事業承継計画書のポイントとは?作成の理由やメリットも解説

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事業承継計画書は承継に欠かせないものであると同時に、作成することで様々なメリットがあると言えます。作成には押さえておくべき事項や作成に適したタイミングなどもあるため、作成の際はこれらのポイントを押さえて後継者や周囲のためになる事業承継計画書を作成してください。






▼この記事を読んでほしい人
  • 事業承継計画書を作成しようと考えている人
  • 事業承継計画書を書く前に押さえておきたいポイントを知りたい人
  • 事業承継計画書を作成する適切なタイミングを知りたい人
  • 事業承継のための費用に不安がある人


▼この記事を読んでわかること

  • 事業承継計画書に書くべき内容
  • 事業承継計画書を作成することで得られるメリット
  • 事業承継計画書を作成するにあたって把握すべき事項
  • 事業承継計画書を作成するタイミング
  • 事業承継に必要な資金を準備する手段

内容をまとめると

  • 事業承継計画書には今後の目標や理解を得るための対策、後継者教育、財産の分配について記す必要がある
  • 事業承継計画書を作成することで周囲の理解を得られるだけでなく、後継者と承継について話し合う機会ができる、税制面の猶予も受けられるメリットがある
  • 事業承継計画書は引退年齢や万が一のことを考えると60歳までに作成すべき
  • 納税のための費用準備のためには法人保険が適しているが、自分の会社に合った保険探しにはマネーキャリアがおすすめ
  • マネーキャリアはインターネットで予約相談可能、相談料は無料なので気軽に利用できる
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

事業承継計画書に必要な4つの内容



次の代の人へと事業を承継する際に「誰に仕事を引き継ぐのか」「これからの会社の仕事の方向性について」など細かく計画をたて、後継者が今後の事業運営で困ることがないように下準備しておく必要があります。


その計画を書き表したものが「事業承継計画書」です。


事業承継計画書に書かれている内容は大まかに4つの項目に分かれます。


  1. 会社の経営理念や事業の中長期目標
  2. 事業承継への理解を得るための対策
  3. 後継者教育の内容と具体的な教育時期
  4. 株式や財産の分配対策と具体的な分配時期
これらの書かれている内容やポイントについては以下で説明します。

内容①:経営理念や事業の中長期目標

会社を運営していく上での経営理念や、事業の中期目標・長期目標を確認します。


事業承継計画書にこれらの経営理念や事業目標を書く理由としては、これから先事業承継した後に後継者となる人や会社で働く従業員が「会社で働く上での目標」「今後の事業の向かうべき方向性」を共有し同じ方向を向いて仕事ができるようにするためです。


先代から事業を引き継ぐ人はいくら経営者になるための教育を受けていたとしてもあくまで「経営初心者」です。


経営者から引き継いだところでこれからどのように経営していけばいいのか、どのような目標をたててそれに向かっていけばいいのか分からない状態です。


残された後継者や従業員がこれからの会社の経営理念や目標に向かって働くことができるように提示して共有できるようにしておくべきでしょう。


内容②:事業承継への理解を得るための対策

事業承継を行うといってもどのような流れで事業承継をしていつ発表するのか、事業承継によって発生する人事異動の有無や今の経営者はこれから先も事業に関わってくるのかなど気になることだらけとなるでしょう。


また、「事業承継する」と宣言しただけでは無意味です。


事業承継というものは周りの理解や協力があってこそ成り立つものであるため、きちんと説明し、理解を得られるよう働きかける必要があるのです。


  • 事業承継をすると決めるまでの経緯
  • 周りの関係者に事業承継することを公表する時期やタイミング
  • 後継者に仕事上の権限を譲り渡す具体的なスケジュール
  • 役員の世代交代について
  • 今の経営者は後継者をサポートするのか
  • 今の経営者の引退時期

これらの内容を事業承継計画書に詳細に記すことで、周りに事業承継することの理解を得る必要があります。

内容③:後継者教育の内容と具体的な実施時期

事業承継すると決まり、後継者を誰にするか選び抜いて決めた後に行わなければならないことと言えば「後継者への教育」です。


後継者は数年後に自分が会社のトップに立ち、従業員と共に会社を守っていかなければなりません。


後継者となる人は自分が経営者になるその日まで経営者としてふさわしい人になれるよう準備をしておく必要があるのです。


事業承継が完了するまでに後継者に対してどのような教育を行っていく予定か、またいつから教育を行うのかを具体的に示した後継者育成スケジュールを記すことが必要と言えます。


