更新日:2023/07/20
事業承継ネットワークとは?活動状況や都道府県別の事例も詳しく解説
事業承継ネットワークをご存知でしょうか?経営者の高齢化が進み、事業承継の時期が近づいていても、準備を行っている企業は少ないのです。それを支援するために発足したのが事業承継ネットワークです。活動状況や県別の事例などをご紹介します。
内容をまとめると
- 事業承継ネットワークは事業承継に対する「気づきの機会」を作るために発足した機関
- 事業承継診断を行い、必要な企業に支援を行うことが目的
- ネットワークの利用も行いつつ、資金準備も早めに取り掛かることがおすすめ
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目次を使って気になるところから読みましょう!
- 事業承継ネットワークの概要をまとめ
- 事業承継ネットワークの事業目的と背景
- 事業承継ネットワークの構成メンバー
- 事業承継ネットワークに取り組んでいる自治体
- 事業承継ネットワークの3つの事業内容
- 事業内容①:都道府県の支援体制を整備する
- 事業内容②:事業承継診断を実施する
- 事業内容③:支援の連携体制を構築する
- 事業承継ネットワークの主要事業!事業承継診断の概要をまとめ
- 事業承継診断はPDCAサイクルに沿って実施
- 事業承継診断の実施件数は4万件以上
- 事業承継ネットワークの活動状況を都道府県別の事例で紹介
- 事例①:静岡県では地域を挙げて事業承継の仕組み作りに励んでいる
- 事例②:栃木県ではモデル地域を設置して重点的な支援を行っている
- 事例③:石川県では記名式アンケートを実施してニーズを探っている
- 事例④:愛知県ではトライアル支援を導入している
- 事例⑤:群馬県ではホームページで事業承継診断を実施できる
- 事業承継ネットワークが今後取り組むこと
- 事業承継を成功させるには早めの行動がカギとなる!
- 事業承継ネットワークの事業内容や活動状況に関するまとめ
目次
事業承継ネットワークの概要をまとめ
中小企業の大きな課題として挙げられる事業承継ですが、最近「事業承継ネットワーク」というものが発足されたことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
どのような事を行っているのか気になる方も多いのではないでしょうか?
事業承継ネットワークの概要として、
- 事業目的と背景
- 構成メンバー
- 取り組んでいる自治体
についてご紹介していきたいと思います。
事業承継については早めに取り組むことでリスクを回避することが可能と言えるため、概要を理解し、しっかりと活用していくことがおすすめです。
事業承継ネットワークの事業目的と背景
事業承継ネットワークの目的は、中小企業で大きな課題となる事業承継に対する「気づきの機会」を作ることです。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
経営者の高齢化が進むと、その会社をどうするのかが問題となります。誰に承継するのかなどを事前に決めておかなくてはいけませんが、このような作業があまり進んでいないのが現状です。
事業承継が上手くいかずに廃業になってしまう会社が増えると、
- 雇用の減少
- 倒産による国の巨額の損失
などが発生し、日本経済に大ダメージを与えてしまう事になるのです。
事業承継ネットワークはこのような事態を回避するために設置されたもので、中小企業の事業承継を推し進めるための機関とも言えます。
早めに事業承継の準備を進めていくことで、倒産や廃業を回避することができるため、まずは気づきの機会を与え、さらにその後の支援に繋げていくことを目的としています。
事業承継ネットワークの構成メンバー
構成メンバーは以下のようになっています。
役割 | 構成メンバー |
---|---|
支援策の立案・とりまとめ | 都道府県 市区町村 |
事業承継診断等の実施 | 金融機関 商工会 商工会議所 中央会 仕業など |
支援策の実施 | 中小機構地域本部 事業引継ぎ支援センター ミラサポ等の士業等専門家 経済産業局・財務局 信用保証協会 よろず支援拠点・再生支援協議会など |
構成メンバーからかなり大規模な事業であることが分かります。
計画の立案は各都道府県などが行っているため、住んでいる地域ごとに取り組みに多少の違いが見られます。そのため、事業承継ネットワークを活用する際には、会社の所在地によってどのような取り組みが行われているのかをチェックする必要があると言えます。
事業承継ネットワークに取り組んでいる自治体
事業承継ネットワークはまだ全国展開していません。現在取り組んでいる自治体は19の県です。
- 岩手県
- 宮城県
- 栃木県
- 群馬県
- 千葉県
- 神奈川県
- 静岡県
- 愛知県
- 岐阜県
- 三重県
- 石川県
- 福井県
- 広島県
- 山口県
- 徳島県
- 香川県
- 愛媛県
- 熊本県
- 大分県
で取り組まれています。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
また、事業承継ネットワークとは別に、県が独自の事業として行っているものもあり、
- 青森県
- 秋田県
- 福島県
- 島根県
でも同じような事業が設立されています。
この4件も含めて全国協議会が結成されています。
今後取り組んでいる自治体を増やしていく予定となっており、全国展開を目指しています。
事業承継ネットワークの3つの事業内容
事業承継ネットワークが設立された目的などはわかりましたが、実際にどのような事を行っているのか確認しておきたいですよね?
