事業承継で融資を受ける方法とは?融資や信用保証の注意点も解説

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事業承継には多額の資金が必要になることから、日本政策金融公庫などから融資を受けることもできる。会社の規模や財政状況によって融資を受けられるが、法人保険などであらかじめ資金を用意する方法もあることからなるべく融資を受けずに事業承継のための費用を用意した方がいい。






▼この記事を読んでほしい人

  • 事業承継に必要な費用に不安を感じている人
  • 事業承継のための費用を準備する方法を知りたい人
  • 融資を受けることについて方法やリスクを知りたい人
  • 融資を受けるための手続方法を知りたい人
▼この記事を読んでわかること

  • 事業承継に必要な資金の具体例や資金の調達方法
  • 融資を受けるための手続き方法
  • 融資を受ける際に注意すべき点
  • 融資によって事業承継に必要な資金を調達することのメリット・デメリット

内容をまとめると

  • 事業を承継するためには株の買取や納税のための資金など、企業の規模によっては数百万円から数千万円の資金が必要になる場合もあるので、そのための資金を用意する必要がある
  • 事業承継のための資金が不足した場合日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の融資を受ける他に、一般企業や個人事業主の信用保証を受けるという方法もある。融資を受けることができる人や企業の規模、財政状況など条件があるため確認が必要
  • 借入期間が長引くほど借入期間が長くなるほど返済額は大きくなる他、融資には審査を受ける必要があるが、融資を受けるまでには時間がかかる 審査が通るとは限らないといったデメリットもあるのでその点は注意が必要
  • 事業承継のために必要な資金を準備するために融資を受けるという方法もあるが、デメリットなどもあるため可能であれば法人保険などであらかじめ資金を準備しておくと良い
  • お金のプロが多数在籍しているマネーキャリアに相談することで法人の事業承継に必要な資金や保険を相談することができる
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

事業承継は融資を要することも!事業承継に必要な資金の具体例



中小企業庁「事業承継における
融資・保証制度」
によると、会社において事業承継して代替わりする際に必要な資金として以下のものが必要となってきます。


  • 自社の株や事業用資産を後継者が買い取るための資金
  • 相続や贈与によって自社の株や事業用資産を得た場合、国に収める税金
  • 残された従業員が株や事業を買い取り引き継ぐことで事業を続けるための資金
  • 経営者の交代によって信用状態が悪化し、銀行の借入や取引先の支払の条件が厳し  くなった場合の資金
事業承継するということは買取や納税などで多額の資金が必要となります。

株などを買い取るための費用や国への納税に必要なお金や今後も事業を続けるための費用はもちろんですが、これまで築いてきた信用がなくなってしまうことによる信用状態の悪化で借り入れや支払が難しくなってしまった場合の対策費用も場合によっては必要となるでしょう。

以上のことから想定される出費は多岐にわたり、会社の規模によっては支払いきれないほどの金額に膨れ上がってしまう場合もあります。

事前に代表者が法人保険などに加入し相続対策に必要な資金を十分に準備している場合もありますが、保険に未加入だったり保険金のみでは不十分であるということも考えられます。

あらかじめ事業承継のために用意されていた資金が不足している場合は、後継者が手続きを行い融資を受ける必要があることもあります。

事業承継の資金が不足する場合の2つの調達方法



事業承継では想像以上に多くの資金を必要とすること、事業承継のための資金を前の代表者がきちんと準備していなかったということも考えられます。


事業承継のための資金が足りないという非常事態に陥ってしまった場合でも支払うべきものは支払わなければなりません。


事業承継の資金が不足した場合


  • 日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の融資を受ける
  • 一般企業や個人事業主の信用保証を受ける

2種類の資金調達方法で資金を調達することができます。

方法①:日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の融資を受ける

中小企業庁「事業承継における
融資・保証制度」
によると、事業承継のための資金が不足してしまった場合は日本政策金融公庫、沖縄の場合では沖縄振興開発金融公庫の融資を受けることができます。


融資が受けられるケースは以下の通りです。


  • 後継者がいないことで事業継続が難しい会社から、事業や株の譲渡で事業の承継をする場合
  • 株主から株や事業用資産を買い取る場合
  • 後継者が事業のための資産を買い取る場合
  • 経営承継円滑化法の認定を受けた代表者が株なっどの買取や国への納税を行う場合
融資の利率については0.81%の特別利率が適用されます。

