更新日:2022/09/30
事業承継の専門家に相談したい!【事業継承の相談先と補助金を解説】
事業継承には様々な手続きがあったり、問題が発生したりと専門家を必要とする場面が多くあります。これらを経営者また会社だけで解決するのは困難であり、そんな時は専門家に相談することをお勧めします。本記事では事業継承の専門家についてまとめています。
- 事業承継やM&Aを考えている方
- 専門家への依頼を検討している方
- 事業承継の際に「専門家を必要としない」と考えている方
- 事業承継の際に専門家に相談しなければならない理由
- 事業承継の種類や事業承継の相談先に該当する専門家・機関・公的機関
- 過去にあった事業承継の補助金
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 事業継承の相談先として「国の機関・身近な支援機関・専門家」がある
- 事業継承で専門家を必要とする理由は「手続きの複雑さ」と「専門知識」
- 事業継承の課題とその背景には「手続きの複雑さ」がある
- 事業継承は多くの専門的知識を必要とする
- 事業継承の専門家はどのような知識を持つ?【会計・税務・法務・M&A】
- 事業継承の相談ができる士業の専門家4つのメリット・デメリットを解説
- ①事業承継アドバイザー
- ②事業承継プランナー
- ③税理士
- ④弁護士
- ⑤司法書士
- ⑥中小企業診断士
- ⑦M&Aアドバイザリー・仲介会社
- 事業継承の相談ができる3つの団体と機関の特徴を解説
- ①金融機関
- ②商工会・商工会議所
- ③同業種組合
- その他事業継承の相談ができる3つの公的機関
- 事業引継ぎ支援センター
- 中小企業再生支援協議会
- よろず支援拠点
- マネーキャリアなら法人のお金に関する相談ができるからおすすめ
- 事業継承で専門家にかかる費用には補助金がある!
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の概要
- 事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】買い手支援型
- 事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】売り手支援型
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請者要件を確認
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請者要件6項目
- 中小企業者の定義と含まれない法人・組合
- 中小企業者でも補助対象外になる2つのケース
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請単位【補助金申請の主体】
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の補助対象経費の概要
- まとめ:事業継承を行う際には専門家への相談が必須である
目次
事業継承の相談先として「国の機関・身近な支援機関・専門家」がある
事業承継の相談先には、以下のものが挙げられます。
- 国の機関
- 身近な支援機関
- 専門家
そもそも事業承継とは、会社のすべてを後継者に引き継ぐことです。
しかし、専門家なしでは簡単に引き継ぐことはできず、新たな後継者を迎えて会社を存続させるためには専門家の協力が必要不可欠になります。
事業承継は、煩雑な準備・手続きを進めたり、様々な問題点をその都度解決したりしなければなりませんので、円滑に目的を遂行するのであれば「専門知識を有する機関・人」に依頼することが大切です。
ただ、専門家と言っても「事業承継」という国家資格があるわけではなく、該当する職種があるわけでもありません。
事業承継士という民間資格はありますが、どの専門家も基本的には別の名称で名乗っています。
例えば、弁護士・司法書士・税理士・中小企業診断士などです。
弁護士や税理士などは、通常の職務をこなしながら事業承継に関係がある部分を担当して、経営者をサポートします。
この記事では、なぜ専門家が必要なのか、どの専門家にはどんなメリットがあるのか、事業継承の相談ができる団体や機関など“知っておくべき情報”について、詳しく解説していきます。
事業継承で専門家を必要とする理由は「手続きの複雑さ」と「専門知識」
事業承継に専門家が必要な理由として挙げられるのが、「手続きの複雑さ」と「専門知識不足」です。
少し学習したぐらいの付け焼き刃な知識では円滑に事は運べず、誤った認識で役員と事業承継を進めてしまうと大きなリスクにつながる可能性があります。
