事業承継問題に対する解決策をわかりやすく解説!中小企業経営者必見!!

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事業承継問題は中小企業にとって、会社経営を継続していくうえで重要な問題です。事業承継パターンは複数あり、自社にあった解決法を知り事前準備することが大切です。この記事では事業承継問題の相談先や解決法をくわしく解説します。ぜひ最後までお読みください。

事業承継に関する主な大きな問題は3パターン!


事業承継は会社にとって重要なイベントのひとつです。


しかし、事業承継の対策を十分にできていないことでトラブルにつながるケースも多いです。問題点をしっかり把握し、対策を打つことが必要不可欠となります。


ここでは事業承継のモデルケースを紹介し、課題と対策をわかりやすく解説していきます。


事業承継は、さまざまな手続きやたくさんの人が関わるイベントなので、知識なしで乗り越えることは難しいです。


しっかり学ぶことでスムーズな事業承継を目指していきましょう。


事業承継に関する大きな問題は主に3つのパターンがあげられます。

  1. 贈与税や相続税に関する問題
  2. 経営権に関する問題
  3. 資金繰りに関する問題

では、1つずつ確認していきましょう。

①贈与税や相続税に関する問題

事業承継の「税金」でおこる問題のモデルケースです。


例)株式を譲渡したいが、贈与税がどれくらいかかるか不安である

【内容】

  • 旅行店を複数経営するA社の社長が、数年以内では事業承継を望んでいる
  • 数年をかけて、自社の株式を後継者(長男)へ譲ることを検討している
  • 事業が好調であり生前贈与した場合、自社の株式評価が高くなり贈与税が多くかかるのではないか

【問題点】

中小企業の自社株式の評価については、基本的に「純資産価額方式」で評価します。
  • 会社が好調 = 純資産増える = 株式評価高くなる
  • 会社が不調 = 純資産減る  = 株式評価低くなる
A社の場合は、会社が好調なので純資産が増えていき、結果的に株式評価が高くなります。

生前贈与する場合ですが毎年110万円までは基礎控除(税金から引いて良い仕組み)があります。110万円以上超える場合は、相続税より高い贈与税の計算がされます。

【対応策】

負担の少ない税金対策を利用する。
  1. 相続時精算課税
  2. 事業承継税制
相続時精算課税は、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子どもや孫に対して利用できる贈与税の制度です。

贈与時に特別控除として2,500万円を差し引くことができ、相続が発生したときに贈与で支払った分の税金をあわせて、計算することができます。

また事業承継税制は、後継者に事業を引継ぐときに一定の要件を満たすことで、税金を猶予してもらえたり、免除される制度です。

さらに事業承継税制は2018年改正により、事業承継にかかる負担を大幅に減らしているのでスムーズな事業承継には必須の知識です。

②経営権に関する問題

次は「経営権」に関する問題のモデルケースです。


例)事業を引継ぐ後継者以外の遺留分で自社株式の分散のリスクがある

【内容】

  • 飲食店を営むB社の社長は、後継者(次男)に会社を引継ぐことを計画
  • 社長の個人で所有している資産は、自社の株式以外はほとんどない状況
  • 株式すべてを後継者(次男)に引継ぎたいが、他の相続人が遺留分を請求してくる可能性がある(自社株式が分散すると、経営権が分散するため)

【問題点】

法律上では後継者(次男)以外も財産を相続する権利があるということです。遺留分とは、相続人が「法律で決められた一定の割合を相続できる権利」のことを言います。

そのため遺留分を請求されると、自社の株式が分散してしまうリスクがあるのです。

【対応策】

遺留分を確保できないときは、「経営権の分離」を考えます。

事業承継をスムーズに行うためには、「事前に他の相続人と財産の相続方法を決めておくこと」が重要です。後継者には自社株式を引継ぐ、他の相続人へは不動産や他資産を準備するなどです。

しかし、遺留分を確保できない場合は「種類株式」を活用する方法があります。
  • 後継者へは普通株式   = 議決権がある = 経営権がある
  • 他相続人には議決権株式 = 議決権がない = 経営権がない
株式を分けることで、後継者が安定した経営を続けていく事ができます。