計画を立てるのは都道府県などの自治体ごとのため、細かい部分に違いはあるかもしれませんが、主な事業内容は知っておいて損はないと思います。
事業内容としては、
- 支援体制の整備
- 事業承継診断の実施
- 支援連携体制の構築
が挙げられます。
それぞれどのような内容となっているのか、確認していきましょう。
事業内容①:都道府県の支援体制を整備する
支援体制の準備は、都道府県などの自治体が支援するためのネットワークを作成していくことを指しています。関係者間でもネットワークを繋げることで、認識共有も行っていきます。
最終的に「地域再編・統合の旗振り役」となることを目標に掲げているのです。
また、事業承継支援に係る情報発信として、
- ポータルサイトの開設
- 成功事例集の作成
などを行い、情報の共有を促すことを行っています。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
情報があればある程度自分の会社がどうなるのか予想しやすくなりますよね?事業承継を進める際に役立つ情報が得られると言えるのです。
事業内容②:事業承継診断を実施する
事業内容のメインと言えるのが、事業承継診断の実施です。
支援の必要性を見極めるために行われる診断で、必要な場合にはどのような支援が必要なのかも検討していきます。経営者のニーズを掘り起こすために行うのです。
実施するにあたり、フォーマットの作成なども行われます。どの機関で診断を受けても同じ結果が出るように、フォーマットを作成し、共有しておく必要があるのです。
事業承継診断を行った結果、どのような支援が必要なのかを分析していきます。それぞれ必要な専門家・専門機関に支援を依頼することになります。
診断結果や支援状況はまとめられ、公表されることになっています。
事業内容③:支援の連携体制を構築する
支援の連携体制を作ることも事業の一環となっています。
事業承継を個人で準備するとなるとかなり大変な作業になってしまいます。そのため、専門家などと連携をとることで、スムーズに進めることができるようになるのです。
しかし、個人で専門家に依頼するとなると、どこに依頼するべきなのかから考えなくてはいけません。また、事業承継のケースによって必要な専門家も違ってきます。
そこで、
- 支援機関に対する情報の共有や研修の実施
- 専門家派遣制度と連動した支援体制の構築
- 専門家の発掘やリスト化
などを行うことで、多様なニーズに答えるようにしているのです。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
しっかりとした支援を行うためにも、専門家などとの連携は重要と言えるのです。
事業承継ネットワークの主要事業!事業承継診断の概要をまとめ
事業承継ネットワークの主要となるのが、事業承継診断です。この診断を行うことで何が必要となるのかを認識することができるようになるのです。
事業承継を考えている経営者には重要な事業内容となるため、どのような概要となっているのか確認しておきたいですよね?
