事業承継で納税が猶予・免除される制度「事業承継税制」について解説

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事業承継を行うにあたって生じてくるのが「贈与税や相続税」の納税です。また会社単位だからその納税額は莫大なものです。そんな時には、納税が猶予・免除される事業承継税制を活用すべきです。本記事では事業承継税制について詳しくまとめていますので参考にしてみて下さい。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 事業承継税制によって、納税を猶予、もしくは免除したい人
  • 納税猶予を受けるための要件を知りたい人
  • 納税猶予を受けるメリット・デメリットを知りたい人
▼この記事を読んで分かること
  • 要件を満たすことで納税を猶予でき、将来的には納税を免除させることも可能
  • 納税猶予を受けるには、先代経営者の要件、後継者の要件、認定対象会社の要件、その他の株主からの贈与についての要件を満たす必要がある
  • 相続税や贈与税の猶予・免除を受けられる一方、猶予取消しの場合は納税義務が発生するなどデメリットも多い

内容をまとめると

  • 事業承継税制によって贈与税、および相続税の納税が猶予・免除される
  • 納税猶予を受けるには主に4つの要件(先代経営者の要件、後継者の要件、認定対象会社の要件、その他の株主からの贈与についての要件)がある
  • 相続税の納税猶予を受けるには、都道府県庁に相続税の開始から8ヵ月めまでに申請する必要がある
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事業承継税制によって贈与税や相続税の納税が猶予・免除される

こんにちは。マネーキャリア編集部FPの西田です。


先日、50代事業主の方から以下のような相談を受けました。


「事業承継には多額の税金がかかるんですよね。うちのような小さな会社では、莫大な税金の支払いは厳しいです。事業承継税制を利用すれば、贈与税や相続税の納税が猶予、もしくは免除されると聞いたのですが詳しく教えてください」


事業承継を行うにあたって贈与税相続税といった税金が課されます。法人は個人と比較して納税額が割高になるため、莫大な納税額となるケースも少なくありません。そのため、事業を承継したいと思いつつも躊躇してしまう企業も少なくないのです。


企業に対して事業承継時に課される重い税負担を軽減させるため、事業承継税制という制度があります。この制度は一定の条件を満たす企業に対し、贈与税や相続税の納税を猶予、最終的に条件を満たせば免除する制度です。


本記事では、事業承継税制について徹底解説していきます。事業承継税制の仕組み、納税猶予を受けるための要件・提出書類、メリット・デメリットなどについても分かりやすく説明していきます。


本記事が、事業をこれから承継しようという方や、事業承継税制について知っておきたい方の参考になりますと幸いです。

事業承継税制の仕組みについて解説

事業承継税制は複雑で分かりにくい制度と言えるかもしれません。事業承継税制の最大のポイントは贈与税、および相続税猶予になることです。


事業承継税制は、後継者が中小企業の株式を相続、もしくは生前贈与で受け継いだ際に支払うべき贈与税や相続税の支払いを猶予する制度です。猶予された税金については、将来的に免除になることが想定されています。


会社単位での引き継ぎにはかなりの税金が課されるものです。納税猶予には税負担を軽減させることで、次の世代への企業の引継ぎを円滑化、中小企業の経営のサポートといった目的があります。

納税が猶予・免除される種類とその効果について解説

事業承継税制で納税が猶予・免除されるには相続の場合生前猶予の場合があります。どちらの場合においても、本来支払うべき税金の支払いが猶予、もしくは免除されます。


以下、相続の場合と生前猶予の場合についてそれぞれ詳しく説明していきます。





事業承継税制の仕組み①【相続の場合】

事業承継を実施する際に相続を利用する場合、遺産相続として後継者に株式を移転してください。事業承継の際に移転する株式に対して対価を支払わなければならないケースもありますが、相続を用いた事業承継では株式の移転に対する対価は必要ありません


