逆ハーフタックスプランで節税は危険!仕組みとリスクを詳しく解説

全額を損金として計上できるとされている逆ハーフタックスプランですが、節税目的で契約する場合に発生する様々なリスクがあります。法人向け養老保険の基本的な仕組みから逆ハーフタックスプランの仕組みやリスクについて解説していきます。



▼この記事を読んで欲しい人
  • 逆ハーフタックスプランとは何か知りたい方
  • 逆ハーフタックスプランを利用しようか迷っている方
  • 逆ハーフタックスプランにおける経理処理方法について知りたい方
  • 逆ハーフタックスプランでのリスクや実際に起きたトラブルについて知りたい方


▼この記事を読んでわかること
  • 養老保険の仕組み
  • ハーフタックス、逆ハーフタックスプランの仕組み
  • 逆ハーフタックスプランにて節税を行う場合のリスクや注意点
  • 逆ハーフタックスプランをめぐって実際に起きたトラブル
  • マネーキャリアやマネードクターも検討するべき

内容をまとめると

  • 逆ハーフタックスプランとは、保険金の受け取りが養老保険とは全て「逆」の仕組みの保険のこと
  • 逆ハーフタックスプランは、支払い保険料を「全額損金」にできるため、節税効果が高いと言われている
  • 逆ハーフタックスプランは、現在ほとんどの保険会社が取り扱っていないプランである
  • 逆ハーフタックスプランのような不明確な法人保険でお困りであれば、マネーキャリアの無料法人保険相談がおすすめ!

【前提知識】法人の養老保険とは?



法人の養老保険とは、役員や従業員を被保険者として「会社」が契約する保険のこと。会社に所属する全従業員が加入が条件とされ、別名「福利厚生プラン」とも呼ばれています。


養老保険は、役員や従業員が死亡した場合、

  • 「死亡保険金」が「従業員の家族」に支払われる
保険の満期を迎えた場合は
  • 「満期保険料」が「会社」へ支払われる
仕組みの保険です。


法人で養老保険に加入するメリットは大きく3つです。


  1. 従業員の「万が一」に備えることができること
  2. 満期時は保険金を「退職金」として活用できること
  3. 養老保険に支払った保険料の1/2を「福利厚生費」として経費にできること

詳しく解説します。


養老保険の「死亡保険金」は、従業員の「万が一」に備えることができます

役員や従業員が死亡した場合、従業員の遺族に死亡保険が支払われるため「死亡退職金・弔意金」として活用できるからです。


また、養老保険が満期を迎えた際の保険金を「退職金」として活用できます

会社側が「退職金」を備えることで、福利厚生の充実度を高められるだけでなく、従業員が安心して働ける環境を作り出せます。


さらに、養老保険に支払った保険料の1/2は「福利厚生費」として経費にできます。

経費に計上できるということは、節税対策につながります。

 

