事業承継税制にはデメリットがある?事業承継税制の仕組みを解説

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事業承継税制というのはご存知でしょうか?事業承継をする際にかかる納税を猶予してくれる制度です。これを利用するには複雑な条件、手続きがありデメリットが大きいと思われるのですが実際はどうなのでしょうか?本記事で事業承継税制について詳しく解説します。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 事業承継税制を受けようか迷っている人
  • 事業承継税制のメリット・デメリットを知りたい人
  • 事業承継税制の申請方法がよく分からない人

▼この記事を読んでわかること
  • 事業承継税制を受けることで税制面において得られるメリットは大きい
  • 事業承継税制では納税においてメリットもあるがデメリットも確認しておくべき
  • 事業承継税制の申請は4ステップで完了

内容をまとめると

  • 事業承継税制は制度が難しく、利用しにくいという声が多い
  • 事業承継税制を受けるには、スタートから5年の事業継続期間が必要
  • 事業承継税制は申請手続きが難しい
  • 事業承継税制には特例措置がある
  • 納税の猶予が取り消された場合、利息を付けて一括返済しなければならない
  • 事業承継税制の申請前に免除事由と取り消し事由に加えて、資産管理会社には適用されないことを確認しておく
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目次を使って気になるところから読みましょう!

事業承継税制は制度が難しく利用しづらい

こんにちは。マネーキャリア編集部FPの西田です。


先日、50代の経営者の方から以下の相談を受けました。


「事業を継承するにあたって、納税を猶予してくれる事業承継税制を利用してみたいと考えています。しかし、事業承継税制は制度が難しい、利用しにくいという声を聞くことも少なくありません。実際のところ、どうなのでしょうか?」


事業承継税制は制度が複雑であることや、手続きが煩雑であることから、デメリットが多いと言われることも少なくありません。


また、猶予が打ち切りになってしまうと、猶予税額を利息を上乗せして一括で納める必要があるため、猶予の適用を受けられたからといって安心できるとも限らないようです。


そこで、本記事では、事業承継税制について詳しく解説していきます。事業承継税制のメリット・デメリットに加えて、申請の流れについても説明しますので参考にしてみてください。


本記事が、事業承継税制の利用を考えている方の参考になりますと幸いです。

事業承継税制の制度概要について詳しく解説

事業承継税制のはじまりは、2009年度の税制改正によって導入された非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例と言われています。


中小企業の経営者のなかから、「先代の事業を引き継ぐにあたって、莫大なコストがかかって大変」という声は少なくありませんでした。


事業承継税制を利用すると、事業の引継ぎ後に要件を満たしている場合、納税は実質的に免除になります。


例えば、創業者が2代目に事業を承継すると、将来的に2代目が3代目に事業を承継する際、2代目に課されている税金を免除してもらうことができます。


事業承継税制が打ち出された当初、中小企業の事業引継ぎがスムーズになることで、日本経済が安定することも期待されていました。日本において企業の99.7%が中小企業であるため、中小企業の経営状況は日本経済全体に大きく関係するのです。


しかし、事業承継税制度の対象となる経営者からは「難しすぎてよく分からない」、「メリットよりもデメリットの方が多いのでは?」という声が少なくなく、現在においても利用件数は少ないままです。この制度は利用者にとって使いやすいように改定が重ねられていますが、使いにくいというイメージをもたれることが少なくないのです。

事業承継税制を受けるための条件とは?

税制面において優遇される事業承継税制。しかし、事業承継税制を受けるためには条件を満たしている必要があります。


事業承継税制を受けることのできる条件のポイントとして、
  • 経営者側の条件
  • 会社にかかる条件
  • スタートから5年の事業継続期間が必要
  • 5年経ってもすぐには税金免除を受けられない
を挙げられます。

以下、事業承継税制を受けるための条件について詳しく解説していきます。

FPの私が見る限り、多くの中小企業が事業承継税制の適用条件を満たしています。ご自身が条件に当てはまっているか確認していきましょう。

経営者側の条件について

事業承継税制を利用するためには、先代経営者が満たすべき条件と、後継者が満たすべき条件がそれぞれあります。


先代経営者が満たすべき条件と後継者が満たすべき条件をそれぞれ解説していきます。


先代経営者が満たすべき条件は以下の通りです。

  • 会社の代表取締役を経験した
  • 贈与(もしくは相続)の直前に会社の筆頭株主であった
  • 贈与時において代表取締役ではない
先代経営者が代表取締役を経験していれば、贈与の直前において代表取締役である必要はありません。また、代表取締役社長から取締役会長、もしくは相談役に役職が変わる場合も認められます。