また経営承継円滑化法に基づく、遺留分に関する民法の特例などを利用する方法もあります。事前に他の相続人と遺留分について話し合うことで相続紛争を未然に防止することができます。

③資金繰りに関する問題

最後は「資金繰り(お金のやりくり)」に関する問題です。


例)自社の株式を引継いだ後の相続税の支払いが困難である

【内容】

  • お菓子の製造業をC社の社長は、長女へ会社を引継ぐことを計画
  • 社長の資産は、C社の株式以外にはほとんどない
  • 長女も資産としては乏しいため、相続税の支払いが難しい状況

【問題点】

ここでの問題は、事業承継するときに資金が不足している点です。理由としては、自社株式は換金性が低く、他の流動性の高い資産が無ければ納税資金が準備できないからです。

さらに自社株式を売却し、資金を確保しようとすると経営権が分散してしまうリスクがあります。

【対応策】

事業承継税制を利用し、生命保険による資金確保も考える必要があります。

自社株式のみの承継では、納税資金が準備できないという「不安のタネ」が尽きないと思います。そんな時は事業承継税制を利用しましょう。

一定の要件を満たすことで、納税を待ってもらえたり免除を受けることができます。その結果、安定した経営を行うことができます。

しかし、納税猶予ができたとしても資金の確保がままならない、そんな状況を回避するためには生命保険の活用を検討しましょう。
  • 生命保険の受け取りを後継者にしておく(納税資金に対応できる)
  • 生命保険活用で、他の相続人分を準備しておくことで遺留分請求を回避できる

さらに経営承継円滑化法に基づき認定を受ければ、株式や事業用資産を買取るために事業承継における金融支援(融資・保証制度)を受けることができます。

中小企業でよくある事業承継で発生する問題点


中小企業が事業承継をする際に理解しておく問題がいくつかあります。


問題点をしっかり理解することがスムーズな事業承継をする上で必要です。


問題点には後継者不足、意思決定者がいなくて事業承継がうまく進まない、事業承継問題をどこに相談したら良いかわからないなどがあります。


近年いちばんの問題は「経営者の高齢化」です。


経営者が高齢になる積極的に事業承継を進めるという選択肢ができない可能性が大きくなります。


そのため、経営者にとって一刻もはやく次世代への事業承継準備を進めることが課題です。


ではつぎに、事業承継で発生する5つの問題点を詳しく見ていきましょう。

①適性のある後継者の不在・育成不足

事業承継での問題として、最初にとりあげられるのがやはり後継者不足です。


親族内に後継者がいる場合でも、適任がどうか、承継するための育成が間に合っていないという問題もあります。


さらに親族内に後継者がいない場合、外部の会社から適任者をつれてくる必要もあります。


経営者にとって適正のある後継者を見つけ、自らが退任するまでに育成を完了していることが、事業承継において大切なことです。


後継者の育成にかかる期間は5年~10年と言われています。


経営者は退任時期をしっかり見据え、スキルや労務管理・マネジメント全般を伝承していくことが重要です。


もし仮に適正がない後継者や育成不足だった場合

  • 不安定な経営により事業が傾く恐れがある
  • 従業員から不満の声が出て後継者と対立する
などの問題に発展して、スムーズな事業承継が難しくなります。

②創業者不在による意思決定の遅さ

中小企業では強いリーダーシップを発揮する経営者が、会社の意思決定の多くを担っているケースが多く見られます。


そのため社長の決定に従っていた従業員には、なかなか自発的に発言したり行動できないという問題が考えられます。


もし自立した社員が少ない企業で、事業承継時に経営者が倒れてしまった場合、判断できる従業員がいないことにより意思決定が遅くなる恐れがあります。


事業承継は数年単位で行うため、意思決定の遅れは会社の存続に関わってきます。


もし、社長に決定権が多く偏っている場合にはスムーズな事業承継を行うために、日頃の事業運営での意思決定プロセスの見直しを検討する必要があります。

③事業承継に関する相談者がいない

事業承継においては経験や知識が豊富な中小企業は少ないと思います。


そのため事業承継における手続きを行うときに相談者を探しますが、事業所エリアによっては相談者が見つからないという悩みがあります。


なかには計画をしっかり立てて事業承継を行うために、コンサルタントへ依頼する企業もいます。


一方で、知識のない経営者の中には

  • なんとかなると思った。
  • 相談の仕方がわからない。
  • 相談しても解決するとは思えなかった。
という理由から事業承継の相談を長期間放置することも多いです。

