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相続・事業承継

相続税対策の事業承継の方法とは?わかりやすい事例を用いて解説

事業承継とは、企業に必要な株式などを後継者に引き継ぎ、事業を継続させることです。事業承継は完了するまでが長く、それに加え相続税などの税金問題などがあり複雑です。こちらの記事では、複雑な流れを分かりやすく解説した後に、相続税や贈与税の対策についても解説します。

内容をまとめると

  • 事業承継とは、企業の経営を後継者に引き継ぐこと
  • 事業承継は企業の現状分析を行った後、後継者の選定をするなどかなりの時間をかけて行う作業
  • 一般的に相続・事業承継では、経営者の高齢化、後継者不足による廃業が目立つ
  • 相続税や贈与税に関する対策は法人保険(生命保険)もしくは「事業承継税制」を活用すること
  • 後継者への株式の相続に関する対策は遺言書の作成
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

事業承継とは?


ここでは事業承継について解説します。事業承継とは、企業の経営を後継者に引き継ぐことを言います。事業承継の際には、以下の3つを後継者に引き継ぐ必要があります。


  • 人(経営権)
  • 資産・負債(議決権付株式、事業で活用する施設・設備など、運転資金や借入金など)
  • 知的財産(特許などの無形資産、ノウハウ、顧客情報など)

例えば上記にある株式を後継者に贈与する際には贈与税、相続する場合には相続税など、事業承継の際には様々な税金がかかってきます。事業承継を行う前に適切な対策を行っていなければ、後継者に多額の税金が課せられる場合があるので注意が必要です。税金対策については後ほど紹介します。

中小企業の経営者や役員の方々にとって、事業承継は重要なテーマの一つと言えます。事業承継は、企業の将来性にも関わる大事なテーマになるので、事業承継に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

事業承継や相続問題に関する相談は、「マネーキャリア」をご覧ください。「マネーキャリア」では、事業承継の自社株対策や相続の際の税金対策について専門家に相談することができます。

相談は何度でも無料なので、気になる方はぜひご利用ください。

事業承継の流れをわかりやすく解説!


ここからは事業承継の主な流れを分かりやすく解説していきます。ここで事業承継の流れを理解してから事業承継における課題や問題の解説に移っていきます。


事業承継の主な流れは以下になります。

  1. 企業の現段階での状況把握
  2. 後継者の選定と育成
  3. 事業計画書の作成
  4. 取引先等への説明
  5. 企業の経営状況の改善
  6. 具体的な承継作業に移行

上記の流れを完了させなければ事業承継が完了したとは言えません。そのためどこかで事業承継が中断したり、破断したりすると最悪の場合、後継者が見つからず、廃業となることもあります。

そのため事業承継の流れを理解した上で適切に進めることをおすすめします。それでは以下より詳しく解説していきます。

事業承継の流れ①:企業の現段階の状況把握

まず事業承継を行う際にするステップの一番初めは、現在経営している企業の状況を把握することから始めます。会社の状況については以下の数値を確認することで把握することができます。

  • 会社の資産(施設・設備、不動産などの価値)
  • 株式の保有状況(誰がどの程度株式を保有しているか)
  • 株式の評価額(中小企業は株式発行時よりも増加していることが多い)

上記の数値については企業が発行している財務諸表で確認することができます。これらをなぜ確認するかの主な理由は以下の2つになります。
  • 後継者に経営権を集中させることが可能かどうか
  • 贈与税や相続税がどの程度かかるかを把握するため

事業承継をするにしても、後継者に経営権を集中させることができなければ経営者の思いを引き継ぐことができません。そのため株式を誰がどの程度保有しているのかを確認する必要があります。

また株式の評価額を確認することで、後継者や相続人に株式を相続する際にかかる贈与税や相続税を知ることができます。それにより資金対策が必要であれば事業承継をするまでに資金準備をすることが可能になります。