まずは、専門家に頼らざるを得ない理由や専門家について解説します。
解説内容は、以下の3つです。
- 事業継承の課題とその背景には「手続きの複雑さ」がある
- 事業継承は多くの専門的知識を必要とする
- 事業継承の専門家はどのような知識を持つ?【会計・税務・法務・M&A】
事業継承の課題とその背景には「手続きの複雑さ」がある
事業承継の課題には「後継者不足」が挙げられます。
日本では少子高齢化が進んでおり、後継者はもちろん従業員の雇用すらままならない状態です。
そんな中、経営者は高齢期を迎え、後継者が見つからないまま会社存続の危機にさらされてしまいます。
他にも、事業承継の手続きの難しさや専門知識の乏しさが事業承継の課題としてあります。
何をどうすればいいのかわからず、やるべきことが明確化されたとしても準備を含む様々な手続きが煩雑で事業承継が進まないという問題点があるのです。
したがって事業承継をスムーズに成功させるためには、社内で解決しようとせずに専門家に依頼することが大切になります。
手続きが複雑で専門外の素人には難しい、ということを理解しておきましょう。
事業継承は多くの専門的知識を必要とする
事業承継は、公認会計士が行う会計や税理士が行う税務、弁護士が行う法務、中小企業診断士が行う経営改善など、幅広い専門的知識を必要とします。
そのため事業承継を行う際には、複数の専門家に依頼することになるのが一般的です。
その役割を経営者を含む会社の従業員がすべて担うのは、通常業務に支障をきたすだけでなく、多くの時間を浪費することになりかねません。
ただ、専門家であれば誰でもいいのかと言われると、そうではないのです。
専攻している分野を極めているのはもちろんのこと、依頼主である経営者に対して“いま何をしているのか”をわかりやすく丁寧に伝えられるスキルも求められます。
そもそも経営者は、事業承継を軽んじている場合や事業承継の内容を理解していない場合もあるため、適宜、情報を共有できる専門家が重宝されているのが現状です。
事業継承の専門家はどのような知識を持つ?【会計・税務・法務・M&A】
先ほど、事業承継は幅広い専門知識を必要とするため、複数の専門家に依頼する必要があるとお伝えしました。
これに加え、最近では「M&A」を活用した第三者への承継が増加傾向にあるので、M&Aに関する知識も必須になりつつあります。
※M&Aとは、企業や一部事業の合併と売却のこと
以前は、息子・娘などの親族に承継する“親族内承継”や親族でない役員・従業員に承継する“従業員等への承継”が主流でした。
しかし、少子高齢化や後継者育成不足などの理由により、会社を守り切れる人材の確保が容易ではないことから、会社を安定的に飛躍させられるように後継者を外部から募るようにしたのです。
それに伴い「M&Aをサポートできる専門家の割合」や「企業のM&Aに対する理解度」が向上しています。
事業継承の相談ができる士業の専門家4つのメリット・デメリットを解説
事業承継に関連深い専門家には、以下のものが挙げられます。
- 事業承継アドバイザー
- 事業承継プランナー
- 税理士
- 弁護士
- 司法書士
- 中小企業診断士
- M&Aアドバイザリー・仲介会社
それぞれの専門家には、特徴やメリット・デメリットがあります。
事前に専門家の特徴を理解しておいて、事業承継の状況に応じて相談先を決めるようにしましょう。
①事業承継アドバイザー
事業承継アドバイザー(BSA)とは、税務や法務などの事業承継に関する専門知識を持ったプロのことです。
事業承継の基礎知識から親族内承継・従業員等への承継・M&Aまでの知識を必要とする「事業承継アドバイザー認定試験」に合格している専門家に相談することで、経営やM&Aなどの幅広いアドバイスを受けられます。
しかし、このように事業承継に関する広範な知識を有する一方で、深い知識を身に付けていないことが難点です。
複数の依頼先の1人としては大いに活躍しますが、事業承継アドバイザー1人にすべてを依頼するとなると、やや難航するでしょう。
②事業承継プランナー
事業承継プランナーとは、経営者に寄り添いながら事業承継の課題を早期発見し、整理する専門家のことです。
事業承継士資格取得講座を受講して、認定資格に合格した後に「一般社団法人事業承継協会」に入会することで事業承継プランナーになれます。
入会するまでのハードルが高いことから、事業承継における様々な面でのサポートを期待することが可能です。
具体的には、企業の資産や権利、問題点を整理し、効率的かつ安全に後継者に引き継ぐことができます。
経営者は、事業承継プランナー主導のもと、疑問点や不安点を相談しながら事業承継を安心して進めることが可能です。