その場合、いざ事業承継となった際さまざまな問題に発展して、なくなく廃業を選択する事業者もいます。

そのため、相談者を事前に探しておくことが大切です。

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事業承継問題などにも対応しているので相談者を探しましょう。

④従業員と後継者の対立

従業員と後継者が対立するという問題もあげられます。


親族へ事業を引継ぐパターンでは、経営者の年齢がグッと若くなります。


そのため、従業員とのジェネレーションギャップ(認識のズレ)が生まれやすい環境ができます。


例えば、前経営者とともにに創業時から会社を引っ張ってきた社員が50代だとすると、顧客もよく知っていて「今までの会社経営方法」や「顧客との関係性」を大切にしています。


その中で、後継者は会社の継続・発展させるために、新しい企画や経営手法を取り入れ事業を進めていきます。


その際に「世代間による認識のズレ」やこれまでの取り組みとの違いにより従業員から不満があがったりします。


仮に後継者の考えが合理的だとしても、世代間の認識のズレを放置しておくと従業員との対立が大きくなる可能性があり、会社経営にとっては申告な問題となります。

⑤相続で慰留分を主張される

親族内での事業承継において相続する際に遺留分を主張されるリスクもある。


会社を後継者(長男)に承継する場合、株式をすべて引継ぎたい場合でも、他の相続人は遺留分を主張することができます。


遺留分とは、「相続人に認められる最低限の権利」のことです。


事業承継するとき後継者に遺言などで、株式や事業用資産を承継することをまとめていたとしても、複数の相続人がいる場合は遺留分を請求できます。


そのため、事業承継時点において相続の取り決めを何もしていない場合、相続トラブルが起きる可能性が高くなります。


その結果、会社が傾くなどのリスクもあるため注意が必要です。

事業承継問題の相談をするべき相手は5種類

事業承継は複雑な問題や、わかりづらい手続きが多いので経営者のみで解決するのはとても難しいものです。


そのため事業承継における相談先を理解しておくことも大切です。


事業承継の相談先には、さまざまな選択肢があります。


複数に相談してみて、自社の事業承継にあった方法を取り入れて事業承継をスムーズに進めることを検討しましょう。


これから、主な5つの相談先を詳しく見ていきます。

①法人保険の専門家

事業承継において、他相続人から遺留分の請求をされた場合の対応策として、法人保険を活用する方法があります。


法人保険を活用することで、他相続人へのスムーズな資金の受け渡し、後継者への集中的な株式の引き継ぎが行えます。


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②弁護士や税理士

弁護士や税理士も事業承継を進めるうえでの大切な相談先となります。


弁護士は法的な問題全般を相談できます。相続手続きの資料や遺言状を作成する場合などです。


第三者への引き継ぎ(M&A等)の場合は、担当弁護士がM&Aの知識が少ないときには、他の専門家が必要となります。


担当弁護士の業務がどの範囲まで可能かを前もって確認しましょう。


税理士には事業承継によって発生する相続税・贈与税の相談ができます。


事業承継による税金は会社の株式や事業用資産も関わってくるため、金額が大きくなる場合が多くあります。


会社の経営状況を安定させるためにも専門家への相談は大切です。

③中小企業庁などの公的機関

事業承継問題が深刻化する中で、公的機関である中小企業庁もスムーズな解決を促すためにいくつか相談窓口を設けています。

公的機関名称内容
事業引継ぎ相談窓口・全国各地に設定されている。
・事業承継に関わる情報提供やアドバイスをしてくれる
事業引継ぎ支援センター・専門性のあるアドバイスを受けられる。
・窓口は大都市などが中心

