット


親族外承継の大きなメリットは、会社の事業を十分に理解した能力のある従業員に承継できる点です。


特に長期間会社に勤めている場合は、現経営者の企業理念・経営理念にも共感していることが多いため、方向性がブレることなく事業を継続できます。


デメリット


親族外承継のデメリットは、後継者に株式を取得できるだけの資金を用意できない場合が多いことです。


また、個人保証の引き継ぎが原因となって後継者候補が躊躇(ちゅうちょ)する可能性があります。

事業承継の方法③:M&A

M&Aは、企業や事業の経営を他社へ引き継ぐことです。

最近では、M&Aを活用した事業承継が増えています。


メリット


M&Aの大きなメリットは、候補者を選ぶ幅が広がることです。


他にも、現経営者が会社売却により多額の利益を獲得できる点やシナジー効果により会社が発展しやすくなる点がメリットとして挙げられます。


デメリット


M&Aのデメリットは、他の事業承継よりも時間がかかることです。


希望売却価格や従業員の雇用などの条件が買い手と一致せずに、なかなか買い手が決まらないことがあります。


また、譲渡後に経営理念や方針が転換することがあるため、一体性を保つことが難しくなります。

事業承継のおおまかな流れや手順を把握して実践を


「事業承継がどのような流れで進んでいくのかを知りたい」と、事業承継を考えている経営者の中には思う方もいるでしょう。


そこでこの項目では、事業承継のおおまかな流れや手順について解説します。


おおまかな流れは、以下の通りです。

  1. 経営状況を確認して見える化する
  2. 後継者の候補を選ぶ
  3. 事業承継計画を立案する
  4. 関係者へ説明する
  5. 経営改善に着手し引き継ぎを行う

それぞれ解説していきます。

手順①:経営状況を確認して見える化する

事業承継では、会社を後継者に引き継ぐことになります。


そのため、いいかげんな状態で後継者の手に渡らないように、経営状況を見える化して改善に取り組めるよう準備しておく必要があるのです。


具体的に把握しておくべき項目は、以下になります。

  • 株式の保有者と保有数
  • 個人保証の有無
  • 自社商品の売上推移
  • 有形・無形資産
  • 負債やリスクの有無
  • 経営課題

親族内承継・親族外承継の場合は、この時点で確認・整理をしておき、手順⑤にて経営改善を行っていきます。


一方、M&Aの場合は、経営状況が良好であれば条件のマッチする買い手が見つかりやすくなるので、早めに経営改善に着手することが大切です。


事業承継のプロセスの中には、専門知識を必要とする場面があります。


経験のない人物がリスクなく事業承継を終えることは困難なので、弁護士や税理士、司法書士などの専門家の協力を得ながら進めることが重要です。

手順②:後継者の候補を選ぶ

経営状況を見える化した後は、後継者の候補を選びます。


後継者選びは事業承継において最も重要なプロセスと言っても過言ではないので、あらゆる評価項目を設けて厳選すべきです。


例えば、

  • 能力評価:業務を遂行できるスキル・知識をどの程度有しているか
  • 成果評価:どの程度の実績を持つか
  • 熱意評価:会社の発展に寄与できる人材かどうか
  • 統率力評価:組織をうまくまとめられるか
  • コミュニケーション評価:適切な表現を用いて冷静に物事を伝えられるか

