【事業承継したい方必見】事業承継の進め方・スキーム・相談先を解説

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事業承継がしたいけど何から始めていいかわからないという方は多いのではないでしょうか?事業承継は手続きが複雑・莫大な費用・専門知識が必要などさまざまな問題があります。そこで本記事で事業承継の進め方・方法などについて徹底的にまとめました。ぜひ最後までご覧ください。




▼この記事を読んで欲しい人
  • 事業承継の概要を理解していない方
  • 事業承継のメリット・デメリットを把握したい方
  • 事業承継の大まかな流れを知りたい方

▼この記事を読んでわかること
  • 事業承継を行う理由
  • 4つの事業承継スキームについて
  • 事業承継の際に発生する税金

内容をまとめると

  • 事業承継により、経営者は多額の利益を手にすることができる
  • 事業承継が失敗するケースや失敗した際のリスクを把握しておくことが大切
  • 事業承継を行う際には、弁護士や税理士などの専門家に相談すべき
  • 事業承継や会社の保険・お金の問題で悩んでいる方は無料相談可能なマネーキャリアがおすすめ!
  • マネーキャリアは顧客満足度93%を誇り、オンライン上で暇な時に相談できるから便利!
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事業承継したい人が陥る手続きの複雑さ・費用と専門知識の問題



会社を後継者に引き継いでもらうためには、事業承継を行う必要があります。


事業承継を行う際には税金や法律、登記などの様々な専門知識が必須な上に、複雑な手続きを理解していなければならないため、専門家の協力が不可欠です。


しかし、各分野の専門家に依頼することになると、それ相応の費用がかかってくるため、中小企業の経営者にとっては大きな問題点になりえます。


もちろん専門家に依頼せずに、知識を自力で身につけて手続きを進めることは可能ですが、その場合だと様々な危機に瀕することになりかねないので、あまりおすすめできる方法ではありません。


事業承継前に知識を身につけ、知見がある専門家に依頼することが最も望ましいです。

事業承継の基礎知識【事業承継の現状と傾向を分析】

まずは、事業承継とはどんなものかを理解していただくために、事業承継の概要について解説します。


いざ事業承継を実行するときに「今自分は何をしているのか」を把握しておくことは大切なので、事業承継をしたいと考えている方はしっかり確認しておきましょう。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 事業承継とは会社の経営を後継者に引き継ぐこと
  2. 中小企業における事業承継の現状と傾向
  3. 中小企業における事業承継の課題と問題点

それぞれ解説していきます。

事業承継とは会社の経営を後継者に引き継ぐこと

事業承継とは、会社の経営権や資産を後継者に引き継ぐことです。


中小企業庁が作成した「経営者のための事業承継マニュアル」によると、事業承継では、以下3つの要素を後継者に託すとしています。

  1. 人(経営)
  2. 資産
  3. 知的資産
順番に解説していきます。

人(経営)


一つ目は、経営者が保有する自社株を後継者に承継することです。

後継者に自社株を集中させることで、会社の方針役員・監査役の選任などの基本的事項や重要事項をスムーズに決定することができます。

そのため、後継者が経営における主導権を握れるように、全ての株式を後継者に引き継ぐことが大切です。

資産


二つ目は、会社が所有する不動産設備を後継者に承継することです。

土地や建物、事業用の設備、会社の運転資金、借入金などの有形資産を事業承継の際に引き継いでもらいます。

知的資産


三つ目は、経営理念ノウハウを後継者に承継することです。

前述した「資産」とは明確に異なり、会社の技術・信用や取引先との関係、顧客情報などの目に見えない大事な無形資産を引き継ぎます。

中小企業における事業承継の現状と傾向をデータを元に解説

今の日本の産業は、多くの中小企業が独自の技術力を活かして支えている状態です。


しかし、中小企業庁の「小規模企業白書(2020年版)」によると、60代の約50%、70代の約40%が後継者不在で悩まされており、会社の資産を次世代に引き継ぐことが困難になっています。


また、中小企業庁が平成28年に開催した「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会(第1回)」の資料によれば、親族内承継の割合が減少し、親族外の第三者への承継が増加傾向にあります。


