資産管理会社でも事業承継税制は利用できる【専門家による徹底解説】

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資産運用管理会社は原則的に事業承継税制を受けることができません。しかし、資産運用管理会社でも一部要件を満たすことで事業承継税制を受けることができます。本記事では資産運用会社が事業承継税制を受けるために満たすべき要件についてくわしく解説します。

▼この記事を読んでほしい人
  • 資産管理会社の経営者および後継者
  • 資産管理会社の従業員や関係者
  • M&Aにより資産管理会社を承継する人
▼この記事を読んでわかること
  • 資産管理会社であっても要件を満たすと事業承継税制が利用できる
  • 事業承継税制を受けるための要件がわかる
  • 注意点を理解することで事業承継税制の正しい利用方法がわかる

内容をまとめると

  • 資産管理会社であっても、一定の要件を満たすことで事業承継税制が適用される
  • 資産管理会社は、資産保有型会社と資産運用型会社の2種類がある
  • 資産管理会社の判定フローは、形式要件と事業実態要件で判定する
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事業承継税制の適用条件「中小企業の要件」5項目を確認


ここでは、中小企業が「事業承継税制を受けるための5つの要件」を確認していきます。


中小企業庁の事業承継税制についてを参考にしています。


1つ目は、相続が始まった場合8か月以内に申請することです。


事業承継税制をうけるには、都道府県知事の認定が必要です。


8か月以内の期限があるので遅れずに申請することが求められます。


注意点として、相続税を申請する手続き(10か月以内)と違うことです。混同しないようにしましょう。


2つ目は、前経営者に求められる要件です。

  • 会社の代表権があったこと
  • 会社で前経営者と親族などで50%を超える議決権を持っていて、前経営者が親族などの中で最も多くの議決権を持っていること

3つ目は、後継者(相続を受ける人)に求められる要件です。

主に以下の2つが求められます。

  • 相続が始まった翌日から5か月が経った時点で、会社の代表権を持っていること 
  • 相続が始まったとき、会社について後継者と親族などで50%を超える議決権を持っていて、後継者が親族などの中で最も多くの議決権を持っていること

4つ目は、会社に求められる要件です。

以下は「中小企業税制を受けられない6項目」になります。


以下の項目にあてはまらなければ、事業承継税制の適用を受けることができます。あてはまる場合は、事業承継税制の適用は受けることができないです。


  1. 上場会社 
  2. 中小企業にあてはまらない会社 
  3. 資産管理している会社 
  4. 風俗営業している会社 
  5. 総収入金額がまったくない会社 
  6. 従業員数がいない会社 


5つ目は、担保についての要件です。


事業承継税制の適用を受けるために担保提供が必要です。


といっても、不動産などの担保ではないです。多くの場合は、納税猶予を受けるための相続対象となった「非上場株式を担保提供」します。

資産管理会社と勘違いして事業承継税制を受けなかった例


ここでは、資産管理会社と間違った認識をもってしまい事業承継税制を受けなかった例を見ていきましょう。


【A社と税務署員の申告時のやりとり】

A社は、税務申告時に税務署員より以下の助言を受けます。

  • 経営している会社がアパートを建築すると、すべての資産の70%が自ら使用していない資産になること
  • その場合には資産管理会社に該当すること
  • 資産管理会社に該当すると、事業承継税制が受けられないこと

税務署員がパンフレットをもとに説明した内容にも、資産管理会社の同じ説明がありました。


しかし、説明が不足している部分がありました。それは、資産管理会社(一定の要件を満たすもの)という説明のカッコ書きの部分です。



結論として、A社は事業承継税制を受けられます。(資産管理会社の例外の適用によるもの)


理由をつぎに解説していきます。

原則資産管理会社は事業承継税制を適用できないが例外がある

原則として「資産管理会社」は事業承継税制を適用することができないです。


しかし、例外(一定の要件を満たすことで適用できる)があるので以下で内容を確認します。

  1. 従業員が常に5名以上いる(後継者を含む親族以外)
  2. 親族以外の従業員が働いている、店舗や工場、事務所やそのほかの固定した施設を持っているか、賃貸している
  3. 贈与がされた日か経営者が亡くなった日において、3年以上事業をしている(租税特別措置法規則の第23条の9第5項に規定する業務)
また、事業の内容(租税特別措置法規則の第23条の9第5項に規定する業務)については次のいずれかの条件を満たしているものです。
  1. 商品販売が継続して行われている
  2. 商品販売するために資産を所有しているか賃貸をしている
  3. 1.2に記載した業務に類似するもの
結論として、資産管理会社であっても上記のように一定の要件を満たすことにより、例外として事業承継税制を適用することができることがあります。

勘違いが起きてしまった事例とその原因

なぜ「事業承継税制は利用できない」という勘違いが起きてしまったのでしょう?


