
更新日:2021/05/17
普遍的加入とはなに?法人保険の福利厚生プランにおいて重要になる
普遍的加入とは法人保険の福利厚生プランにおいて重要です。なぜなら法人保険の福利厚生プランで損金算入を税務署に認めてもらうには、差別なく全員加入する普遍的加入が必要になります。しかしイレギュラーな場合はどうなるのでしょうか?普遍的加入に関して徹底的に解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
普遍的加入とは?
従業員や役員に支払う退職金や死亡保険金の準備として、法人保険の福利厚生プランへの加入を考えている方も多いと思います。
しかし、福利厚生プランに加入すれば、必ず損金算入が可能になるわけではないとご存知でしたか?
法人が加入する養老保険の場合、満期保険金を従業員が受け取ることになりますが、役員や従業員が普遍的加入をしていないと損金に算入されず、本人に税金がかかってしまいます。
そのため、損金算入において重要になる普遍的加入をしっかりと理解することが重要です。
そこで今回は、法人保険の普遍的加入について
- そもそも普遍的加入とは何か
- 法人保険の福利厚生プランでの普遍的加入の重要性
- 普遍的加入について注意すべき3つのポイント
- 税務署に指摘されないための方法
以上のポイントを解説します。
この記事を読んでいただければ、法人保険の福利厚生プランに加入する上で注意すべき点を知ることに役立つと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
法人保険の福利厚生プランにおいて普遍的加入はとても重要
法人保険の福利厚生プランに加入しようとするときは、普遍的加入について注意しておくことが重要だと説明しました。
普遍的加入とは会社の全ての従業員や役員が加入することを指しており、普遍的加入がされていないと損金算入されなくなってしまうと規定されています。
しかし、法人保険の福利厚生プランでは、必ずしも「会社に在籍する全ての従業員と役員の加入」がないと普遍的加入として認められないわけではありません。
では、どのような場合に普遍的加入として認められ、どのような場合に普遍的加入として認められないのでしょうか?
次から普遍的加入について詳しく解説していきます。
普遍的加入とは?
法人保険の普遍的加入とは、従業員や役員全員が加入するということです。
とはいえ、通達によれば「加入資格の有無、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により普遍的に設けられた格差であると認められるときは当該役員または従業員に経済的利益はないものとする。」とされています。
これは、例えば勤続5年以上で加入できる、一般社員は保険金300万円で役職者は800万円といった格差があったとしても普遍的加入として認められるということです。
普遍的加入として認められる場合と認められない場合についてまとめると以下のようになります。
普遍的加入として認められる場合
- 従業員と役員が全員加入するもの
- 一部の従業員や役員が加入しており、合理的な基準により普遍的に設けられた格差であるもの
普遍的加入として認められない場合
- 従業員や役員全員が加入しておらず、かつそれが合理的な基準により設けられた格差でないもの
なぜ法人保険の福利厚生プラン加入時に重要になるのか?