経営者の在任期間が長いほど親族内承継の割合を大きく占め、在任期間が短いほど親族外承継の割合が増加するようです。

中小企業における事業承継の課題と問題点

事業承継で問題となるのは「後継者がいないこと」です。


会社を引き継いでくれる人物がいない、あるいは会社の代表として経営を安定させられる人物がいない、の2つが事業承継の際に悩みの種となります。


また、仮に事業承継が無事に成功したとしても、後継者が適任な人物でなければ会社が大きく傾く可能性があります。


もし適任ではない人物が後継者として引き継ぐことになれば、会社の業績が悪化したのちに廃業の道を選ばざるを得なくなり、多くの従業員と取引先に迷惑をかけることになってしまう恐れがあるのです。


そうならないように、現経営者が若いうちから「誰に引き継ぐか」を考えておくことが必要になります。


M&Aを活用して外部の会社に事業承継するのであれば問題ありませんが、経験のない親族や従業員に事業承継をするつもりなのであれば、事前に後継者を育てておくことが大切です。

3つの事業承継をする理由



中小企業の経営者が事業承継をする理由には、以下の3つがあります。

  1. 後継者不足
  2. 人材不足
  3. 自社株問題

中小企業は大企業と違い、優秀な人材の確保が困難であり、人・時間・お金といった潤沢なリソースを後継者育成にかけることが厳しい状況です。


一方、大企業は、後継者育成や事業承継にリソースを回せるほど十分な余力が残っているので、財務基盤に支障をきたすことはありません。


そのため、大企業が容易に事業承継を行える一方で、中小企業は計画的に事業承継に着手する必要があります。


この項目では、計画的な事業承継を行うべき3つの理由について解説します。

後継者不足

後継者不足は中小企業の経営者にとっての最大の悩みになります。


親族や役員・従業員に適任者がいないのはもちろん、金融機関で起こりうる「債務の個人保証」も原因の一つです。


運転資金の確保や設備投資を行うために金融機関から借入を行うのですが、その際に「借入金の返済が滞った場合の保証」として、債務の個人保証を求められるケースがあります。


つまり最悪の場合、会社で使用する目的で借りたお金を後継者個人の財産から返済しなければならないというわけです。


このリスクを想定して、後継者に名乗りあげない従業員は多くいます。


そのため、経営者は専門家と協力して後継者のリスクを極力取り除けるよう行動したり、M&Aを活用した事業承継を視野に計画を組み立てたりする必要があるのです。

人材不足

人材不足は中小企業の課題の一つです。


求職者は飽和とまではいかないものの一定数存在します。


しかし、事業を軌道に乗せようとするあまりに、社内の人事制度や労働環境の整備などに資金を投下することができず、長期間定着してくれる従業員がいないのが現状です。


事業承継を行うのであれば、当然「優秀な人材」に会社経営を任せたいと思うでしょう。


大手であれば「従業員が不満なく働ける環境」が既に整備されているので、能力の高い優秀な人材が集まりやすく、また、能力を十二分に発揮できる会社に居続けてくれます。


ところが中小企業では、後継者育成はおろか、慢性的な人材不足に悩まされていますので、優秀な人材の確保が極めて困難なのです。


能力の高い人材が会社で働き続けてくれるような環境作りに加えて、後継者の候補になりうる人物への教育を早い段階で行うようにしましょう。

自社株問題

株式会社の零細企業・中小企業は、一般的な上場企業とは異なり「経営者が自社株を100%保有しているケース」が多いです。


事業承継を行う場合は、社長という役職を継ぐだけでなく株式も後継者に承継するのですが、それによって多額の贈与税相続税が発生します。


また他にも、経営者個人による自社への貸付金や経営者の親族名義になっている名義株などによっても相続税の課税対象になりうる可能性があります。


このように、事業承継による自社株の引き継ぎには様々な金銭的問題が発生するので、この点も視野に入れて事業承継に取り掛かる必要があるのです。

事業承継をしたい!相談先をマネーキャリアにすべき理由を解説

「高齢化に伴い会社の発展に寄与できづらい状況にあるので、事業承継を検討している」「事業承継についてあまり詳しくはないが、引退まで残り少ないので事業承継を深く知りたい」など、事業承継について考えている経営者の方には、マネーキャリアがおすすめです。


