福利厚生に関する疑問
最適な情報を伝える

福利厚生

福利厚生を充実させるため法人保険への加入を考えている経営者の方も多いはずです。法人保険の活用により福利厚生だけでなく節税にもつながりますが、保険料が損金するには様々な注意点があります。このカテゴリでは法人保険の活用を中心に福利厚生について解説します。

法人保険を活用して福利厚生を充実させよう

福利厚生を充実させるために法人保険への加入を検討される経営者の方も多いのではないでしょうか。


福利厚生を充実させるために法人保険を活用すれば、保険料を福利厚生費として経費にすることができ節税にもつながります。


そのため、法人保険に加入するなら、福利厚生の充実の他に、どのようなメリットがあるのかを確認しておくことをおすすめします。


また、法人保険を福利厚生にする際には注意点もあるので、事前に確認しておかないと損失を被ってしまう可能性があります。 


このカテゴリではほけんROOMを中心に会社の福利厚生について解説していきます。


ぜひ最後までご覧ください。

福利厚生を充実させるべき理由

福利厚生を充実させるべき理由として、以下の2つがあります。


  • 従業員の将来の不安を取り除くことができる。
  • 従業員が働くモチベーションを向上させることができる。


従業員は「この会社で働いていて大丈夫なのだろうか」「もし自分が働けなくなったらどうすれば良いのだろうか」という不安を常に抱えています。


特に、病気や怪我で働けなくなった場合や、老後の生活資金の不安などがある場合、従業員はより福利厚生が充実している会社に転職しようと考えます。


そのため、福利厚生を充実させることで、従業員の将来の不安を取り除き、離職率を防ぐことにもつながります。


また、会社が十分な退職金を従業員に支払うことができれば、定年まで働き続ける意欲が生まれます。


そのため、福利厚生を充実させることができれば、従業員たちのモチベーションを上げることにもつながるのです。 

法人保険で福利厚生を充実させるメリット

法人保険で福利厚生を充実させるべき理由について、従業員の心理的な問題に焦点を当てて解説してきました。


福利厚生を充実させることは、従業員の離職を防ぎ、会社で働くモチベーションを上げるだけでなく、様々なメリットがあるのです。


そこで、ここからは法人保険で福利厚生を充実させるメリットについて、以下の4つのポイントを解説していきます。


  • 従業員の入院保障や従業員姻族への保障ができること。
  • 従業員・役員・経営者の退職金の準備ができること。
  • 福利厚生費として保険料を損金にできること。
  • 解約返戻金などを利用して資金繰りができること。 