相続を用いて事業承継を実施する場合、代表者が死亡した後に原則として実施されます。事業承継のタイミングを決めることはできず、時期なども決めることはできませんので注意しましょう。


相続で事業承継税制を利用するにあたり、遺言書が必要になります。代表者が残した遺言書の内容に従って事業承継を行うことになるからです。遺言書がない場合、相続人のあいだで意見に食い違いが発生し、トラブルにまで発展することもあるでしょう。


相続を用いた事業承継税制では株式移転の対価は不要です。しかし、以下2点が必要になります。

  • 遺言書
  • 相続税

事業承継税制において相続を用いる場合には、後継者をあらかじめ決めておき、その旨を遺言書に明記しておかなければいけません。あわせて、相続税の負担に対応できるよう資金を調整しておくことをおすすめします。


事業承継税制を受けると、「猶予」という名目になりますが、会社経営を続け、株を売らなければ、納税猶予を継続でき、最終的に「免除」となります。

事業承継税制の仕組み②【生前贈与の場合】

生前贈与による事業承継は、親族を会社経営の後継者にする場合に認められます。


生前贈与の選択は税制面で得られるメリットが大きいケースが多いため、生前贈与を選択される人は多いです。贈与税は相続税と比較して、税負担のコントロールがしやく、この点も生前贈与が選ばれる理由となっています。


生前贈与による事業承継を行えば、経営者から後継者に引き継ぐタイミングを見極められます。贈与税などを計算する際、自社株式の評価額が低い時は絶好の時期と言えるでしょう。贈与税が課せられない範囲内で生前贈与を行えば、自社株式の評価額が低い場合、多くの株式を贈与できます。


生前贈与は特定の人物への事業承継も認められています。生前贈与とは個人に対して贈与できる制度であるため、後継者にしたい人に承継することができるのです。相続においても、遺言書を残すことによって後継者にしたい人に承継できると思われるかもしれません。しかし、遺留分減殺請求などにより、想定外の相続となってしまうケースもあるのです。


経営者が死亡した後に非上場持ち株などを相続する場合、相続税の支払いが義務付けられます。法人には相続税が多くかかることも少なくないため、納税資金のために株式を手放さなければならないケースもあるでしょう。株式を手放さなければならなくなった場合、経営権は事業を円滑に承継することができなくなります。

納税猶予を受けるための4つの要件

納税猶予を受けるためには、4つの要件を満たしている必要があります。

納税猶予を受けるための4つの要件は以下の通りです。

  1. 先代経営者の要件
  2. 後継者の要件
  3. 認定対象会社の要件
  4. その他の株主からの贈与についての要件
納税猶予を受けるための4つの要件の内容をそれぞれ見ていきましょう。

先代経営者の要件

納税猶予を受けるにあたって、先代経営者に必要な要件は以下の通りです。

  • 相続、もしくは贈与の直前に会社の代表者だった
  • 一族のなかで後継者を除いて、筆頭株主
  • 一族で議決権が50%を超えている
  • (贈与の場合)代表を退任している、もしくは退任する予定がある
先代経営者は後継者への贈与時に、保有株をすべて渡し代表も退任している必要があります。納税猶予の適用を受けるためには、経営者にとって大きな覚悟が必要なのです。

後継者の要件

納税猶予を受けるにあたって、後継者に必要な要件は以下の通りです。

  • 相続・贈与の直後に会社の代表者になる
  • 一族のなかで筆頭株主(後継者が複数の場合、それぞれが2位、3位)
  • 一族で議決権の50%以上
  • (相続の場合は)事業承継計画に「特例後継者」として記載がある、もしくは相続の直前において役員である必要がある 
  • (贈与の場合は)20歳以上
  • (贈与の場合は)役員就任後3年が経過 
納税猶予を受けるには、後継者は相続、もしくは贈与の直後に会社の代表者にならなければならないため、事前に覚悟しておく必要があるでしょう。

