更新日:2023/07/20
事業承継対策は早めにしよう!対策方法や重要ポイントを解説
現経営者から新たな後継者へ会社と事業を引き継ぐことを事業承継といいますが、事業承継対策を早めに行わないと、遺産分割による相続トラブルなど様々なリスクに直面する可能性があります。そこで今回は事業承継対策の必要性や実際の流れ、対策すべきことなどについて解説します。
内容をまとめると
- 事業承継対策は会社を存続させ、税金・相続トラブルを回避するためにも有効
- 事業承継対策を怠ると最悪の場合、後継者不在により廃業となるリスクがある
- 事業承継対策は現状を把握したうえで後継者の決定・事業承継計画書の策定を行う
- 事業承継はできるだけ早く、現経営者が存命のうちに行う必要がある
- 相続税や贈与税対策として活用する法人保険の選び方で悩んでいる方は「マネーキャリア」がおすすめ!優秀なFPに何度でも無料でオンライン相談が可能です!
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 事業承継対策は中小企業に必須!事業承継対策の必要性3つ
- 必要性①:会社を存続させるため
- 必要性②:重い税金負担に備えるため
- 必要性③:相続トラブルを避けるため
- 事業承継対策をしないと存続の危機!事業承継対策が必要な会社の特徴3つ
- 特徴①:相続人が複数いる
- 特徴②:後継者が決まっていない
- 特徴③:事業に対する経営者の影響力が強い
- 事業承継対策の後回しは危険!事業承継に失敗した事例4つ
- 事例①:会長が社長に経営権を移譲しなかった
- 事例②:事業承継対策をする前に経営者が体調を崩した
- 事例③:後継者に事業用資産を集中できなかった
- 事例④:後継者に会社の魅力を伝えられなかった
- 事業承継の対策不足で倒産した会社は例年400社近くある
- 事業承継対策は3段階に分かれている!事業承継対策の主な流れ
- ステップ1:現状の把握
- ステップ2:後継者・承継方法の確定
- ステップ3:事業承継計画の策定
- 事業承継をするときの具体的な5つの対策内容
- 事業承継対策で重要な2つのポイント
- ポイント①:事業承継対策は早くとりかかるべき
- ポイント②:事業承継では後継者の意見を大切にすべき
- 事業承継対策には法人保険を活用!法人保険のことなら保険のプロに相談!
- 事業承継対策の必要性や主な流れに関するまとめ
目次
事業承継対策は中小企業に必須!事業承継対策の必要性3つ
日本国内ではそれぞれの会社における「後継者不足」問題が顕著ですが、この問題に関して自分の会社はあまり関係ない、そこまで深刻な問題ではないと考える方がおられるかもしれません。
しかし、とりわけ「中小企業」に分類される会社は早めに事業承継対策の準備を行ったほうが良い、といえる理由があります。
そこで次からは、なぜ事業承継対策を行っておくべきなのか、
- 会社を存続させるため
- 重い税金負担に備えるため
- 相続トラブルを割けるため
必要性①:会社を存続させるため
事業承継は、現経営者が辞職、または死亡した場合などに会社を存続させるために必要です。
中小企業庁によれば、事業承継は単に「社長を代える」ことではなく
- 人:経営権
- 資産:株式・事業用資産・資金
- 知的資産:経営理念・技術・顧客情報・ノウハウなど
必要性②:重い税金負担に備えるため
事業承継が必要だと言える2つ目の理由は、重い税金負担の回避です。
たとえば先代の経営者が子どもに会社を引き継がせる場合、
- 相続:先代経営者の死亡に伴い、後継者である子どもに株式・事業が移転される
- 生前贈与:先代経営者の生存中に、後継者である子どもに株式・事業が移転される
必要性③:相続トラブルを避けるため
事業承継が必要である3つ目の理由は、相続にかかわるトラブルを避けることにあります。
2020年には、およそ1万1千件以上の相続トラブルにより調停および審判が行われています。
基本的に一族の相続問題はその一族内で解決する必要がありますが、会社単位で見ると、それは一族の問題だけでなく役員や従業員、ひいては事業の死活問題にも発展しうる問題でもあります。
相続トラブルが発生していることがメディアを通して公になると、大企業であればあるほどイメージダウンにもつながりますし、銀行から融資を受けられなくなる可能性もあります。
このため、現在だけでなく将来の会社を守るという意味でも、事業承継対策は欠かせないといえます。
事業承継対策をしないと存続の危機!事業承継対策が必要な会社の特徴3つ
ここまでは事業承継のために対策が必要だといえる理由について説明してきましたが、実際のところ事業承継対策をしておかないと、今後会社の存続危機に陥る可能性が高い会社の特徴があります。
次からはそのような「リスクの高い」会社について、
- 相続人が複数いる
- 後継者が決まっていない
- 事業に対する経営者の影響力が強い