融資は誰でも受けられるものではなく、融資を受けるための条件「融資の限度額が7億2,000万円、そのうち運転資金が4億8,000万円であることを承諾すること」を満たしていなければなりません。

ちなみに沖縄振興開発金融公庫の場合は融資の条件が異なる可能性がありますので、お問い合わせ窓口にお問い合わせください。

方法②:一般企業や個人事業主の信用保証を受ける

事業承継のための資金が不足してしまった場合日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の融資を受ける以外にも、一般企業や個人事業主の信用保証を受けるという方法もあります。


経営承継円滑化法で認定を受けた会社が、金融機関から事業承継に必要な資金を借りる場合には、信用保証協会の通常の保証枠とは別のプラスαの枠が用意されることになります。


  • 普通保険2億円まで:借入枠が2億円拡大 
  • 無担保保険8,000万円まで: 借入枠が8,000万円 拡大
  • 特別小口保険1,250万円まで:借入枠が1,250万円 拡大

あくまで会社や個人事業主が対象の信用保証による借入金拡大なので、代表者個人の扱いでは保証の対象となりません。

日本政策金融公庫の融資に関する重要ポイント



融資を受ける際に気を付けるべき重要ポイントは以下の通りです。


  1. 融資を受けることができる人が限定されている
  2. 融資されたお金の使い道がある程度決められている
  3. 融資の利率
  4. 融資の返済期間

融資を受けるまでハードルが高くなりがちな中小企業にとっては条件があるものの、日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは大きいと感じられます。

しかし、同時に他の融資ではあまりないルールなどもあります。

日本政策金融公庫を活用する際には融資を受ける必要性や条件を満たしているかをあらかじめ確認した上で無理のない融資計画を立てましょう。

ポイント①:融資の利用対象者

日本政策金融公庫によると、融資を受けることができる利用対象者は以下の通りとなっております。

  1. ある程度長いスパンでの事業承継を計画していて、今の経営者と後継者が一緒に事業承継の計画を考えている会社の人
  2. 安定的な経営権を確保するために事業の引き継ぎや取りまとめをしようとしている人
  3. 事業の承継や集約をきっかけに、新たに経営を広げたり新たな取り組みにチャレンジしようとしている人
  4.  中小企業経営承継円滑化法で認定を受けた中小企業や個人の代表者、または認定を受けた事業を営んでいない人
  5. 取引金融機関に事業承継を理由とした経営者個人保証免除を申請したことで資金を新たに借りることが難しくなったものの、日本政策金融公庫が経営者個人保証を免除する方

上記の条件のいずれかに当てはまる人が融資を受けられることになっています。

ポイント②:融資の使い道

融資された金銭は何に使っても良いわけではありません。


使い道として定められているものは以下の通りです。


  • 事業承継計画を達成するために必要な設備や長期間の返済にあてるために使用 
  •  事業を引き継ぐために必要な設備や長期間の返済のため、転貸資金の一部として活用
  • 事業を続けるために必要とされる設備や長期間の返済にあてるために使用
  • 事業の引き継ぎのために必要な設備や長期間の返済に必要な資金の中でも中小企業経営承継円滑化法施行規則で定められた使用方法
  • 金融機関との取引が変化したことによって必要になった長期間の返済にあてるために使用

融資の限度額は直接貸付で7億2千万円となっております。

せっかく受けることができる融資ですから、融資の目的に外れない範囲で有効に活用し事業を続けていきましょう。

ポイント③:融資の利率

融資の利率は融資の利用対象者や融資を受ける金額によって変化します。


自分の会社の受ける融資の金額や企業の状態にもよって変わってきますので、よくご確認の上融資を受けるようにしましょう。

ポイント①融資の利用対象者融資金額4億円まで融資金額4億円超
1・特別利率①
 ・今の経営者の年齢が65歳以上で、認定経営革新等支援機関の支援を受けて事業承継計画を実施する場合は
特別利率②
基準利率

