退職金規程は必要?開示義務や退職金規程のひな形について解説

退職金規程は、退職金制度を導入する会社なら作成する必要があります。退職金規程とは、就業規則の一部として退職金の支給条件や規程などを記載した文書で、開示義務もあります。退職金規程がなぜ必要なのか、また作成のポイントについてご説明します。


▼退職金規程に書くべき基本事項

  • 退職金制度が適用される対象者
  • 退職事由や勤続年数などの区別よる退職金の決定方法
  • 退職金の金額の具体的な計算方法
  • 減額や不支給の条件
  • 退職金の支払い方法
  • 退職金の支払い時期
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内容をまとめると

  • 退職金規程は退職金制度を導入する会社は作成しなければならない
  • 退職金制度は労働者と会社が向上していくために大切な制度であり、制度を維持していくために退職金規程は必要である
  • 退職金規程を作成するためのポイントは、退職金制度の適用対象者・計算方法・減額規程・廃止や変更の規程について明記すること
  • 退職金規程には開示義務がある
  • 退職金制度を設定する際の注意点は、支給日の厳守・原資の確保・労働者の既得権
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退職金規程についてわかりやすく解説

退職金を支給する会社では、退職金に関する条件や規程を記した退職金規程を作成します。


退職金を支給するかどうかについては会社の任意となっていて、義務ではありません。


退職金はかならず支給しなければならないというものではありませんが、退職金制度の導入にあたっては退職金規程を作成する必要があるのはなぜでしょうか?


この記事では、


  • 退職金規程が必要である理由
  • 退職金規程の内容
  • 退職金規程の作成のポイント
  • 退職金規程の開示
  • 退職金制度の設定の注意点


といった内容で、ご説明していきます。

退職金規程の必要性

退職金規程は、退職金制度を取り入れている会社では作成する必要があります。


退職金規程には、退職金に関わるさまざまな規程や条件を記載します。


退職金は会社から労働者に対して「退職後の生活保障」「これまで勤めてきたことへの慰労・報償」などの意味合いで支払われるものです。


退職規程には「労働者に長く勤めて欲しい」「スキルアップして欲しい」といった会社の思いが込められています。


しかし、退職金の支給については会社の任意であって義務ではありません。


昨今では退職金を支給しない会社も増え、それにともない退職金規程を作成していない会社も増えました。現在では25%の企業が退職金規程を設けていません。


ですが、退職金制度は従業員のモチベーションアップにつながる大切な制度であり、退職金制度を設けることは、会社にとっても良い人材の確保につながります。


また、退職金制度を設けるならば、ポイントを押さえた退職金規程を作成することが大切となってきます。

退職金規程のひな形

退職金制度を設けるときは、就業規則にそのことを記載し、退職金規程を作成します。

退職金規程は就業規則と別の規格で作成されることが多く、就業規則には「退職金については、別に定める退職金規程による。」という条文をいれます。

退職金規程に記載しなければならない内容については、労働基準法に定められています。

必要な項目について、具体的には以下となります。

  • 退職金制度が適用される対象者
  • 退職事由や勤続年数などの区別よる退職金の決定方法
  • 退職金の金額の具体的な計算方法
  • 減額や不支給の条件
  • 退職金の支払い方法
  • 退職金の支払い時期

また、退職金は賃金と同様に男女差をつけることは違法であり、結婚や出産による退職を退職の事由とすることも違法となっています。

参考に、独立行政法人 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部の、中退共制度を利用した場合の退職金規程の例をご覧になってみてください。


中退共制度を利用した場合の退職金規程の例が記載されています。

退職金規程を作成する際のポイント

退職金規程を作成するにあたって、記載が必要な項目ごとのポイントとして


  • 退職金規程が適用される対象者について
  • 退職金の計算方法について
  • 退職金の減額規程について
  • 退職金規程の廃止や変更について


といった内容でご説明します。


退職金の支給については、労働者の関心も高くなります。雇用形態によって退職金制度の適用を除外したりする場合など、会社と労働者のトラブルに発展しないように、退職金制度の対象者や退職金が支給される条件、金額などについて具体的に記載しておく必要があります。

ポイント①退職規程が適用される労働者の範囲を明確にする

退職金規程では、退職金制度が適用される対象者を、明確に記載します。


現代では、さまざまな雇用形態の労働者が同じ会社内で働いています。


退職金制度が適用となるのは、一般的には正社員のみです。


非正規の社員や勤続年数の短い労働者を退職金制度の対象者から除外する場合、会社と労働者の間でのトラブルを避けるためにも、退職金規程に退職金制度の対象者を具体的に記載しておきます。

ポイント②退職金の金額や計算方法を明記する

退職金規程では、退職金の金額についてどの金額を基礎としてどのように計算しているか、具体的に算出方法を記載します。


勤続年数については、出向や休職、出産時の休業などを年数に含めるのかどうか、それぞれについて記載します。また、勤続途中で雇用形態が変わった社員の勤続年数の算出方法などについても記載します。


退職金は、条件によって増減する場合があります。退職金の増減の条件についても、それぞれ具体的に記載しましょう。


以下に、退職金が増減される例をあげておきます。


退職金が増えるケース


  • 死亡退職
  • 業務上の疾病
  • 会社自由による解雇 など


退職金が増えない場合


  • 自己都合退職
  • 普通解雇
  • 業務上ではない疾病 など

ポイント③退職金の減額規程を定める

退職金規程では、退職金が減額される場合や不支給の場合について、具体的に記載します。


記載例としては、以下のようになります。


  • 論旨解雇・懲戒解雇
  • 禁固以上の刑に処せられ退職し、解雇
  • 不正行為により退職
  • 在職中の行為に、懲戒解雇、論旨解雇にあたる行為が発覚
  • 重大な過失により解雇