などの項目を用意して、様々な観点から評価します。


注意点として、後継者育成には時間がかかるので、社内に適任者がいそうにない場合は手順①よりも前に、後継者選定・教育的指導を行うように心がけましょう。


その際にはM&Aも視野に入れておきます。

手順③:事業承継計画を立案する

次に、事業承継計画を立案します。


事業承継をリスクなく終えるためには事業承継計画書の作成は必須です。


事業承継計画があることによって、経営者・後継者・専門家などと認識を合わせることができ、事業承継が円滑に進みやすくなります。


また、相続税や贈与税の負担を軽減できる「事業承継税制」を利用できるようになるので、計画書を作成することは大切なのです。


弁護士に依頼をすれば、会社の資産・負債や相続人関係などの現状を把握した上で、事業承継計画を策定してくれます。


M&Aを活用して社外の第三者への承継を考えている場合は、M&A仲介会社に相談して、買い手とのマッチングをおこないましょう。

手順④:関係者へ説明する

次に、利害関係者に事業承継を実施することについて説明します。


利害関係者とは、従業員株主金融機関を含む取引先などのことです。


特に金融機関や自社株を保有する親族に対しては、十分な理解を得る必要があります。


例えば、金融機関の場合は、「経営者交代の理由」「後継者が信用に値する人物である理由」などについて、金融機関が抱く不信感を拭える程度に説明します。


その際に、後継者の経歴・実績・意欲を伝えることが大切です。


利害関係者へ説明をするときの注意点は、事業承継が不確実な段階では情報を漏えいしないことになります。


タイミングが早すぎると従業員や取引先が離れていく可能性があるため、気をつけておきましょう。

手順⑤:経営改善に着手し引き継ぎを行う

最後に、経営改善資産の移転などを行います。


親族内・親族外承継の場合は、自社株の相続・贈与を行い、M&Aの場合はクロージングの手続きを済ませて自社株の承継を実施するのが一般的です。


承継が無事に終わると、事業の見直しやPMI(経営統合作業)のフェーズに移行します。



親族内・親族外承継の場合は、会社が安定的に発展できるよう事業開発などを行い、M&Aの場合は、PMIを通じて人員配置や就業規則などを売り手企業が買い手企業に合わせて、相乗効果の獲得を目指すことが大切です。


それと、M&Aであれば問題ないのですが、親族内・親族外承継を行うときに後継者育成が不十分であれば、引き継ぎを先延ばしすることも検討する必要があります。


なぜなら、承継後に会社の業績が低迷してしまう恐れがあるからです。


満足のいくレベルに後継者が達しているのかどうかを念を入れて確認しておきましょう。

事業承継を成功させるには?コツを解説


事業承継には、様々なリスクが潜んでいます。


しかし、事前にリスクの対策を練っておくことで、それらのリスクを未然に防ぐことが可能です。


そこでこの項目では、事業承継を成功させるコツについて解説します。


成功のコツは、以下の5つです。

  1. 時間に余裕を持って取り組む
  2. 複数のプランを考えておく
  3. 生命保険を活用する
  4. 専門家へ相談する
  5. 事前に相続トラブルの対策を行なっておく

それぞれ詳しく解説していきます。

成功のコツ①:時間に余裕を持って取り組む

事業承継を進めるにあたって、直面しやすい問題予期せぬ問題が起こりうる可能性があります。


後継者候補の選定・育成を始めとした、利害関係者の反発M&Aで買い手不在などです。


そのため、後回しせずに、時間的余裕を持ちながら着実に取り組んでいくことが大切になります。


事業承継を将来的に行うと考えたその日から、親族内承継・親族外承継・M&Aのどの方法で承継をするのか、後継者に適任な人物は誰なのか、どのように育成するかを考えて、できることから実行していく必要があります。


基本的に、思惑通りに事は進まないと考えて、計画的に準備を進めるべきでしょう。


資金に余裕のない中小企業ほど、危機的状況に陥った際に回復しにくいので、常に最悪のケースを想定して行動するよう心がけた方が賢明です。

成功のコツ②:複数のプランを考えておく

事業承継には、以下のように様々な方法があります。

  • 親族内承継
  • 親族外承継
  • M&A
事業承継は前述した通り、予定が崩れやすいです。

後継者として適任な人物の気が急に変わって事業承継に対して消極的になり、プランがスムーズにいかなくなることもあります。

しかし、複数のプランを考えておくことで、親族の中に後継者がいなかったとしても、親族外承継やM&Aの方法でやれば後継者問題があっさり解決することもあるのです。

そのため、プランに優先順位をつけておいて、どのプランの事業承継でも実行できるように考えておくことが大切になります。

M&Aの活用は、大企業だけでなく中小企業でも一般化しつつあるので、一つの選択肢に縛られずに複数の選択肢を用意しておきましょう。

成功のコツ③:生命保険を活用する

生命保険を活用することによって、資金面のトラブルの回避することができます。


生命保険のメリットは、主に以下の2つです。

  1. 事業用資金を確保できる
  2. 相続税の納税資金を用意できる
それぞれ解説していきます。

1.事業用資金を確保できる


万が一、事業承継の最中に経営者が亡くなった場合は、資金面で利害関係者の混乱を招く恐れがあります。

しかし、法人を受取人として生命保険に加入することで、死亡時の保険金を事業や給与などに充てることが可能です。

これにより、不測の事態の混乱を最小限に抑えられます。

2.相続税の納税資金を用意できる


未上場の中小企業であったとしても、業績が上向きで優良な企業の場合は株式の評価額が高くなります。

そうなると後継者の納税が苦しくなりますが、生命保険を活用すれば納税資金を確保することができ、自社株問題を解消することが可能です。

法人保険や事業承継についてわからない点がある場合は、無料でFPに相談できる「マネーキャリア」がおすすめになります。

あらゆるケースを想定した上で、相談者にあった具体的なアドバイスができるので、相談先の一つとして頭に入れておきましょう。

セカンドオピニオンとしても活用できます。

成功のコツ④:専門家へ相談する

事業承継は、専門家の協力なしではリスクなく成功することは困難です。


中には、複数の専門家に相談できるほど資金に余裕がない、中小企業の経営者の方もいると思うので、相談する前に費用を確認しておくことが大切になります。


事業承継の際に相談できる専門家・機関は、以下5です。

  • マネーキャリア:無料FP(ファイナンシャルプランナー)相談サービス
  • 弁護士、税理士、会計士、司法書士、行政書士、中小企業診断士など
  • 事業引継ぎ支援センター
  • 商工会、商工会議所
  • M&A仲介会社