つまり、養老保険は、万が一のリスクに備えつつ、将来必要になる費用を貯蓄し、節税対策にもつながる保険と言えるでしょう。

逆ハーフタックスプランの仕組みをわかりやすく解説



冒頭でも「逆ハーフタックスプランは様々なリスクがある」とご説明しました。

一体「逆ハーフタックスプラン」とはどういった仕組みの保険なのでしょうか。


逆ハーフタックスプランを簡単に説明すると、通常の養老保険とは法人保険の「契約形態」が「逆」になったもの


通常の養老保険は、

  • 被保険者の死亡時→「従業員の家族」が保険金を受け取る
  • 保険満期時→「法人」が保険金を受けとる


一方で逆ハーフタックスプランは、

  • 被保険者の死亡時→「法人」が保険金を受け取る
  • 保険満期時→「従業員」が保険金を受けとる

上記内容の仕組みです。


つまり、通常の養老保険の保険料の受け取りが「逆」になったものが「逆ハーフタックスプラン」です。


法人が逆ハーフタックスプランに注目するのは、支払った保険料を「全額を損金にできる」からです。

損金とは、法人税を計算するときに所得から差し引けるお金のこと。損金が大きくなると、所得が少なくなるため、所得にかかる法人税が少なくなる仕組みです。  

逆ハーフタックスプランの契約形態

ここからは、通常のハーフタックス(=養老保険)と逆ハーフタックスプランにおける契約形態の違いについて解説します。


▼ハーフタックス(=養老保険)の場合

契約者法人
被保険者役員・従業員
死亡保険金の受取人法人
満期保険金の受取人役員・従業員


▼逆ハーフタックスの場合

契約者法人
被保険者役員・従業員
死亡保険金の受取人役員・従業員
満期保険金の受取人法人


上記の様に、ハーフタックスと逆ハーフタックスでは満期保険金の受取人と死亡保険金の受取人が逆になっています。


「受取人が逆になると何がいいの?」と思う方も多いでしょう。

実は、受取人が逆になることで、会社は支払った保険料を「全額損金」にすることが可能です。


通常の養老保険は、「貯蓄」目的の保険でもあるため、支払保険料の1/2は「資産計上」する必要があります。


 一方で、逆ハーフタックスプランは、保険料の1/2を「支払い保険料」として損金化し、残り1/2は「給与」として損金化することが可能です。

 この仕組みが叶うのは、満期時の保険料を「従業員」を受け取る仕組みだからです。 


逆ハーフタックスプランで満期を迎えた際、 保険料を受け取るのは従業員「個人」です。

これを「給与」として扱うことができため、会社は保険料の1/2を損金として扱うことができます。


ここからは、逆ハーフタックスプランの経理処理の方法について詳しく解説します。

逆ハーフタックスプランの経理処理方法

逆ハーフタックスプランとは、

  • 保険料の1/2→「支払い保険料」として損金に計上
  • 残りの1/2→従業員や役員への「給与」として損金に計上

上記のように「全額を損金で算入」できることで大きな節税効果をもたらすものです。


しかし、「給与」の損金の計上は

  • 役員報酬の場合
  • 役員貸付金の場合
どちらに当てはまるかで、経理処理の方法が異なります。
詳しく解説します。

役員報酬の場合

役員報酬(給与)とは、法人税法上の”役員”にあたる方々へ企業から支払われるお金です。
保険料の1/2を役員報酬にする場合は、支払い保険料を「全額損金算入」が可能です。

ただし、 役員報酬を受け取る方に「所得税」・「住民税」が課税されます。

役員貸付金の場合

 役員貸付金とは、法人から役員へお金を貸しつけているお金のこと。
例えば、
  • 一時的な役員報酬
  • 法人から引き出した資金の個人的利用
などの場合に利用されます。

保険料の1/2を「役員貸付金」にする場合は、支払い保険料の1/2が損金として計上されます。 
ただし、役員は法人に対し「返済」を行う必要が出てきます。

経理の方法は、細かく確認すると処理の方法が変わっている場合もあります。
経理処理の際は注意が必要ですね。

節税に逆ハーフタックスプランを利用する活用方法


逆ハーフタックスプランの契約形態は、 


  • 保険契約者:法人 
  • 死亡保険金受取人:法人 
  • 満期保険金受取人:役員または従業員

 このように、死亡時の保険金を「法人」が受け取り、満期保険金を従業員や役員などの「個人」が受け取る内容です。


支払った保険料の 1/2が「保険料」、1/2が「給与」として「全額損金」となり、法人として高い節税効果が期待できる内容です。


満期保険料を受けとる個人は、1/2は給与として「課税対象」となりますが、裏を返せば「1/2」は課税されません。


保険満期時には、満期保険金が「一時所得」として、所得税が課税されます。


一時所得の計算式は、以下のように計算されます。


  •  <(満期保険金ー給与とされた保険料)ー50万円>×1/2


計算式に当てはめると、実質1/2未満ほどしか課税されないことから、所得が大きい人にとては「給与」として収入を得るよりも、保険を経由するすることで税負担を抑えられるメリットと言えるでしょう。