修行としての他社での勤務、自分の会社の様々な部署の仕事を知るための部署異動や商工会などで開催しているセミナーの参加なども記しておくとより具体的な計画となるでしょう。

内容④:株式や財産の分配対策と具体的な実施時期

これまで保有していた財産などをどのように後継者に託すのか事業承継計画書に記すことが必要です。


これまで築いてきた財産や株式を後継者1人に譲渡、場合によっては複数人に分配することも考えられるでしょう。


どのように分配したいのか自分の意志を示すためにも、残された人たちが争わないためにも事業承継計画というきちんと形として意思を残しておく必要があると言えます。


  • 誰にどれくらいの割合で財産を分配するのか
  • どのタイミングで、財産分配についての会社の規定を変更するのか
  • 具体的にいつ財産分配を行う予定か

財産分配についての基本方針はもちろんですが、それとあわせて具体的な対策と実施時期を明示することが重要です。

事業承継計画書を作成する3つのメリット



事業承継計画書を作るとなると「大変そう」「難しい」というイメージもあります。


しかし、事業承継計画書という正式な形で今後の事業を承継した後のプランや予定を記しておくことによって経営者にとっても後継者や周りの人々にとっても得られるメリットが大きいと言えるでしょう。


  1. 事業承継に対する外部関係者の理解が得やすくなる
  2. 事業承継について後継者や親族と話し合うことができる
  3. 事業承継税制の適用を受けられる

これらのメリットについて以下で説明します。

メリット①:事業承継に対する外部関係者の理解が得やすくなる

事業承継にあたって「事業承継計画」という誰が見ても一目でわかるような計画書を作成しておくことで周りの人々からの理解が得やすくなるというメリットがあります。


事業承継は事業を譲る現経営者、譲られる側の後継者のみで成り立つものではありません。


それに関係してくる会社役員や従業員、会社と取引している所や関連会社なども関わってきます。


そもそも仕事や会社というものは1人で行うものではなく、周りの協力があってはじめて成立するものです。


これは事業承継においても同じことが言えるでしょう。


事業承継計画という一目でみてわかりやすい内容にまとめられた今後の計画や予定、事業承継にいたるまでの流れを知ることによって関係者の理解も得やすくなります。

メリット②:事業承継について後継者や親族と話し合うことができる

事業承継計画を作成することで得られるメリットとしては「事業承継について後継者や親族とあらかじめ話し合うことができる」ということです。


事業承継計画書を作成するにあたって、後継者候補となる人にはもちろん事情を話す必要が出てくるでしょう。


現経営者にとってこれからの会社をどのように考えているか、なぜその人を後継者候補としてピックアップしたかについて後継者となる人や親族に話すことができるため、今後のビジョンが立てやすくなるでしょう。


また、後継者候補に挙がっているということを聞いた、将来後継者となる人も事業承継について心の準備や構えができるようになるというものです。


ワンマン経営で1人で決めるのではなく、周囲との話し合いによって今後の会社方針や事業承継について話し合うことによって、将来にむけてもよりよい会社を守っていくことができると言えるでしょう。

メリット③:事業承継税制の適用を受けられる

事業承継税制とは、事業の後継者が生前贈与や相続によって財産や株式を引き継いだときに支払う必要があるとされる多額の相続税や贈与税を猶予するという制度です。


会社の規模にもよりますが承継には数百万円、数千万円の多額の費用がかかると言われていて、経営者だけではなく事業を引き継いだ後継者にとっても頭を悩ませる問題です。


その数百万円、数千万円といった多額の費用が猶予される制度ですから使いたいと思う人も多いでしょうが、この制度は誰でも使えるものではありません。


条件の1つに「事業承継計画書を作成すること」という条件があるのです。


事業承継計画書を作成することは難しいとも言えますが、作成することで税金の猶予を受けられるとしたら、ぜひとも作成するべきでしょう。

事業承継計画書の作成にあたって現状把握しておきたい5つのポイント



今の立ち位置を知らずにゴールを決めることができないということと同じように、今の会社の現状をきちんと把握しておかなければ今後の会社の目標も経営方針も定めることはできません。