法人の養老保険の福利厚生プランは、従業員の死亡保険金の受取人を従業員の家族、満期保険金の受け取りを会社にするものです。
このとき、会社の従業員や役員全員に福利厚生が及んでいないと普遍的加入として認められません。
それでは、福利厚生費として一般的に認められているものについてご説明します。
福利厚生費として認められているもの
- 従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
- 飲食等のために要する費用であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
- 広告宣伝費
- 会議費
- 取材費用
運動会や演芸会に従業員や役員全員が参加するチャンスが与えられていなければ、福利厚生費として認められません。
同じように法人保険の福利厚生プランでも、従業員や役員全員が加入していなければ普遍的加入として認められません。
普遍的加入として認められることで、従業員や役員の家族が受け取る死亡保険金の1/2を損金算入することができます。
そのため、法人保険の普遍的加入は受取人に課税される税金を低く抑えるために重要であると言えます。
この場合は損金算入できる?普遍的加入で注意すべき3つの場合
法人保険における福利厚生プランの普遍的加入が認められる場合について解説をしてきました。
しかし、会社が従業員や役員全員を法人保険の福利厚生プランに加入させようとしたとしても、会社の意思に関係ない何らかの理由で従業員が保険に加入できない場合も考えられます。
従業員が加入できない場合として、以下の3つが考えられます。
- 従業員の限度額のせいで加入できない場合
- 従業員の意思で法人保険の福利厚生プランに加入できない場合
- 従業員の病気で法人保険の福利厚生プランに加入できない場合
次から、この3つの場合には損金算入できるのかどうかについて詳しく解説していきます。
1.従業員の限度額のせいで加入できない場合
税法では、保険料の1/2を福利厚生費として損金算入するための要件として、生命保険等への普遍的加入が定められています。
ここで注意したいのは、生命保険には1人あたりにかけられる金額には限度額があるということです。
会社が、従業員や役員全員を保険会社Aの福利厚生プランに加入させようとしたとき、従業員の1人がすでに保険会社Aの生命保険に加入しており、その限度額に達していたという場合はどうなるでしょうか。
その場合は、その従業員のみ別の保険会社Bに加入させることで損金算入が認められます。
2.従業員の意思で法人保険の福利厚生プランに加入できない場合
従業員が法人保険の福利厚生プランに加入することを拒否した場合はどうなるでしょうか。
特定の従業員のみを正当な理由もないのに福利厚生プランから外せば、普遍的加入としては認められないので、損金算入されなくなってしまいます。
保険に加入するかどうかは個人の自由なので、会社としては加入を強制することはできません。
しかし、そのような場合でも、本人が保険への加入を拒否したことを税務署が確認できる書類等があれば、損金算入が認められます。
3.従業員の病気で法人保険の福利厚生プランに加入できない場合
福利厚生費として損金算入するには従業員を生命保険に加入させる必要がありますが、もし従業員の1人に重い病気などが見つかれば、保険には加入できなくなってしまいます。
従業員の病気で法人保険の福利厚生プランに加入できないときは、損金算入されないのでしょうか?
この場合は、1人の従業員が病気で加入できないというだけで普遍的加入が認められないならば、大勢の従業員を抱える大会社は普遍的加入が難しくなるので、不合理だと言えます。
そこで、従業員が病気で加入できない場合でも、そのことが確認できる書類を税務署に提出すれば損金算入は認められるのです。
社内規定を作って税務署に指摘されないようにする
普遍的加入で注意すべき3つのポイントの中で、税務署に提出する書類を作成することで損金算入が認められると解説してきました。
これらの3つの場合は、どれも従業員側の事情であるため会社には責任がなく、仕方のない場合であるとはいえますが、税務署に対して説明できなければ普遍的加入ではないと指摘されてしまいます。
そこで、従業員側にこのような事情が生じた時のことを想定した社内規定をあらかじめ作っておくことで、税務調査のときに普遍的加入がなされていないと指摘されることを回避しやすくすることができます。
また、本人が保険に加入したいと意思表示した場合や、病気が治ったなどで条件が変わったときは速やかに保険に加入させる必要があります。
まとめ:普遍的加入は損金算入を否認されないために重要
- 法人保険の福利厚生プランが損金算入されるには従業員・役員全員の加入が必要
- 合理的基準により普遍的に設けられた格差であると認められるときは全員加入の必要はない
- 従業員側の事情によって加入できない時であれば損金算入可能
- 従業員側に事情がある時は税務調査のために書類を作ることが重要
でした。
法人保険の普遍的加入といっても、会社に籍を置いている全従業員を加入させないといけないわけではないので、細かい例外規定について頭に入れておくようにしましょう。
従業員側の事情で保険に加入できないときでも税務署に説明できる書類などが整っていれば普遍的加入とみなされるので、納税申告前にしっかりと準備をしておきましょう。
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