勘違いが起きてしまった事例と原因を確認していきます。


例)A社は創業30年の飲食店を経営しているケース

 

現在所有している土地にアパートを建築すると、保有資産が総資産の総額の70%以上となります。 


そのため、「資産管理会社となる」と判断して事業承継税制を受けなかった例です。


資産管理会社とは、自らが使用しない不動産や現金・預金などの資産が、全体の資産の70%を超える会社のことを言います。


税務申告のために税務署員から受けたアドバイスでも、「資産管理会社に該当する」との説明を受けています。


そのため、事業承継税制を受けることができないという認識をもったのです。


しかし、その説明時には「資産管理会社が事業承継税制を受けられる例外(注意書き)の理解」が抜けていたのです。


事業承継税制は基本的に、一般事業会社が受けられるものです。しかし資産管理会社でも例外として適用することができます。


勘違いする原因

  • 原則で決まっている資産管理会社の事業承継税制を受けられないというイメージが大きい
  • 例外適用(一定の要件を満たすと事業承継税制が受けられること)の表示が簡略化されたり、但し書きでの表示が多いため見落としてしまう
自信の知識不足や相談する人によっては事業承継税制を受けられるメリットを損なってしまうこともあります。

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前述したとおり、知識不足や相談する人によっては会社にとって大きな不利益を与える場合があります。


今回のケースでは「資産管理会社の事業承継税制の例外適用ができる」ことを見逃してしまうことです。


もし、知らずにそのまま手続きを受けると、会社経営が苦しくなってしまう事も考えられます。


なので、大切なことは知識が豊富な「専門家」に相談することです。


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資産管理会社の判定フローで事業承継税制を適用できるか確認

ここでは資産管理会社が判定フローにおいて事業承継税制を受けることができるかという点を確認していきます。


資産管理会社とは、「全体の資産のうち70%以上が特定資産の会社」を言います。


特定資産とは、本業に直接関係しない資産のことです。例えば、有価証券や自社で利用していない土地などです。


代表的な資産管理会社としては、賃貸するための不動産を多く持つ会社があげられます。


資産管理会社は前述したとおり原則的に「事業承継税制」は適用されないです。  


しかし、一定の要件を満たすことで「事業承継税制」を適用できる場合があります

  1. 従業員が5名以上
  2. 事業所や店舗を所有、賃貸している
  3. 3年以上継続して商品などを販売している

という内容を満たし、事業の実態が確認できるケースでは事業承継税制を受けられる可能性があります。


また、資産管理会社は大きく分けて2つあります。

  1. 資産保有型会社
  2. 資産運用型会社

詳細についても以下で解説していきます。


さらに資産管理会社の判定フローには、「形式要件」と「事業実態要件」の2つの要件があるので、くわしく見ていきましょう。

形式要件についてわかりやすく解説


では資産管理会社を判定していくための、形式要件についてわかりやすく解説していきます。


形式要件とはなにか?


形式要件とは、決まった計算式にあてはめることによって、資産管理会社(資産保有型会社なのか資産運用型会社)に該当するかどうかを判定することです。


形式要件で資産管理会社でない場合(対象外)

形式要件で資産管理会社でない判定だと、事業承継税制を受けられます。そのため事業実態要件のフローの確認は必要ありません。


形式要件で資産管理会社と判定された場合(対象)