- PDCAサイクル
- 実施件数
がポイントと言えるのですが、それぞれどのような事なのか解説していきます。
事業承継診断はPDCAサイクルに沿って実施
事業承継診断は「PDCAサイクル」を意識して、徐々に細かい部分へ対応できるようにしています。
- P:計画
- D:実行
- C:評価
- A:改善
とし、最後の「改善」が行われるとまた「計画」に回り、継続的に改善をして行く方法です。
診断ではそれぞれ、
- フォーマットの作成
- 診断を実施し、支援フォローの仕組みを構築
- 結果をまとめ、支援状況を検証
- 結果を公表し、事業承継診断に反映させる
これを繰り返していくことで、支援が充実していくことに繋がるのです。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
徐々に何を必要としているのかを掘り起こしていき、支援へとつなげていきます。
事業承継診断の実施件数は4万件以上
事業承継診断を実施した件数は、平成29年度で45,852件に上っています。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)1年間で4万件以上も実施されており、事業承継の不安がある経営者が多いことが分かります。
4万件の中の47%ほどは支援の必要が無いと判断されていますが、半数以上は何らかの支援が必要、あるいはすでに支援を行っている状態となっています。
診断を行った半分以上で事業承継に対して何らかの課題を抱えていることになるのです。
この件数の多さからも、事業承継ネットワークのような事業を上手く活用した方が良いことがうかがえます。
事業承継ネットワークの活動状況を都道府県別の事例で紹介
事業承継ネットーワークでは、計画を立てるのは都道府県などの自治体ごとになっているため、進み方や活動状況などが地域によって差があると言えます。
そのため、自分の会社の地域ではどのような活動状況となっているのかを知っておく必要があると言えるのです。
ここでは都道府県別の活動状況をいくつかご紹介したいと思います。
- 静岡県
- 栃木県
- 石川県
- 愛知県
- 群馬県
の実際の活動状況を見ていきましょう。利用する際の参考にしてください。
事例①:静岡県では地域を挙げて事業承継の仕組み作りに励んでいる
静岡県では「自主目標」を各構成員で設定することにより、事業承継診断件数を大きく上げることに成功しています。7月から11月の集中期間だけでも目標の2倍を達成することができました。(参考:中小企業庁・事業承継ネットワークの取組と今後の支援について)
診断時の方法やその後の対応のために、現場ですぐに活かせるスキルなどを習得するための研修会を開き、構成機関のスキルアップも行っています。地域を挙げての事業承継の仕組みづくりに励んでいると言えるのです。
診断実施後には専門家との相談なども行われるのですが、これをスムーズにつなげるために「専門家リスト」の作成も行っています。
このリストには名前や連絡先だけでなく、得意分野なども載せておくことで、それぞれに合った専門家を素早く探すことができるようにしています。
今後も診断後のフォローや構成機関のスキルアップを行っていく予定です。
事例②:栃木県ではモデル地域を設置して重点的な支援を行っている
栃木県ではモデル地域を設定し、その地域を重点的に対象として診断を実施しています。
「事業承継支援プロジェクトチーム」を構築し、事業承継コーディネーター・金融機関等でそれぞれの連絡会を開くことで、情報交換などが行いやすいようにしています。さらに、モデル地域全体会議を開催することで、定期的な情報交換が行える基盤を作っています。
会議ではどのような支援を行ったかなどの実際に起こした行動の情報も共有し、専門家との話し合いも行われています。
今後は伴走型支援を踏まえ、事業承継診断シートの利用促進やスキル向上支援を行っていく予定です。
事例③:石川県では記名式アンケートを実施してニーズを探っている
石川県では独自に記名式アンケートを実施し、それぞれのニーズを探っています。目標件数が562件だったのに対し、674件の診断を実施しています。
回答後、個別相談を望んだ企業にはそれぞれ対応をしています。対応先としては、
- 事業引継ぎ支援センター
- よろず支援拠点
などです。
対応する際には代表者とのコミュニケーション向上のために、同行ヒアリングなどが行われています。
今後は、解決のための対応として、
- 相互連携の強化
- 支援窓口の設置
- 支援を行うためのルール
整備 - 事例集作成
などが行われる予定です。サポート体制が徐々に手厚くなっていくことが予想されます。
事例④:愛知県ではトライアル支援を導入している
