退職金制度の廃止に必要な手続きや注意点をわかりやすく解説

経営上の理由により、退職金制度を廃止したいという経営者の方も多いと思います。退職金制度を廃止するには、決められた手順を踏まなければなりません。また、注意が必要な点も多数。今回は退職金制度を廃止するための手続きや注意点について詳しく説明します。



▼退職金制度を廃止するには以下の2つの方法がある

  • 従業員や労働組合に合意してもらう
  • 一方的に就業規則を変更する
▼退職金制度を廃止するときの3つのポイント
  • 退職金制度廃止時の精算
  • 従業員のモチベーション対策
  • 専門家・社労士に相談する

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内容をまとめると

  • 退職金制度を廃止するには不利益変更が必要
  • 退職金制度廃止の際には精算方法や従業員のモチベーション低下への配慮、専門家への相談を念頭に入れておく
  • 退職金制度は資金難や時代の変化により、廃止傾向にある
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退職金制度の廃止に必要な手続きや注意点をわかりやすく解説


経営上の問題や時代の変化などの理由から、退職金制度の廃止を考えている方もいると思います。


とはいえ、途中で制度をなくせるのか、どのような手続きを行えばいいのか、わからないことも多いですよね。


結論からいうと、退職金制度の廃止は可能です。


ただし、決められた手続きを踏む必要があります。


今回は

  • 退職金制度を廃止する手順とは?
  • 制度廃止の際に抑えておきたいポイント
  • 退職金制度の現状
について、詳しく説明します。

ぜひ、最後までご覧ください。

企業内退職金制度の廃止をするには不利益変更が必要

不利益変更とは、その会社で働く人の条件を今よりも不都合なものへ変えることで、退職金制度の廃止もこれに当たります。


不利益変更は、条件を変えなければ倒産してしまうなど、よほどの理由がない限り企業の都合で勝手に変えることができません。


そのため、廃止するには次の2つの内、どちらかの手段で進める必要があります。

  1. 従業員や労働組合から承諾を得る
  2. 就業規則を変える
ひとつずつ、詳しく説明します。

廃止方法①従業員や労働組合に合意して同意書を書いてもらう

退職金制度の廃止で、最も揉めにくいのが従業員や労働組合から承諾を得るやり方です。


流れは以下の通りです。

  1. 従業員一人一人と面談する、または労働組合と話し合う
  2. 同意書をもらう・労働協約を結ぶ
  3. 就業規則を変えて、労働基準監督署に書類を提出する
  4. 従業員に知らせる
この方法は従業員から容認を得る方法と労働組合から承諾を得る方法の2つに分けられます。

従業員一人一人から賛同を得る場合は以下のような説明を行って、廃止への理解を求めましょう。
  • 廃止によって発生する不都合
  • 退職金をなくす理由
  • 制度廃止の代わりとなるもの
誠実な態度で丁寧に説明し、できる限り反感をもらわないようにしましょう。

労働組合の承諾を得る場合は、組合との間で協定が結ばれれば、組合員全員が制度廃止に承諾したと見なされます。

そのため、一人一人から賛同してもらわなくても良いため、効率よく廃止を進められます。

ただし、この方法で許可を得られるのは「組合員」だけです。

すべての従業員が組合に属していない場合は、組合員でない従業員から容認を得る必要があるので、注意しましょう。

廃止方法②就業規則によって一方的に変更

退職金制度をなくすには従業員の承諾が必要ですが、制度がなくさなければ倒産してしまうなどの状況にある場合は、承諾を得ずとも廃止できます。


この方法を取る場合は、以下の手順に沿って進めます。

  1. 労働者代表から意見書をもらう
  2. 書類を労働基準署に提出する
  3. 従業員に知らせる
上記の承諾を得る方法との違いは、労働者代表から意見書をもらうことです。

労働者代表とは、労働者の半分以上が属する労働組合もしくは労働者を代表する者のことを指します。

意見書には、労働者代表の制度廃止についての意見と署名・捺印が必須なので、忘れないようにしましょう。

意見書の用意ができたら、「就業規則届」の作成に入ります。

こちらも意見書と同様、決まった形式はなく
  • 企業の名前
  • 企業の所在地
  • 企業の代表者の役職・氏名
  • 代表者の捺印
の4つが記入されていれば、問題ありません。