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事業承継をするメリット・デメリットを解説

事業承継には、経営者・後継者ともに様々なメリット・デメリットがあります。


その点を事前に理解しておくことで事業承継に対する意欲が双方ともに増しますし、事業承継の問題となるデメリットについて対策を講じることが可能です。


そこでこの項目では、お互いのメリット・デメリットについて解説します。


解説内容は、以下の通りです。

  1. 事業承継をするメリット
  2. 事業承継をするデメリット

順番に詳しく解説していきます。

事業承継をするメリット

事業承継には、以下のようなメリットが挙げられます。


経営者

  • 株式により利益獲得
  • 債務の個人保証の解除
  • 取引先との契約を継続
  • 従業員の雇用維持・雇用促進

事業承継を行うと、場合によっては多額の利益を得ることができ、金融機関と結んだ「債務の個人保証」を解除することができます。


また、会社は取引先や従業員とこれまで通りの関係を続けることができるので、信用を毀損することはありません。


事業承継を選択せずに廃業の道を選んだ場合は、従業員の生活を守ることができず、加えて取引先との関係を断つということになるので、事業承継は経営者にとっても会社にとっても良い選択となります。


後継者

  • (成功している事業を引き継いだ場合)利益を経常的に得られる
  • 会社独自の技術やノウハウを確保できる
  • 会社のブランド力を獲得できる

新規事業を行うことになると、資金確保ノウハウ獲得ブランド醸成などにおいて大きな苦労をすることになります。


労働環境の整備や人材育成もしなくてはならないので、創業時はやるべきことが山ほどあるのです。


しかし、事業承継により会社を引き継ぐことになれば、それらの苦労を最小限に抑えることができます。

事業承継をするデメリット

事業承継には、以下のようなデメリットが挙げられます。


経営者

  • 適任ではない人物が後継者になる可能性がある
  • 企業理念やビジョンがブレる恐れがある
  • 専門家への依頼費用がかかる
  • 事業承継が終わるまで数年ほどかかる

事業承継では、後継者のポジションに優秀な人材が必ずつくとは限りません。


それが原因で、企業理念やビジョンに反する行動をとってしまったり、企業がこれまでに築いてきた信頼を毀損したりする恐れもあります。


また、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談・依頼すると、多額の費用が発生します。


後継者

  • 多額の資金を準備する必要がある
  • 相続税や贈与税を負担しなければならない
  • 保証契約を結ぶ可能性がある
  • 従業員・取引先が離れる可能性がある

後継者は株式や事業用の資産を取得するために、まとまったお金が必要になります。


他にも、相続税や贈与税などの税金を納めなくてはならないということがデメリットとして挙げられるのです。


また、経営者が交代することで従業員や取引先の対応が一転するケースもあります。


先代の人柄に影響を受けて取引を継続していることもあるからです。


それらの利害関係者と良好な関係を続けていくために、上手に事業を引き継いで関わっていくことが大切になります。

事業承継のスキーム①親族内への事業承継



事業承継の方法は、以下の4つに区別できます。

  1. 親族内への事業承継
  2. 社内承継
  3. 外部から招聘した第三者への承継
  4. M&Aによる第三者承継
それぞれメリットやデメリットが異なるので、事業承継をする前に確認しておくことが重要です。

まずこの項目では、親族内への事業承継について解説します。

解説内容は、以下の通りです。
  1. 親族内への事業承継の概要
  2. 親族内への事業承継のメリット
  3. 親族内への事業承継のデメリット
  4. 親族内への事業承継の課題
それぞれ順番に解説していきます。