今の現状を知らずに事業承継計画書を作成することは不可能でしょう。


今回は事業承継計画書を作成するにあたっておさえておくべき把握しておきたいポイント


  1. 会社の経営資源の状況
  2. 会社の経営リスクの状況
  3. 経営者自身の状況
  4. 後継者候補の状況
  5. 相続に関する問題点

について説明します。

ポイント①:会社の経営資源の状況

事業承継ガイドラインによると、事業承継計画書を作成するにあたって会社の経営資源の状況をおさえておく必要があります。


具体的に知る必要がある項目は何かといいますと、


  • 従業員の数や年齢
  • 資産の額や内容
  • キャッシュフローの現状と将来の見込み

これらの情報については最低限知っておく必要があります。

今働いている従業員は何名であるのか、従業員の年齢から働き盛りとなる人や子供の世話・家族の介護が必要な年齢層は何人くらいいるのか、定年を迎える従業員の数の把握なども場合によっては必要と言えます。

また、会社にどのような資産がいくらくらいあるのか、出ていくお金とはいるお金のキャッシュフローの現状と今後どうなるかの予想なども熟知する必要があるでしょう。

ポイント②:会社の経営リスクの状況

会社を経営していく上で「絶対」ということはありえません。


どれほど繁盛している会社でも、大きな会社であってもいつ何時何が起こるかはだれにも分からずまさに「神のみぞ知る」と言えるでしょう。


事業承継ガイドラインによると会社を経営していく上でのリスクについては以下のことが言えます。


  • 会社の負債について
  • 会社の競争力についてと将来の見込み

会社がどのくらいの負債を抱えているのか、それについては負債を解消する目処がたっているのか知る必要があるでしょう。

また、同業者などライバル企業がいる場合、今の会社でどこまで立ち向かうことができるのか会社の競争力が問われます。

会社の競争力と今後のパワー関係、社会情勢から見る将来の見込みについても現時点で把握しておかなければならないでしょう。

ポイント③:経営者自身の状況

事業承継ガイドラインによると、事業承継計画書を作成するにあたっては経営者自信の状況ぬきに作成することはできません。


会社単位として状況を知ることももちろん大切ではありますが、経営者の今の状況を知り、今後どうしていくかについてしっかりと見定めなければならないのです。


  • 経営者が保有している自社の株について
  • 経営者の個人名義になっている土地・建物
  • 個人的な負債、個人保証などについて

経営者が会社としてではなく、あくまで「個人として」持っている資産はどのくらいあるのか知る必要があります。

また、資産だけではなく反対に負債となるようなものや個人保証などについても目を背けることなくすべて洗い出して現状を把握することが重要と言えます。

ポイント④:後継者候補の状況

事業承継ガイドラインによると、事業承継計画書を作成するにあたって後継者候補の状況把握は欠かせません。


  • 親族内に後継者がいるか
  • 親族以外、つまり会社内や取引先に後継者がいるか
  • 後継者候補となる人の適正や能力はあるか
  • 後継者候補となる人の年齢や経歴、会社経営に対しての意欲があるか

後継者となる人が親族、会社内、取引先にいるかどうか候補者については今の時点での状況を把握することが大切でしょう。

その上で、後継者候補となる人が後継者としての器かどうかを見定めなければなりません。

後継者候補となる人の年齢や経歴、適正や能力はもちろんですが、本人に会社を経営していきたい、従業員や周りの人々と協力しあい一丸となって頑張っていきたいという意欲があるのかといった状況をおさえておきましょう。

ポイント⑤:相続に関する問題点

事業承継計画書を作成する際、相続に関する問題点を見てみぬふりして作成することはできません。


事業承継ガイドラインによると、相続発生のタイミングで予想される問題としては以下の問題があります。


  • 法定相続人や相互の人間関係、株の保有状況
  • 相続財産の特定、相続税額の試算、納税方法の検討

法定相続人となる人やその人の周りの人々の人間関係や、どのくらいの株を保有しているかといった保有財産についても抑えておく必要があるでしょう。

また、相続すべき財産はどれか特定する作業や相続税がいくらくらいかかるかという試算、相続税を納める方法もしっかりと把握する必要があると言えます。

事業承継計画書を作成するためには会社をとりまく現状を正しく把握することが第一ですので、相続に関する問題点もおろそかにすることなくチェックしましょう。

事業承継計画書を作るのに適切なタイミングと経営者の年齢



思い立ったらいつ作っても良いというものでもありません。

  • 決算直後の事業承継計画書作成がベスト
  • 事業承継計画書作成に適切な経営者年齢は60歳以下


事業承継計画書は「決算直後」という大事な時期を逃さないようにしたいものです。


年齢についてはあまりに経営者が若い時に作成しても未来は不確定ということもありますし、反対に歳を重ねた状態で作成しても時間的な余裕がないという状態になってしまうことでしょう。