上記の2サービスは無料で利用できるので、事業承継相談の入り口として積極的に活用すべきです。


しかし、M&Aなどの実績は民間業者に追いついていない状況です。


さらに事業引継相談窓口については、初歩的な相談をうけるための窓口であるためM&Aのすべてを解決するには不足しています。


なので、別にM&Aコンサルタントなど専門家の力が必要です。

④金融機関

金融機関なども近年は事業承継サービスを展開しており、相談先の1つです。


日本銀行も、事業承継サービスとして「事業承継5カ年計画」を進め、事業承継のネットワークを広げる努力を2017年より行っています。


金融機関は会社の資金繰りなどやさまざまなサービスを利用する中で、信頼できる相談先と言えると思います。


しかし金融機関は「事業承継の専門家」という立場としては弱いので、相談したあとに本来の事業承継の専門家を紹介されるという2度手間になってしまう可能性が大きいです。


さらに日頃の取引において、十分な関係性を作れていない場合は事業承継の相談をするのも難しい状況だと思います。


そのため事業承継において、優先順位は低い相談先となります。

⑤M&Aコンサルタント会社

最後はM&Aコンサルタント会社への相談です。


事業承継において自社以外の第三者が関わる場合には、M&Aコンサルタント会社の助けが必要となります。


M&Aコンサルタント会社とは、どんなことをするのか?


M&Aコンサルタント会社は「売りたい会社」と「買いたい会社」の間に入って、スムーズに事業承継が行われるようにサポートする会社です。


つぎに利用するメリットとデメリットを確認しましょう。

【メリット】

  • M&Aの実績が多く、信頼がおける
  • 専門的なノウハウがあり、独自のネットワークができている
  • 弁護士や税理士とも連携できる体制が取られている
  • 事業承継を行うにあたり具体的な進め方を相談できる

【デメリット】

  • 料金体系が業者によりバラバラな点
  • 事前確認しないと会社によっては、想定より高額になる可能性あり

事業承継問題は廃業になる要因の1つにもなる!


後継者が見つからずに、事業承継がうまくいかない場合は「廃業」という選択肢をとらざるを得ない状況となります。


廃業のデメリットは、今後の生活に不安を与えるという点が大きいです。


中小企業庁が行った「中小企業における事業承継の調査」の中でのアンケート結果は以下のとおりです。(2014年に野村総合研究所へ委託し実施したもの)

  1. 廃業した後に生活するための資金を準備することへの不安(50%以上)
  2. 廃業をすると考えたときのコスト面への不安(20%以上)


廃業の与える影響は、非常にさまざまな分野におよびます。


廃業による従業員の解雇は、従業員のみならず家族の生活に影響がおよびます。


また会社清算により、株式や事業用資産のみで負債などを清算できない場合、社長個人資産の売却なども必要となります。


その結果、引退後の生活への不安が残るという問題へつながります。


取引先との取引解消による影響も大きな問題の1つです。


「廃業」は自社や経営者を含む親族だけでなく、従業員、取引先、株主などに社会的に大きな影響を与えるため、事業承継の問題を考えるうえで理解する大切な項目と言えます。

事業承継の基礎知識!主な事業承継先は3つ


事業承継を行う上で大切なのが承継者は誰になるのか、ということです。


基礎知識ではありますが、理解することが円滑な事業承継をする上での第1歩となります。


事業承継先は、大きく分けて3つあります。

  1. 親族承継(家族への継承)
  2. 社内承継(会社の役員や従業員への継承)
  3. 第三者への承継(M&Aによるもの)
それぞれの方法により、事業承継を行ううえでの対応策や手続きが大きく異なります。

自社の事業承継では、どういった取組みを行う必要があるのか検討するために、しっかり理解しましょう。

①親族

1点目は親族への承継です。


日本では古くから、親(現代表)から子(後継者)へ承継する方式を取ってきており、事業承継においては代表的な形です。


しかし現代では職業選択の多様性を背景に、親族への承継は昔とくらべると減ってきています。


また、親族承継においては自社株式の評価額が高い場合には、多くの税金負担が課題になるケースがあります。


経営者のなかには、借入れに関する代表者保証(会社の借入れの連帯保証人)の問題など、親族には負担はかけたくないと願う経営者もいます。


【親族承継した際「スムーズな経営を行う」ために必要なこと】

  • 後継者がオーナーや従業員とともに、ノウハウなどを共有する
  • これまでの取引先と友好関係を続けていけるよう信頼を得ておく
  • 事業承継直後から、後継者が力を発揮できる環境を整えておく
事業承継には長い期間がかかると言われます。基本的には5年~10年必要であり、長期的かつ、計画的な事業承継の取組みが必要です。