後継者が満たすべき条件は以下になります。
  • 贈与を受ける時点で会社の代表取締役になる
  • 贈与(もしくは相続)を受けることによって会社の筆頭株主になる
  • 贈与で事業承継税制を受ける場合、贈与前に3年にわたって継続して会社の役員である
  • 相続で事業承継税制を受ける場合、相続発生時には代表取締役でなくても良いが、相続発生から5か月以内に代表取締役に就任する必要がある。さらに、相続発生時には役員に就任していなければならない

会社にかかる条件について

事業承継税制を受けるにあたって、会社にかかる条件は中小企業であることです。事業承継税制は中小企業の事業引継ぎを支援することを目的に創設された制度ですので、大企業は対象外になります。


中小企業かどうかの基準は、以下の表を参考にしてみてください。

業種目資本金従業員数
製造業、その他3億円以下300人以下
製造業のうちゴム製品製造業3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下
50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
サービス業のうちソフトウェア業、もしくは情報処理サービス業 3億円以下300人以下
サービス業のうち旅館業5,000万円200人以下

上記表において資本金か従業員数のいずれかを満たせば、中小企業に該当します

スタートから5年の事業継続期間が必要とされる

事業承継税制を受けるには、スタートから5年以上の事業継続期間が必要となります。


そして、5年にわたって以下3つのルールを守らなければいけません。

  1. 会社における雇用を8割維持
  2. 後継者が会社の代表者であり続ける
  3. 後継者が会社の株式を保有し続ける
上記のルールを守ることができなかった場合、猶予されていた税金は利息を上乗せして一括で納めなければならなくなります。

事業承継税制がなかなか普及しない理由として、中小企業において5年間にわたる8割の雇用維持が難しいことがありました。中小企業の場合、雇用を8割維持することは容易なことではないのです。

中小企業が5年にわたって雇用を8割維持するという条件の厳しさの解決策として、平成27年には雇用8割維持の判定が5年間の平均で判定されるようになりました。そして、平成30年には、雇用8割を維持できなくても、経営状況などの正当な理由がある場合は事業承継税制が継続されることになりました。

5年経ってもすぐには税金免除が受けられない

5年間の事業継続後、税金猶予をすぐに受けられるわけではありません。


5年経ったら、次の代に事業を承継しなければなりません。事業承継税制を用いて株式を贈与してください。


株式を誰かに売買した場合、猶予を受けられなくなるので気を付けましょう。

事業承継税制の抑えておくべき6つのデメリット

事業を承継する事業主をサポートするための事業承継税制ですが、この制度にはよく言われるようにデメリットもあります。


事業承継税制を受けるにあたっておさえておくべきデメリットとして、

  • 制度が複雑で難しい
  • 手続きが面倒である
  • 納税の猶予が取り消された際、課税の負担が大きくなる
  • 事業承継税制に対応できる専門家は少ない
  • M&Aができなくなる
  • 専門家に相談するとその分費用がかかる
を挙げられます。

事業承継税制の適用後に「思っていた制度とは違う」、「こんなに負担が課されるとは思っていなかった」とならないようにするため、デメリットについてもしっかり事前に確認しておきましょう。

制度が複雑で難しい

事業承継税制は制度そのものが難しく、利用する上でのデメリットとなっています。


というのも、事業承継税制を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 都道府県知事の認定を一定期限までに受ける
  • 先代経営者は会社の代表権をもち、なおかつ承継直前で議決権の50%超を有する
  • 後継者は一定時期にわたり会社の代表権を持ち、議決権の過半数を有する
  • 会社は中小企業、なおかつ非上場であること。総収入金額、従業員がゼロでなく、風俗営業会社、もしくは資産管理会社でない
  • 猶予金額に見合う担保を提供できること
制度内容が難しく、要件が厳しいため、法律や税金に関する知識のない方にとって申請のハードルが高くなっているのです。