しかしながら、逆ハーフタックスプランはメリットばかりではありません

途中解約する場合などのデメリットも踏まえておくべきと言えます。

逆ハーフタックスプランのリスク


逆ハーフタックスプランは、企業にとって節税にもってこいのプランに見えますが、もちろんメリットだけでは無くデメリットも存在します


例えば、逆ハーフタックスプランには以下のようなリスクが存在します。


  1. 福利厚生目的の保険として合理性がないため税法改正のリスク 
  2. キャッシュフローが悪化するリスク

企業としてリスクをしっかりと理解し対策を講じることが、逆ハーフタックスプラン活用の重要なポイントとなります。


代表的といえる上記のリスクについて詳しく解説していきます。

①福利厚生目的の保険として合理性がないため税法改正のリスク

逆ハーフタックスプランは、税法上の不明瞭(グレーゾーン)となっている部分を 利用したプランといえます。

福利厚生目的の保険として合理性がない為、税務否認のリスクが存在しうるからです。


ハーフタックスプランは税法上のはっきりとした通達のない契約形態です。

要するに逆ハーフタックスプランの全額損金扱いについては税法上の根拠が無く、合理性に欠けていると言えます。


特に税務当局が、逆ハーフタックスの「全額損金扱い」を問題視しており、否認のリスクが非常に高くなっています。

その為、多くの保険会社が取り扱いをやめており実際に逆ハーフタックスプランを利用した保険商品については 、2014年以降ほとんどが販売を停止しています。  


こればかりは予兆が無く、経済の動向などからは予見しにくい分野となる為、最悪のケースも含めた、余裕を持った資産確保やプランニングをしていかなければいけません。


実際に税法上の根拠があるわけでは無い為、今後逆ハーフタックスにて全額を損金扱いとする手法を封じる新たな税法が課税庁から通達されるリスクが考えられます。

②キャッシュフローが悪化するリスク

逆ハーフタックスプランは、支払った保険料の2分の1の額を給与又は役員報酬として処理できますが、満期まで保険金を受け取る事ができません


つまり、企業に対して滞りなく資金を貸し付けられる余裕が無いと、資金繰りができなくなり、自身の会社が倒産する可能性もあります


さらに、従業員や役員の給与とした場合は住民税・所得税の負担が大きくなります。

その為キャッシュフローが悪化し、現金不足に陥ってしまう可能性があります。


大きくなった税負担は法人の「雑収入」と相殺することができない為、住民税・所得税の負担が残り、特に役員など高額な所得となる、税負担率が高い方程大きな影響を受けることになります。

逆ハーフタックスプランは大きな節税効果が期待できますが、企業としての税負担は、経営初期の予想よりも大きくなると言えるでしょう。


予期せぬキャッシュフローの悪化を防ぐ為にも、企業として十分な財源の確保や先を見据えた経営プランニングが必要です。

逆ハーフタックスプランが事件に?実際にあった裁判の事例を紹介


逆ハーフタックスプランは節税効果を期待できる反面、リスクや活用方法などをしっかり把握していないと大きな問題になりかねません。


ここからは、納税者と税務当局にて実際に裁判まで発展したケースを紹介します。


養老保険契約に基づくと、被保険者に支払われた「満期保険金」は被保険者の「一時所得」となります。

この裁判は、満期保険金である「一時所得」が、給与所得として課税されていない法人負担分の支払い保険料も控除できる額に含まれるのか否かについて、裁判になった事例です。


裁判の事案は下記の2つです。

  1. 福岡高裁にて2009年7月29日判決
  2. 福岡高裁にて2010年12月21日判決


1については最高裁にて2012年1月13日判決、2については最高裁にて2014年1月16日判決で結審しました。


先ほど税法改正のリスクについて記載したように、逆ハーフタックスプランの税法上の扱いは不明瞭な部分があります。


この裁判は、納税者と税務当局で見解が相違したことが原因でおこった裁判と言えます。

早速事例を詳しくみていきましょう。

裁判の論点

今回の裁判における論点は、法人が支払った保険料が、納税者側の「一時所得」において「控除」対象の「収入を得るために支出した金額」に該当するか、しないかという点です。


