更新日:2022/08/31
退職金制度のメリット・デメリットを解説!退職金はもう古い!
昨今では、退職金制度を導入しない会社も増えています。従来の退職金制度では、今の時代にあわなくなってきたためです。経営者には退職金制度を設定することの目的や、メリット・デメリットをしっかりと把握する必要があり、退職金制度を今一度見なおす必要があります。
- 退職金制度についての基礎知識を得たい人
- 退職金制度の導入について迷っている人
- 退職金のために法人保険を活用しようとしている人
内容をまとめると
- 企業側のメリットは、良い人材の確保・雇用調整のしやすさ・人件費の軽減
- 企業側のデメリットは、資金繰り悪化の要因となり得ること
- 前払い退職金制度のメリットは、退職給付引当金の準備がいらない・給与水準を高くみせられる
- 前払い退職金制度のデメリットは、社会保険料が高くなる・不祥事抑止力にならない 退職金制度は導入すべきかどうか、見直す必要がある
- 従業員側からみたメリットは、老後資金を会社負担で準備できる・退職金で税制優遇措置が受けられる
- 従業員側からみたデメリットは、退職金を在職中に受け取れない
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 退職金制度のメリットとデメリットとは?経営者が知るべき基礎知識
- 企業側の退職金制度のメリット
- ①優秀な人材の確保
- ②早期退職・定年による早期退職の促進
- ③給与より人件費負担を減らすことができる
- 企業側の退職金制度のデメリット
- 中途退職などによって決算や資金繰りが悪くなる可能性
- 退職金制度の導入で迷っているならマネーキャリアで相談!
- 前払い退職金制度のメリット
- ①退職給付引当金の準備が不要
- ②給料を高く見せることができる
- 前払い退職金制度のデメリット
- ①社会保険料負担額が高くなる
- ②不祥事に対応できない
- 退職金制度を導入する必要性はない!
- 従業員側の退職金制度のメリットとデメリット
- まとめ
目次
退職金制度のメリットとデメリットとは?経営者が知るべき基礎知識
昨今では、社会情勢・経済情勢の変化にともなって、退職金制度を設けない、または廃止する、といった会社が増えています。
今回は、退職金制度について、
- 企業側のメリットとは
- 企業側のデメリットとは
- 前払い退職金制度のメリットとは
- 前払い退職金制度のデメリットとは
- 導入する必要性について
- 従業員側のメリットとデメリットとは
といった内容でご説明していきます。
最後までご覧いただければ、今の時代に合わせて退職金制度を見直すことの必要性が理解できます。
退職金制度について基礎から詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
企業側の退職金制度のメリット
退職金制度を設けることで、企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
退職金制度を設定しない、制度を廃止する、という会社が増えたとはいえ、まだまだ「従業員に退職金は支払うべき」という考え方が一般的です。
ここでは、退職金制度を設けることの企業側のメリットとして、
- 良い人材を確保することができる
- 早期退職を促進できる
- 給与から人件費負担を軽減することができる
といった内容でご説明していきます。
①優秀な人材の確保
優秀な人材は、会社にとって大切な存在です。
退職金制度があることで、優秀な人材を確保することができます。
働く会社を選ぶとき、福利厚生として退職金制度には大きな関心が寄せられます。
退職金制度があるということは、経営が安定している会社であることのアピールとなります。
また、退職金制度は、従業員が長い間働くことへのモチベーションとなり、優秀な人材が流出してしまうことを防ぐことが可能となります。
優秀で実力のある従業員ほど途中で辞めてしまうものです。
スキルのある従業員が短いスパンで辞めてしまうことは、会社の生産性を下げることにもなります。
優秀な人材を確保すること、良い人材が会社へ定着してくれることは、会社の発展につながります。
②早期退職・定年による早期退職の促進
退職金制度は、従業員の定年退職や早期退職を円滑に促すために役立ちます。
ある年齢以降は退職金が増えないという決まりを設けたり、退職金を増額したりすることで従業員との交渉もしやすくなり、トラブルなく早期退社してもらうことが可能となります。
不況時の雇用調整にも役立つでしょう。
やむを得ない状況が訪れたとき、これまで働いてくれた従業員にも納得してもらったうえで、会社としての危機も乗り越えることが可能となります。
③給与より人件費負担を減らすことができる
退職金制度を設けることで、人件費負担を減らすことができます。
退職金には税制上の優遇措置があり、社会保険もかかりません。
退職金は給与の一部です。
もし退職金として支払う金額を給与や賞与として支払えば、その分の社会保険がかかってきます。
社会保険は会社も負担しますので、退職金として支払えば負担する必要のなかった社会保険費を負担することになります。同じ金額を退職金として支払うときよりも、人件費負担が大きくなることになります。
企業側の退職金制度のデメリット
退職金制度があることで、企業側のデメリットとなることもあります。
ここでは
- 中途退職などによって決算や資金繰りが悪くなる可能性がある
といった内容でご説明していきます。
デメリットは、退職金制度を導入しない企業が増えている要因となっており、デメリットを知ることで制度の見直しの必要性がわかります。
中途退職などによって決算や資金繰りが悪くなる可能性
退職金は従業員が退職する際に支払うものです。
退職金の金額は大きくなることが多く、まとまった資金が必要となります。
退職金を用意する時、定年退職をする従業員については予測ができますが、中途退職する従業員は予測がつきません。
予測してなかった退職者への退職金の支給が、会社の財政状態を悪化させることにもなりかねないということが、デメリットとなります。
ですが、事情があるからといって退職金を支払わなかったり、退職金を減らしたりすることは困難です。
従業員には退職金を請求する権利があります。
簡単に支給する金額を減額したり、支払わなかったり、制度の内容を変更したりすることはできません。
退職金制度の導入で迷っているならマネーキャリアで相談!