事業承継計画書の作成タイミングについて押さえるべきポイントを見ていきましょう。

事業承継計画書を作るのに適切なタイミングは決算の直後

事業承継計画書の作成はなんとなく作るもの、思い立ってすぐ作るものというわけではなく、「作るべき最適なタイミング」というものがあります。


「決算直後」が事業承継計画書づくりで狙い目の時期ということができます。


株式の評価なしに事業承継計画書を作成することは難しいため、株式の評価が行われた決算直後が事業承継計画書作成に最適と言うことができます。


会社にとって決算直後のタイミングは事業計画について見直す時期でもあり、最近の業績や事業の方向性を考慮して事業承継計画をつくることができます。


事業承継は計画通りに進むとは限らないため、毎年決算直後の決まったタイミングでこれまでの進捗確認と作成した事業承継計画の見直しを行うことが必要です。

事業承継計画書を作るのに適切な経営者の年齢は60歳以下

事業承継計画書を作成する年齢としてベストな経営者の年齢は「60歳以下」です。


なぜ60歳以下で作成なのかと言うと、引退時期と日本人男性の生存率が関係してきます。


経営者の引退予想年齢は平均で67歳と言われていることからその前に事業承継計画をスタートさせる必要があります。


事業承継は10年程度の年月が必要と言われていることから、67歳で引退とした場合57歳前後で事業承継計画をスタートさせなければならないという計算になります。


また、日本人男性の生存率が60歳頃から急下降するというデータがあり、万が一経営者が突然亡くなった場合遺された遺族や従業員は混乱、最悪の場合は業績悪化や事業の継続困難ということも無きにしもあらずです。


遅くとも60歳までには事業承継計画を作る必要があると言えます。

事業承継には多額の資金が必要!納税資金の確保には法人保険を活用しよう!

事業承継をするとなった場合、株の譲渡や相続税・贈与税などの国への税金もあり多額の資金が必要となります。


その資金は会社の規模にもよりますが、数百万円から数千万円にものぼると言われていることから事業承継に必要な資金は早めに準備することが望ましいでしょう。


事業承継に必要な資金は法人向け生命保険で準備することも可能です。


死亡保険金や解約返戻金を受け取ることができる法人向けの生命保険は事業承継のための資金準備という意味でも有効であると言えます。


法人向け生命保険については様々あるので自分の会社にとってどれが良いのか迷ってしまうかと思いますが、その際はマネーキャリアへの相談がおすすめです。

  • 相談予約から面談までインターネットで行うため便利
  • 相談料については納得できるまで難度でも無料


法人向け生命保険に迷ったらぜひマネーキャリアにご相談ください。

事業承継計画書の内容や作るときのポイントに関するまとめ

後継者に事業を承継する段階で「誰を後継者として仕事を引き継いでもらうのか」「これからの会社の仕事の方向性について」など細かく計画をたて、後継者が今後の事業運営で困ることがないよう事業承継計画書を作りましょう。


事業承継計画を作成するメリットは


  1. 取引先や関係会社など外部の関係者からの理解が得やすくなる
  2. 後継者や親族と事業承継について話し合うきっかけができる
  3. 事業承継税制の適用を受けられる


というものがあり、事業承継計画には以下の内容を記す必要があります。


  1. 会社の経営理念、事業についての中期・長期の目標
  2. 事業承継のタイミングや理由など事業承継への理解を得るための対策
  3. 後継者への教育の内容と教育を始める時期、スケジュール
  4. 株式や財産の分配対策と具体的な分配時期

また、以下の現状を把握しておかなければ後継者や周囲の関係者のためになる事業承継計画は作成できないといっても過言ではないでしょう。

  1. 会社の経営資源の状況
  2. 会社の経営リスクの状況
  3. 経営者自身の状況
  4. 後継者候補の状況
  5. 相続に関する問題点

事業承継計画は好きなタイミングで作成してもいいというものではなく、経営者の引退年齢やもしもの時のことを考えると、遅くとも60歳までには作成しておくと余裕をもって事業承継ができると言えます。

事業承継には数百万円、数千万円という費用がかかるため、前もって法人向け生命保険でこつこつと事業承継費用を準備しておくことが望ましいです。

法人向け生命保険については専門家が多数在籍しているマネーキャリアに是非ともご相談ください。

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