終身保険の経理処理をわかりやすく解説!法人にメリットはある?

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法人の終身保険における経理処理、皆さんは正しく理解しているでしょうか。この記事では、終身保険に関する経理処理の基礎知識や、終身保険に加入することの税務上のデメリットを解説しています。お金に関することなので、ここでしっかり知識を身につけましょう!

内容をまとめると

  • 終身保険の保険料の経理処理は日本円で支払うか外貨建てかどうかで異なる
  • 保険金や解約返戻金を受領した際の経理処理は一部を損金として計上することが可能
  • 税務上は終身保険の加入はデメリットがある
  • 加入済みの終身保険の見直しは「マネーキャリア」がおすすめ

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終身保険の経理処理をわかりやすく解説!


法人の終身保険に加入している、あるいは加入を検討中の皆さんに質問です。


経理処理のこと、正しく理解できていますか?


お金に関係することなので、きちんと知識を身につけておいて損はないですよね。


そこで今回は、終身保険にまつわる経理処理について

  • 終身保険で支払う保険料はどう経理処理するの?
  • 死亡保険金や解約返戻金を受け取った際はどう経理処理するの?
  • 名義変更時はどう経理処理するの?
  • その他の経理処理を知りたい!
  • 終身保険に加入するのは税務上おすすめできない?税デメリットをご紹介!
  • 保険の見直しや税理対策をしたい方にはこちら!
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、終身保険の経理処理や加入自体のデメリットを理解することができるはずです。

すでに加入済みの方にも今加入を検討している方にも重要な内容ですので、最後までぜひご覧ください。

終身保険の保険料の経理処理(外貨建て保険の場合も解説)

まずは法人の終身保険の保険料をどう経理処理するのか見ていきましょう。


▼通常の終身保険の場合


終身保険など貯蓄性のある保険において支払う保険料は、「保険料積立金」として全額資産計上となります。


「保険料」という計上項目であれば経費として扱われますが、保険料積立金は資産として扱われてしまうのです。


ただし、特約を付随したことによる増加分の保険料は損金計上となります。


損金とは、平たく言うならば業務に関しての必要経費と扱われるような費用です。


▼外貨建て終身保険の場合は?