事業承継の流れ②:後継者の選定と育成

続いてのステップは、後継者の選定と育成です。後継者の選定は、企業の将来を左右するため慎重に行うようにしましょう。


事業承継の期間は後継者の育成も含めておよそ5年~10年と言われています。そのためいきなり経営者として引き継がせることが難しいと感じても、育成期間で後継者として相応しい経営能力を身に着けてもらうことも可能です。


後継者を選定するタイミングと同時に、事業承継の方法についても考える必要があります。事業承継の方法は大きく分けて3つあります。

  • 親族内事業承継
  • 社内事業承継(従業員などに事業を引き継ぐこと)
  • 第三者事業承継(M&Aなどにより第三者に事業を引き継ぐこと)


後継者を誰にするかにより事業承継の方法が変わります。従来の中小企業の事業承継は親族内で事業承継を行うことが多くありました。しかし少子化などの社会情勢により最近は、M&Aなどの第三者事業承継が増加しています。


自社にとって適切な事業承継の方法が知りたい方は、専門家にご相談ください。

事業承継の流れ③:事業承継計画書の作成

事業承継を行うためには事業承継計画書を作成しておくことをおすすめします。計画書を作成しておくことで、事業承継をスムーズに進ませることができます。


計画書を作成しておくことで企業の現状の把握ができ、後継者との将来設計の議論の際などに役立てることができます。また相続間のトラブルについても計画書を作成しておくことで、適切なタイミングで対応することも可能になります。


ただし事業承継計画書は各分野の専門家に相談しながら作成することをおすすめします。法律が関係する相談については弁護士の方にご相談ください。


税務や財務に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。税金対策について専門家が無料で相談に乗ってくれます。相談は何度でも無料なのでぜひご利用ください。

事業承継の流れ④:取引先等への説明

事業承継計画書が作成できたら、取引先などに事業承継を行うことを説明しましょう。説明する相手は主に、以下の方々が考えられます。

  • 取引先
  • 役員
  • 従業員

上記のような関係者に説明する際は、タイミングも重要です。事業承継が確定していない状態や、早期のタイミングで従業員や取引先に説明してしまうと、従業員の離職や取引先との取引解消となる可能性があります。

そのため事業承継を行うことが確定してから説明できるように、外部に情報が漏洩しないような取り組みが大事になります。

事業承継の流れ⑤:企業の経営状況の改善

続いてのステップは企業の経営状態の改善になります。経営状態を改善する目的は、事業を後継者に承継する際に、問題や課題が少ない状態で引き継ぐことです。

経営状態を良くするためにすることは以下が考えられます。
  • 企業の財政状態の改善
  • 従業員のスキルや管理体制の改善
  • 戦略面での改善

事業承継を行うと言うことは事業を継続させ、長期的に事業を成長させることです。そのため今の段階で改善できる点を洗い出し、後継者に承継する前に改善しておくことをおすすめします。

事業承継の流れ⑥:具体的な承継作業に移行

事業承継の流れ最後は、具体的な承継作業です。ここでようやく承継作業に移行していきます。ここで行う承継作業は、先ほどの流れで説明した事業承継計画書を元に行っていきましょう。


具体的に行う作業は以下になります。

  • 株式譲渡の方法を決定する
  • 株式を後継者に引き継ぎ、経営権を後継者に移行する

株式譲渡の方法は3種類あります。
  • 相続
  • 贈与
  • 売買

相続は経営者が死亡した場合にしか行うことができませんが、贈与と売買は経営者が存命でも行うことができます。しかしここでどのように株式を譲渡するかで、相続税や贈与税などの税金問題、企業の資金問題などが発生するため慎重に決定する必要があります。

また後継者が決定した時点で、早めに事業承継を行う企業もあるそうですが、簡単な作業ではないため早めに事業承継を済ませてしまうと、承継後に問題が発生する可能性があります。そのためできるだけ慎重に時間をかけて事業承継は行いましょう。

そこで、自社の株式譲渡の方法でどれが一番適切なのか事業承継に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

相続・事業承継でよくある問題や課題を事例で紹介


ここからは相続事業承継の際によくある課題や問題において、事例を含めて紹介していきます。


相続・事業承継には一般的に以下のような問題や課題があると言われています。

  • 経営者の高齢化
  • 後継者不足による廃業
  • 相続税などの税負担

自社でも上記の問題を抱えているがまだ大丈夫と考えている方もいるでしょう。そこで今回は上記に関連する事例を3つ紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