親族内への事業承継の概要

親族内への事業承継とは、経営者の息子・娘などの親族を後継者に選んで承継する方法のことです。


昔は親族内承継が一般的でしたが、子供が別の仕事に就いたり、そもそも子供がいなかったりして、親族外承継の選択をとる経営者が増えています。

親族内への事業承継のメリット

親族内への事業承継のメリットは、事業承継のしやすさです。


株式の売買を行わずに相続や贈与で株式を移行することができますし、従業員や取引先の不満が露呈することなくスムーズに事業承継を終わらせることができます。


親族外への事業承継の場合は、比較的に異議を唱える関係者が現れやすいのですが、親族が後継者になれば、よほどのことがない限りは温かく迎え入れられます。

親族内への事業承継のデメリット

親族内への事業承継のデメリットは、親族の中に経営者としての資質・能力を持った適任者がいない可能性があるということです。


確かに従業員や取引先からは歓迎されるというメリットはありますが、その反面で会社の業績を悪化させる要因になる恐れもあります。


その場合、従業員が後継者に対して不信感を抱くようになり、社内が最悪の雰囲気に包まれるということも想定されます。


そのため、親族内への事業承継を検討するのであれば、最低限のビジネススキル知識を身につけられるように徹底的に育成をすることが大切です。

親族内への事業承継の課題

親族内への事業承継の課題は、後継者選定後継者育成です。


少ない後継者の中から、いかに適任者を選べるかが重要になります。


また、会社の成長に貢献できそうな親族が見つかったとしても、必ずしも後継者になってくれるとは限りません。


「会社を継ぎたくない」「他の仕事をしたい」「身内との繋がりがない会社で業務を遂行したい」と考え、事業承継を断られるケースもあります。


このようなリスクを払拭できるように、対策を講じることが求められます。

事業承継のスキーム②社内承継

次に社内承継について解説していきます。


解説内容は、以下の通りです。

  1. 社内承継の概要
  2. 社内承継のメリット
  3. 社内承継のデメリット
  4. 社内承継の課題
候補者となり得る親族がいない状態で事業承継を行う場合は、社内承継か外部の第三者への承継しかないので、該当しそうな方はしっかり確認しておきましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

社内承継の概要

社内承継とは、自社の従業員や役員を後継者に選んで承継する方法のことです。 


親族に適任者や後継者になりそうな人物がいない場合に、事業を安定的に運営できるような従業員に承継します。



社内承継のメリット

社内承継のメリットは、事業内容を十分に理解した能力のある人物に承継できる点です。


社内にいる従業員は、長期間会社の業務に携わってきた経験により、満足な知識と知見を持ち合わせています。


業務効率化の方法を知っており、売上・利益を伸ばすために必要なスキルを既に習得しているので、心置きなく事業承継を行うことが可能です。


また、従業員との接し方や経営方針、社内の慣習を熟知していることから、他の従業員とあつれきが生まれることなく働きやすい環境を維持できます。


実務を理解していることから、親族内承継であれば行わなければならない後継者育成も最小限の手間で抑えることが可能です。


このように、社内承継には他の承継方法にはない大きなメリットがあります。

社内承継のデメリット

社内継承においての最大のデメリットは、後継者が株式買収のための資金を満足に用意できない点です。


事業承継を行う場合は、有償、もしくは無償で株式を後継者に移行することになります。


後継者が株式を有償で取得する場合には、自社株の価値と同等の金銭を準備しなければなりませんし、株式を無償で取得する場合には、贈与税を納められるだけの資金を確保しておく必要があります。


また、会社によっては従業員同士で揉める可能性もあります。


後継者の座を狙おうとするあまりにお互いの業務を邪魔したり、社内にあらぬ悪評を流したりと通常業務に支障をきたすケースも十分に考えられます。


従業員や役員を後継者にするのであれば、他の社員が納得するよう説得・配慮しなければなりません。

社内承継の課題

社内承継の課題は、以下の3つです。

  1. 株式買収のための資金確保
  2. 贈与税を納めるための資金確保
  3. 従業員同士が揉める

能力のある従業員を後継者にするからといって、社内承継の課題をほったらかしにしていると最悪の事態に陥る可能性があるので、リスクを考慮して事業承継に臨むべきです。

事業承継のスキーム③外部から招聘した第三者への承継

次に、外部から招聘(しょうへい)した第三者への承継について解説していきます。


解説内容は、以下の通りです。

  1. 外部から招聘した第三者への承継の概要
  2. 外部から招聘した第三者への承継のメリット
  3. 外部から招聘した第三者への承継のデメリット
  4. 外部から招聘した第三者への承継の課題