②社内の従業員や役員

2点目は自社の従業員や役員への承継です。

比較的スムーズな社内承継

社内の従業員や役員へ承継を行う場合は、親族内へ承継するよりも比較的スムーズなケースが多いです。


なぜなら、経営者とともに、役員や従業員が取引先との関係性を長年にわたり築いているからです。


さらに、日々行う業務や社会規則なども十分把握していることも理由としてあげられます。

社内承継の課題

社内承継(従業員や役員)の課題としては、従業員が経営者から株式を引き取るための資金を準備することがあげられます。


親族内承継であれば相続となりますが、従業員(社内承継)の場合は株式を買いとる必要があるためです。


従業員が十分な資金を持ち合わせていることは多くないため、金融機関での借入が必要になるケースもあります。


さらに、個人保証(会社の借入れの連帯保証人)や不動産含む担保なども引継ぐことになるため、承継する従業員に対しては大きな決断が求められます。

③M&Aによる第三者

3点目は、M&Aのよる第三者への承継という方法です。


M&Aとは、今ある会社の一部や全部について、譲ったり、譲り受けたりする手続きをして、いくつかあった会社が1つになることを言います。  


M&Aと聞くと、大企業の吸収・合併などでのニュースをよく耳にしますが、実は中小企業においても多く取入れる機会が増えています。


M&Aが中小企業で増えている

働き方の多様性に伴い、一般的であった父から息子へ等の親族内継承が減少傾向にあることがあげられます。


また、事業承継のかかる事業税制や補助金などが以前より整備されてきており、M&Aを利用しやすい環境につながっていると考えられます。


M&Aは廃業をさける手段ともなる

さらに従業員や役員の中に、適格な人員がいないときは廃業の可能性も出てきます。


その場合、事業承継の選択肢の1つとしてM&Aによる第三者への承継があります。


事業を存続させるために、M&Aは経営戦略に組み込むべき重要項目と言えるでしょう。


中小企業が事業承継問題について取り組んでおくべきこと

事業承継の問題点やどのような種類があるかについてはおおまかに理解できたと思います。


では具体的に事業承継について取り組むときは何をすればいいの?


そんな疑問を解決するために、実際に中小企業が事業承継するときに取り組んでおくべきこと4つについて解説します。 

  1. 事業承継パターンの把握
  2. 専門家の活用
  3. 事業承継計画をつくっておく
  4. 今の経営状態をわかるようにしておく
事業承継にはさまざまな手続きや多くの人の助けが必要となります。

まずは事業承継の準備が必要であることを認識するのが重要です。

なぜなら、事業承継はおよそ5年~10年かかると言われるからです。

事前準備がなければ、事業承継がうまくいかず今後の経営状況が傾くなどの大きな影響が考えられるので注意が必要です。

①様々な事業承継パターンを想定しておく

まず認識すべきは、複数の事業承継パターンを想定しておくことです。


想定し自社にあった事業承継パターンでの準備をすることで、実際に事業承継が起きたとき手順通りに進めることができます。


主な事業承継パターン

承継パターン引継ぐ人
親族承継親族
社内承継会社の役員や従業員
M&A会社以外の第三者
事業承継パターンは大きくわけて3つです。

まずは、家族内で引継ぐ親族承継です。古くから一般的でしたが近年では減少傾向にあります。

つぎに社内承継で、役員や従業員へ引継ぎます。

承継者である従業員は、長年会社を共にしてきているためスムーズな引継ぎができる一方で、株式を買取る際の資金確保などの課題もあります。

最後は、近年需要が増えてきているM&Aです。後継者不足に悩む経営者が多かったですが、中小企業庁の経営承継円滑化法の支援などで利用しやすい環境が整ってきています。

主な事業承継の中身

事業承継の中身引継ぐもの
事業経営権
財産株式、事業用資産
無形財産ノウハウ、ブランド、特許

事業を引継ぐため時間がかかることが想定されます。やはり十分な時間を確保して事前準備を行うことが大切です。

②専門家を活用して事業承継の準備を進めておく

事業承継では、内容に応じた専門家を活用して準備を進めておくことがおすすめです。


贈与や相続が発生した際には、弁護士や税理士の助けが必要となります。


なぜなら、煩雑な手続きや細かい法律が絡むからです。


以下が手続きの一部ですが、この他にも官公庁などへの手続きを代行して行う業務もあります。

  • 弁護士業務(贈与・相続に関わる書類作成・遺言状の作成など)
  • 税理士業務(贈与税・相続税の計算や書類作成)