事業承継は、法律や税金、登記などの知識が必要になるので、その点を踏まえて各専門家・機関に相談・依頼することが求められます。


専門家に依頼することで、他の専門家と連携を取りながら、事業承継が無事に成功できるようサポートしてくれます。

成功のコツ⑤:事前に相続トラブルの対策を行なっておく

事業承継の際に必ずと言っていいほど問題になるのが、相続トラブルです。


相続トラブルの対策を行なっていなければ、後継者の株式の一部を相続人に持っていかれて株式が分散し、株主総会で重要事項を決議する際の障壁になる恐れがあります。


本来は、株式を後継者に集中させる必要があるのですが、相続トラブルの対策を行なっていなかった場合には、取り返しのつかない事態に発展する可能性があるため、注意が必要です。


しかし、弁護士などの専門家に依頼することで、相続人同士の話し合いに介入し、相続トラブルを回避できるように説得してくれます。


遺留分請求をされないように、事前に対策を行なっておきましょう。

事業承継にはサポートしてくれる制度がある!上手に活用しよう


事業承継を行う際は、各専門家への依頼や相続税・贈与税などの税金で多くのお金が必要になります。


中小企業の中には、税金が理由で後継者候補が辞退することもあるため、大きな問題となっているのです。


しかし、事業承継をサポートする制度を活用することで、その問題を解決することができます。


この項目では、事業承継をサポートする制度について解説します。


解説内容は、以下の2つです。

  1. 補助金
  2. 事業承継税制

それぞれ解説していきます。

制度①:補助金

M&Aを含む事業承継を契機とした、「資産の引継ぎ」や「経営革新」を行う企業に対して、中小企業庁が補助金による支援を実施していました。


補助金制度の実施目的は、地域経済を牽引する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)を支援して、日本経済の活性化を図ることです。


事業再編や事業統合にかかる費用の補助上限は「250万円〜500万円以内(上乗せ額:200万円以内)」で、M&Aを活用して事業承継を行う際にかかる専門家等の費用の補助上限は「250万円以内(上乗せ額:200万円以内)」となります。


経費の対象は、M&A仲介会社に支払う手数料やデューデリジェンスにかかる専門家費用などです。


現在は補助金の公募を終了していますが、今後再開される可能性もあるため、事業承継を検討している経営者の方は常にチェックしておきましょう。

制度②:事業承継税制

事業承継税制とは、会社の後継者が引き継いだ資産にかかる贈与税や相続税の納税を猶予する制度のことです。


会社の価値が高ければ高いほど贈与税相続税は高額になるので、猶予されるのであれば、後継者はかなり気持ちが楽になります。


さらに、会社の経営を継続して次の後継者に事業承継をすることができ、一定の条件を満たせば、贈与税や相続税の免除を受けることが可能です。


一定の条件とは、主に以下の3つです。

  1. 生前贈与や相続で株式を後継者に渡す
  2. 本業を継続する
  3. 定められた期間内に報告や届出の提出をする

これらの条件を満たさない場合は、取り消し事由に引っかかることとなり、「猶予税額」「利子」を支払わなければならないので、注意しておく必要があります。

中小企業の事業承継に関するまとめ


この記事では、中小企業が抱える事業承継の課題や事業承継の基礎、メリット・デメリット・注意点などについてをお伝えしてきました。

  • 事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐこと
  • 事業承継をする方法には、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3つがある
  • 事業承継では、後継者候補の選定・育成や遺留分トラブルに注意する必要がある
  • 事業承継を行う際には、無料FP相談サービス「マネーキャリア」や弁護士・税理士・会計士・司法書士などの専門家に依頼することが大切

事業承継では、後継者の育成や利害関係者への報告、相続トラブル対策、法律・税金の配慮などやるべきことがたくさんあります。


これらの課題を付け焼き刃の知識でこなすことは難しいです。


そのため、事業承継の悩み事を解決できる無料FP相談サービス「マネーキャリア」や各専門家に相談すことが大切になります。


最善の結果を迎えるためにも、早いタイミングで動きだしましょう。

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