ただし、事業承継アドバイザーと同様に、事業承継に関わる全分野の専門知識を網羅的に有しているわけではないので、一任するのは厳しくなることが予想されます。
③税理士
税理士とは、税金に関する専門家のことです。
一般的には、税金に関する相談を受けたり、本来の納税者に代わって所得税や法人税、相続税の申告を行なったりします。
事業承継における税理士の役割は、会社の資産価値を評価して税金を把握すること、相続税を申告するなど様々です。
相談先の税理士が持っておくべき知識には、相続税・贈与税に関する知識やM&Aに関する知識、株式移転に関する知識などがあります。
税理士の中には経営に関する総合的な知識を身につけている方もいるので、事業承継では非常に重宝する存在です。
事業承継を行う場合は、各分野のスペシャリストを一堂に集結させ、足りない箇所を補いながら目的の遂行を目指していくことになるので、より多くの専門知識を身につけている専門家がいれば安定性が増します。
もちろん他の分野に詳しくなくても、自分の専門領域を十分に掌握している税理士であれば、企業にとって非常に心強いでしょう。
税理士は事業承継において必要不可欠な存在です。
④弁護士
弁護士とは、法律に関する専門家のことです。
一般的には、トラブルを抱えた相談者の話を聞いて、民事や刑事事件をサポートしていきます。
事業承継における弁護士の役割は、事業承継計画書の作成や遺言書作成、株式の承継サポートなど様々です。
事業承継では、「遺産相続トラブル」や「M&Aによる引き継ぎトラブル」などが起こる場合があります。
これらのトラブルが発生すると当事者間での解決が困難になることがあるので、弁護士に依頼をして、相続人や引継ぎ先である企業と問題が起こらないようにサポートしてもらうのです。
具体的に、相続人が遺留分請求をしないよう納得させたり、リスクがないかを法務デューデリジェンスで確認したりします。
他にも、株式の贈与や各種契約書類の作成、法務対策など幅広い面で力を発揮するので、事業承継においてはかなり心強い存在です。
ただし、依頼費用が高額になるケースが多いので、注意が必要になります。
⑤司法書士
司法書士とは、法律の知識を身につけた、登記・訴訟などの専門家のことです。
法務局や裁判所に提出する書類を作成したり、登記の手続きを代理で行なったりします。
弁護士と同様に法律の知識に長けてはいますが、主な業務内容には違いがあり、一般的には弁護士が「民事や刑事のトラブルを解決することを専門としたスペシャリスト」で、司法書士が「会社や不動産の登記を行うことを専門としたスペシャリスト」になります。
事業承継では、第三者に継承するにあたって会社や役員の登記事項を変更しなければならないため、司法書士の協力が欠かせません。
また、弁護士が担う株式相続・贈与の対策や遺留分の対策などを行うこともできます。
弁護士よりも費用が割安であることが多いため、予算が少ない経営者の相談相手としてはうってつけかもしれません。
⑥中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業が抱える経営課題を浮き彫りにし、解決の糸口を見つける専門家のことです。
経営課題を発見することはもちろん、成長戦略・事業拡大・人事戦略のアドバイスやマーケティングのサポートなど幅広い支援を行います。
簡単に言えば、中小企業の経営をサポートするコンサルティングです。
事業承継では、事業性評価やビジネスデューデリジェンスなどの相談、各専門家との橋渡しとなるコーディネーターとしての役割を担います。
事業承継を行う際には、ついつい「後継者へ円滑に承継すること」が目的になりがちですが、本来の目的は「後継者へ円滑に承継して、会社を未来永劫繁栄させること」です。
我が子のように育ててきた会社を残すことが経営者の本望であるはずなので、事業承継と同時に経営基盤を盤石なものにする必要があります。
その時に活躍するのが中小企業診断士です。
⑦M&Aアドバイザリー・仲介会社
M&Aアドバイザリー・仲介会社とは、会社の売却・買収をサポートする専門家のことです。
M&Aアドバイザリーは、売却・買収どちらか片方のサポート(交渉・契約)を請け負い、M&A仲介会社は、両方の間に立って中立的な視点から双方の利益最大化を目指します。
事業承継では、親族・役員・従業員に後継者が見つからない場合に、M&Aで第三者に承継を行います。
事業承継ができるM&A仲介会社は多く存在しますが、会社を存続させるための「事業承継型」と会社を発展させるための「成長戦略型」のどちらが得意かを考慮して、依頼先を決めることが大切です。
M&Aの仲介会社に依頼をすることで、あらゆる面に配慮しながら契約をサポートしてくれます。
事業継承の相談ができる3つの団体と機関の特徴を解説
事業承継の相談先として挙げられる団体と機関は、以下の3つです。