従業員の入院保障や従業員遺族への保障

従業員を雇用している以上、従業員の怪我・病気・死亡のリスクは避けることができません。


法人保険で福利厚生を充実させると、従業員の万が一の時に備えて、以下の2つの保障を行うことができます。


  • 従業員が怪我や病気をした時に備えて入院保障をすることができる。
  • 従業員が死亡した際に備えた遺族への保障をすることができる。 


従業員が怪我や病気になってしまい、入院することになれば、その間に収入を得ることはできません。


そのため、もし怪我や病気で従業員が入院することになっても、保険に加入することでその間の生活保障を確保できることができれば安心できます。


法人が医療保険に加入をしておけば、従業員が入院した時の入院費や治療費だけでなく、見舞金も支給してくれます。


また、従業員が死亡した場合、残された遺族に対して、法人が保障を行う必要があります。


具体的には、従業員の死亡退職金を遺族に対して支払わなくてはなりません。


法人で養老保険に加入をしておけば、従業員が死亡した時の死亡退職金を支払うことができます。 

従業員・役員・経営者の退職金準備

従業員・役員・経営者が定年を迎えた時に備えて、法人は退職金を積み立てておく必要があります。


法人で保険に加入すれば、毎月の保険料を積み立てることで、従業員・役員・経営者の退職金の準備をすることができます。


例えば、養老保険に加入すると、退職金の準備をすると同時に、万が一の時の保障をすることもできます。


もし従業員・役員・経営者が退職を迎えるまでの間に死亡したとしても、死亡保険金を受け取ることができるのです。


養老保険の場合、従業員・役員・経営者が定年を迎えたら満期保険金、死亡したら死亡保険金をそれぞれ受け取ることができます。


そのほかにも、長期平準定期保険のように、従業員が退職する時に解約し、解約返戻金から退職金を支払うこともできます。

福利厚生費として保険料を損金にできる

法人保険に加入すると、保険料を福利厚生費として損金算入することができます。


保険料が損金算入されることで、法人税の課税対象額を小さくできるので、課税負担を軽減することができるのです。


保険料は全額損金算入できるものもあれば、1/2、1/3、1/4の割合でしか算入できないものもあり、割合は商品によって異なります。


ただし、保険料を損金算入できても、保険金や解約返戻金を受け取る時に益金として計上されるので、法人税を課税されてしまいます。


そのため、法人税の節税を考えるなら、保険金や解約返戻金を受け取った時の出口戦略を考えておく必要があります。


出口戦略とは、保険金や解約返戻金の使い道のことで、損金算入が認められている方法を考えることが重要です。


損金算入可能な出口戦略として、従業員の退職金や、従業員への福利厚生費、設備投資、広告宣伝費などがあります。 

解約返戻金や契約者貸付を利用して資金繰りができる

中小企業や小規模法人は運転資金に余裕がないことが多く、キャッシュフローが悪化すると倒産してしまうリスクがあります。


また、資金繰りができないと、設備投資や人材投資に十分なお金を回すことができず、事業を成長させるのが難しくなってしまいます。


しかし、法人保険に加入すると、「契約者貸付」制度を利用することで資金繰りをすることができるのです。


法人保険の解約をすると解約返戻金が払い戻されますが、「契約者貸付」では解約返戻金の一部を借り入れすることができます。


契約者貸付では解約返戻金の範囲で行われるので、銀行の融資とは異なり、審査は必要ありません。


そのため、手続きをしてから一週間ほどで借り入れることが可能で、緊急に資金が必要になった時に備えることができます。


また、銀行融資のように、毎月一定の額を返済しなければならない、といった取り決めはありません。


契約者の都合に合わせて返済できるため、一括で返済することも分割で返済することも可能です。 

福利厚生を充実させることができる法人保険

ここからは福利厚生を充実させることができるおすすめの法人保険の種類を紹介していきます。


福利厚生を目的とした法人保険は以下の3つです。


  • 定期型医療保険
  • 養老保険ハーフタックスプラン(福利厚生プラン)
  • がん保険(解約返戻金がないタイプ)

それぞれの法人保険を詳しく理解することがでれば、自社にあった法人保険を選ぶ際に役に立つはずです。

定期型医療保険

医療保険には以下の2種類があります。


  • 定期型医療保険
  • 終身型医療保険 

定期型医療保険では、5年、10年といった一定期間で保険期間を区切り、その期間内のみ保障を受けることができます。

それに対して、終身型医療保険では、一生涯保障を受けることができます。

定期型医療保険は、保険料が若い時は安く、年齢が上がるごとに高くなります。

終身型医療保険は、一生分の保険料を一定の金額に設定するため、若い時は定期型よりも保険料が高くなります。

定期医療保険は、従業員が病気や怪我をしたときに、入院費用や手術費用などの医療費のサポートをすることができます。

そのため、定期医療保険は従業員の福利厚生として活用することができるので、従業員の勤労意欲を向上させることができます。

ただし、給付金の受取人は従業員にしてしまうと給与扱いになってしまうので、受取人は法人にしましょう。

養老保険のハーフタックスプラン(福利厚生プラン)

養老保険のハーフタックスプランとは、一定の条件を満たすと、保険料の1/2を資産、1/2を損金参入することができるというものです。


ハーフタックスプランが適用されるための条件は以下の通りです。


  • 契約者:法人
  • 被保険者:役員・従業員
  • 満期保険金受取人:法人
  • 死亡保険金受取人:役員・従業員の遺族 


養老保険のハーフタックスプランでは、保険料の1/2を損金算入することができるので、課税負担を軽減できるというメリットがあります。


ただし、養老保険のハーフタックスプランが適用されるためには、被保険者が健康診断を受けることが必要になります。


また、被保険者に保険内容を説明した上で、署名・捺印してもらう必要があります。


福利厚生費にするには、原則的に全員加入する必要があるため、従業員の多い企業では負担位なる場合があります。 

がん保険

がん保険では、以下の場合に異なる給付金を受け取ることができます。


  • 被保険者が、がんの診断を受けた時:診断給付金
  • 被保険者が、がんで入院をしたとき:入院給付金
  • 被保険者が、がんに関する手術を受けた時:手術給付金
  • 被保険者が、通院している時:通院給付金
  • 被保険者が、がんで死亡した時:死亡保険金


