事業承継のスキームを解説【制度や法律を活用した事業承継例】

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事業承継を進める際に必要なものとして事業承継スキームが挙げられます。自社に合った事業承継スキームを利用することで事業承継を成功させることができます。本記事では事業承継スキームの種類とそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しています。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 事業承継をするスムーズに行う方法を知りたい方
  • 子や従業員へ承継を希望する方
  • 同業他社へ承継を希望する方

▼この記事を読んでわかること
  • スキームは多様に存在する
  • いずれのスキームにも利点や注意点がある
  • 事業承継を検討する場合はいろいろなケースを想定し、各スキームを把握する

内容をまとめると

  • 事業承継のスキームは親族承継からM&Aまで様々
  • 各スキームにメリット・デメリットがある
  • 自社のニーズに合わせたチョイスが必要
  • 引き継ぎの悩みは何回でも相談無料のマネーキャリアFP相談が最適
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事業承継のスキームとは経営者が会社を引き継ぐ際に活用する手段

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、事業承継を検討している経営者の方からこんな相談がありました。


「私は小さな会社を経営してきたが、引き継ぎ先を検討している。幸い私には従業員として働いている親族もいる。しかし、承継が円滑に進むかはまだわからない。事業承継のいろいろな方法について教えてもらいたい。」とのことです。


先代やご自分が育ててきた会社は、今後も承継され発展していってもらいたいものです。しかし、会社の後継者が決まらなければ、最悪の場合には廃業しなければいけません。


ご自分の会社の継続のため、さまざまな事業承継の方法を検討しておきましょう。そのためのスキーム(手法)は多様に存在します。


今回は事業承継のスキームの特徴やメリット・デメリット等を解説します。ご自分の会社の継続のため多様な事業承継の手法を検討する、経営者の皆さんのお手伝いとなれれば幸いです。

事業承継の概要【現状や承継する要素について】

中小企業の経営者が抱える後継者問題を解消する方法として、事業承継が注目されています。しかし、ご自分の会社の現状に合ったスキームをとることが肝心です。また、事業承継を行う際、検討しなければいけない要素も存在します。


こちらでは、

  • 現状と後継者不足
  • スキームの重要性とは
  • 3つの承継する要素について

以上を解説します。

事業承継の現状と後継者不足の背景

中小企業庁「事業承継に関する現状と課題について」によれば、中小企業の経営者の引退が2020年以降に増加すると報告されています。その数は数十万に上ると言われています。


その引退する経営者全員が後継者を決めているわけではありません。事業承継に頭を悩ませているが、「相談相手はいない」と回答した経営者は36.5%に上っています。


日本国内では、新型コロナウイルス感染症による経済の混乱・停滞の影響も加わり、後継者の決まらないまま廃業してしまうリスクが増大しています。

事業承継スキームの重要性

先代の経営者や、現経営者のご自分が守ってきた会社です。ご自分の代で廃業するのは避けたい方々がほとんどでしょう。


経営者が引退し引き継ぎを希望する場合、事前に十分な時間を設け事業承継スキームを検討していく必要があります。まず自社の事業は順調か、後継者候補がいるのか等、冷静に現状の分析をすることが大切です。


ご自分そして会社の状況に合ったスキームを選べば、円滑に事業承継を進められる可能性が高くなります。

事業承継で3つの承継する要素

自社の状況がどのようになっているのか、まずは次の3点から把握してみましょう。

  • 後継者
  • 資産
  • 知的・無形資産
ご自分の会社を任せたい後継者候補がいるかどうかをチェックします。ただし、親族なら誰でも良いわけではありません。後継者として十分な資質・経験があるかを判断します。もちろん、親族のみならず従業員の中に適任者がいるかも検討します。

資産は事業用資産(自社所有の機械・建物等)や債権・債務等を確認します。特に株式の承継は重要です。株式は後継者が経営権獲得のため、必要となる資産です。後継者が確実に株式承継できるスキームを考慮しましょう。

知的・無形資産は会社の理念やブランド、人材、技術、取引先等が該当します。こちらの承継に支障が出ると、会社の事業価値が低下するおそれも出てきます。

事業承継スキーム図【事業承継のスキームの流れ】

ご自分の会社の現状を踏まえていくと次のようなスキームが想定されます。

  1. 親族内に候補者がいる→その候補者に事業承継する意志がある→親族内承継
  2. 親族内に候補者がいない、いても承継する意志はない→従業員の後継者候補がいる→その候補者に事業承継する意志がある→従業員に事業承継(MBO)
  3. 候補がおらず、いても承継する意志はない→第三者に事業承継(M&A)
親族内に候補がいても、既に独立し承継を拒否する場合も考えられます。また、長年勤務してもらった従業員がいても、承継に応じてくれるとは限りません。そのため、柔軟にスキームを検討していく必要があるのです。

その他、持株会社・資産管理会社、事業承継ファンド、信託を活用した事業承継方法も存在します。これらの方法の利用も視野に入れ、あらゆる可能性を模索します。

事業承継スキーム例①親族内での事業承継

親族内での事業承継ができるならば、たとえご自分が引退を公表しても、社内が動揺することは避けられるはずです。


しかし、この場合でも事業承継スキームをよく検討し、円滑に承継が進むよう配慮しなければいけません。


こちらでは

  • 親族承継の概要
  • 親族が承継するメリット
  • 親族が承継するデメリット
  • 進める際のポイント・注意点
  • 生じ得る課題

以上を解説します。

親族内での事業承継の概要

配偶者、子や兄弟等の親族に後継者候補がいる場合、それに適したスキームを考えます。もちろん、候補者の意志は尊重しなければいけません。


この事業承継スキームは概ね

  1. 後継者候補をリストアップ、候補者へヒアリング
  2. 親族内後継者の確定
  3. 事業承継計画書の作成・公表
  4. 具体的対策の実行
という流れで進めていきます。