親族・従業員・役員に後継者候補が見当たらない場合は、外部から第三者を招いて事業承継を行うことも考えられます。


仮に後継者がいたとしても辞退する可能性があるため、外部から招聘することも選択肢の一つとして頭に入れておくことが大切です。


それぞれ順番に解説していきます。

外部から招聘した第三者への承継の概要

外部から招聘した第三者への承継とは、外部から優秀な人材を招き入れて承継する方法のことです。


適任者が身近に存在しない場合に、先代経営者・経営者の家族が株主となって第三者への承継を行います。


外部から招聘した第三者への承継のメリット

最大のメリットには、優秀な人材に後継者として活躍してもらうことができる点です。


親族内承継や従業員への承継と違って、選べる人材の範囲が広くなるため、妥協することなく本当に会社にとって必要となる人物に会社を任せることができます。


また、株式の取得を行わないことが前提にあるため、後継者は多額の資金を準備する必要がありません。

外部から招聘した第三者への承継のデメリット

最大のデメリットは、過去の経歴実績からでしか後継者の能力を把握できない点です。


親族や従業員に承継するのであれば、ある程度のスキルや熱意を見極めることができます。


一方、外部から招聘した第三者への承継の場合は、それらを見極めることが非常に困難です。


選択肢の範囲は広がり、優秀な人材に会社を任せられる確率が高くなるのは事実ですが、必ずしも優秀な人材を後継者として迎え入れることができるかは定かではありません。


また、社内の従業員から反感を買う恐れがあります。

外部から招聘した第三者への承継の課題

外部から招聘した第三者への承継の課題は、以下の2つです。

  • 優秀な人材かどうかを見定める方法を準備すること
  • 従業員に理解してもらうこと
事業承継が成功したと自信を持って言えるのは、従業員の生活が脅かされることなく安定しており、会社の業績が上向きにある場合です。

外部から第三者を招聘して事業承継が無事に終わったのはいいものの、会社や利害関係者に対して悪影響を及ぼすような人物だった場合には、元も子もないでしょう。

課題を把握して対策を練ることが大切です。

事業承継のスキーム④M&Aによる第三者承継



最後に、M&Aによる第三者承継について解説します。


解説内容は、以下の通りです。

  1. M&Aによる第三者承継の概要
  2. M&Aによる第三者承継のメリット
  3. M&Aによる第三者承継のデメリット
  4. M&Aによる第三者承継の課題

それぞれ順番に解説していきます。

M&Aによる第三者承継の概要

M&Aによる第三者承継とは、他の会社に自社を売却して承継する方法のことです。


自社よりも体制の整った中小企業・大企業に、事業を引き継いでもらうこともできます。


M&Aには、一般的に以下4つの手法があります。

  • 合併
  • 会社分割
  • 株式譲渡
  • 事業譲渡

手法ごとに手続きやメリット・デメリットは異なるので、注意が必要です。

M&Aによる第三者承継のメリット

M&Aのメリットは、以下の3つです。

  • 対価として多額の現金を受け取れる
  • 多くの会社から引き継ぎ候補を探せる
  • 従業員の雇用を守れる

自社の事業と相性の良い引き継ぎ候補を見つけることができれば、理想の事業承継を実現することができます。

M&Aによる第三者承継のデメリット

M&Aのデメリットは、以下の3つです。

  • 売却金額などの条件面で理想の引き継ぎ候補が見つからない可能性がある
  • 取引先との関係性が保てない場合がある
  • 従業員の処遇が希望通りにならない可能性がある

事業承継により会社を引き継いだ後に、大幅な契約内容の変更を求められて、既存の取引先との関係にヒビが入る恐れがあります。

M&Aによる第三者承継の課題

M&Aの課題は、以下の2つです。

  • 条件に合致する買い手をどのようにして見つけるか
  • 取引先や従業員に対してどのように説明するか
より良いM&Aを実現するためには、利害関係者に納得してもらえるように説得し、条件にマッチする引き継ぎ候補を探すことが大切になります。