- 金融機関
- 商工会・商工会議所
- 同業種組合
金融機関は世間に知れ渡っていますが、商工会・商工会議所や同業種組合に関してはあまり聞きなれないと思うので、特徴についてしっかり解説していきます。
①金融機関
中小企業の取引先である金融機関は、事業承継の際に有力な相談相手になります。
なぜなら、日常的に関係を築いており、いずれ金融機関の担当者に報告しなければならないからです。
事業承継をする場合は、担当者に事情を説明する必要があるので、報告をするついでに相談することができます。
また、第三者への事業承継を行うと同時に、経営改善を図るために金融機関から資金調達をすることもあるため、金融機関は相談先の候補に挙げられるのが一般的です。
ただし、借入金を完済し終わって、現時点での関係性が薄い場合には適切な相談先になり得ないこともあります。
その場合には、他の専門家のように親身に相談に乗ってくれない可能性もあるため、絶対的な相談先とは言えないでしょう。
②商工会・商工会議所
商工会とは、町村部に設置されており、「商工会法」を根拠法として経営改善普及事業を行なっている機関のことです。
一方、商工会議所とは、市区に設置されており、「商工会議所法」を根拠法として中小企業支援事業・国際的業務などを担う機関のことを指します。
これらの機関は、後継者不在などの理由で廃業する企業が増加したことを背景に誕生しました。
企業の数が減ると地域経済に悪影響を及ぼしかねないため、それらのリスクを防ぐために、地域の発展に貢献する個人事業主や中小企業をサポートしているのです。
地域経済発展のために商工会や商工会議所では、事業承継診断を無料で受けることができます。
より深い相談をしたい場合は、税理士・中小企業診断士などの専門家を紹介してもらうことや事業引継ぎ支援センターを紹介してもらうことが可能です。
③同業種組合
同業種組合とは、同一業種の事業者が営利活動上おこりうるリスクを防止し、共同の利益を図るために組織した団体のことです。
経営者のほとんどが事業承継の経験・知識・知見を持ち合わせていません。
右も左もわからない状態なので、専門家に依頼することが一般的です。
この同業種組合に加入することで、事業承継の経験がある他の組合員から情報を聞いたり、専門家に相談をしたりすることができます。
加えて同業種なので、事業承継以外の経営に関する情報も交換することが可能です。
このように、同業種組合では様々なメリットを享受することができるので、何をすればいいのかわからない方は加入を検討することも一つの手段になります。
その他事業継承の相談ができる3つの公的機関
ここまでで、事業承継の相談ができる専門家や機関についてお伝えしてきましたが、他にも相談ができる公的機関が存在します。
事業承継の相談が可能な公的機関は、以下の3つです。
- 事業引継ぎ支援センター
- 中小企業再生支援協議会
- よろず支援拠点
それぞれ詳しく解説していきます。
事業引継ぎ支援センター
事業引継ぎ支援センターとは、親族内・第三者への事業承継を支援する国が設置した公的な機関です。
中小企業・小規模事業者が抱える事業承継に関する悩みを相談できる上に、事業承継が円滑に進むようバックアップしてくれます。
具体的に親族内承継では、事業承継計画策定支援を通じて課題解決のサポートを行い、第三者承継支援では、相談から譲渡企業の紹介・成約までサポートしています。
中小企業再生支援協議会
中小企業再生支援協議会とは、事業承継や資金繰り、金融機関の対応など、中小企業の経営者が抱える悩みを解決する相談窓口が設けられている公的機関です。
弁護士や中小企業診断士などの経験豊富な専門家に相談することができます。
47都道府県に設置されており、事業承継以外の分野に関しても相談できるため、親族に承継する方におすすめです。
また、守秘義務を徹底しているため相談内容が第三者に知れ渡ることはありません。
よろず支援拠点
よろず支援拠点とは、中小企業や小規模事業者などが抱えている課題の発見をサポートし、改善策を提案してくれる国が設置した相談窓口です。
47都道府県に設置されており、各専門家が親身になって相談に乗ってくれます。
事業承継や経営改善、利益向上などの会社経営につきものな課題の解決に向けて、支援機関と連携をとるため、ワンストップで解決することが可能です。
マネーキャリアなら法人のお金に関する相談ができるからおすすめ
「法人の節税対策に最適な保険がわからない…」「経営上のリスクを極力減らしたい…」という方は、マネーキャリアがおすすめです。
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事業継承で専門家にかかる費用には補助金がある!