形式要件で資産管理会社と判定された場合は、つぎに事業実態要件に進みます。この時点ではまだ事業承継税制を受けられることは決定していないです。


つぎに、資産保有型会社と資産運用型会社のそれぞれの判定フローを確認していきます。

資産保有型会社の判定

まず資産保有型会社の判定フローを見るていきましょう。


資産保有型会社とは、すべての資産のうち特定資産を保有している割合が70%以上ある会社のことです。


特定資産とは、有価証券や自社で使っていない不動産、現預金のことを言います。


つまり資産保有型会社とは、事業活動(本業)で得る収入より、資産を運用して収入を得ることを目的として資産を保有している会社のことです。


賃貸不動産を多く持つ不動産会社などは、資産保有型会社にあてはまる可能性が出てきます。


「資産保有型会社」を判定する計算式


特定資産の帳簿価額 ÷ すべての資産の帳簿価額 = 70%以上

資産保有型会社となる場合(例)


特定資産が7,000万円 ÷ すべての資産が1億円 = 70%以上であり該当


改めて説明しますが、資産保有型会社の形式要件にあてはまったとしても、次のステップの「事業実態要件」をクリアすることで事業承継税制の適用を受けることが可能となります。

資産運用型会社の判定

つぎに資産運用型会社の判定フローです。


資産運用会社とは、すべての収入のうち特定資産の運用収入が75%以上ある会社のことです。


特定資産の運用収入で代表的なものは、株式の配当収入、不動産からの家賃収入や預金利息収入が上げられます。


「資産運用型会社」を判定する計算式


特定資産の運用収入 ÷ すべての資産の運用収入 = 75%以上

資産運用型会社となる場合(例)

特定資産の運用収入が8,000万円 ÷ 全資産の運用収入1億円= 80%以上であり該当する

特定資産の運用収入についての注意点


それは特定資産を譲渡したときの収入が計算に含まれるのですが、特定資産の集計に含まれるのが、譲渡益ではなく譲渡した価額そのものが運用収入となります。


表の例では譲渡価額1億円が、特定資産の運用収入となります。

金額特定資産の運用収入
譲渡価額1億円○(該当する)
譲渡益1,000万円
×(該当しない)

※譲渡益が出ていない場合(譲渡益がゼロ)も、譲渡した場合は譲渡価額(1億円)が運用収入として計算されるので注意が必要です。


前述した資産保有型会社と同様に、「資産運用型会社」の形式要件にあてはまったとしても、次のステップの「事業実態要件」をクリアすることで事業承継税制の適用(納税猶予)を受けることが可能となります。

資産保有型会社・資産運用型会社の判定時期

ではどのタイミングで資産保有型会社や資産運用型会社と判定されるのか?


その内容を確認していきましょう。

資産保有型会社の判定タイミング

後継者へ株式を譲り渡すとき(贈与もしくは相続)の前年の、事業年度開始する日から納税猶予の期限が正式に決まる日までの、いずれかの日です。


名称年月日
事業年度開始日2020年1月1日
納税期限決定日2021年12月31日
判定タイミング2020年1月1日~2021年12月31日のいずれかの日


いずれかの日に該当して、以下の計算式にあてはまると「資産保有型会社」と判定されます。

特定資産の帳簿価額 ÷ すべての資産の帳簿価額 = 70%以上

資産運用型会社の判定タイミング

後継者へ株式を譲り渡すとき(贈与もしくは相続)の前年の、事業年度開始する日から納税猶予の期限が正式に決まる日までの、いずれかの事業年度です。  

名称年月日
事業年度開始日2020年1月1日 
納税期限決定日2021年12月31日
判定タイミング2020年度か2021年度のいずれかの事業年度

いずれかの事業年度に該当して、以下の計算式にあてはまると「資産運用型会社」と判定されます。    

特定資産の運用収入 ÷ すべての資産の運用収入 = 75%以上

判定タイミングでの大きな違いは、資産保有型会社は「いずれかの日」、資産運用型会社は「いずれかの事業年度」という違いがあります。

形式要件に含まれる「特定資産」を指す5つの資産


ここでは「形式要件」に含まれている「特定資産」の5つの要件を確認していきます。


特定資産は、経営承継円滑化法に定められていて、以下の通りになります。

  1. 有価証券等
  2. 現在利用していない不動産(賃借しているものも含む)
  3. ゴルフ上のその他施設の利用に関する権利
  4. 絵画・彫刻・工芸品等の動産



  5. ・貴金属や宝石
  6. 現金・預貯金またそれらに類する資産

特定資産とは、カンタンに言うと本業(自社が行っている事業)と関係ない資産となります。

例えば、飲食店を経営している人が保有している株式やゴルフ会員権、賃借しているアパートなどの不動産が「特定資産」にあてはまります。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