愛知県ではトライアル支援として試験的に事業承継診断を実施し、さらにその実施した結果をもとに支援モデル事例を作成し、参考として公表しています。トライアル支援を行うことで、実践を積み、人材育成にも励んでいます。
専門家及び顧問税理士、商工会経営指導員などの関係者が経験を積むことができ、今後の支援のためのスキルアップを目指しています。
また、事業承継診断説明会を開催することで、診断の実施に繋げる努力をしています。
ネットワーク構築の初期段階から専門家の意見を取り入れ、さらに金融機関と事務局が連携を整えてからの実施となったため、スムーズに診断することが可能となっています。
事例⑤:群馬県ではホームページで事業承継診断を実施できる
群馬県ではホームページで事業承継診断の実施が可能となっています。
あくまで簡易的な診断ですが、ホームページから診断ができるようにすることで、気軽に活用することができます。気軽にできるため利用者数は多く、簡易的な診断で事業承継に興味を持った企業が自ら相談をするような仕組みを構築することに成功しています。
事業承継診断強化月間の取り組みとして、新聞広告などを利用して大々的に事業承継診断の必要性などをアピールしています。
宣伝効果と簡易診断の成果として、群馬県では診断実施件数が1万件を突破する勢いとなっています。事業承継ネットワークの中でもトップの診断実施件数です。
事業承継ネットワークが今後取り組むこと
発足されてから日が浅いため、事業承継診断が実施されてもその結果をフォローする支援体制が十分とは言えない状況です。また、ネットワークに参加している都道府県もまだ19都道府県となっています。
今後の取り組みとしては、
- 事業承継ネットワークの全国展開
- プッシュ型事業承継支援高度化
- 事業承継補助金
などを目指していく予定となっています。
まずは事業承継ネットワークの参加都道府県数を増やし、全国に展開することを目標とします。事業承継問題はどの都道府県でも多くあると言えるため、なるべく早く全国展開することが望ましいと言えます。
診断数を増やしていき、特に早急な支援が必要と思われる地域や業種を見極め、集中的にプッシュ型事業承継支援を行っていく予定となっています。的確な事業承継支援の実施を目指すことで、廃業となってしまう企業の救済を行っていきます。
事業承継補助金として、経営革新や事業転換などに取り組むことを条件に必要な費用の支援も行っていく予定です。
事業承継を成功させるには早めの行動がカギとなる!
事業承継は大きな課題として挙げられていますが、成功させるには早めの取り組みがカギとなります。
後継者の育成には時間がかかるため、早期に行動を起こす必要があるのです。
また、後継者だけでなく、資金の準備も必要となります。事業承継を行う際には税金などが多くかかるため、多額の資金を準備しなくてはいけないのです。
多額の資金はすぐに確保できるものではありません。時間をかけて準備する必要があるため、資金面からみても早めの行動がカギと言えるのです。
資金準備の方法としては、死亡保険金や解約返戻金のある法人向け生命保険がおすすめです。解約返戻金を事業承継時の資金に充てることができるのです。
利用目的がしっかりと決まっているため、法人保険を選ぶのはそこまで難しくないと感じるかもしれませんが、無料でプロに相談できるならば一度プロの意見を聞いてみたいですよね?
マネーキャリアには法人保険に詳しい専門家も多数在籍しています。相談料は何度でも無料となっているので、事業承継の資金準備で悩んでいる方は一度マネーキャリアで相談してみることがおすすめです。
事業承継ネットワークの事業内容や活動状況に関するまとめ
いかがでしたか?ここでは事業承継ネットワークについてご紹介しました。
事業承継ネットワークは、最近大きな課題として挙げられている事業承継について、経営者にしっかりと理解してもらうために発足した機関です。
今はまだ準備するには早いと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、後継者の教育などには10年程かかるともいわれています。早めに取り掛からないと「廃業」となってしまう可能性もあるのです。
まだ早いと感じても、事業承継ネットワークを利用して事業承継診断を行い、自分の会社がどのような状況なのかを把握しておくことがおすすめです。
事業承継には多額の資金も必要となります。事前に準備が必要となるため、資金準備に悩んだらマネーキャリアでプロに相談してみてください。
ほけんROOMでは他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。
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