事例①:事業承継をしたいが負債があるため不安

まず最初の事例は、事業承継をするつもりではあるが、企業が負債を抱えているため、後継者に負担をかけてしまうことが不安となっていた事例を紹介します。


まず今回の事例の簡単な紹介です。

紹介
業種
旅行業
(旅館経営)
所在地富山県
承継方法親族承継
承継者娘婿


事業承継を行うに至った理由は、旅館の歴史がかなり長く、時代の変化と共に事業の戦略を変更したため、事業を継続させたいという前代表の意思があったことです。

当時、事業の戦略の変更により、館内をリニューアルすることにしました。しかしリニューアルによる負債と、経営不振が続いており返済ができるかどうかの不安を抱えている状態でした。

負債を抱えていると、個人保証を理由に後継者が承継を拒否することも多くあります。しかしこちらの事例では、事業承継に関する専門家に相談することで借入金と保証人の問題を解決し、事業承継を完了することに成功しました。

事例②:後継者不在問題を先送りにしてしまった

続いての事例は、後継者不在であるにも関わらずその問題を先送りにして考えていた事例を紹介します。

こちらの事例も簡単に紹介をします。
紹介
業種製造業
所在地石川県
承継方法第三者承継
承継者第三者

こちらの事例は、前々経営者が生前、後継者が不在のまま他界してしまい、その経営者の親族が一度事業を引き継ぐことになったのですが、親族がこのまま事業の経営を引き継ぐつもりがないため第三者に事業を承継することを決めた事例になります。

前々経営者が後継者の選定と育成を後回しにしていたことにより、事業は廃業の危機となりました。しかし後継者人材バンクに登録したことにより、第三者の後継者を発見することができ、事業承継計画書通りに事業承継を進め、事業承継を完了させることができました。

事例③:贈与税・相続税が不安

最後に紹介する事例は相続・事業承継の際に発生する贈与税や相続税が不安という事例を紹介します。

事業承継をする際には、株式を後継者に譲渡する必要があります。その際に贈与を選択すると贈与税がかかり、経営者が死亡したことにより相続が発生する場合は、被相続人に相続税がかかることを解説しました。

これらの税金が問題なっている事例のうち、株式譲渡で贈与を選択したことにより贈与税が発生することが不安になっていた事例を紹介します。

まず以下がこちらの事例の簡単な紹介です。
紹介
業種飲食業
所在地奈良県
承継方法親族承継
承継者長男

こちらの事例で紹介する飲食業の会社は、数年後に長男に事業承継を検討している事例です。こちらの事業の業績が好調のため自社株の評価が高くなっているため、生前贈与を検討しているが贈与税が多額になるということに現経営者が不安を抱えていました。

この事例で問題になっていた点は、自社株の評価方式です。こちらの企業では「純資産価額方式」を採用しており、この方式で自社株を評価すると、業績が好調である企業は純資産が積み上がるります。それにより自社株式の評価も自ずと高くなります。一方で、財産の贈与がなされると贈与税が課されることも特徴です。

また贈与税は毎年110万円の一定の控除が認められています。しかしその控除額を超えた金額については続税より税率の高い贈与税が課されます。

こちらの企業では生前贈与による税負担を軽減するために、「事業承継税制」などの制度を活用し、税負担を軽減させ事業承継を行いました。税負担を軽減する方法は次で詳しく紹介します。

相続・事業承継の再任相続税などの承継に係る問題への対策


ここからは、相続・事業承継の際に発生する相続税などの承継に係る問題への対策を解説していきます。ここまで紹介したように相続・事業承継の際には税金や相続に関する問題が深刻であることは理解できかと思います。