事業承継を進める5つのステップを解説

この項目では、事業承継を進める5ステップについて解説します。


事業承継の流れは、以下の通りです。

  1. 経営状況の把握や後継者候補の検討
  2. 事業承継に向けた企業価値向上
  3. 事業承継の承継先検討や手続き
  4. 事業承継の実施
  5. 事業承継後の取り組み

それぞれ順番に解説していきます。

ステップ①経済状況の把握や後継者候補の検討

まずは会社の現状と後継者候補の検討を行います。


具体的にやるべきことは、主に以下5つです。

  • 自社株の評価
  • 事業の成長性の把握
  • 他社と比較した際の競争優位性の確認
  • 後継者候補の能力や意欲を確認し、ある程度絞る
  • 利害関係者への対策

このタイミングで弁護士や税理士などの専門家に相談しておきましょう。

ステップ②事業承継に向けた企業価値向上

親族・従業員・外部の第三者の誰を後継者にしようと考えても、将来性のない会社をそう簡単には引き継いでくれません。


魅力的な会社でなければ、後継者が自ら進んで名乗りを上げることはないでしょう。


そのため、事業承継に向けて企業価値を向上させる必要があります。


技術力の強化はもちろん、事業の仕組み化や財務改善などを行うべきです。

ステップ③事業承継の承継先検討や手続き

どの方法で事業承継を行うかによって、手続きは異なります。


親族内・従業員への承継では、専門家とともに事業承継計画を策定する必要があるのです。


一方、M&Aを活用した第三者承継では、M&A仲介会社専門家のサポートを受けながら、買い手を探します。

ステップ④事業承継の実施

一連のやるべきことを終えたら、いよいよ事業承継の実施を行います。


具体的には、自社株の相続・贈与や事業資産の承継、登記などです。


法務や税務などの専門知識を必要とするため、専門家のアドバイスを受けながら行います。

ステップ⑤事業承継後の取り組み

形式的には、ステップ④で事業承継は終わりになります。


ただし実質的には、親族内・従業員への承継では、後継者へのアドバイスや実務のサポートを行い、M&Aを活用した第三者承継では、買い手企業と売り手企業の円滑な統合を実現するためにPMIを行います。

事業承継で税金がかかるケースとその種類

どの方法で事業承継を行なったとしても、税金は発生します。


そこでこの項目では、事業承継で税金がかかるケースとその種類について解説します。


解説内容は、以下3つです。

  1. 相続・贈与時にかかる税金
  2. 株式譲渡の際にかかる税金
  3. 事業譲渡の際にかかる税金

それぞれ順番に解説していきます。

ケース①相続・贈与時にかかる税金

親族内承継では、自社株の相続・贈与にて後継者への引き継ぎを行います。


その際に、相続税贈与税が発生するのです。


相続税は、相続税の総額を相続人の相続割合で按分して算出します。


一方、贈与税は「暦年課税」「相続時精算課税」のどちらかの方式を用いて算出します。

ケース②株式譲渡の際にかかる税金

M&Aにて会社を売却する場合は、すべての自社株を買い手に譲渡します。


その際に、売り手側で個人の場合は譲渡所得に対して20.315%の税金が発生し、法人の場合は譲渡益に対して法人税等が発生します。

ケース③事業譲渡の際にかかる税金

会社の一部を引き渡す事業譲渡の場合は、譲渡益に対して法人税等が発生します。


また、課税資産に該当する有形固定資産を譲渡する際には、消費税も課税されるので、注意が必要です。


有形固定資産の中には、建物や車両運搬具、機械装置などの資産があります。

事業承継で失敗する理由とその後のリスクについて解説



事業承継をする会社の中には失敗する企業も存在します。


失敗すると大きなリスクが生じることがあるため、この項目では事業承継で失敗する理由とその後のリスクについて解説します。


解説内容は、以下の2つです。

  1. 事業承継が失敗してしまう4つのケース
  2. 失敗してしまった場合の3つのリスク

それぞれ解説していきます。

事業承継が失敗してしまう4つのケース

事業承継が失敗するケースは、以下の4つです。

  • 後継者の選定ミス
  • 親族内での相続トラブル
  • M&Aに向けての準備不足
  • 利害関係者への報告ミス
総じて言えることは、失敗の原因の大抵が準備不足であるということです。