退職金制度を導入する際には、慎重に検討したうえで、しっかりとした準備が必要です。
退職金制度は、導入すると容易に撤廃したり、決まりを変更したりすることができないということもデメリットとなります。
退職金制度の導入について悩んでいる経営者の方は、マネーキャリアに相談してみませんか?プロのアドバイスを受けることで、悩みが解決できるかもしれません。
前払い退職金制度のメリット
前払い退職金制度というのは、退職金として支払う金額を給与や賞与に加えて、在職中に支払う制度です。
ここでは、前払い退職金制度のメリットとして
- 退職給付引当金の準備が不要となる
- 給与水準を高くみせることができる
といった内容でご説明していきます。
①退職給付引当金の準備が不要
前払い退職金制度を導入することで、退職給付金引当金を負債として計上する必要が無くなります。
退職給付引当金は、従業員への負債として捉えられています。退職給付引当金が多いと、銀行などの与信審査で負債が多いとみなされるのです。
前払い退職金制度なら、月々の給与として支給されるため、負債ではなく必要経費となります。
また、中途退職者があらわれたときに支払う退職金の心配も無くなり、財政悪化を免れることができます。
②給料を高く見せることができる
前払い退職金制度では、退職金として支給する金額を給与や賞与に加えて従業員に支払うので、給与水準を高くみせることができます。
求職者に対しても、給与を高くみせることができる点で好待遇の会社としてアピールでき、良い人材の確保にもつながるでしょう。
前払い退職金制度のデメリット
前払い退職金制度にも、デメリットがあります。
ここでは、前払い退職金制度のデメリットとして
- 社会保険料が高くなってしまう
- 不祥事の抑止の効果はない
といった内容でご説明します。
①社会保険料負担額が高くなる
前払い退職金制度にすると、従来の退職金制度で退職金を支給するときよりも社会保険料が高くなることがデメリットです。
従来の退職金制度のように、退職金を「一時金」や「年金」で支給した場合は、税制上の優遇もあり、社会保険料もかかりません。
ですが、前払い退職金制度によって退職金を給与や賞与に加えて支給すると、社会保険料がかかることになります。
社会保険料の金額は、月々の給与の金額によって算出されます。
前払い退職金を給与や賞与にプラスする金額によっては、社会保険料の増額を抑えることは可能で、調整することによって増額とならない場合もあります。
②不祥事に対応できない
前払い退職金制度には、不祥事に対する抑止力がないことがデメリットです。
通常、従来の退職金制度では、従業員が不正を働いて懲戒解雇となった場合などには、退職金が減額されたり支払われなかったりするといった内容が退職金規程に明記されています。
また、不祥事が判明したのが退職後であっても規定の効力はあるため、従業員による不祥事の抑止力となります。
前払い退職金制度では、退職金が給与や賞与とともに賃金の一部として支給されるため、退職金部分のみの返還を求めることは難しくなります。
退職金制度を導入する必要性はない!
終身雇用制が主流だった過去にくらべ、社会情勢も大きく変化しており、労働者の働き方も変わってきています。
良い人材を確保するメリットがあるとされてきた退職金制度。
ですが、近年では労働市場の流動性も以前より高くなっています。
優秀な人材ほど良い会社へ転職していくのが実情です。
退職金として支給していた従業員への報償は、給与や賞与として支給することも可能です。
また、労働市場の流動性が高くなっている現代であれば、ポータビリティ制度のある確定拠出年金制度を福利厚生として導入するという方法もあります。
時代にあわせて制度も適宜見直し、改革していくことも必要なのではないでしょうか。
従業員側の退職金制度のメリットとデメリット
ここで、退職金制度の従業員側のメリットとデメリットも押さえておきます。
メリットは
- 長期勤務するモチベーションとなる
- 給与の一部を退職金として受け取ることで、税制上の優遇を受けられる
- 老後の生活資金を会社の負担で用意することができる
ということです。
退職金は賃金の一部ですが、おなじ金額を受け取るにしても、給与や賞与で受け取るより退職金で受け取った方が税制上の優遇もあり、社会保険もかからないので、高い金額で受け取ることができます。
老後の資金については、自分で準備することもできますが、運用や資金管理の負担を自分で引き受けることとなります。
デメリットは
- 退職金として支払われる部分の給与を在職中に受け取ることができない
ということです。
人によっては、退職後ではなく、在職中にお金が欲しいという場合もあるかもしれません。
まとめ
この記事では、退職金制度について
- 企業側のメリットは、良い人材の確保・雇用調整のしやすさ・人件費の軽減
- 企業側のデメリットは、資金繰り悪化の要因となり得ること
- 前払い退職金制度のメリットは、退職給付引当金の準備がいらない・給与水準を高くみせられる
- 前払い退職金制度のデメリットは、社会保険料が高くなる・不祥事抑止力にならない
- 退職金制度は導入すべきかどうか、見直す必要がある
- 従業員側からみたメリットは、老後資金を会社負担で準備できる・退職金で税制優遇措置が受けられる
- 従業員側からみたデメリットは、退職金を在職中に受け取れない
といった内容でご説明してきました。
従来の退職金制度については、今の時代にもうあっていないのではないか、といった見解があります。
導入を検討される際には、過去の価値観から生まれた退職金制度を今一度見直すことが必要です。
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ほけんROOMでは他にも法人保険に関する記事を多数掲載していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。