外貨建ての場合は、日本円で保険料を支払うことがありません。


そのため、支払い当日の為替レートが関わってくるようです。


外貨建て終身保険の保険料は

保険料積立金=外貨建ての保険料×保険料支払日の為替レート


このようにして算出された保険料積立金を、資産計上する必要があります。

死亡保険金・解約返戻金受取時の経理処理

続いては、終身保険で死亡保険金や解約返戻金を受け取った際の経理処理を見ていきましょう。


▼通常の終身保険の場合


ポイントとなるのは「死亡保険金・解約返戻金の総額と保険料積立金(=過去に払い込んだ保険料の総額)における差額」です。


この差額には2つのパターンがあるので、確認していきましょう。


①「死亡保険金・解約返戻金>保険料積立金」


差額は「雑収入」という計上項目で、益金として経理処理されます。


益金とはざっくり言うならば、税務上「利益」として扱われるものです。


②「死亡保険金・解約返戻金<保険料積立金」


差額が「雑損失」という計上項目となり、損金として経理処理されます。


▼外貨建て終身保険の場合


基本的な考え方は変わりません。


ただやはり外貨建てでは、為替レートが鍵となります。


死亡保険金を受け取る際は

雑収入/雑損失(差額)=死亡保険金×保険金受取日の為替レートー保険料積立金

解約返戻金受取時は

雑収入/雑損失(差額)=解約返戻金×返戻金受取日の為替レートー保険料積立金

このように差額を計算してください。

死亡保険金の受取人を「個人」にしている場合の経理処理

ポイント①個人受取だと損金算入になる

保険金を法人が受け取る場合は、保険料が資産と見なされてしまうため、節税効果は期待できませんでした。しかし、個人受取の場合の保険料は損金算入となるのです。

貸方借方
資産の種類給与・報酬 200万円
現金・当座預金:200万円


会社としては、保険料を支払うことで年間200万円資産が減少していき、さらに会社に保険金が入ってくることはないため、この金額は損金算入されることになります。


また、加入した保険に特約などが付帯している場合、特約部分で発生する保険料も同様に、損金算入することができます。


ポイント②解約返戻金が「給与」として課税となる場合に注意

解約返戻金を受け取った際に利益が発生すると、経理処理上では被保険者の「給与」と見なされ、「所得税」の課税対象となる場合があります。

 以下の条件を1つでも満たしていると、所得税の支払いが必要です。

  • 終身保険の被保険者が特定の役員・従業員となっている
  • 特定の役員・従業員が特約による給付金の受取人である
  • 受け取る解約返戻金が保険料の支払い総額を超過している
解約返戻金を受け取るタイミングでの、企業としての出口戦略を明確にしておかないと、税金対策に失敗してしまうことになりかねないので注意が必要です。

退職して名義変更をしたときの経理処理

役員や従業員の退職などに際して、法人名義の終身保険を個人に名義変更することもあるでしょう。


その際の経理計上がどうなるのでしょうか。


▼通常の終身保険の場合


知っておくべきこととして、名義変更時には終身保険を契約する上で得た全ての権利を役員や従業員へ譲渡することになります。


終身保険の譲渡額は、解約返戻金相当です。


この解約返戻金額が法人の退職規定などの範囲内におさまっていれば、退職金と合わせて損金計上することができます。


ただし超過する場合は、損金として扱うことが認められない可能性があるのでご注意ください。


なお保険料積立金は取り崩し、退職所得に関する源泉徴収税額を「預り金」として負債計上します。


そして生じた差額を「雑収入」・「雑損失」の項目で益金・損金として算入しましょう。


▼外貨建て終身保険の場合

解約返戻金×返戻金受取日の為替レート+現金の退職金=保険を含めた退職金総額

こちらを損金計上してください。


以降は通常の終身保険と同様です。

その他の終身保険に関する経理処理

上記で羅列した以外にも、終身保険で経理処理が必要な事態は多々あります。


例えば、

  • 払済保険に変更した
  • 保険料の支払い方法が所定のもの など
このような場合です。

それぞれを簡単に説明していきます。

払済保険に変更した場合

まずは終身保険を払済保険へと変更した場合です。


こちらに関しては、国税庁「保険料等」でも説明されています。


払済保険に変更した場合も、その譲渡額は解約返戻金と同程度です。


その解約返戻金相当の金額と、資産として計上している終身保険の保険料の金額との間に差額が生じます。


この差額を益金・損金として算入してください。


ただし例外があります。


終身保険の保険料が全額「役員や使用人の給与」として扱われるケースは上記には当てはまりませんので、注意が必要です。

保険料の支払いが短期払い・全期前納の場合

続いては解説するのは、保険料の支払いにおいて

この形式を選択しているケースです。

上記のような方法で保険料を支払う際の経理処理は、平準払い(一定の保険料を支払い続ける方法、一般的な支払い方法がこれに該当)と同じように行ってください。

要するに短期払いや全期前納払いで支払った終身保険の保険料についても、項目を「保険料積立金」として全額資産計上する必要があります。

法人として終身保険に加入するメリットとは?

ここまで終身保険の経理処理について解説してきましたが、法人として終身保険に加入するメリットがあるかどうかについて解説していきます。


法人として終身保険に加入することで得ることができるメリットは以下になります。

  • 保障がずっつ続くため事業リスクに備えることができる
  • 保険料が一定のため将来の支出を算出しやすい
  • 契約者貸付制度を利用できるようになる

それでは上記4つを詳しく解説していきます。

①保障が一生涯のため事業リスクに備えることができる

最初のメリットは事業リスクに備えることができるという点です。終身保険に加入してる際に、経営者が死亡ししまった場合に死亡保険金を受け取ることができます。


この時に受取人を法人にしていると、経営者が死亡した際に起こるリスクをカバーすることができます。経営者が死亡したことにより、起こると考えられるリスクは以下になります。

  • 金融機関などの取引先の取引条件が厳格化する可能性
  • 企業の一時的な信用力の低下
  • 経営者が抱えていた借入金の返済要求

このようなリスクが発生した場合に、終身保険の死亡保険金で資金準備をすることでリスクに対応することが可能です。

経営者が死亡した後も事業を継続させていくために資金準備は予めしておく必要があるでしょう。

②保険料が一定のため将来の支出を算出しやすい

続いては終身保険の保険料の制度がメリットになるという点です。終身保険の保険料は加入時から支払う保険料は一定になります。なぜなら終身保険には保険の更新が無いためです。