さらに、親族内や会社に後継者が見つからない場合には、別の対応が必要です。


後継者がいない場合は、M&A(第三者への事業承継)が必要となるため、M&Aコンサルタントへの相談を行います。


M&Aコンサルタントへ相談するメリットとしては、

  • 実績が豊富で、安心して任せることができる
  • 独自のネットワークがあり、マッチング先を探すことができる

といったことがあげられます。


M&Aは、親族承継や社内承継において後継者が見つからない場合の重要な選択肢となります。


第三者への事業承継においては、「会社の理念」や「従業員が継続的に働けるか」、「事業の発展性はあるか」などを十分にすり合わせることが大切です。


そのためできるだけ早めにM&Aコンサルタントへ相談することがおすすめです。

③従業員や相続人を考慮した事業承継計画を立てておく

自社の事業承継計画作成にあたり従業員や相続人を考慮にいれておく必要があります。


事業承継は親族承継や社内承継、M&A(第三者への承継)があります。


どの承継パターンにおいても、事業承継計画が基礎として必要になります。


親族継承においても、

  • 事業承継の意思があるかしっかり確認する(金融機関からの借入れなどで代表者は連帯保証人に入ってる場合も多いため)
  • 取引先との関係性の継続
  • 後継者の教育(マネジメント全般)
  • 従業員との認識の共有(現状把握と改善点などの目線あわせ)
が求められます。

社内承継(役員や従業員)においては、
  • 後継者の選抜(他の従業員が納得するリーダーの決定が必要)
  • 経営者からの株式の買取り資金の調達(後継者の個人資産によっては借入れも必要となる)
  • 取引先や金融機関との連携
が必要となります。

事業承継計画は、会社が存続していくために必要不可欠なものです。

会社のビジョンや今後の売上計画や現状の課題などを棚卸しします。

さらに、従業員や相続人がスムーズに承継できるように具体的な施策を決めることが重要となります。

④経営状態を明白にしておく

事業承継問題について取り組んでおくべきことの1つに経営状態を明白にしておくことが挙げられます。  


もしも会社の状況把握ができていない場合は、事業承継するときに明確な判断ができずに手続きが遅くなる可能性があります。


会社の判断の遅れは事業運営にとって大きなマイナスとなります。


会社の損失を回避するためにも経営状態を明白にすることが求められます。


以下のように自社のついての経営状況・経営課題などをリストアップしていきましょう。

  • 会社の強み・弱み
  • 主力商品は何か?
  • 現在の市場シェアはどの程度か?
  • これから市場はどのように推移するか?
  • 会社の運営方法に問題点はないか?
  • 資金繰りについて問題はないか?
  • 人材育成やマニュアル整備は適当か?

あわせて会社の貸借対照表や損益計算書も把握します。


全体を通して、会社はどのような状況なのかを考えます。


会社の状況を理解することで、事業承継のスタートラインに立ったと言えます。

中小企業が事業承継について知っておくべきポイント


事業承継を行っていくうえで、中小企業が押さえておきたい重要なポイントがあるので確認していきます。

  1. 事業承継に利用できる公的制度を把握しておく
  2. 事業承継税制を理解しておく
  3. 法人保険を活用することで事業承継をスムーズに行う


以上の3つが重要ポイントです。


内容について理解することで事業承継の手続きをするときの強い味方になってくれます。


経営者が1代ですばらしい会社にした後に、後継者への承継が問題で事業運営がうまくいかなくなった事例も多数あります。


それほど中小企業にとって、事業承継は重要なイベントです。


なので重要ポイントをおさえ、円滑な事業承継に備えましょう。

①事業承継に利用できる公的制度を把握しておく

事業承継に利用できる「公的制度」を把握しておくことも大切です。


事業承継問題が深刻化する中で、公的機関である中小企業庁もスムーズな解決を促すためにいくつか相談窓口を設けています。 


  • 事業引継ぎ相談窓口(全国各地に設定されていて、事業承継に関わる情報提供やアドバイスをしてくれる) 
  • 事業引継ぎ支援センター(専門性のあるアドバイスを受けられる。窓口は大都市などが中心)