特徴①:相続人が複数いる
先代経営者が会社を引き継がせる後継者の候補が複数人いると、トラブルになる可能性が高くなります。
さきほど説明したように、先代経営者が自分自身の子どもなどに会社を引き継がせる場合は、生前贈与や相続といった方法で株式を移転します。
基本的に子どもが1人だけである場合は、(あくまで子どもの意思が優先されますが)その子どもが後継者として事業を引き継げるので問題は起きません。
しかし、子どもが複数人いる場合など相続できる後継者の候補が1人だけではない場合、誰が後継者となるか、遺産をどれだけ相続されるかで言い争いになるケースがあります。
しかし、事前に後継者を決めておくなど、きちんと会社を引き継がせる準備が事業承継対策によってできているなら、相続トラブルを回避できます。
特徴②:後継者が決まっていない
あらかじめ会社を引き継げる後継者が決まっていないと、「後継者がいない」という理由だけで廃業に追い込まれるという最大のリスクがあります。
実際のところ、業績は黒字であるのに、後継者がいないために廃業となる会社は少なくありません。
実際にどれだけの会社が「後継者不在」により廃業となっているかは、また後ほど解説します。
特徴③:事業に対する経営者の影響力が強い
経営者に事業の全決定権が委ねられているような会社の場合、その経営者に万が一のことがあると、他の誰かが現経営者の代わりとして重要な判断が行えなくなります。
いわゆるワンマン経営というかたちを取っている会社においては、社長が経営に関して絶対的な自信を持っているなどの理由で、「本当に自分が認める人以外後継者には認めない」というような考えを持っているケースがあります。
これは経営面でのメリットもたしかにありますが、後継者がまったく育たないという意味では、ワンマン経営は大きなリスクを抱えている状態です。
そのため、影響力が多大な社長に万が一のことがあった場合に会社が立ち行かなくなる可能性があるため、たとえワンマン経営の会社であっても事業承継対策は欠かせません。
事業承継対策の後回しは危険!事業承継に失敗した事例4つ
実際のところ、今挙げたようなリスクの高い会社において事業承継対策を後回しにしていると、会社の存続すら危うくなる状況にまで追い込まれることがあります。
そこで次は、実際に今まで発生した事業承継に失敗した事例について、
- 会長が社長に経営権を移譲しなかった
- 事業承継対策をする前に経営者が体調を崩した
- 後継者に事業用資産を集中できなかった
- 後継者に会社の魅力を伝えられなかった
事例①:会長が社長に経営権を移譲しなかった
経営者が後継者に経営権を移譲しないケースがあります。
ある会社の経営者は、すでにかなりの高齢でありながらも、社長である息子に経営権をなかなか移譲しませんでした。
現社長である息子が経営者に対して株式の移転を提案したものの、
最終的には現経営者が不服として会社を売却しようとするところまで発展したようです。
この場合、基本的に事業承継対策を率先して行わなければならないのは、元の経営者です。
ほとんどのケースにおいて、後継者となる立場の人が「そろそろ事業を譲ってほしい」と伝えるのは立場上難しく、新たなトラブルの原因になる可能性があります。
この場合、会社のほぼすべての株式を現経営者が保有していたため、本来であれば生前贈与によって早期に株式を後継者に移転する必要があります。
事例②:事業承継対策をする前に経営者が体調を崩した
次の事例も事例①と似たようなケースですが、事業承継前に高齢の現経営者が体調を崩して入院したり、認知症などによって判断能力が低下してしまった、というケースがあります。
高齢の現経営者は自分自身の弟を代表取締役としており、その弟が行った事業拡大によって良い業績を上げていましたが、依然としてほとんどの株式や不動産は現経営者が保有していました。
しかし、その現経営者が体調を崩し、すでに経営に携わることはできなくなってしまいます。
この状況では、
- 親族内に有力な後継者がいないにも関わらず、親族外承継をまったく検討していなかった
- 現経営者はすでに判断能力が低下しており、本人も退陣を望んでいるが事業承継はされていない
- 業績の悪化により現経営者に大きな債務が残る可能性があり、事業が頓挫するリスクもある
事例③:後継者に事業用資産を集中できなかった
次は、後継者候補が複数人いた故に、事業用資産を一人に集中できなかったという例です。
高齢だった経営者は自社株式を含む多大な資産を保有していましたが、突然の死亡により、二人いた息子に遺産分割をしなければならなくなりました。
二人のうち一人(ここでは「A」とします)はすでに代表取締役として権限を持っていましたが、もう一人の方(ここでは「B」とします)は過去に大きな損失を発生させていたため、すでにBは会社とは無関係の人間となっていました。
この状況では、
- 経営者は生前に遺言書を作成していなかったため、新たに遺産分割協議の必要性が生じた