労働基準監督署に就業規則届意見書を提出したら変更内容を従業員に周知してください。

この周知を怠ると、最悪罰金刑になることもありますので、気をつけましょう。

退職金制度の廃止で抑えるべきポイント

退職金の廃止は、会社に多大な影響を与えます。


特に従業員に与える影響が大きいので、廃止の手続きは慎重に行わなければいけません。


次のポイントを抑え、不備が出ないように手続きを行いましょう。

  • 退職金制度廃止時の精算
  • 従業員の意欲低下対策
  • 専門家・社労士に相談する
詳しくみてみましょう。

退職金制度の廃止時の精算方法

退職金制度廃止時の精算は、「廃止する時期が決まった時点」で発生している退職金を計算して支払うことが基本です。


税法上退職所得ではなく、年間給与所得に含める形で課税されるので注意してください。


ただし、必ずしも年間給与所得になるとは限らないので、税務局への確認を怠らないでください。


退職金を企業年金などで用意している場合は、それぞれ違った対応が必要なので、運用受託機関と相談しましょう。

従業員のモチベーションを下げないようにする

退職金制度の廃止は、従業員の仕事への意欲が下がる要因となり得ます。


従業員の意欲低下は

  • 生産性の低下
  • 離職率の上昇
  • 業績の悪化
につながります。


廃止する際は、従業員のやる気が下がらないように退職金の代わりとなるものを用意するか、納得のできる十分な説明をしましょう。


また、上述したように、後々いざこざが起きないよう制度廃止の承諾を得るときは必ず書類に記入してください。

専門家や社労士などにアドバイスを求める

退職金制度をなくすことは、従業員の人生設計を狂わせる要因となるため時には訴えられることも。


そのため、こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、できる限り専門家や社労士からアドバイスをもらいましょう。


手間も時間もかかりますが、制度の廃止を強引に認めさせるような行為は強迫したと見なされ、裁判になった場合不利になる可能性があります。


専門家のアドバイスの元、まずは従業員が納得できるように誠実な対応・説明をしましょう。

退職金制度は廃止傾向にある


労働経済アナリストの鍋田周一さんが言うところによると「退職金制度はいずれなくなる方向にある」そうです。


理由はさまざまですが、主に時代の変化によって生じた以下の点が挙げられます。

  1. 年功序列から成果主義への移行
  2. 退職金支払いによる企業の資金難
詳しくみてみましょう。

理由①成果主義へのシフト

退職金制度、というのは実は世界的に見ると珍しいシステムで、日本独特の仕組みです。


しかし、近年はIT技術の発達やグローバリズムなどにより、年功序列から成果主義へと価値観が変化しつつあります。


以前まで、退職金制度には従業員の定着を促す効果がありましたが、昨今ではその効果も薄いのが現状。


特にエンジニアなどは退職金を重視しておらず、むしろ転職してよりやりがいのある仕事を求める人が多いため、制度を採用するうまみもなくなってきています。


そのため、年月が経つにつれ退職金制度をやめる企業は増加するでしょう。


ですが、退職金を頼りにしている人が多い企業が突然、制度を廃止するのは困難です。


将来的にはなくなるでしょうが、現時点では制度を残しつつ、支払い金額を抑える方向で残ると思われます。

理由②企業の資金難

退職金制度が廃止傾向にある、2つ目の理由が資金難です。


高度成長期の日本は人手がいくらあっても足りない時代でした。


そのため、従業員に安心して長く働いてもらう意味で退職金制度があったのですが、近年、支払いに耐えられない企業が出てきています。


というのも、団塊の世代が定年退職するにあたって、多額の退職金の支払いが必要になったからです。


以上の事情から、制度を廃止・見直す方向で動く企業が多くあります

まとめ

退職金制度の廃止について取り上げましたが、いかがでしたか?


最後に記事のポイントをまとめます。

  • 制度を廃止するには従業員か労働組合の承諾が必要
  • 廃止方法は「従業員または労働組合から承諾を得る」「就業規則を変える」の2つ
  • 制度廃止の際には精算方法や従業員の働く意欲低下への配慮、専門家への相談を念頭に入れておく
  • 退職金制度は資金難や時代の変化により、廃止傾向にある
でした。

制度の廃止は従業員のモチベーションに大きく影響します。

とはいえ、退職金の負担で経営が悪化し、倒産しては本末転倒です。

従業員を路頭に迷わせないよう、適切な手続きで廃止してくださいね。

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