法人保険には法人税対策や事業継承対策、福利厚生目的などさまざまな活用方法があります。うまく活用すれば大変役に立ちますが、しっかりと把握していなければ、思わぬ損失を招いてしまいます。このカテゴリでは、法人保険について、活用方法や注意点について詳しく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
目次
- 法人保険は加入するべき?
- 法人保険の活用方法は?ニーズ別に紹介!
- 法人税対策
- 退職金準備
- 事業保障
- 事業承継対策
- 福利厚生
- 法人保険のそれぞれの種類と特徴、経理処理を解説!
- 逓増定期保険
- 長期平準定期保険
- 全額損金定期保険
- 医療保険
- 養老保険
- 終身保険
- がん保険
- 法人保険の基礎知識
- 法人保険に加入するメリットは?
- 解約返戻金・解約返戻率について
- 出口戦略とは?
- 法人保険に加入する際に注意しなければいけないこととは?
- 高額な保険料によるキャッシュフローの悪化に注意
- 解約返戻率を見て、出口戦略を立てておこう
- 法人保険以外にも共済への加入を検討しよう
- 法人保険はしっかりと知識をつけた上で加入するべき!
法人保険は加入するべき?
法人保険の活用方法は?ニーズ別に紹介!
では、法人保険はどのような目的のために加入するのでしょうか。
法人保険にはそれぞれの種類によって様々な活用方法があり、明確な目的をもって加入することが重要になってきます。
具体的な目的とは以下のようなものです。
- 法人税対策
- 退職金準備
- 事業保障
- 事業承継(相続対策)
- 福利厚生
法人税対策
経営者の方は法人保険に加入することで、法人税の負担を軽減できるという話を一度は耳にしたことがあるはずです。
法人税の負担を軽減できる理由としては法人保険の保険料を損金に算入することで、課税される法人税を減らすことができるからです。
しかし、法人保険の保険料を全額損金に算入できるわけではないので注意が必要です。

退職金準備
法人保険は退職金準備にも活用することができます。
中小企業であれば役員や経営者のための多額の退職金を経費で準備するのは困難です。
そこで、法人保険を活用し退職金を積み立てていくことで、退職金を準備する負担を軽減することができるのです。

事業保障
法人保険に加入することで、事業保障をすることもできます。
経営者や役員に万が一のことがあれば、会社にとって大きな損失を生むことになってしまう可能性もあります。
そのようなリスクに対して、法人保険で対処することができます。
事業承継対策
法人保険を活用することで、スムーズに事業承継を行うこともできます。
事業承継や相続をする場合、多額の相続税が課税されてしまいます。
この相続税を準備する、また相続税を低く抑えるために法人保険を活用することができるのです。

福利厚生
法人保険の被保険者を法人の従業員とすることで、福利厚生を厚くすることができます。
従業員が安心して仕事に取り組めたり、モチベーションのアップにつながるなど、福利厚生を厚くすることで、企業には大きなメリットとなります。

法人保険のそれぞれの種類と特徴、経理処理を解説!
法人保険には様々な種類があるので、選ぶのが大変ですよね。
しかし、法人保険に加入する際は、自社の規模や加入の目的を照らし合わせて、適切な法人保険を選ぶことをおすすめします。
以下では、それぞれの法人保険の特徴や経理処理について解説しています。
逓増定期保険
逓増定期保険の特徴は比較的短期間(1/2損金タイプの場合では5~10年)で解約返戻金がピークになることです。
逓増定期保険の経理処理には以下の3つのタイプがあります。
- 全額損金タイプ
- 1/2損金タイプ
- 1/3損金タイプ
逓増定期保険は短期間で退職金が必要になる場合などに有効な法人保険となります。


長期平準定期保険
長期平準定期保険の特徴は保険期間が長いことです。
商品によっては95歳や100歳まで保障してくれるものもあり、経営者や役員の死亡保険金を用意するために加入することが多い法人保険です。
長期平準定期保険の経理処理に関しては一般的に保険料の1/2を損金に算入することができます。


全額損金定期保険
全額損金定期保険の特徴はその名の通り、保険料が全額損金となることです。
また、解約返戻率のピークが比較的長いため、ある程度は解約時期を調整することができます。
しかし最近になって、全額損金定期保険が金融庁から問題視されるようになっており、全額損金定期保険が規制されるのではないかとも言われています。
全額損金定期保険への加入を検討されるときは注意してください。

医療保険
法人契約の医療保険の特徴は保険料を全額損金にできるところです。
また、終身型・定期型と2タイプの医療保険があり、経営者や役員を被保険者にするか、従業員を被保険者にするかで選択をすることができます。
特に短期払い終身型医療保険は名義変更をすることで、経営者や役員が個人の負担をほとんどせずに一生涯の保障を受けることができるため、人気があります。


養老保険
法人契約養老保険の特徴は、満期保険金があるため保険金を必ず受け取ることができる点と被保険者を誰にするかによって、活用方法が変化する点です。
契約形態によっては、福利厚生を厚くすることができたり、節税効果を高めることができる法人保険です。