納税猶予を受ける場合でも、先代経営者の親族でない人も後継者になることができます

認定対象会社の要件

納税猶予を受けるにあたって、認定対象会社に必要な要件は以下の通りです。

  • 承継法において中小企業
  • 非上場企業
  • 医療法人、もしくは資産管理会社に該当しない 
中小企業と言われる会社は、納税猶予の対象にほとんどがなっています。ただし、医療法人、もしくは資産管理会社は中小企業でも対象外です。

その他の株主からの贈与について

先代経営者だけが株を保有しているケースは稀であり、奥様、ご兄弟も株式を持っていることも少なくありません。


新制度では、先代経営者以外からの後継者への株式贈与が認められるようになりました。



先代経営者以外の方から株式の贈与を受けるには、先代経営者から後継者へ贈与について事業承継税制の適用を受けることが前提です。その後で、一定期間内に贈与を受けてください。

納税猶予を受けるための手続きについて解説

納税猶予を受けるためには手続きが必要です。


相続税の納税猶予を受ける手続きと贈与税の納税猶予を受ける手続きでは、手続き方法が大きく異なります。それぞれの手続きについて、分かりやすく説明しますので参考にしてみてくださいね。

相続税の納税猶予を受けるための手続き

相続税の納税猶予を受ける手続きは、以下1~5の手順で進めていきます。

  1. 相続の開始
  2. 相続開始後8ヵ月めまで都道府県庁に申請を行う
  3. 審査後、認定証を受け取る
  4. 認定書の写しにあわせて、相続税の申告書などを税務署に提出する
  5. 納税猶予額、および利子税の額に相応の担保を提供する
相続税の納税猶予を受けるには、都道府県庁に相続税の開始から8ヵ月めまでに必ず申請ししなければなりません。申請時には、納税猶予が認められた場合、担保が必要になることを覚えておいてください。

担保として、主に以下のものが認められます。
  • 納税猶予の対象となる認定承継会社がもつ対象非上場株式
  • 不動産
  • 国債、地方債、有価証券、保証人の保証
上記は一例なので、申請時に今一度確認してみるようにしてください。

贈与税の納税猶予を受けるための手続き

贈与税の納税猶予を受ける手続きは、以下1~5の手順ですすめていきます。

  1. 贈与の翌年1月15日までに申請する
  2. 審査後、認定証を受け取る
  3. 認定書の写しにあわせて、贈与税の申告書などを税務署に提出する
  4. 納税猶予額、および利子税の額に相応の担保を提供する
贈与税の納税猶予を受けるには、贈与の翌年1月15日までに必ず申請してください。贈与税の納税猶予を受ける際にも、相続税の場合と同様に担保が必要になります。

納税猶予を受けるための必要書類

納税猶予を受けるにあたって、必要書類の提出が大前提となります。


納税猶予を受けるための必要書類は大きく2つに分けることができます。

  • 認定を受けるために必要な書類
  • 納税猶予が適用されるために必要な書類
認定を受けるために必要な書類納税猶予が適用されるために必要な書類について詳しく解説していきます。納税猶予申請における必要書類の取り扱いが難しいという声も多いですが、一つずつ確認しながら記入していけば、手続きをスムーズにすすめられるはずです。

認定を受けるために必要な書類

認定を受けるために必要な書類は次の通りです。


主な作成書類

  • 認定申請書
主な添付書類
  • 定款、および株主名簿の写し
  • 登記事項証明書
  • 遺言書又は遺産分割協議書の写し、および相続税の見込額を記載した書類
  • 従業員数証明書
  • 貸借対照表、損益計算書等
  • 上場会社又は風俗営業会社でない旨の誓約書
  • 被相続人、相続人、株式を保有している親族の戸籍謄本又は抄本
贈与税の場合は上記にあわせて、贈与契約書の写し等が必要になります。