- 本来ならAにすべての遺産を相続したいが、Bが一部の事業用資産の相続を主張している
- 実際にBに事業用資産の一部が相続されてしまったために、事業に悪影響が出ている
事例④:後継者に会社の魅力を伝えられなかった
最後に挙げる事例は、現経営者が後継者に対して「本来の意味」で事業承継ができていなかった、というケースです。
すでに挙げたように、事業承継には単純に「新しい社長に事業を引き継ぐ」だけでなく、自社製品の魅力や技術、ノウハウなどの知的資産を承継するという意味合いも含まれています。
しかしある会社において高齢の現経営者が後継者候補である息子に対してその「知的資産の承継」を行ってこなかったゆえに、後継者が自社製品の魅力を理解しないまま取締役になってしまいました。
この状況における問題点は、
- 後継者が自社製品の魅力を十分に理解していないため、取引先との関係性が悪化している
- 現経営者は何よりも顧客を大切にしているが、その点で後継者とは大きな認識のズレがある
事業承継の対策不足で倒産した会社は例年400社近くある
会社の業績は黒字であり順調であるはずなのに、後継者がいないというだけで倒産するような事態は、現実でも発生しています。
一例として、
- 定山渓ホテル山水
- 上田合金
- タイガー商会
帝国データバンクによる2020年の調査によると、なんと全会社のうち65.1%が「後継者不在」という問題を抱えています。
さらに60歳以上の経営者の半分が、後継者がいないという理由で将来的に廃業を予定しているという統計もあります。
とりわけ建設業や製造業における後継者不在の問題が顕著であり、「内部昇格」や「M&A」による事業承継も含め、今後のさらなる事業承継支援が必至です。
なぜ内部昇格やM&Aが後継者不足に有効なのか、それは同族承継とは違い後継者を親族以外から選ぶことができ、実際に一族以外の人を後継者として事業承継するケースが増加しています。
今後も中小企業を中心として、「同族承継依存からの脱出」「内部昇格が増える」傾向は右肩上がりに増えていくと予想されます。
事業承継対策は3段階に分かれている!事業承継対策の主な流れ
これから実際に事業承継対策を行おうと考えている経営者の中には、「事業承継」といっても、そもそも実際に何をどのような流れで行えば良いのか分からない、という方もおられるでしょう。
そこで次からは事業承継対策の流れについて、
- 現状の把握
- 後継者・承継方法の確定
- 事業承継計画の策定
ステップ1:現状の把握
事業承継における最初のステップは、現状を把握することです。
実際にどのような点を把握する必要があるのかというと、
- 会社が保有する資産額
- 会社が保有する負債額
- 従業員の人数や年齢、勤務状況など
- 経営者が保有する資産額や自社株式
- 経営者が抱える負債額
- 顧客や取引先に関する詳細、関係性など
- 親族または親族外に適切な後継者候補がいるか
- 後継者は会社の現状やビジョンを把握しており能力的にも経営者として適任か
ステップ2:後継者・承継方法の確定
次は会社と事業を引き継ぐ後継者・承継方法を確定させます。
誰が後継者として適任なのか、親族に後継者として適切な人がいない場合、親族以外の誰を後継者として選出するのかを決める必要があります。
すでに挙げたように事業承継は「人」「資産」「知的資産」の3つを後継者に引き継ぐことが目的であり、とりわけ「人」の部分は会社の今後を大きく左右します。
この段階で、
- 相続・贈与で事業承継する(親族)
- 社内からの内部昇格や外部からの外部招へいによって事業承継する(非親族)
- M&Aで事業承継する(他会社による合併・買収)
実際のところ、後継者を親族から選出する場合、または親族外から選出する場合の両パターンにおいて、異なるメリットやデメリットがあります。
まず親族から後継者を選ぶ場合ですが、これは親族であるゆえに引き継ぎやすい、元経営者である親などの理念や将来的なビジョンを引き継ぎやすいというメリットがあります。
その反面、親族に候補がいるとしても必ずしもその人が経営者として必要な能力・スキルを持ち合わせているとは限らず、外部から選んだほうが良い選択になる場合もあります。
次に親族外から後継者を選ぶ場合ですが、こちらは単純に経営者として能力が高く、会社の方針を完全に理解している役員などから選出できるというメリットがあります。
その反面、親族を後継者とするケースよりも「知的資産の承継」が難しく、経営者が変わったことで社風や方針が180度変わってしまうリスクもあります。
ステップ3:事業承継計画の策定
3つ目のステップでは実際に事業承継の計画を立て、「事業承継計画書」を作成します。
事業承継は最低でも10年かかるとされていますが、経営権が後継者に渡れば終わりというわけではなく、事業承継税制の活用も含めて、実際に新しい経営者によって元の事業が引き継がれ、会社として経営が成立していなければなりません。