上記の2サービスは無料で利用できるので、事業承継相談の入り口として積極的に活用すべきです。 


しかし、M&Aなどの実績は民間業者に追いついていない状況です。 


さらに事業引継相談窓口については、初歩的な相談をうけるための窓口であるためM&Aのすべてを解決するには不足しているため、別にM&Aコンサルタントなどの専門家の力が必要です。

②事業承継税制を理解しておく

事業承継税制をしっかり理解するのも重要です。


事業承継税制を利用するとどうなるか

贈与や相続が行われる際に、一定の要件を満たして認定を得ることで、税金支払い(贈与税・相続税)を猶予してもらえたり、免除される場合があります。


税制支援での優遇される条件は以下のとおりです。

  •  法人は「非上場株式会社の自社株式」を贈与、相続するときに優遇される  
  • 個人事業者は「事業用資産」を贈与、相続するときに優遇される 

 平成30年度の税制改正では、中小企業の背中をつよく押すために事業承継税制が大きく改正されています。


 大きな改正点 

10年間限定(期限:2027年12月31日)で優遇幅が大きくなった点です。 


  • 納税猶予する非上場株式などの制限を廃止(総株式数の3分の2までという決まりを廃止) 
  • 納税猶予する割合の引上げ(80%から100%へと改定) 

「認定を受けること = 優遇された税金が適用されること」になるので今後、事業継続するうえで大きな影響を受けます。

③事業承継で法人保険を活用する

事業承継において、他相続人から遺留分の請求をされた場合の対応策として、法人保険を活用する方法があります。


法人保険を活用することで、他相続人へのスムーズな資金の受け渡し、後継者への集中的な株式の引き継ぎが行えます。 


事業承継における相続紛争を未然に防ぐ1つの方法として、法人保険の活用は有効です。


日本には様々な法人保険サービスがありますが、おすすめなのはマネーキャリアの無料法人保険相談サービスです。 


 マネーキャリアは、専門性の高い相談員と提携している日本最大級の法人保険相談サービスで、相談員の質が非常に高いと有名です。 



相談の予約はすべてLINE上で完結し、相談もZOOMなどを用いたオンラインの相談が可能なので、相談しにくい返済のことも気軽に相談可能です(もちろん対面も可能)。 


相談料は何回でも無料で顧客満足度93%の高水準を誇るマネーキャリアの無料FP相談サービスが気になる場合は下記のボタンから詳細を確認しましょう。

まとめ:事業承継問題には事前に十分な対策が必要!

事業承継問題について十分に理解を深められたのではないでしょうか?


今回の記事のまとめとしては、事業承継問題は長い期間が必要なので、とにかく事前準備が大切であるということです。


中小企業でおこる事業承継問題は3パターンです。


後継者不足や代表者不在で判断が遅くなる、事業承継を相談できる相手が見つからないことです。


事業承継問題を解決するために、相談先を知っていることが大切です。

  1. 法人保険の専門家
  2. 弁護士や税理士
  3. 中小企業庁などの公的機関
  4. 金融機関
  5. M&Aコンサルタント

そして、自社の承継パターンを把握しておきます。

「親族承継」か「社内承継」、「M&A(第三者への承継)」の大きくわけて3つです。


事業承継の流れをまとめると

  1. 現状把握をする
  2. 相談先を決める
  3. 事前準備することの決定
  4. 相談しながら事業承継を進めていく

となります。


近年は、親族内承継も減ってきています。逆に中小企業においてもM&Aによる事業承継が盛んに行われています。


自社の事業承継をスムーズに行うためにも、事業承継問題についてしっかり理解したうえで、事前準備をしていきましょう。

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