手続きが面倒である

事業承継税制を受けるためには手続きをしっかりと行う必要があります。行うべき手続きは、主に以下5点です。

  1. 2018年4月1日から2023年3月31日までに、特例承継計画を都道府県庁に提出する
  2. 後継者は自社株式の相続を行う
  3. 都道府県知事の円滑化法の認定を相続開始日以後、8ヵ月以内に受ける
  4. 相続税の申告書を相続開始の日以後10ヵ月以内に税務署まで提出し、担保を提供する
  5. 年次報告書、及び継続届出書を年1回、都道府県庁と税務署に提出する
手続きを実際に進めていると、上記以外にもやらなければならない手続きなどが出てくるでしょう。手続きは複雑で難しい上に、かなりの時間を要します。

納税の猶予が取り消された場合の課税の負担が大きい

事業承継税制は納税の猶予が取り消されてしまうと、本来支払うべき納税額よりも支払うべき金額が大きくなります。そのため、猶予が取り消された場合のことを考え、申請を控える事業主の方も少なくありません。


以下にあてはまると、猶予が取り消しになり、納税額+利息一括で納めなければならなくなります

  • 会社の年間収入がゼロになった
  • 会社が資産管理会社になった
  • 後継者が承継後5年以内に代表者ではなくなった
  • 継続届出書の提出を怠った(忘れていた)
  • 後継者が取得した自社株を他人に譲渡した
  • 会社が解散した
納税の猶予取り消しは、意図せずにして起こることも珍しくありません。そのため、猶予を受けるべきか慎重に検討しなければならないのです。

事業承継税制に対応できる専門家は少ない

事業承継税制は制度が複雑であり、かつデメリットも多い制度なので、対応できる税理士やFPはそう多くありません。事業承継税制を受けたいと考えていても、対応できる専門家を見付けることは容易ではないことも多いです。


また、税理士やFPの中には事業承継税制のデメリットを考慮して、相談者に対して勧めにくさがあるのも現状なのです。

M&Aができなくなる

事業承継税制の適用を受けると、株式を売却したとたんに猶予されている税金を一括で納税しなければならなくなります。つまり、事業承継税制を受けると、M&Aができなくなってしまうのです。


しかし、事業承継税制を受けることによってM&Aができなくなることは、見方によってはデメリットとは言えないでしょう。M&Aによって発生する納税義務は、本来納めるべき税金であるため、税金を納めたからといって損をするというわけではありません。


事業承継税制を適用した時と、M&Aをした時の株式の評価額を比較して、M&Aをした時の評価額が低ければ、猶予されている税金の一部が免除の対象となることを覚えておくと良いでしょう。


事業承継税制とは余裕のない中小企業の事業主を救うことを目的にした制度ですので、M&Aによって多額の利益を得た企業を救済することは、この制度の趣旨に反するのです。

専門家に相談するとその分費用がかかる

事業承継税制は複雑な制度であり、かつ利用することによるデメリットも多いため、一般の方が自分で全て判断し、手続きを進めていくことは難しいです。


顧問税理士の方が事業承継税制、相続税、贈与税全般を得意としない場合、事業承継の部分を別の税理士に相談する必要があります。その場合、相談料などの費用が発生するためコストがかかります。支払額は大きいため、相談料を負担に感じてしまうこともあるでしょう。

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本記事では、事業承継税制について解説しています。事業承継税制はデメリットも多く、手続きも複雑であることから、専門家に直接相談してみたいという方も少なくないでしょう。


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事業承継税制を利用するメリットについて解説

事業承継税制には前に見た通りデメリットも少なくありません。しかし、それでもやはり事業承継税制を利用することで、税制面での負担減など、お得になることもあります。


事業承継税制を利用する最大のメリットは、贈与税や相続税の納税が猶予されることにあります。


また、納税猶予期間中に下記の状況に陥った場合、猶予されている贈与税、及び相続税が免除されます。

  • 後継者(受贈者)が死亡
  • 承継期間経過後に破産手続きの開始が決定している
  • 経営承継期間内にやむを得ない理由で会社の代表権がなくなり「免除対象贈与」を行う、もしくは期間経過後に「免除対象贈与」を行った
  • 承継期間経過後に事業の継続が困難となり、会社が解散、もしくは譲渡となる
  • 先代経営者が死亡
事業承継税制の適用を受けられたことで、税制面でお得になり、事業承継が危うい企業が安定した経営を続けられたというケースも少なくありません。事業承継税制にはデメリットばかりではなく、メリットもあり、中小企業事業主のことをしっかりと考えた制度なのです。

事業承継税制の特例措置とは?