そのため、
- 現経営者から後継者への完全な事業の引き継ぎをいつ(何年後に)行うか
- 現在の事業は10年後までどれだけの利益をあげられるか
- 今後現経営者が保有している持ち株をどのような割合で後継者に移行していくか
事業承継をするときの具体的な5つの対策内容
事業承継を円滑に行うためには、いくつかの障害となる点に対して具体的な対策を行う必要があります。
具体的にどのような対策が必要となるかというと、
- 後継者が育つような教育環境を整える
- 遺産相続の割合をあらかじめ決めておく
- 株式の移転に伴う相続税・贈与税の対策をする
- 事業承継税制を活用する
- 法人保険に加入する
- 現経営者は過去に会社の代表であり、現在は代表を辞任している
- 現経営者が会社の筆頭株主である
- 現経営者に50%以上の議決権がある
- 後継者が今後確実に会社の代表となる
- 後継者が今後確実に会社の筆頭株主となる
- 後継者が今後確実に50%以上の議決権を得る
- 保険料支払い分を退職金として損金計上すると自社株評価が下がり税金を安くできる
- 経営者の死亡時に支払われる死亡保険金を資金として充当できる
- 後継者以外の相続人に対して支払われる遺留分の資金源になりトラブルを回避できる
事業承継対策で重要な2つのポイント
たとえば、先代経営者が亡くなるという事態が発生した場合に、そのタイミングから改めて「誰に事業承継を行うか」と考えても遅いといえますが、それはなぜでしょうか。
その点も含めた、事業承継において重要なポイントについて、
- 事業承継対策は早くとりかかるべき
- 事業承継では後継者の意見を大切にすべき
ポイント①:事業承継対策は早くとりかかるべき
事業承継対策はできるだけ早めに、現経営者が存命中のうちに行う必要があります。
「ステップ3:事業承継計画の策定」でも取り上げたように、事業承継は突発的に行えるうものではなく、後継者教育も含め場合によっては10年単位で計画しなければならないため、「経営者が死亡してから考える」では遅いのです。
とりわけ、相続のトラブルは単に経営者一族だけに影響を及ぼすような問題だけではありません。
会社の存続、社員や従業員の生活や、ひいてはその家族の生活にも関わってくることであるため、事業承継対策は現経営者に正しい判断能力が残っているうちに行うべきです。
ポイント②:事業承継では後継者の意見を大切にすべき
事業承継は、必ず後継者となる人の意見を尊重します。
「事例④:後継者に会社の魅力を伝えられなかった」では、すでに高齢であった先代経営者が後継者教育を十分に行ってこなかったために事業承継が失敗したケースを紹介しました。
そもそも、「自分が新たな経営者として引っ張っていきたい」と後継者が意気込めるような会社の状態でなければ、後継者候補が親族であっても親族外であっても、後継者として名乗りをあげることができません。
ワンマン経営の会社に起こりがちな「経営者がすべての決定権を握っており、誰も意見できず、誰もNOと言えない」ような状況は避けるべきです。
事業承継対策には法人保険を活用!法人保険のことなら保険のプロに相談!
さきほど事業承継対策には生命保険が活用できる例を紹介したとおり、現経営者の死亡により法人保険から支払われる保険金は、事業資金や納税資金として活用できます。
しかし、実際にどの保険会社の法人保険に加入すればメリットを最大限に享受できるか分からない、という方も多いでしょう。
そこで活用できるのが、無料で法人保険のことについて相談できる「マネーキャリア」というサービスです。
マネーキャリアではFP(ファイナンシャルプランナー)などの「お金のプロ」から、自社に最適な法人保険の提案を受けたり、事業承継対策についても相談することができます。
相談方法は感染対策に最適なオンラインで、しかも回数無制限で無料相談が可能です。
今後事業承継対策の実施を予定しており、法人保険を活用した節税を考えておられる方は、ぜひ一度「マネーキャリア」を利用してみてはいかがでしょうか。
事業承継対策の必要性や主な流れに関するまとめ
今回は事業承継対策の必要性や、事業承継の流れなどについてさまざまな点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
事業承継は経営者を一新するだけではなく、将来的に会社が存続し発展しているかどうかという、今後の会社の「命」を左右する、経営者の「魂」を引き継ぐためのプロセスだといえます。
これを怠ると他の多くの会社のように後継者不足の問題に直面して、文字通り会社という「命」を失いかねない事態にも陥りかねないため、必ず10年・20年先を見据えた事業承継対策を計画し、実行に移しましょう。
ほけんROOMでは、この記事以外にも役立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。
▼この記事を読んでほしい人
▼この記事を読んでわかること