このような仕組みにより将来的に支払う保険料を見積もることも可能です。将来の支出を可視化することで、どの程度将来的に資金が必要なのかの経営判断により合理性を持たせることができると言えます。


またこの際に保険料が割高だと感じる際には、別の生命保険に再加入することも検討できるため、一度加入済みの生命保険の見直しをすることをおすすめします。

③契約者貸付制度を利用できるようになる

最後は契約者貸付制度を利用できるようになるという点です。こちらの制度は、生命保険を契約している方が資金が必要な際に解約返戻金の範囲内で保険会社から借入をすることができる制度です。


こちらの制度は契約している生命保険を解約することなく利用することができます。つまり保障を継続させながら、資金調達をすることが可能な制度です。


こちらの制度を利用するには保険契約者本人であることが条件になります。保険契約者の家族や親族などが利用することはできません。

税務上の終身保険に加入するデメリット


ここまで終身保険の加入により得ることができるメリットについて解説してきましたが、そもそも終身保険に加入することは法人にとって税務上利点にあることなのでしょうか?


いいえ、実はむしろマイナス要素がたくさんなのです!


ここではデメリットとして

  • 保険料が損金計上できない
  • 解約返戻金によるリスクの存在
以上2点をご紹介していきます。

節税目的で今から終身保険に加入しようとしておられる方は、特に以下の内容をしっかりチェックしてください。

①保険料は1円も損金として計上できない!節税効果なし

まず保険料の経理処理についてです。


前述の通り、保険料は資産計上されてしまいます。


つまり損金として1円たりとも計上できないのです。


損金は先ほども説明しましたが必要経費に類似する費用を指します。


損金として計上できれば、それらは法人税の課税対象から外されることとなるのです。


しかし保険料は損金の対象外。


預金の計上項目が「保険積立金」と名を変える以外の変化はありません。


つまり節税効果は一切見込めないのです。


なお損金として扱われるものについては、国税庁「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
にてご確認いただけます。

②解約返戻金によって赤字リスクが伴う

2つ目のデメリットは解約返戻金の受け取りに関係するものです。


実は解約返戻金を受け取ることそのものに、赤字となるリスクが潜んでいます。


解約時に返戻金を

  • 返戻率100%以上で受け取る=払い込んだ保険料総額以上
  • 返戻率100%未満で受け取る=元本割れしている

以上2パターンを分けて見ていきましょう。


返戻率が100%以上の場合


多額の解約返戻金を受け取ったとしても、保険料積立金が取り崩されるのみ。


ここから役員や従業員の退職金を支払うとなれば、損金が多くなり赤字になってしまいます。 


返戻率が100%未満の場合


返戻率が100%未満のうちに解約するということは、「会社の手元にお金が足りていない」つまりキャッシュフローが悪化していることが考えられます。


それを改善するために終身保険を解約して返戻金を受け取るわけです。


解約するとこれまでの保険料積立金が取り崩しになり、返戻金分のキャッシュが資産計上されます。


しかし、返戻率が100%未満ということは「解約返戻金<保険料積立金」です。


そのなかから退職金などの雑費用が生じ、解約返戻金受取前よりも雑損失は多くなります。 


キャッシュフローを改善するために終身保険を解約するはずが、結果として赤字に近づいてしまうのです。

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終身保険は、節税としては不向きであることがご理解いただけたのではないかと思います。


「今一度保険の見直しをしたい」「経理処理に関してわからないことがある」など、さまざまな悩みや疑問が出てきた方もおられるでしょう。


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まとめ


法人向けの生命保険である終身保険について、経理処理や節税として利用できるのかなどを解説してきましたがいかがだったでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 終身保険の保険料は、全額資産として計上される
  • 保険金などを受け取る際は、益金・損金の扱いになる
  • 法人から名義変更する際も、益金・損金の扱いになる
  • 終身保険は経理処理において保険料が損金計上されないため、節税として利用できない
  • 解約返戻金の受け取りには、赤字になるリスクがつきまとう
  • 法人保険の相談はマネーキャリアにお任せ!
でした。

経理処理に関する知識は、法人の運営において必須です。

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