以上からわかるように、単にがんで入院したり手術を受けたりする場合だけでなく、がんに関する様々な場合に給付金を受けることができます。


がん保険は以下の3種類があります。


  • 解約返戻金があるタイプ
  • 解約返戻金がないタイプ
  • 終身タイプ


この中でも、福利厚生に活用できるのは解約返戻金がないタイプです。


ちなみに、解約返戻金があるタイプと終身タイプは、退職金の積み立てに活用されます。


福利厚生でがん保険に加入するなら、原則的に全従業員を加入させる「普遍的加入」である必要があります。 

法人保険料を福利厚生費にする際の注意点

法人保険料を福利厚生費にすると、法人にも従業員にもメリットがあることを解説してきました。


しかし、法人保険料を福利厚生費にする場合、メリットだけでなく以下のような注意点もあります。


  • 被保険者は従業員にする。
  • 従業員に所得税が課せられる可能性がある。
  • 福利厚生規定を作る必要がある。
  • 普遍的加入に注意する。 


法人保険料を福利厚生費として計上すると、損金算入することで課税負担を軽減することができます。


しかし、福利厚生費への計上は、方法を間違えると税務署から不当な利益圧縮を疑われ、否認されてしまう原因にもなります。


そのため、法人保険料を福利厚生費にする場合には、特に税務処理には慎重になる必要があるのです。


そこで、ここからは福利厚生費とする場合の税務上の注意点を中心に解説していきます。 

被保険者は従業員にする

まず基本的なことですが、保険料を福利厚生費とするには、被保険者は従業員にする必要があります。


被保険者を従業員以外の法人にしても、福利厚生費と認められないので注意しましょう。


養老保険では、被保険者を従業員、保険金の受け取りを被保険者の家族にすると、ハーフタックスプランが適用されます。


被保険者を役員、保険金受け取りを法人や被保険者にする方法は、逆ハーフタックスプランと呼ばれます。


逆ハーフタックスプランでは全額損金算入できるので大きなメリットがありますが、法的にはグレーゾーンなので税務署から否認される可能性があります。 

従業員に所得税が課せられる可能性も

福利厚生費にする場合、保険金の受取人を誰にするかで課税対象が変わります。


保険金受取人を、被保険者である従業員にすると、法人が支払う保険料は給与扱いになります。


保険料が給与扱いになると、法人にとっては損金算入できるので課税負担が軽減できますが、従業員の給与は増えることにもなります。


従業員の給与が増えると、所得税や住民税の課税額も増えてしまうので、従業員側の税負担は重くなってしまいます。 

福利厚生規定をつくる必要がある

法人保険料を従業員の福利厚生費にする場合、会社内で福利厚生規定を作っておく必要があります。


なぜなら、従業員の保険への加入が福利厚生目的であることを税務調査の際に説明する必要があるからです。


もし税務調査の際に福利厚生規定がなければ、不当な利益圧縮であるとして、保険料の損金算入を否認されてしまう可能性があります。


そのため、福利厚生規定を作成する際は、税務署の調査官にもわかるように、法人保険が福利厚生目的であることについて明記されていなければなりません。 

普遍的加入に注意

福利厚生費だと認められるためには、「普遍的加入」である必要があります。


「普遍的加入」とは、全従業員が加入するという意味です。


そのため、一部の従業員だけが保険に加入するといった場合は、原則的に福利厚生費として認められません。


ただし、全従業員の加入はあくまでも原則であるため、例外的に一部の従業員のみ加入する場合であっても福利厚生費として認められることがあります。


通達によると、「合理的な基準により普遍的に設けられた格差」であると認められれば、一部の従業員のみ加入でも普遍的加入として認められます。


例えば、勤続年数が一定以上の社員のみ加入できる、上位の役職者ほど保険金額の上限も上がるといったことです。 

法人保険以外で福利厚生を充実させるおすすめの方法

法人保険以外で福利厚生を充実させるなら、共済を利用することをお勧めします。


福利厚生を充実させられる共済制度として、以下の2つがあります。


  • 中小企業退職金共済
  • 小規模企業共済


中小企業退職金共済は、法人が加入することで、国から退職金の援助を受けることができます。


小規模企業共済は、個人事業主や役員が事業を廃止したり、退職した場合に、積み立てた解約手当金を退職金として受け取れます。


いずれも資金繰りが苦しくなりがちな中小企業や小規模企業を対象としたものです。


中小企業や小規模企業で退職金の積み立てを行うとキャッシュフローが悪化してしまう原因にもなってしまいます。


しかし、これらの共済に加入すると、国からの援助を受けられたり、税制上の優遇を受けられたりするのです。 

福利厚生を充実させて安心して働ける職場に

従業員の福利厚生を充実させることで、従業員の将来の不安を払拭し、勤労意欲を向上させることができます。


そのため、福利厚生を充実させることは安心して働ける職場にする上で大切なことですが、同時に法人にとってもメリットがあります。


福利厚生費に保険料を計上することで、損金算入することができるため、課税負担を軽減することができます。


ただし、普遍的加入や福利厚生規定について注意しないと、税務調査で否認されてしまう可能性があります。


特に、福利厚生規定については専門家が作成する必要があるため、税理士や社会保険労務士などに相談するといいでしょう。


ほけんROOMでは、読んでおきたい法人保険に関する様々な記事を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。 

1