実は、事業承継やM&Aで経営資源の引き継ぎを行おうとする中小企業・小規模事業者に向けて、中小企業庁が「事業承継・引継ぎ補助金」による支援を実施していました。
M&Aでは、仲介会社に支払う手数料やデューデリジェンスに伴う専門家費用など、多額の費用が発生するので、補助金があれば積極的に活用したいところです。
※現在は補助金の公募をしていません
この項目では、2021年8月まで公募されていた
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の概要
- 事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】買い手支援型
- 事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】売り手支援型
について解説していきます。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の概要
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の概要は、以下の通りです。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用) | |
---|---|
支援対象者 | M&Aを活用して経営資源を他社に引き継ぐ、あるいは他社から引き継ぐ予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主も含む) |
補助率・補助上限 | 補助率:2/3以内 補助上限:400万円以内(上乗せ額:200万円以内) |
補助対象経費 | M&A仲介会社に支払う手数料やデューデリジェンスに伴う専門家費用など |
事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】買い手支援型
事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)には、買い手を支援する「買い手支援型」と売り手を支援する「売り手支援型」の2つがあります。
まずは、その2つの内の一つである買い手支援型について解説します。
買い手支援型の要件は、以下の通りです。
- 事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引き継ぎを行う予定の中小企業者等
- 経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かして経営革新等を行うことが見込まれること
- 経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用を含む地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること
このように、ただ単に経営資源を引き継ぐだけでは、補助金を受け取れないことがわかります。
また、補助対象者が法人か個人事業主か、経営資源引継ぎ形態が株式譲渡か事業譲渡かなどによって、「交付申請類型番号」や「実績報告類型番号」、「用意すべき書類」が異なるのが、本事業の特徴です。
事業継承・引継ぎ補助金(専門家活用)【Ⅰ型】売り手支援型
売り手支援型の要件は、以下の通りです。
- 事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引き継ぎを行う予定の中小企業者等
- 地域の雇用を含む地域経済全体を牽引する事業等を行なっており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること
事業承継をしたい企業が地域経済全体を引っ張っていけるような存在でないと、補助金を受け取ることが厳しくなります。
また、買い手支援型と同様に、補助対象者や経営資源引継ぎの形態に応じて、交付申請類型番号や実績報告類型番号、用意すべき書類が異なるようです。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請者要件を確認
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)には、申請者要件が設けられていたり、補助対象外になるケースがあったりします。
現在は公募が終了しておりますが、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)が再度公募される可能性もありますので、その時に備えて確認しておきましょう。
この項目の解説内容は、以下の3つです。
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請者要件6項目
- 中小企業者の定義と含まれない法人・組合
- 中小企業者でも補助対象外になる2つのケース
それぞれ詳しく解説していきます。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請者要件6項目
専門家を活用した事業承継の補助金申請者要件は、以下の6項目です。
- 中小企業、個人事業主である
- 日本国内に居住地があり、国内で事業を行なっている
- 反社会的勢力との関わりや法令遵守上の問題がない
- 経済産業省からの停止措置が出ていない
- 補助対象事業の情報が匿名で公表される場合があることに同意できる
- 補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できる