納税猶予が適用されるために必要な書類

納税猶予が適用されるために必要な書類は以下の通りです。


主な作成書類

  •  相続税の申告書(非上場株式等の明細、および納税猶予分の相続税額の計算に関する明細書等を添付)
 主な添付書類
  • 都道府県知事から交付された認定書の写し
  • 都道府県庁へ提出した認定申請書の写し
  • 定款、および株主名簿の写し
  • 登記事項証明書
  • 従業員数証明書
  • 後継者の戸籍謄本又は抄本
  • 遺言書又は遺産分割協議書の写し、および相続人全員の印鑑証明書  
  • 貸借対照表、損益計算書等
贈与税の場合は上記にあわせて、贈与契約書の写し等が必要になります。

 必要書類が多いため、チェックリストを利用して間違えなく揃えるようにしてください。

納税猶予を受けるためには5年の維持が必要?【継続のための要件】

納税猶予を受けるためには、猶予を受ける時点で要件を満たしていれば良いわけではありません。納税猶予を継続するには、規定された要件を5年にわたって満たし続ける必要があるのです。


以下、

  • 納税猶予を継続するための主な要件(申告期限後5年間)
  • 申告から5年後の要件
について詳しく解説していきます。

継続しなければならない要件を知らなかったため、納税猶予が取り消しになってしまうケースも少なくありません。納税猶予を継続するために、要件についてしっかりと確認していきましょう。

納税猶予を継続するための主な要件【申告期限後5年間】

納税猶予を継続するためには、申告期限から5年間にわたって以下について継続する必要があります。

  • 贈与日(相続開始日)の従業員数の80%以上を5年間平均で維持する
  • 後継者が代表者である
  • 後継者が筆頭株主である
  • 会社は上場会社でない
  • 会社は性風俗営業会社ではない
  • 会社は資産管理会社ではない
  • 猶予対象株式を保有している
上記の要件について、5年間満たし続ける必要があります。

5年にわたり要件を満たさなかった場合、猶予されていた税金に利息を上乗せし、一括で納めなければなりません。

申告から5年経過後の要件

申告から5年経過後も満たさなければならない要件があります。


申告から5年経過後も継続して満たす必要のある要件を確認していきましょう。

  • 猶予対象株式を継続保有している
  • 資産会社に該当しない
資産会社になった場合、納税猶予は取り消しになります。会社の大きな方向転換などにより、条件から意図せずにして外れてしまうことも少なくないようです。

納税猶予が取り消しになった場合、一括で納税しなければならなくなるため、上記の要件を年に1回はおさらいしておくことをおすすめします。

納税猶予された額が免税されるケースがある

事業承継税制における税金面での優遇は猶予となっています。しかし、納税猶予された額が免除されるケースもあるのです

納税猶予された額が免税されるケースは、主に3つあります。

  • 相続税が免除となるケース
  • 贈与税が免除となるケース
  • 相続税・贈与税に共通で免状となるケース
納税猶予された額はどのようにすれば免除されるのか、3つのケースについてそれぞれ詳しく説明していきます。