通常のハーフタックス(=養老保険)では支払い保険料の「半分」を損金として計上することができます。

一方で、逆ハーフタックスプランでは支払い保険料の「全額」を損金として計上できるとされています。

その為、逆ハーフタックスプランは大きな節税効果を期待できる仕組みです。


法人側からすれば、節税効果が期待できるものプランですが、

  • 税法上「控除される範囲」はどこまでなのか
  • 「損金として計上できる保険料」の線引きはどこまでか

など、不明瞭になっている部分が多々ある状態でした。


このグレーな部分を明確にしたいのが、「税務当局」です。

特に当時は、「満期保険金」を受け取った際の税務が明確でなかったことから、納税者側と税務当局で主張の食い違いが生じてしまいました。


逆ハーフタックスプランに不明瞭な部分が存在する以上、主張の食い違いが生じるのは避けられない事態だったと言えるでしょう。

納税者と税務当局の主張

ここからは、それぞれの主張を解説します。


【納税者側の主張】

所得税法の第34条第2項には一時所得の金額計算する上で、「その収入を得るために支出した金額を控除できる」旨が記載されています。


この所得税法に基づき納税者側は、「収入を受け取った本人が負担したものしか控除できないとは明記されていない」と主張しました。


また、所得税法施行令第183条第2項2号には、「生命保険契約等にかかる保険料、または掛け金の総額を一時所得としての計算上、控除できる」旨が記載されています。

これらに基づき、納税者側は本人の負担分しか控除されないという記述が無いこと主張しました。


納税者側の主張を金額で明記すると、以下のようになります。


  • 満期保険金:3000万円
法人が支払った保険料のうち 
  • 「保険料」として損金された金額:1500万円
  •  「給与」として損金された金額:1500万円
満期保険金を受け取ったのは、納税者側です。
しかし、その保険料を支払ったのは「法人」です。

しかし、納税者側は、法人の支払った「保険料」を損金として処理しているため、「保険料が全額控除されるべきだ」と主張しました。


【税務当局側の主張】


税務当局側は、「一時所得」の金額を計算する場合、控除される保険料の金額は、

  • 満期保険金を「受取人が負担した保険料」
  • 事業主が負担した保険料で「給与課税された保険料」

に限ると主張しました。


税務当局の主張を金額で明記すると、以下のようになります。

  • 満期保険金:3000万円

法人が支払った保険料のうち

  •  「保険料」として損金された金額:1500万円 
  •  「給与」として損金された金額:1500万円

このうち、「給与」として損金された分は控除の対象になりますが、「保険料」として損金された分は控除できないと主張しました


つまり、納税者側は、法人が支払った保険料も「収入を得るために支出した金額」だと主張し、税務当局は、法人が支払った保険料は「収入を得るために支出した金額」ではないという主張しました。

最高裁での結論

最高裁の判決では、税務当局側の主張が認められ、納税者の主張は認めれられませんでした。


2011年に行われた税制改正にて、「一時所得金額を計算する場合に控除される保険料の金額の計算」を以下のように改定しました。


「事業主が負担した保険料の内、控除できる金額は給与所得にかかる収入金額に限る」

引用:所得税法施行令183条


つまり、法人が負担した保険料のうち、控除できる金額は「給与」にかかるもののみで、「保険料」に対しては控除の対象外ということ。


最高裁の判決から、税務当局の主張に加え、税制改正に従うよう納税者へ通達する結果となりました。


しかし、この税制改正が実施されたからといって、逆ハーフタックスにおける不明瞭な部分が完全に払拭されたわけではありません。

今後、新たな税法改正が行われ、逆ハーフタックスプランに対して法的な規制が実施されるリスクは残っていると言えるでしょう。

まとめ:法人保険の専門的な内容を知りたければまずは保険のプロに相談を!

逆ハーフタックスプランは通常、半分しか損金扱いできない保険料が全額を損金として扱えるとされている為、節税効果が高く企業としても大きな利益となり得る契約形態です。


かつて、逆ハーフタックスプランは節税効果が得られることから、多くの企業が利用していました。

しかし、現在ではほとんどの保険会社が取り扱いをやめ、加入できないプランとなっています。


税法上の扱いが不明瞭となっている部分もあり、

  • 裁判ケースになり得るリスク
  • 今後税法改定があるリスク
  • キャッシュフロー悪化のリスク

など様々なリスクが潜んでいることも理由のひとつでしょう。


企業としては、逆ハーフタックスプランに限らず、法人にかかる税金と個人にかかる税金の双方を鑑みた上で、長期的なプランニングをする必要があると言えるでしょう。


法人の税金を軽減させることに執着してしまい、法人を赤字にしてまで過度な役員報酬を支払うケースなどはリスクのある典型的な事例です。


このように多くの中小企業がとっている節税対策は間違っている可能性が高い為、専門的な保険の知識を有した法人保険のプロに相談することをお勧めします。


マネーキャリアでは、養老保険などに限らず保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください!

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