ではそのような問題に対してどのような対策をとればいいのでしょうか?以下が税金や相続に関する問題についての対策になります。

  • 法人向けの生命保険を活用して資金準備をする
  • 事業承継税制の活用
  • 遺言書の作成

次からそれぞれ詳しい内容を解説していきますので、ぜひご覧ください。

①法人向けの生命保険を活用して資金準備

まず紹介する方法は、法人向けの生命保険を活用して資金準備を行うことです。法人保険を活用することで対策できるリスクは以下になります。

  • 事業継続資金
  • 経営者などの死亡退職金・弔慰金
  • 勇退退職金
  • 事業承継に係る資金

法人保険には終身保険や逓増定期保険など様々な法人向けの生命保険があります。自社にとって最適な法人向けの生命保険を専門家と相談して選ぶことをおすすめします

法人向けの生命保険について専門家に相談を希望する方は、「マネーキャリア」をご利用ください。「マネーキャリア」では法人保険や事業承継に詳しい専門家が相談に乗り、必要であれば適切な法人保険を提案してくれるサービスです。

専門家に相談したいことがある方は以下からお申し込みください。

②事業承継税制の活用

続いては「事業承継税制」の活用について解説していきます。まず「事業承継税制」とは何でしょうか?「事業承継税制」とは国税庁が定めている、納税に関する制度です。


具体的には、円滑化法に基づく認定のもと、企業の後継者となる人材が取得した一定の資産において、贈与税や相続税の納税を猶予する制度のことを言います。また一定の条件を満たすことにより、猶予された税金を免除することも可能な制度です。


つまりこちらの制度を活用することにより、後継者が自社株の取得によりかかる相続税や贈与税を実質免除することが可能な制度になります。


ただしこちらの制度を活用するためには条件を満たす必要があります。

対象者条件
前経営者企業の代表であること
相続開始、贈与直前に親族を含め、総議決権数の過半数を保有しており、筆頭株主であること
贈与時に代表者を退任していること
後継者相続開始または贈与時に、後継者親族を含み総議決権数の過半数を保有することになること
後継者が1人:最も多くの議決権数を保有する。後継者が2人または3人:総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、後継者と特別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有すること
贈与の場合:贈与時に20歳以上かつ贈与の直前で3年以上役員であり、代表者であること
相続の場合:相続開始の直前に役員であり、相続開始から5ヵ月後に代表者である
3.会社が満たすべき条件
会社中小企業者
従業員が1人以上
上場会社、風俗営業会社ではないこと
資産管理会社等に該当しないこと


上記条件の他にも、事業承継税制を活用した後にも条件があるので、詳しい内容は専門家にご相談ください。

③遺言書の作成

最後は遺言書を作成することです。経営者に複数の子供などの相続人がいた場合、経営者が死亡すると、経営者が所有していた財産は民法が定める法定相続分によって相続人に分割されます


財産には経営者が保有していた分の株式も含まれます。遺言書を作成していなければ株式も分割の対象となり、遺産分割協議で後継者に株式を集中させることが叶わなければ、計画書通りに事業承継を進めることができなくなります。


そのため経営者が生前に遺言書を作成し、後継者に経営支配権が渡るように株式数を相続させる必要があります

まとめ:相続・事業承継とは?


相続・事業承継について分かりやすく解説してきましたが、いかがだったでしょう?以下が今回の記事の簡単なまとめになります。

  • 事業承継とは、企業の経営を後継者に引き継ぐこと
  • 事業承継は企業の現状分析を行った後、後継者の選定をするなどかなりの時間をかけて行う作業
  • 一般的に相続・事業承継では、経営者の高齢化、後継者不足による廃業が目立つ
  • 相続税や贈与税に関する対策は法人保険(生命保険)もしくは「事業承継税制」を活用すること
  • 後継者への株式の相続に関する対策は遺言書の作成

相続・事業承継は複雑かつ慎重に行わなければならないイベントです、そのため財務・法務などそれぞれの分野で専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします

そこで財務に関する相談は「マネーキャリア」をご利用ください。「マネーキャリア」では事業承継や相続に詳しいため、それらのイベントに対する適切な対策まで専門家が提案してくれるサービスです。

相談は何度でも無料で行うことができます。気になる方は以下からご相談ください。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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