引退時期の10年前ぐらいには事業承継に向けて取り組むことが大切になります。

失敗してしまった場合の3つのリスク

事業承継が失敗した際のリスクは、以下の3つです。

  • 利害関係者が会社から離れる
  • 業績不振に陥る
  • 会社への信用が低下する
後継者選びや利害関係者への報告に失敗すると、上記のような最悪の事態に陥るので注意しておきましょう。

事業承継を成功させるコツと成功事例について解説



この項目では、事業承継を成功させるコツと成功事例について解説します。


解説内容は、以下の2つです。

  1. 事業承継を成功させる3つのコツ
  2. 事業承継の成功事例を3つを紹介

それぞれ解説していきます。

事業承継を成功させる3つのコツ

事業承継を成功させるコツは、以下の3つです。

  •  弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談する
  • 引退時期の10年前ぐらいから事業承継に向けて取り組む
  • 税金・相続税トラブルの対策を練る

早い段階で専門家に事業承継の相談を行い、問題点や課題を洗いざらいにして一つずつ解決していくことが重要になります。

事業承継の成功事例を3つを紹介

事業承継の成功事例は、以下の3つです。


早期計画が事業の安定化に繋がった事例


事業承継を行う10年前から、後継者候補に対して徹底した指導を行い続けました。


その結果、会社のあらゆる業務をマスターし、会社の業績を上げることに成功しています。


兄弟で自社株を保有した事例


創業者の引退に伴い、兄、弟の順番で事業を引き継ぎました。


次の後継者選びが鬼門となったのですが、持株会社を通して兄弟でそれぞれ株式を保有し、社内の優秀な人物を後継者としました。


それにより、会社の発展ができたそうです。


旧経営者が会長に就任した事例


後継者となる親族がいないことから、M&Aを実施しました。


急な経営者交代で従業員や取引先が困惑しないように、旧経営者が会長として会社に居座ることで、利害関係者の混乱を招くことなくなんとか事業を維持することができました。

事業承継を支援してくれる機関・制度

事業承継を支援するのは、何も専門家だけではありません。


公的な機関や制度が中小企業の事業承継をサポートしてくれます。


そこでこの項目では、事業承継を支援してくれる機関・制度について解説します。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 事業承継税制
  2. 事業引継ぎ支援センター
  3. 補助金制度

それぞれ順番に解説していきます。

①事業承継税制

事業承継税制とは、後継者が負担する相続税や贈与税の納税を猶予できる制度のことです。


経営承継円滑化法により、後継者が都道府県知事から認定を受けることで、猶予もしくは免除されます。

②事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センターとは、国が設置した公的機関のことで、後継者がいない事業承継の相談を無料ですることができます。


アドバイスやサポートはもちろん、後継者候補となる企業の紹介も行なってくれるので、積極的に活用しましょう。

③補助金制度

補助金制度とは、事業承継で発生した経費の一部を補助する制度のことです。


以前は、事業承継・引継ぎ補助金事務局が補助事業を行なっていましたが、公募が終了したため現在では応募することができません。


しかし、今後、補助金制度が実施される可能性もあるため、事業承継を検討している方は常にチェックしておきましょう。

まとめ:事業承継がしたい方には専門家への相談がおすすめ

この記事では、事業承継の概要やメリット・デメリット、事業承継の流れなどについてお伝えしてきました。

  • 事業承継には、「親族内承継」「社内承継」「外部から招聘した第三者への承継」「M&Aによる第三者承継」の4つがある
  • 事業承継を行う際には専門家やM&A仲介会社、公的機関に相談することが大切
  • 事業承継を成功させるためには、早い段階での準備や対策が必要になる
  • 後継者育成や企業価値向上、利害関係者への報告を徹底する

企業承継を行う際には、考えなければならないことがたくさんあります。


しかし、未経験者の場合は1人で考えても最善の選択がわからないため、マネーキャリアや専門家などに相談することをおすすめします。

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