2※原則、基準利率原則、基準利率

3特別利率②基準利率

4・特別利率①
 ・ただし、付加価値向上計画を作成したことで新たな雇用が見込まれる場合は特別利率②
基準利率

5基準利率基準利率


令和3年10月1日時点の利率は中小企業事業(主要利率一覧表)の定めるとおりです。


※日本政策金融公庫が定める条件や事情に合致した場合特別利率が適用されることもありますので、詳しくは日本政策金融公庫の利率をご確認ください。


ポイント④:融資の返済期間

日本政策金融公庫から融資を受けた場合の返済期間は以下の通りとなっています。


返済期間(以内)
設備資金20年
運転資金7年
※公庫融資借換特例制度に該当する人は8年以内
うち据置期間は1ヵ月以内

据置期間は設備資金・運転資金ともに原則2年以内です。

公庫融資借換特例制度では災害や社会事情の変化、金融機関との関係の悪化で経営を続けることが困難になっている人を対象に、すでに契約している公庫融資から借り換えを行います。


新規融資の契約を新たに結ぶなど定められた条件を満たすこと、日本政策金融公庫の審査を受ける必要がありますので、条件に該当すると思われる方はお問い合わせすることをおすすめします。

事業承継で日本政策金融公庫の融資を受けるための手続き



事業承継で日本政策金融公庫の融資を受けるための手順は以下の通りです。


  1. 税理士などの専門家に相談する
  2. 事業承継計画書を作成する
  3. 支店窓口に相談ヘ行く
  4. 必要書類の作成をする
  5. 事業承継ローンの申込み
  6. 審査
  7. 融資決定後、貸付契約の打ち合わせをする
  8. 返済を開始する 

税理士からプロの視点でいくら位事業承継によって税金を収めなければならないのか、税金対策をできる部分はあるか見てもらった上で後継者の教育方法、新体制の準備、相続税・贈与税の対策を記した事業承継計画書を作成します。

支店窓口、もしくは電話や商工会議所の定例相談で融資についての相談をします。

相談なしにいきなり融資の申請をすると審査が通らない可能性もあるのであらかじめ相談することをおすすめします。

アドバイスに従い必要書類を作成し準備した後、日本政策金融公庫各支店の中小企業事業の窓口へ申込みに行きましょう

申し込み後は日本政策金融公庫の審査が入り本社や事業計画予定地などを視察しますので立会い、質問されたことに関しては具体的に答えましょう。

審査の結果融資が決定すると貸付契約の打ち合わせで 貸付契約や抵当権設定といった手続きが行われ最終的に口座に融資金が振り込まれます。

返済については元金均等割賦返済指定の口座からの自動振替が基本ですが、ほかにも元利均等払い方式による返済も選ぶことができます。

事業承継の融資や信用保証を受けるために必要!認定申請書の記載事項



中小企業庁「事業承継における 融資・保証制度」から認定申請書に必要な記載事項を紹介します。


  1. 事業を承継するに至った原因 
  2. 事業活動の継続に支障をきたすことになった主な理由

事業を承継するために必要な資金の融資を受けるためには「なぜそもそも事業承継をすることになったのか」という事の顛末をお金を貸す側にも理解できるように、内部事情をわかりやすく伝える必要があります。

その上で、事業を継続する上で避けては通れないハードルとなってしまっている物事について説明しなければなりません。

継続に支障をきたしている理由としては会社ごとに事情が様々あるでしょう。

例えば

  • 融資を申請する人が事業用の資産を手に入れる必要がある
  • 会社の売上が減る可能性がある
  • 取引条件が変更された、もしくは不利益な条件にさせられた
  • 金融機関との取引で問題があった

といった事情も考えられます。

融資を受けるためにはただ単に「お金を貸してください」だけでは融資を受けることはできません。

「なぜ事業承継が必要になったのか」「なぜ融資が必要なほど事業活動が難しくなってしまったのか」といった内容を記載し、融資の必要性を伝え理解してもらう必要があると言えます。

事業承継で融資や信用保証を受ける前に!融資を受けるときの3つの注意点



事業承継において多額の費用が必要になることから融資や信用保証を視野に入れている人もいるでしょう。


しかし、融資を受ける前に確認しておくべきことがあります。


  1. 借入期間が長くなるほど返済額は大きくなる
  2. 融資を受けるまでには時間がかかる
  3. 審査が通るとは限らない

以上の3点を意識する必要があります。

融資という形で多額の金銭を借りることになる以上、ノーリスクというわけにはいきません。

以下では注意点について詳しく説明していきます。

注意点①:借入期間が長くなるほど返済額は大きくなる

当然のことと言えば当然ですが、お金は借りている機関中「利子」が発生します。


日本政策金融公庫など中小企業の立場にたって支援する機関からの借り入れといえども「借金」であり「借金に対しては利子が発生する」ということには変わりありません。


短機関でまとまったお金を用意することが難しいから、長い目で見てマイペースに返済していこうとすると、借りている期間は借入金に対して利子がずっとついている状態です。


他の融資と比べて利子は優遇されていること、状況や会社規模に応じて優遇金利が適用されることからつい軽視しがちですが、「あくまで借金」ということを念頭に置きましょう。


