
更新日:2023/09/19
法人損害保険の経理処理を解説!保険金受取人で経理処理が変わる!

法人損害保険に加入している企業も多いのではないでしょうか。法人損害保険は何かを損害した場合や自分自身の所有物が損害を受けたことを補償する法人保険です。法人損害保険の経理処理は保険金受取人にとって異なります。今回は経理処理、損金算入と資産計上について説明します。
内容をまとめると
- 法人の損害保険の保険金を受け取った際の経理処理は、保険金の受取人により変化する
- 積み立て型の法人損害保険の保険金の経理処理は満期返戻金と契約者配当金の全額が益金に算入される
- 一方、資産計上されていた積み立て保険金の累計額が損金算入される
- 税務上の法人保険料は損金算入と資産計上の2パターンがある
- 法人の損害保険の経理処理についての相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
法人損害保険の経理処理を徹底解説!
偶発的な事故や他人に損害を与えた際に備えて、法人契約で損害保険に加入している会社は少なくありません。
万が一の事態が生じた時に保険金を受け取ることができますが、保険金を受け取った際にどのような経理処理が行われるのかご存知ですか?
法人向けの損害保険は、保険金の受取人を誰にするかによって経理処理は異なるので、経理処理について理解しておかなければなりません。
そこで今回は法人損害保険の経理処理について
- 受取人ごとに異なる法人損害保険の経理処理
- 積み立て型の法人損害保険の経理処理
- 損金算入・資産計上のメリットとデメリット
- 法人契約している保険料の経理処理について
以上のポイントを解説します。
この記事を読んでいただければ、法人損害保険の経理処理を知ることで税制上のメリットとデメリットについて理解するのに役立つと思います。
ぜひ、最後までご覧ください。
法人損害保険の経理処理は保険金受取人によって変化
法人損害保険の経理処理は、以下の2つの場合によって異なります。
- 保険金の受取人が従業員・役員またはその遺族
- 保険金の受取人が法人
法人契約の損害保険なのに、なぜ役員や従業員、遺族といった個人が受け取る場合があるのかと疑問に思われるかもしれません。
これは、法人損害保険では、労災の入院や治療費、海外旅出張中の事故までカバーしてくれるからです。
では、保険金の受取人によって経理処理がどのように変わるのでしょうか?
具体的に解説していきます。
「保険金受取人:役員・従業員・遺族」の場合の経理処理
保険金受取人が「役員・従業員・遺族」の場合、被保険者が全従業員であることが必要である点に注意しましょう。
ここでは以下の場合について考えます。
- 保険料の支払い=法人
- 保険金の受取人=役員、従業員、その遺族
もし、被保険者が全従業員ではなく、特定の従業員のみだと福利厚生費として認められません。
福利厚生費として認められると、保険料は損金算入されます。
また、長期平準定期保険や逓増定期保険のように、前半6割と後半4割の期間で経理処理が異なる場合、保険料は期間の経過に応じて福利厚生費として損金算入されます。
保険会社から受け取った保険金は、被保険者である従業員や役員には課税されません。
また、保険金を「従業員・役員・その遺族」が受け取る場合、法人が経理処理を行う必要はありません。
「保険金受取人:法人」の場合の経理処理
保険金受取人が法人である場合、福利厚生費として認められるためには被保険者が全従業員である必要があります。
福利厚生費として認められるのは以下のような事例です。
- 社員旅行、忘年会、新年会などの社内行事
- 通勤費
- 社宅
- 健康診断費用
- 慶弔見舞金
ここでは以下の場合の経理処理について考えます。
- 保険料の支払い=法人
- 保険金受取人=法人
従業員が死亡し、保険金を法人が受け取ると、全額が益金に算入されます。
受け取った保険金全額を死亡した従業員の遺族に支払った場合は、法人が受け取った死亡保険金が全額が損金算入されます。
積み立て型の法人損害保険の経理処理
ここでは積み立て型の法人損害保険の場合の経理処理について解説します。
積み立て型の法人損害保険とは、満期になると満期保険金を受け取れるタイプの保険のことです。
積み立て型の法人損害保険では、支払保険料の積み立て部分が満期や解約時まで資産計上されます。
そして、満期になったときに受け取れる満期返戻金と契約者配当金の全額が益金に算入され、その一方で、資産計上されていた積み立て保険金の累計額が損金算入されます。
税務上の法人保険料は損金算入と資産計上の2パターンがある
保険料がどのような割合で損金算入されるのかは、保険の種類によって異なります。
保険料の1/2、1/3、1/4が損金算入できるものもあれば、全額損金算入できるものもあります。
全額損金算入できる保険として、例えば以下のような商品があります。
- 定期保険
- 医療保険
- 自動車保険
また、損金算入されるには保険会社に保険料が着金することが重要なので、損金算入にかかる日数について知っておくことも大切です。
では、損金算入、資産計上のメリット・デメリットに関してご説明します。
損金算入されるメリット・デメリット
メリット
法人損害保険の保険料を損金算入することのメリットは、益金と相殺することで課税対象額を少なくし、法人税を節税できることです。
デメリット
損金算入することのデメリットは、貯蓄性がないので掛け捨てになってしまうことや、支払った保険料に対して受け取れる保険金の額が少なくなることです。
ただし、意図的な節税を疑われると税務署から指摘されてしまう可能性があるので、その点は気をつけておくことが必要です。
※法人保険の節税効果についてはこちらの記事をご覧ください。
資産計上されるメリット・デメリット
損金算入するまでにかかる日数
保険料を支払うと損金算入できる保険商品の場合、支払ったらすぐに損金算入できるわけではありません。
保険料の損金算入が納税申告の際に認められるためには、支払った保険料が保険会社に着金していることが必要です。
そのため、事業年度の決算日の直前に保険料を支払っても、銀行の送金処理にに時間がかかってしまうと間に合わなくなってしまうことに注意してください。
まとめ:損害保険の経理処理は保険金受取人によって変わる
法人損害保険の経理処理について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは
- 保険金受取人が「従業員・役員・その遺族」の場合、法人が経理処理を行う必要はない。
- 保険金受取人が「法人」の場合、保険金の全額が益金算入されるが、福利厚生費として支払うと全額が損金算入になる。
- 損金算入は節税効果があるが、貯蓄性がなく受け取れる保険金は少なくなる。
- 資産計上は会社の価値を上げるが、相続の際に相続税が高くなる。
でした。
法人損害保険は法人に損害が生じた場合や損害賠償責任が生じた場合に備えることができるので、損害が生じるリスクのある法人なら加入することがおすすめです。
損金算入の割合によっては節税効果もあるので、法人損害保険は節税をしながらリスクヘッジや福利厚生にも使える一石二鳥の保険だと言えます。
ほけんROOMでは他にも読んでみたい法人保険の記事をたくさん掲載していますので、ぜひご覧ください。
法人向けの損害保険の経理処理について専門家に相談したい方は、「マネーキャリア」をご利用ください。気になる方は以下からご覧ください。