①有価証券等

有価証券等とは、金融商品取引法で決められています。

  • 国債証券(国が発行している)
  • 地方債証券(都道府県が発行している)
  • 株券(会社が発行している)
  • 子会社株式(親会社があり関連ある子会社が発行している)

これらが有価証券等に該当します。


ただし子会社株式については有価証券等から除かれる場合があります。


除かれるケースは「資産保有型会社」や「資産運用型会社」にあてはまらない会社、詳しく言うと「特別子会社」である場合です。


「特別子会社」とは、経営者と親族(同族関係)で合計して議決権の50%を保有している会社と外国会社のことを言います。


内容をまとめると、本業とは関係しない資産である、株式の配当や値上がり益などは特定資産とします。


しかし、事業投資が目的の子会社の株式保有については、本業と関係がある(本業が投資のため)ので特定資産としないという判断になります。

②現在利用していない不動産(賃借しているものも含む)

現在、自社で持っていて利用していない不動産(賃借している不動産も含む)も特定資産となります。


くわしい具体例は以下のとおりです。

  • 現在企業活用にほとんど使用されていない不動産
  • 販売目的でもっている不動産
  • 役員が利用している社宅(会社で利用せず第三者に貸していると判断されるため)
役員社宅と混同をさけるべきは従業員社宅です。

従業員社宅の考え方では、自社利用していると判断されるため、特定資産となりません。注意が必要です。

つまり特定資産となるのは、自社利用(事務所・店舗・工場・従業員の社宅など)以外の不動産です。

1棟の建物で「自社利用」と「自社利用以外」がわかれている場合は、まず1棟の価額を出します。

1億円(1棟の価額) ÷ 100㎡(床面積) = 100万円(1㎡あたりの価額)    

つぎに床面積を合理的と判断できる割合で按分(割合に応じて計算すること)します。

自社利用している場所

700㎡ × 100万円(1㎡あたりの価額) = 7,000万円(自社利用部分の按分価額)

自社利用してない場所

300㎡ × 100万円(1㎡あたりの価額) = 3,000万円(自社利用以外の按分価額)

賃貸する不動産を多く抱える不動産会社は「資産保有型会社」と判断されるケースが多いと考えられます。

しかし、事業実態要件を満たすことができれば資産保有型会社に該当しないとみなされるケースもあります。

③ゴルフ場のその他施設の利用に関する権利

特定資産のなかには、「ゴルフ場やその他の施設を利用するための権利」も含まれます。


ゴルフ会員権を販売業者が販売するために保有しているケースは、事業と関連性があるので特定資産には該当しないです。


しかし顧客の接待用としてゴルフ会員権をもつ場合には注意が必要です。


営業開拓したい先でありそのために接待するという目的でも、本業とは関係ない資産と判定されます。


つまり特定資産に該当するということです。

④絵画・彫刻・工芸品等の道産・貴金属や宝石

形式要件における特定資産のなかには、絵画や彫刻、工芸品等の動産または貴金属や宝石も含まれています。


このような資産を販売目的で保有している場合は、本業に関連するため特定資産から除外されます。


しかし社長室に飾られている絵画などの贅沢品は、自社で保有していると判断され特定資産に該当します。

⑤現金・預貯金またそれらに類する資産

現金や預貯金が特定資産に該当します。また、預貯金と同様にみなされる保険積立金なども該当します。


さらに、後継者や同族の関係者への資産も該当します。

  • 貸付金
  • 未収金
  • 預け金
  • 差入保証金
  • 立替金
現金や預金は事業で貯めたものだし、事業と関連するから特定資産ではないのでは

という疑問が出てくると思います。今まで説明してきた、「事業との関連性」から考えると特定資産には該当しないように思えます。

しかし、会社によっては余剰に現金や預金をため込む事業社もあります。

そういった会社を規制するためにも、現金や預金などの資産を特定資産と決めています。

そのため、キャッシュが多い会社は資産管理会社に該当するケースが出てきます。

また外国会社は、同族関係者の範囲に含まれています。

外国会社とは、特別の関係がある人にすべての議決権の50%以上を保有されている会社のことを言います。

特別の関係がある人は以下のとおりです。
  • 後継者
  • 後継者の親族
  • 後継者と婚姻関係はないが生活を共にしているなど

事業実態要件

つぎに事業実態要件について見て行きます。  


形式要件では贈与や相続をするときに、一定条件があてはまり「資産保有型会社」や「資産運用型会社」とみなされていても、事業実態があること(商品を継続的に販売しているなど)で、「資産保有型会社」や「資産運用型会社」に該当しないと判断されるケースがあります。