事業承継税制が誕生してかなりの年月が経ったものの、実際に適用された事例はそう多くはありません。


利用率の低さを改善するため、平成30年度税制改正により、事業承継税制を拡充する特例措置が定められました。特例措置は、平成30年1月から令和9年12月までの10年間に限定されています。


一般措置は贈与、もしくは相続があった時点で納税猶予の申請を行うことで適用されますが、特例措置を受けるには事前に特例承継計画という書類を都道府県に提出しなければなりません。特例承継計画の提出期間は、平成30年4月1日から令和5年3月31日までとなっています。


特例措置について表で確認しておきましょう。

申請内容期間
特例承継計画の申請平成30年4月1日~令和5年3月31日
贈与の実行・相続の発生と納税猶予の申請平成30年1月1日~令和9年12月31日

特例措置を受けることで適用制限が緩和されます。たとえば、特例措置によって以下のメリットを得られます。

  • 対象となる株数は全株式になる
  • 納税猶予割合は贈与、相続に違いはなく、一律で100%適用される
特例措置は非常にお得になりますので、この機会にぜひ申請してみてくださいね。

事業承継税制の申請の流れについて解説

ここまで事業承継税制について詳しく解説してきました。デメリットを踏まえた上で、事事業承継税制を利用してみたいという経営者の方もいらっしゃるでしょう。


そこで、以下、事業承継税制をの申請の流れについて解説していきます。


事業承継税制の申請の流れは以下のようになります。

  1. 中小企業庁や国税庁からの書式・情報
  2. 都道府県庁に「特例承継計画」を提出
  3. 事業承継の実行
  4. 報告書や届出書の提出

以下、1~4の各ステップについて詳しく説明していきます。デメリットの一つに、申請手続きの複雑さも挙げられる事業承継税制ですが、一つ一つ丁寧にこなしていけば申請をスムーズに完了できるはずです。

①中小企業庁や国税庁からの書式・情報

事業承継税制を受けるためには、中小企業庁、もしくは国税庁から書類を入手します。


書類は中小企業庁の法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類からも入手可能です。


提出しなければならない書類は非常に多いため、チェックリストなどを活用してしっかりと確認するようにしてください。記入にあたって、国税庁の法人版事業承継税制も参考になりますよ。

②都道府県庁に「特例承継計画」を提出

都道府県庁に対して特例承継計画を策定し、提出しなければなりません。この計画書には、会社概要の他、5年におよぶ経営計画などの記載も必要です。


特例承継計画は全部で3ページあります。1ページめには、会社所在地、会社名、代表者の氏名、資本金額などを登記簿と一致するように記入します。2ページめは株式贈与の予定時期、その時期までの経営上の課題とその対応の他、5年間の経営計画などを記入するページとなっています。3ページめは「別紙」となっており、認定経営革新等支援機関が記入するものですので、申請者は記入する必要ありません。


都道府県庁には、特例承継計画(2部)、履歴事項全部証明書(3か月以内のものを1部)、返信用封筒郵送で提出します。

③事業承継の実行

特例承継計画が認められると、事業承継の実行が可能になります。


贈与の場合、贈与者から全部、もしくは一定数以上の非上場株式などの贈与を受けます。相続の場合は、相続時の遺産分割によって非上場株式などの相続を受けられるようにしておきましょう。


承継実行後、都道府県知事から各要件を満たしていることを証明する中小企業円滑化法の認定を受けてください。この申請期間は以下の通りです。

  • 贈与の場合は贈与を受けた年の翌年1月15日
  • 相続の場合は相続開始後8ヶ月以内

④報告書や届出書の提出

相続税、贈与税の申告期限まで、非上場株式等の(特例)贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の適用を受けることを記入した申告書、ならびに書類を税務署に提出してください。


