法人保険の収益計上時期はいつ?死亡保険金・解約返戻金の計上時期

法人保険の死亡保険金や解約返戻金を受け取った際の収益計上時期をご存知ですか?法人保険の死亡保険金を受け取った際には「被保険者が死亡した日」が収益計上時期ですが、例外もあります。他にも、もしも決算直前に役員が死亡した場合の収益計上時期に関しても詳しく解説します。

法人保険の収益計上時期はいつ?死亡保険金・解約返戻金受取時は?

法人保険の死亡保険金・解約返戻金について、収益計上時期をいつにすればいいのかわからず困ってしまったことはありませんか?


特に被保険者が死亡した場合、「死亡日」なのか「保険会社に通知した日」なのか、「支払い通知を受けた日」なのか「保険金が着金した日」なのかといつ収益計上をすればいいのかしっかりと確認していますか?


一般的には被保険者が死亡した日が収益計上時期となりますが、特別な事情がある場合はその限りではないなど、例外もあることをご存知でしたか?


そこで、この記事では「法人保険の収益計上時期」について 

  • 死亡保険金受取時の収益計上時期の2パターン 
  • 決算直前で役員が死亡した場合の収益計上時期 
  • 法人保険の解約返戻金を受け取った場合の収益計上時期 

以上を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、不慮の事故などで突然死亡したときに備えて、保険金受取時の税務処理を知るのに役立つと思います。


ぜひ、最後までご覧ください。 



死亡保険金受け取り時の収益計上時期を解説

法人保険に加入していて、被保険者が死亡してしまうと、保険金を受け取ることになります。


保険金を受け取ると収益に計上されることになりますが、どの事業年度に収益計上されるかで法人税の課税額も変わってきます。


法人保険の死亡保険金の収益計上時期として認識されるのは、以下の4つです。


  • 被保険者が死亡した日
  • 保険会社に死亡を通知し、支払いを請求した日
  • 保険会社から支払い通知を受けた日
  • 保険金が着金した日


これらのうち、どの時期を死亡保険金の収益計上時期にすればいいのでしょうか?


一般的には「被保険者が死亡した日」を死亡保険金の計上時期にするとされていますが、特別な事情があるときはその限りではありません。


この点について、次から詳しく解説していきます。

死亡保険金の収益計上時期:「被保険者が死亡した日」

結論から述べると、法人保険の死亡保険金の収益計上時期は「被保険者が死亡した日」です。


その根拠は、国税庁の方針である「所得税基本通達」にあります。


「所得税基本通達」の「一時所得の総収入金額の収入すべき時期」に書かれていることを要約すると、以下の3つのポイントに分けられます。


  1. 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払いを受けた日による。
  2. 支払いを受けるべき金額が、支払いを受けた日の前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日による。
  3. 生命保険契約等に基づく一時金、または損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払いを受けるべき事実が生じた日による。


法人保険の死亡保険金・生命保険金は3番目の「生命保険契約等に基づく一時金」に該当します。


この場合、「支払いを受けるべき事実が生じた日」が収益計上時期となるので、被保険者が死亡した人なるのです。


また、死亡保険金や生命保険金の受け取りが翌期になったとしても、死亡した日に収益計上することになります。 

特別な事情がある場合は「支払通知を受けた日」に計上可能

原則的に、法人保険の保険金の収益計上時期は「被保険者が死亡した日」です。


しかし、特別な事情がある場合は、例外的に保険会社から支払い通知を受けた日を収益計上時期にすることが可能です。


特別な事情がある場合とは、たとえば被保険者の死亡原因不審な点があり、事件性が疑われ警察の捜査が行われた場合などです。


どの保険会社であったとしても、自殺や保険金目当ての他殺の場合は、保険金を支払わないと定めているはずなので、警察の捜査が行われると保険金の支払いも遅れます。


捜査にかかる時間が長引いた結果、被保険者が死亡した事業年度の決算日までに保険金の支払いが間に合わなくなってしまうことがあります。


そのような場合は、法人保険の保険金支払い通知を受けた日に収益計上をすることができるのです。

もしも決算直前で役員が死亡した場合の収益計上時期は?

決算直前で役員が死亡してしまい、死亡保険金の受取りが決算期をまたいでしまった場合、収益計上時期はどうなるのでしょうか?


役員が死亡すると、死亡退職扱いとなり、法人保険の死亡保険金は死亡退職金として損金算入することができます。


役員の退職金の支給額や支給時期は株主総会で決めるため、決算期前に株主総会を開く必要があります。


しかし、決算直前で役員が死亡すると株主総会の準備が間に合わなくなってしまい、法人保険の死亡保険金を損金算入できなくなってしまいます。


法人保険の死亡保険金を一度「仮受金」として計上し、退職金を支払った翌期に収益計上する方法は税法上認められていません。


そのため、役員が死亡すると死亡退職扱いとなるため、未払金を計上することが認められています。


未払金を計上することで、後で未払い分を遺族に支払うことが可能になります。


ただし、役員が退職後も役職を変えて会社に残る場合は未払金を計上することができないので気をつけましょう。 

法人保険の解約返戻金を受け取った場合の計上時期

これまでは法人保険の死亡保険金の収益計上時期について解説してきましたが、解約返戻金の収益計上時期はどうなるのでしょうか?


法人保険では、死亡などの際に保険金を受け取れますが、それ以外にも解約した場合に解約返戻金を受け取ることができます。


解約返戻金の収益計上時期について、法律の明確な規定はなく、一般的に収益計上時期として認識されるのは以下の3つになります。


  1. 解約請求書を保険会社に提出した日
  2. 請求書を受けた保険会社が、解約返戻金の振込通知をした日
  3. 解約返戻金の着金日


3つのうち、国税庁の見解としては「請求書を受けた保険会社が、解約返戻金の振込通知をした日」となっています。


ただし、実際には解約返戻金が着金した後に保険会社から通知を受けることになります。


もし着金と通知が決算日をまたいでしまった場合は、所轄の税務署に相談しましょう。 

まとめ:法人保険の死亡保険金・解約返戻金の収益計上時期

法人保険の死亡保険金・解約返戻金の収益計上時期について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 法人保険の死亡保険金の収益計上時期は被保険者が死亡した日
  • 特別な事情がある場合は、収益計上時期は保険会社から通知を受けた日にもできる
  • 決算直前で被保険者が死亡した場合は、死亡退職扱いとなり未払金を計上できる
  • 法人保険の解約返戻金を受け取った場合の収益計上時期は保険会社から通知を受けた日

でした。


法人保険は経営者や役員の死亡や病気などに備えて加入しているものですが、いざ死亡してしまった場合は慌ててしまうものです。


特に、株主総会は一般的な会社であれば5月から6月に集中しているので、決算期直前に死亡すると間に合わなくなってしまいます。


そのようなときは未払金の支払いの他に、臨時株主総会を開くという方法もあるので、事前にシミュレーションをしておくといいでしょう。


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