その上で計画的な返済計画を立てて返済していくことをおすすめします。

注意点②:融資を受けるまでには時間がかかる

融資という形でお金を借りることになる以上、「困ったからお金を借してください」と言うだけですぐにお金を借してくれる事はありません。


融資を受けるためには「なぜ融資が必要なのか」「今は会社はどのような状況か」など説明し、お金を貸すことになる機関に納得してもらわないことには融資を受けることができません。


資金の融資の必要性や融資の金額ををジャッジする「審査」は避けては通れないものであり、この審査を通らないことには融資は受けられません。


また審査については様々な状況や会社の事情などを加味して判断することから時間がかかります。


融資を受けたいと考えた場合は融資を申請し、審査を受ける時間を考慮した支払計画を立てるべきでしょう。

注意点③:審査が通るとは限らない

事業に必要なお金を用意するために融資を申請した場合、融資の必要性や会社の状況などを見る審査は必ず通るものとは限りません。


会社の状況や事業計画、返済計画などさまざまな資料を提出し、融資する機関の職員が実際に会社に足を運んで審査をするわけですが、その結果融資の可否を決めるのはあくまで融資する機関です。


実際融資する機関が「融資不可」と判断し、審査が通らないこともありえます。


審査が通らない理由としては以下の理由などがあります。


  • 提出書類に不備があった
  • 会社の財政状況や経営状況から融資に値しないと判断した
  • 審査の際の質問の回答が不明確だった

融資は申請したからといって必ず受けられるものではなく、審査は必ず通るという保証もありません。

事業承継をするなら法人保険の活用も検討を!



事業承継において多額の資金が必要になったことから融資を受けようとした場合、返済費用が利子でかさんでしまったり、審査など手続きに時間がかかったりすることもありデメリットが多いという見方もできます。


場合によっては融資を受けることなく済ませることができるなら、融資なしで事業承継した方が良いと言えるでしょう。


事業承継に必要な費用については、早めに事業承継対策をしておくことで融資を受けずに済む場合もあります。


事業承継についての十分な費用を準備するという意味では法人保険の活用も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。


死亡保険金や解約返礼金を受け取ることができる法人向け生命保険であれば、事業承継に必要な税金を納税する分の資金を確保する手段としても有効です。


マネーキャリアは

  • 相談の予約から実際の相談までスマートフォンで完了する
  • 質問や相談に対する回答は納得できるまで何度でも無料

ですので、事業承継の際は是非マネーキャリアをご利用ください。

事業承継の融資を受ける方法や手続きに関するまとめ



事業の承継においては株の買取や相続税などの国に収める税金関係、経営者交代によって資金繰りが厳しくなったことで必要となる資金などが挙げられ、企業の規模や状況によっては数百万円から数千万円の費用が必要となるケースもあります。


費用を用意するためには

  • 日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の融資を受ける
  • 一般企業や個人事業主の信用保証を受ける


という方法もあります。


特に日本政策金融公庫などは中小企業を支援するという立場から状況に応じて金利の優遇なども行っておりますので、事業承継のために必要な資金を用意できないといった場合これらの融資を利用するのも方法の1つです。


しかし、融資を受ける上で注意しなければならないことは


  • 借入期間が長くなるほど返済額は大きくなる
  • 融資を受けるまでには時間がかかる
  • 審査が通るとは限らない


という点です。


できる限り法人保険などであらかじめ事業承継に必要な資金を用意しておくと良いでしょう。


マネーキャリアでは法人保険や事業承継についての相談も承っております。


事業承継の費用が不安、融資を受けるべきか受けないべきか考えている方はぜひ一度マネーキャリアにご相談ください。


ほけんROOMでは税務や会計に関する記事を多数掲載しておりますので、興味のある方は合わせてご覧ください。

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