相続税が免除となるケース

相続税が免除となるケースには、以下のケースがあります。

  • 後継者が死亡したケース

後継者が死亡した場合、相続税は免除になります。また、後継者の子(孫)が要件を満たす場合、孫に対しても納税猶予が適用されます。

贈与税が免除となるケース

贈与税にも納税が猶予から免除となるケースがあります。贈与税が免除になるケースは以下のケースです。

  • 贈与者が死亡したケース
  • 後継者が死亡したケース

上記のケースについて詳しく説明していきます。


贈与者が死亡したケース

贈与税が免除になります。


後継者は相続において贈与時の時価で相続したものと見做されます。納税、もしくは相続税の納税猶予に切替えできます。


後継者が死亡したケース

贈与税が免除になります。


後継者の子供(孫)は、後継者が保有する株式を本来の相続財産として相続となります。孫についても、要件を満たすことで相続税の納税猶予の適用を受けられます。

相続税・贈与税に共通で免状となるケース

相続税・贈与税に共通する免除となるケースがあります。

  • 申告期限から5年経過後、後継者によって猶予継続贈与が行われたケース
  • 申告期限から5年経過後に、会社が破産手続き開始の決定、もしくは特別清算開始の命令などを受けたケース
  • 申告期限後5年間にわたり、やむを得ない理由によって後継者が代表権を有しなくなった日以後、後継者によって猶予継続贈与が行われたケース 
猶予継続贈与とは、納税猶予を受けている後継者(二代目経営者)が、株式を三代目の経営者に贈与し、三代目経営者が納税猶予を受ける場合の贈与のことです。二代目経営者の納税猶予税額のなかで、三代目経営者が納税猶予を受ける株式に該当する部分が免除の対象となります。

申告期限から5年経過した後、民事再生計画の認可決定などがあったら、その時点における非上場株式などの価額に基づいて、納税猶予税額の再計算を行います。再計算後の納税猶予額によっては、納税猶予を継続できます。再計算前に納税猶予額が再計算後の納税猶予額を控除した差額分が免除となります。 

法人のお金に関する相談ならマネーキャリアがおすすめな理由

ここまで事業承継税制における贈与税や相続税の猶予・免除について解説してきました。


事業承継税制の納税猶予を受けることで、相続税や贈与税の負担が取り除かれます。一方、この制度には注意点やデメリットもあるため、一般の方がご自身で申請を行うにはハードルが高いです。


「うちは、事業承継税制の適用がされるのか」「将来的に〇〇を考えているが、納税猶予は取り消しになるのか」「事業承継税制の申請方法がいまいち分からない」


といった疑問や悩みを抱える方も少なくないでしょう。


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納税猶予を受ける3つの主なメリット

納税猶予を受けることでさまざまな面でお得になることを説明してきました。ここでは、納税猶予を受けることで得られるメリットを3つにまとめて紹介します。


納税猶予を受ける3つの主なメリットとして、

  • 相続税や贈与税を払わなくてよい
  • 納税のための費用を用意する必要がない
  • 事業承継対策(株価対策)をする必要がない
を挙げられます。

それぞれのメリットについて、どのようなものであるのか詳しく確認していきましょう。

相続税や贈与税を払わなくてよい

納税猶予が適用されれば、相続税や贈与税の支払いが猶予されます。場合によっては、猶予されていた金額が将来的に免除になります。


法人にかかる税金は多額であるため、相続税や贈与税が猶予されることによって、事業を承継しやすくなったという中小企業の経営者も多いです。

納税のための費用を用意する必要がない

納税猶予を利用すると、相続税、贈与税の支払いが猶予になります。そのため、納税のための費用を用意する必要がありません。


法人の場合、課税される金額は莫大になります。そのため、中小企業は特に納税のための費用を用意するのが大変でしょう。事業承継において納税のための費用を用意する必要がないと、事業承継にかかる負担がかなり軽減されるはずです。

事業承継対策【株価対策】をする必要がない

先代から後継者に事業を承継する際、株価対策が不可欠となります。中小企業の非公開株式であっても高額な株価になっていることも多いです。


保有する資産は株式ばかりで現金はあまり持たないという社長も珍しくありません。こうしたケースに該当すると、引き継げる財産(現金)は少ないにもかかわらず、税金が高くなり、後継者の親族は会社を引き継ぐことができなくなってしまいます。後継者が外部の人になる場合は、自己資金で対応するしかなくなり、贈与税の問題から事業承継が難しくなります。 


そのため、株価対策として、会社の価値をあえて下げたり、類似業種批准価額で株式評価を下げたりといった対策が必要になるのです。


納税猶予の適用を受けることができれば、株価対策を行う必要がなくなります

納税猶予を受けることで生じるデメリット

納税猶予を受けることで生じるのはメリットだけではありません。デメリットの中には注意点も含まれますので気を付ける必要があります。


納税猶予を受けることで生じるデメリットとして、

  • 納税猶予期間はとても長期になる
  • 納税猶予の取消事由に該当するとすぐに「納税+利息」が課される
  • 手続きや制度の内容が複雑であり専門家も少ない
を挙げられます。