退職金を支給されたあとに懲戒解雇にあたる不正行為が発覚した場合や、解雇の手続きを行う前に自己都合退職してしまい退職金が支給されたといった場合などについても、減額や不支給とすることが可能なように、記載しておきます。

ポイント④退職金規程の廃止や変更の余地を残しておく

退職金規程では、退職金規程の廃止や変更が可能なように、規程を設けておくことが必要です。


経済情勢は変化しつづけており、会社の経済状態の悪化などが原因で退職金制度を維持することが難しくなった、また、退職金制度を廃止するといった会社もあります。


ですが、労働者は退職金制度に期待を持っており、もともと設けられている退職金制度を変更したり撤廃したりすることは、簡単ではありません。


なぜなら、労働者の不利益となり、大きな反発もあり、トラブルともなりかねないからです。


経済情勢や社会情勢の変化は否めず、「やむを得ない状況が訪れた場合には、退職金の減額や、規程の廃止もある」といった内容を退職金規程に記載しておくことも大切です。


退職金規程に開示義務はある?

退職金規程は、労働者に開示しなければなりません。


退職金規程は就業規則とは別物として作成されることも多く、就業規則は労働者に開示しているが、退職金規程は開示していないという会社もあります。


労働者に開示したくない理由としては、退職金規程には退職金の算出方法も明確に記載するため、労働者が自分で現時点での退職金を計算したりするので、開示したくないということもあるようです。


それだけ労働者の退職金に対する関心は大きいということでしょう。


ですが、退職金規程は就業規則の一部ですので、労働基準法では「法令等の周知義務」として労働者へ周知することが定められています。労働基準法


もし退職金規程を労働者に開示せず、労働基準監督署の調査が入り開示していないことがわかれば、是正勧告が出されることとなります。

退職金制度を設定する際の注意点

最近では退職金制度を設けない会社も増えています。


ですが、退職金制度労働者のモチベーションをアップさせ会社の業務全般の向上にもつながること、また業務に従事した労働者の功労をねぎらい会社の労働者への思いを伝えることという点でも、大切な制度です。


社会情勢の変化や、会社の経済状況によって退職金制度を維持していくことが困難になるなど、従来の退職金制度が今の時代に合わなくなっている点も、退職金制度をうまく維持できない要因につながります。


ここでは、退職金制度を設ける際の注意点として


  • 退職金の支給日を守ること
  • 退職金の資金を計画的に用意すること
  • 退職金規程は簡単には変更できない


といったことをご説明します。

支給日は必ず厳守する!退職者には請求権がある

退職金制度がある会社で退職金制度の対象となっている労働者には、退職するときには退職金の請求権があります。


退職金の支給については、支給日を厳守しなければなりません。


退職金規程で支給日を定めていればその期日中に、定めていなければ労働者の退職後7日以内に支払います。


退職金の支払いが支給日までにされなかったり、なんらかの事情で分割払いとなり、なかなか全額が支払われなかったりすると、給与の未払いとなり、労働者と会社の間でトラブルが発生し、労働問題となる可能性があります。


退職金は支給日までに支払う、もし不可能な場合は、はやめに労働者と適切な交渉をするなどの解決策を検討することが必要です。

綿密な資金計画をもとに原資を確保しておく

退職金制度を導入しない会社、または退職金制度を廃止する会社が増える要因として、退職金として支給する資金が準備できない、という理由があげられます。


団塊世代が定年で退職しはじめる頃から、会社が退職者へ支払う退職金の金額は増え続け、退職金の支払いによって倒産する「退職金倒産」も懸念されてきました。


高齢化がすすみ、今後も長年働いてきた世代の定年退職が続き、会社が支払う退職金の金額は、増える一方といえます。


退職金問題積み立て資金の不足と退職金規程の見直しが適宜されてこなかったことによります。


積み立てた資金の運用が当初設定していたようには進まず、必要とする資金を下回ったり、退職金規程で定めた算出方法や条件を見直してこなかったため規程どおりの退職金を用意することが難しくなったりしているのです。


退職金の原資を確保するためには、綿密な資金計画をおこなう必要があります。


退職金共済制度のような外部の積み立て制度を利用する、法人保険を利用する、などの対策を考慮することも大切です。

退職金規程を変更しても従業員の既得権は認められる

退職金制度を維持していくにあたって、退職金規程を適宜見直していくことは必須なのですが、退職金規程を変更するには困難な問題は多く、簡単ではありません。


労働者には既得権があります。退職金規程を変更する前の日までは、それまでの規程で算出した退職金が保障されることとなります。


また、退職金規程を変更し、退職金の金額が下がることになると、労働者の個々の同意が必要となります。同意を得られなければ、トラブルが発生し労働問題となる可能性もあります。もし、裁判に発展すると、おおむね労働者が有利となるでしょう。


退職金制度を変更する際には専門家の協力を得て、注意深く対応することが大切です。

まとめ

この記事では


  • 退職金規程は退職金制度を導入する会社は作成しなければならない
  • 退職金制度は労働者と会社が向上していくために大切な制度であり、制度を維持していくために退職金規程は必要である
  • 退職金規程を作成するためのポイントは、退職金制度の適用対象者・計算方法・減額規程・廃止や変更の規程について明記すること
  • 退職金規程には開示義務がある
  • 退職金制度を設定する際の注意点は、支給日の厳守・原資の確保・労働者の既得権


といった内容でご説明してきました。


会社にとって、そこで働く労働者は大切な存在です。労働者と事業主双方が共に発展していくことを目的として退職金制度を維持していくために、退職金規程は注意深く設定していきましょう。


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