その場合は、事業承継税制を受けられる(適用対象)ことになります。


事業実態要件は3つあり、すべてを満たしている必要があります。

  1. 3年以上継続して商品の販売実績がある会社
  2. 常に働いている人が親族以外で5人以上いること
  3. 従業員が働いている事務所や店舗、工場などを所有または賃貸していること

併せて特別子会社も1~3に該当するケースでは、資産保有型会社や資産運用型会社に該当しないとされています。


1つずつ詳しい内容を確認してきましょう。

要件①3年以上商品販売などの事業を継続して行っている

実態要件の1つ目は、贈与か相続を行う日までに3年以上継続して事業を行っていることです。


業務の種類は以下の通りです。

  1. 商品販売(商品販売はもちろんのこと、役務を提供すること、資産の貸付を継続的に行って対価をもらっている場合に該当する)
  2. 商品販売を行うために不動産の所有または賃貸をしている(従業員が働いている事務所は除く)
  3. 1.2の業務に類似するもの

1の商品販売には、不動産業(テナントビル・アパートなど)の賃貸・管理が含まれています。


しかし、後継者や同族の関係者へ不動産を貸付けする場合は、事業活動に該当しないです。事業実態要件を満たさないことになります。


条件を満たすのは、あくまでも第三者へ不動産貸付けをした場合です。


第三者へ賃貸するための不動産を多くもつ不動産会社は、資産保有型会社や資産運用型会社となるケースが多いです。


ただし不動産会社の中でも3年以上事業を継続しており、その他の事業実態要件を満たすことで、事業承継税制のを適用でき、納税猶予のメリットを受けることができます。

要件②常時使用の親族外従業員数が5人以上

実態要件の2つ目は、常に働いている従業員が5人以上いることです。


注意点としては、後継者と親族は従業員には含められないという点です。


では従業員の数を計算するときの決まりはどうなっているのか?


それは、原則として「社会保険に加入しているか」で判断されます。


従業員として該当するケース

  • 社会保険加入済みの従業員(生計別の親族含む)
  • 75歳以上の従業員(社会保険加入はできないが2ヶ月以上の雇用契約ある場合)
  • 社会保険加入済みのパートタイマー
※パートタイマーの社会保険加入義務…1週間の労働時間と1ヶ月の労働時間が正社員の75%(4分の3)以上働いていたら社会保険に加入する必要があります。

従業員として該当しないケース

  • アルバイト(社会保険の被保険者とされないから)
  • 社長(社会保険加入していても該当しない)
例)実態要件を満たすケース 
社長、フルタイム従業員4名、パートタイマー(社会保険加入済み)1名、アルバイト1名の場合を考えます。

この場合は、従業員として認められるのは
  • 「フルタイム従業員の4名」
  • 「パートタイマー(社会保険加入済み)1名」
なので、実態要件5人以上を満たします。

例)実態要件を満たさないケース
社長、フルタイム従業員4名、アルバイト1名の場合を考えます。

この場合は、従業員として認められるのは
  • 「フルタイム従業員の4名」
なので、実態要件5人以上を満たしていないです。

要件③従業員の勤務する事務所や店舗、工場などを所有・賃借している

実態要件の3つ目は従業員が働いている事務所や店舗、工場など所有・賃貸していることです。


注意点として親族以外が働いている場所の不動産でなければ、要件に該当しないとみなされます。


例えば自宅です。さらに事業以外で所有・賃貸している物件なども該当しないです。


自社で保有しているビルで、従業員が働いているという場合は実態要件を満たしています。

納税猶予の取り消し事由について解説


非常に注意が必要です。それは「納税猶予の取り消し事由」についてです。


詳しく解説していきます。


納税猶予の取り消し自由には、「資産管理会社に該当することになった」というものがあります。


つまり、1度「資産管理会社には該当しない」と判定されていても、実態要件を満たさない状態になると、「資産管理会社に該当する」に変わります。


すると、事業承継税制が受けられず結果的に「納税猶予の取り消し」につながります。


具体例(納税猶予取り消し事由)