以下、納税猶予を受けるデメリットについて詳しく解説していきます。猶予を受けた後に、「こんなデメリットがあるとは思っていなかった」と後悔しないためにも、デメリットについて事前に確認しておきましょう。

納税猶予期間はとても長期になる

納税猶予期間は長期におよびます。そのため、納税猶予を受けた時の条件を維持するのが難しい状況に陥ってしまうケースも考えられるでしょう。


納税猶予を受ける際は、納税猶予期間中に猶予取り消しとなる事態が起きないか、先を見通し、社内で話し合っておくことをおすすめします。

納税猶予の取消事由に該当するとすぐに「納税+利息」が課される

事業承継制において納税が猶予されても、取消事由に該当すると税金の支払い義務が発生します。この場合、猶予されている税金に利息を上乗せして、一括で払わなければなりません


猶予を受けた後も、取消事由に該当しないように事業を営む必要があるのです。会社の制度や方針を大きく変える際は、取消事由をおさらいすることをおすすめします。取消事由に意図せずにして該当してしまうケースも少なくないので気を付けましょう。

手続きや制度の内容が複雑であり専門家も少ない

事業承継税制は制度の内容が複雑で、提出書類も多いため、一般の方にとって申請のハードルが高いです。


顧問税理士が事業承継税制を得意としない場合、申請にあたって税理士に新たに相談したり、FPに相談したりすることになるでしょう。事業承継税制を得意とするお金のプロは少ないため、担当者を探すのに時間がかかることもあります。あわせて、専門家に依頼すると、コストがかかることも忘れないようにしてください。

事業承継税制の適用のためには令和5年3月までの計画提出が必要

事業承継税制の適用を受けたい方は、令和5年3月までの計画提出が必要です。


事業承継税制は平成30年1月~令和9年12月の10年間限定とする特例制度となっています。 しかし、適用を受けるには、平成30年4月~令和5年3月の間に特例承継計画を策定して、都道府県知事に提出し、認可を受ける必要があるのです。


制度の期間と申請の期間について、表で確認しておきましょう。

事業承継税制平成30年1月~令和9年12月
申請期間平成30年4月~令和5年3月


申請時に必要なものは以下になります。

  • 確認申請書(特例承継計画)2部
  • 履歴事項全部証明書(3か月以内)1部 
  • 返信用封筒 1部

申請書類が多いことや記入にあたって確認事項もあるため、記入、提出など余裕をもった行動がおすすめです。


申請書類の提出方法は郵送となっています。各都道府県庁まで郵送で提出しましょう。

まとめ:事業承継の納税猶予を受けるための要件を再度確認

本記事では事業承継税制について解説してきました。


事業承継の納税猶予を受けることで、贈与税相続税の支払いが猶予になる他、事業の承継にかかる負担のいくらかを軽減できます。


事業承継の納税猶予はすべての企業が受けられるわけではなく、要件を満たす必要があります。


事業承継の納税猶予を受けるための要件は以下の通りです。要件を再度確認しておきましょう。

  • 先代経営者の要件(相続、もしくは贈与の直前に会社の代表者であるなど)
  • 後継者の要件(相続・贈与の直後に会社の代表者になる)
  • 認定対象会社の要件(中小企業など)
  • その他の株主からの贈与についての要件(先代経営者から後継者に贈与の事業承継税制の適用など)

上記の要件を満たしていない企業は、納税猶予を受けることができません。また、猶予を受けることができた企業でも、要件を満たさなくなった場合には猶予取消しになるので気を付けてください。


マネーキャリアには、この記事以外にも事業承継税制や法人のお金に関する記事を掲載しているのでぜひご覧になってください。

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