上記の申請者要件は、よほどのことがない限りは満たされます。
中小企業者の定義と含まれない法人・組合
申請者要件の一つに「中小企業、個人事業主である」とありますが、そもそも中小企業として認められない場合には申請することができません。
自社が中小企業であるかどうかを判断するためには、「中小企業基本法第2条」を確認する必要があります。
業種分類や業種詳細をチェックした上で、「資本金の額または出資総額」か「常時使用する従業員数」のどちらかの基準を満たしていれば、中小企業として申請することが可能です。
しかし、中小企業の定義に合致していたとしても、以下の法人・組合は中小企業者等に含まれないので、補助事業の対象外になります。
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
- 医療法人
- 学校法人
- 一般社団・財団法人
- 公益社団・財団法人
- 農事組合法人
- 組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合など)
中小企業者でも補助対象外になる2つのケース
中には、中小企業者として認められたとしても補助対象外になるケースも存在します。
それが、以下2つのケースです。
- 資本金または出資金が5億円以上の親会社に、直接または間接的に100%の株式を保有される中小企業者等
- 交付申請時において、申告済みの「直近過去3年分の各年」または「各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える」中小企業者等
様々な要件を満たしていたとしても対象外になることがあるので、しっかり頭に入れておきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請単位【補助金申請の主体】
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の申請単位(補助金申請の主体)によっては、補助対象外になるケースもあります。
1.同一法人から複数名の申請は不可能
補助対象となる経費を負担し、その経費に関する契約の主体となっている補助対象者1名のみが申請可能です。
また、事業承継を行う買い手と売り手がそれぞれ申請する場合も認められます。
例えば、A社がB社に事業承継を行う場合に、A社とB社の両方が「売り手支援型」または「買い手支援型」の要件にしたがって申請することは認められる、ということです。
2.複数の交付申請を行うことができないケース
売り手支援型では、申請者が異なる場合であっても、類似の補助対象事業であり、支配株主が同一である申請者は複数の交付申請を行うことができません。
なお、同じ売り手である被承継者が複数の買い手に異なる会社を引き継ぐ場合は、複数の買い手が交付申請を行うことができます。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の補助対象経費の概要
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の補助対象経費には、認められないものもあります。
つまり、「補助対象になると思っていた経費が対象外になる」ということも起こるのです。
補助対象経費として認められるためには、以下の定義に当てはまる必要があります。
- 補助対象事業に必要な経費であることが特定可能なもの(不明瞭の場合は対象外)
- 補助事業期間内で契約・発注し、支払いを済ませたもの
- 事業完了後の実績報告時に証拠書類等で金額・支払い等が確認可能なもの
これまでで解説してきた通り、事業承継の補助金は補助対象・補助対象外になる要件が複数用意されています。
そのため、細かい部分にまで目を配らないと「申請すらできない」「申請できたとしても補助対象範囲が狭い」ということが起こり得るのです。
今後、中小企業庁が再び補助金事業を行う可能性も考えられるため、その際には十分に注意して申請を行うようにしましょう。
まとめ:事業継承を行う際には専門家への相談が必須である
この記事では、事業継承で専門家を必要とする理由や事業承継の相談ができる専門家・機関についてお伝えしてきました。
- 事業承継の相談先には「国の機関・身近な支援機関・専門家」の3つがある
- 事業継承の相談ができる専門家には、「1.事業承継アドバイザー」「2.事業承継プランナー」「3.税理士」「4.弁護士」「5.司法書士」「6.中小企業診断士」「7.M&Aアドバイザリー・仲介会社」がある
- 事業承継の相談ができる機関には「1.金融機関」「2.商工会・商工会議所」「3.同業種組合」の3つがあり、公的機関には「1.事業引継ぎ支援センター」「2.中小企業再生支援協議会」「3.よろず支援拠点」の3つがある
- 事業承継で専門家を必要とする理由は「手続きの複雑さ」「専門知識不足」が挙げられる
事業承継では、会社の資産価値を評価して税金を把握、登記申請、各種書類の作成など専門知識を必要とする場面が多いです。
そのため、関係する分野の専門家への相談が必要不可欠になります。とても素人だけで進められるものではありません。
まずはマネーキャリアへご相談ください。マネーキャリアでは法人の方も無料で相談可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。
ほけんROOMでは税務や会計に関する記事を多数掲載しておりますので、興味のある方は合わせてご覧ください。