従業員が5人以上という要件において当初条件は満たしていても、従業員が1人辞めて4名になる場合を考えます。


その場合、5人以上の従業員要件を満たしていない事になるため「納税猶予の取り消し事由」に該当します。


事業承継税制の取り消し事由の種類

  1. 納税猶予がはじまって開始5年(経営承継期間)だけ制限されるもの
  2. 5年経ったあとも納税猶予が免除されるまで制限がないもの

「事業承継税制の取り消し事由」には、経営承継期間の5年間だけでなく、期限がないものもあるので注意する必要があります。

資産運用管理会社に一時的に該当してもすぐには納税義務が課されない

平成31年度の税制改正により、もし「資産管理会社」に一時的に該当してもすぐには納税義務が課されなくなりました。


大きな改正点としては、6か月の猶予期間が与えられた点です。


改正前は、納税猶予がはじまったあとに「資産管理会社」に該当したらすぐに納税猶予が取り消され、税金を払う必要がありました。


しかし改正後は、納税猶予がはじまった後に「資産管理会社」に該当しても、6か月の猶予期間が設けられたのです。


詳しい内容を確認していきましょう。

平成31年度税制改正【納税取り消し事由の緩和措置】

では平成31年度の税制改正における納税取り消し事由の緩和措置を詳しく見ていきます。


ポイントは前述したとおり、6か月の猶予期間が与えられた点です。

【改制前】

  1. 一定のやむを得ない事情により資産管理会社に該当
  2. 納税猶予が取り消される
  3. すぐに税金を払う必要がある

【改制後】 

  1. 一定のやむを得ない事情により資産管理会社に該当 
  2. 6か月の猶予あり(※改正されたポイント) 
  3. 6ヶ月以内に資産管理会社に該当しなくなった 
  4. すぐに税金を払わなくてよい

適用されるのは平成31年4月1日より後に、「やむを得ない事象」が生じたときです。


もともとの制度で納税猶予を受けている会社が、5年以内と5年経過後も「資産管理会社」に該当した時点で、納税猶予は取り消されていました。

資産保有型会社の判定上やむを得ない場合

資産保有型会社の判定上やむを得ない場合とはなにか?


主に2つあります。

  • 会社の事業を続けていく上で借入れを行ったこと
  • 事業で使用していた資産を譲渡したり、その資産について生じた損害に対する保険金取得
以上のケースが発生して、すべての資産のなかで特定資産の割合が70%以上となった場合を考えます。

その際は、やむを得ない事象が発生した日から6ヶ月経過するまでは資産保有型会社に該当しないと判断されます。

資産運用型会社の判定上やむを得ない場合

資産保有型会社の判定上やむを得ない場合とはなにか?


代表的なものは以下のとおりです。

  • 会社の事業を続けていく上で必要な資金を得るための特定資産の譲渡など

以上のケースが生じたことにより、すべての売上高に対する特定資産の運用収入が75%以上となった場合を考えます。


その際は、やむを得ない事象が発生した事業年度から、その事業年度末の翌日以後、6ヶ月を経った日の事業年度までの「各事業年度」は、資産保有型会社に該当しないものと判断されます。

まとめ:資産管理会社でも例外的に事業承継税制を受けられる

ここまでの記事をまとめると、


資産管理会社でも、例外的(一定の要件を満たすこと)に事業承継税制を受けられるということです。


資産管理会社には「資産保有型会社」と「資産運用型会社」の2種類があります。


一定の要件には、「形式要件」と「事業実態要件」の2つの要件があります。


2つの要件を満たすと事業承継税制が適用されて、納税猶予ができます。


平成31年度で事業承継税制が改正(緩和)されて、納税猶予している資産管理会社が、該当しなくなった場合でも6ヶ月の猶予期間が与えられています。


原則的に事業承継税制が受けられないというイメージが強い「資産管理会社」ですが、正しい制度の理解が大切です。


なぜなら、納税猶予の手続きを行うために必要不可欠だからです。


納税猶予ができるかどうかは資金繰りに大きく影響します。


今後の事業運営に大きく影響する内容なので、しっかり理解し活用していきましょう。

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