あわせて、猶予される税額、利子税相当額の担保の提供も行わなければなりません。担保として認められる財産には、たとえば以下のものがあります。

  • 納税猶予の対象となる認定承継会社の対象非上場株式
  • 国債・地方債
  • 不動産

事業承継税制で注意しておくべきことについて

事業承継税制を利用する場合、事前に注意点もしっかりとおさえておきましょう。注意点を蔑ろにしてしまうと、多額の納税義務が発生してしまうこともあります。

事業承継税制を利用する上での注意点は以下の2点です。

  • 免除事由と取り消し事由を確認しておく
  • 資産管理会社は適用対象外
上記2つの注意点について詳しく確認していきましょう。

免除事由と取り消し事由を確認しておく

前に説明したように、事業承継税制は状況などによって猶予が取り消しとなることもあります。たとえば、会社の年間収入がゼロになったり、会社が資産管理会社になった場合には猶予取り消しとなってしまいます。猶予が取り消しになると、利息を付けて一括で納税しなければなりません。


猶予が想定外にも取り消しにならないよう、免除事由取り消し事由について、きちんと確認し、理解しておくようにしましょう。承継した会社において大きな変化をもたらす際は、免除事由と取り消し事由をおさらいしておくと良いでしょう。

資産管理会社は適用対応外

事業承継税制の適用範囲に資産管理会社は含まれていません


資産管理会社とは、以下に該当する会社のことを言います。

  • 自ら使用しない不動産、もしくは現預金などの保有割合が総資産総額の70%を超える
  • 資産保有型会社やこれらの資産からの運用収入が総収入金額の75%以上となる
資産管理会社には上記の特徴があるため、持ち株会社体制を導入している会社、不動産賃貸業などの会社は適用されにくくなります。

事業承継税制をより多くの事業主に利用してもらおうという試みから、令和元年度の税制改正で資産管理会社の確認期間が緩和されました。特定資産の規定以上の保有があった場合でも、事業承継税制は期間などによって適用されるようになったのです。

【補足】個人事業主には個人版事業承継税制が適用

個人事業主を対象にした制度として、令和元年度税制改正において個人版事業承継税制が誕生しました。


個人版事業承継税制とは、正規の簿記の原則に基づいて青色申告を行っていた事業者の後継者が特定事業用資産を得た場合に適用される制度です。適用された後継者にも、青色申告事業の継続が必要になります。


個人版事業承継税制には、以下の通り定められた期間があります。申請内容と期間を確認しておきましょう。

申請内容期間
贈与または相続を受ける平成31年1月1日から令和10年12月31日
「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出して確認を受ける平成31年4月1日から令和6年3月31日

制度の適用を受けることができたら、特定事業用資産に係る贈与税、及び相続税の納税が全額猶予されます。


後継者が死亡した場合、猶予されている贈与税、及び相続税についての納税義務は免除となります。


個人版事業承継税制における特定事業用資産は、たとえば以下のものを指します。

  • 400㎡までの宅地
  • 床面積800㎡までの建物
  • 床面積800㎡までの建物以外の減価償却資産(固定資産税の課税対象となるもの 、自動車税、もしくは軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるものなど)
法人と同様に、個人版事業承継税制においても条件を満たさなくなった場合、納税の義務が発生するので注意するようにしてください。

まとめ:事業承継税制のデメリットについて

ここまで事業承継税制のデメリットについて解説してきました。


事業承継税制は中小企業の事業承継をサポートするために打ち出された制度であり、適用されれば納税が猶予されます。


しかし、制度が難しくてハードルが高いという方や、納税猶予が取り消しになった際の一括猶予を懸念される方も少なくなく、現状としては利用している事業主はそう多くはありません。


デメリットも少なくない事業承継税制ですが、免除事由と取り消し事由を確認しておくことによって、猶予取消しをある程度回避できます。


事業承継税制は申請の難しさもデメリットとして挙げられることも少なくありません。それぞれのステップを丁寧にこなし、必要書類を揃えていけば問題なく手続きを完了させられるはずです。事業承継税制が適用されて受けられるメリットを考えると、申請手続きの負担は軽いと言えるでしょう。


事業承継税制に関してより詳細を知りたい場合は、マネーキャリアにご相談ください。マネーキャリアでは法人の方も無料で相談可能な為、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。


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