終身保険
法人契約の終身保険の特徴は貯蓄性が高く、保険料が全額資産計上になることです。
この保険は被保険者の死亡時に多額の死亡保険金が支払われるため、後継者が相続を行う時に負担を軽減することができるなど、事業承継対策として加入するのが一般的です。
しかし、保険料が高く、損金性も低い(節税効果が低い)のでデメリットが多いように感じられます。


がん保険
法人契約のがん保険には解約返戻金があるものと無いものがあります。
解約返戻金があるものは退職金準備に活用でき、解約返戻金が無いものは福利厚生を厚くすることに活用できます。
また、終身タイプのがん保険は退職金のかわり(退職金の現物支給)として活用されることが多いです。
昔は、保険料を全額損金にすることができたので節税効果が高い法人保険として人気があったのですが、税制改正がなされ現在は節税効果がそれほど高くないのが現状です。

法人保険の基礎知識
ここからは法人保険に加入するうえで、知っておくべき知識について解説していきます。
法人保険に加入することで、利用できる制度を把握しておけば、会社の経営に万が一のことがあったときに役に立つかもしれません。
法人保険に加入するメリットは?
では、法人保険に加入する際、どのようなメリットがあるのでしょうか。
法人保険のメリットとしては、まず決算直前に法人保険に加入することで、決算対策を行うことができます。
法人保険への加入はすぐに行うことができるので、1週間前からでも決算対策ができるのです。

また、契約者貸付を利用することで、会社経営でキャッシュが不足してしまったときに保険会社からお金を借り入れることができます。
ただし、借り入れることができる金額には上限があるので注意が必要です。

解約返戻金・解約返戻率について
解約返戻金とは、保険を解約するときに保険会社から返戻されるお金のことです。
この解約返戻金が、支払った保険料の何割を占めるのかという割合を解約返戻率といいます。
それぞれの法人保険は解約返戻率のピークを持っており、そのピークに合わせて保険を解約することで、会社に効率よくキャッシュを残せるようになっているのです。

出口戦略とは?
出口戦略とは、法人保険を解約したときに発生する雑収入をどのように相殺するかという計画のことを言います。
保険料を支払っている間は、保険料の一部が損金となり、法人税の負担を軽減することができます。
しかし、保険解約時に受け取る解約返戻金は雑収入として益金に計上されてしまうので、この増えた益金を経費として損金にしなければ、これまで軽減していた法人税をこの時点で支払うことになってしまいます。
これがいわゆる「課税の繰り延べ」です。
課税の繰り延べを避けて節税効果を得るためには、解約返戻金の使い道、つまり出口戦略が必要になってくるのです。

法人保険に加入する際に注意しなければいけないこととは?
ここまで法人保険の様々な活用方法について解説してきましたが、もちろん法人保険に加入する際に注意しなければいけないことも多くあります。
法人保険に加入する際、以下の注意点をしっかり考えておかないと、法人にとっては逆に悪影響を与えることになりかねません。
しっかりと確認しておきましょう。
高額な保険料によるキャッシュフローの悪化に注意
法人保険を活用することで、法人税の負担を軽減できることを述べました。
経営者の方はできるだけ多額の金額を節税したいとお考えでしょう。
しかし、むやみに高額な保険料の法人保険に加入してしまうと、法人のキャッシュが減少し、いざという時にキャッシュを用意することが難しくなります。
法人保険に加入する際は、自社の規模や保有するキャッシュの量をしっかりと考慮に入れて検討する必要があります。
解約返戻率を見て、出口戦略を立てておこう
法人保険は保険料を損金にするだけでは、課税の繰り延べに終わってしまいます。
多くの節税スキームでは解約返戻率のピークに合わせて解約し、退職金準備や大型投資など大きなイベントを行う必要があるのです。
解約返戻率のピークに合わせた出口戦略をしっかりと計画したうえで、法人保険に加入するようにしましょう。

法人保険以外にも共済への加入を検討しよう
退職金準備や事業保障をするなら、法人保険に加入する以外にも共済に加入する手もあります。
共済は掛金が法人保険に比べて安価で、中小企業にとっては加入しやすいのが特徴です。
しかし、掛金が少ない分、損金にできる金額もすくなくなり、節税効果は法人保険にくらべ大変低くなります。
自社の状況と照らし合わせて、法人保険と共済のどちらに加入するべきなのかをしっかりと検討しましょう。
法人保険はしっかりと知識をつけた上で加入するべき!
ここまで、法人保険について目的や基礎知識、注意点について解説してきました。
法人保険に加入しているけれど、このような仕組みになっているとは知らなかったという経営者の方も多いのではないでしょうか。
法人保険の加入を検討されている経営者の方は、どのような目的で法人保険に加入するのか、自社の規模にあった法人保険か、出口戦略などを計画できているかなどをしっかりと確認しておきましょう。
ほけんROOMでは、読んでおきたい法人保険に関するさまざまな記事を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
法人保険に入ると法人税を節税できると聞いたことがあるかもしれません。
自分の会社にできるだけ多くのキャッシュを残したいと思っている経営者の方はどの法人保険に入ればいいのか迷っていると思います。
実際、法人保険にはたくさんの種類があり、それぞれどのような目的で加入するべきかが分かれています。
やみくもにすすめられるまま自分の会社に合わない法人保険に加入してしまうと、大きな損失を生んでしまうかもしれません。
そこでこのページでは、ほけんROOMの記事を中心に法人保険について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。