ご自分の親族であっても、その後継者に事業を全て丸投げするのではなく、事業承継計画書を作成し、後継者が確実に株式承継を実行できるよう配慮します。

親族内で事業承継を進めるメリット

現経営者であるご自分は会社経営を、長年生活を共にしてきた後継者へ託せるので安心感が得られます。


これは従業員や取引先も同じことで、以前と変わらない待遇・付き合いの継続が期待でき、心情的な理解を得やすいと考えられます。


また、中小企業の強みである「所有と経営の一本化」を維持することができます。事業承継には経営面の承継、自社株式という資本面の承継があります。


後継者が経営者の親族なら、経営面の承継と同時に財産相続を行えるので、所有・経営の分離を回避できます。

親族内で事業承継を進めるデメリット

親族が複数いる場合、誰が後継者候補になるかで対立することもあります。この状態が長引けば、経営に支障の出るおそれはあります。そこで、後継者を誰にするか、承継の方針親族会議で決めておきましょう。


また、後継者を決めても、その人に経営者として求められる知識・能力が備わっているとは限りません。後継者に知識・能力が欠如していると判断されれば、従業員は不安を感じ始め、取引先は去ってしまうかもしれません。


そのため、前述した事業承継計画書を作成するのです。こちらで承継時期や資産・株式承継の方法を決めるだけでなく、後継者の育成スケジュールも立てます。

親族内で事業承継を進める際のポイントと注意点

親族内で事業承継スキームでは、次のポイントを抑える必要があります。


生前贈与

現経営者から後継者へ資産・自社株式等を贈与すれば贈与税がかかります。その税を軽減する方法のチェックがポイントです。

  • 暦年課税贈与:基礎控除があり、年間110万円以内に収まるなら課税されない。
  • 相続時精算課税制度:2,500万円までの財産が非課税。この金額を超えた部分は一律20%で、さらに暦年課税贈与へ変更はできない。
いずれか有利な方法を選びましょう。

その他、「事業承継税制」という贈与税の一部の納税が猶予される制度もあります。こちらは5年間の雇用維持等の要件に合致し、都道府県知事の認定を受けた中小企業の後継者が対象です。

後継者育成

後継者が以前から会社経営の重要なポストを任され、その知識・経営能力が申し分なければ問題ありません。しかし、経営者としての知識・能力が不足していると感じたら、長期的な視野で育成する必要があります。

概ね10年くらいは育成期間を設ける必要があります。その間に従業員や取引先、金融機関へ承継を考えていることも報告し、事業承継の準備を整えていきましょう。

親族内で事業承継で生じる課題

後継者を育成している最中に後継者が辞退する、または途中で死亡するという事態も想定されます。そのため親族内で事業承継を行うと決めても、柔軟な対応策を決めておく必要があります。


後継者が承継を断念する事態について想定するなら、後継者候補を複数決めて、その複数人を育成対象とする方法が考えられます。


また後継者が途中で死亡するという事態には、従業員への事業承継、同業他社への事業承継等に対応したスキームを決めておきましょう。

事業承継スキーム例②従業員への事業承継

長年にわたり自社を支えてくれた従業員へ、会社を託すことも有効な手段です。この事業承継が可能なら、他の従業員もこの承継に賛同してくれることでしょう。


こちらでは

  • 従業員承継の概要
  • 従業員が承継するメリット
  • 従業員が承継するデメリット
  • 進める際のポイント・注意点
  • 生じ得る課題
以上を解説します。

従業員への事業承継の概要

親族に後継者候補がいなくても、会社を託せる従業員がいれば承継を検討できます。こちらの場合も、候補者の意志は尊重しなければいけません。


この事業承継スキームは概ね

  1. 後継者候補をリストアップ、候補者へヒアリング
  2. 従業員後継者の確定
  3. 事業承継計画書の作成・公表
  4. 具体的対策の実行

という流れで進めていきます。


事業の第一線で活躍してきた従業員を後継者にする場合も、それに合わせた事業承継計画書を作成します。

従業員への事業承継を進めるメリット

ご自分の会社で長年業務に努めてきた従業員なら、自社の専門技術やノウハウ、経営状態も把握していることでしょう。このような従業員なら安心して事業承継が可能です。


他の従業員にとっては、頼りとなる従業員が経営者となれば、モチベーションも下がることはありません。


取引先も、営業等でかかわりを持っていた馴染みの従業員が経営者となれば、取引条件の変更もなく、引き続き安定した取引が期待できるので承継の理解を得やすくなります。

従業員への事業承継を進めるデメリット

長年業務を努めてきて、他の従業員の信頼が厚い人物を経営者としても、ご自分と同じ位の年齢なら、近いうちに引退を決めるかもしれません。それでは、社内で混乱が生じる事態も懸念されます。


しかし、ご自分より年下で経験豊富、人望が厚く、経営の才能が見込める従業員はなかなか見つからないはずです。後継者が見つからない場合は、やはり他の方法を検討しましょう。


また、どんなに頭脳明晰で経営の才能があっても、他の従業員と仲の悪い人物が後継者となれば、他の従業員と対立が生まれることも考えられます。

従業員への事業承継を進める際のポイントと注意点

従業員の事業承継スキームでは、次のポイントを抑える必要があります。


資金力に注意

ほとんどの中小企業において、会社の借金は経営者個人が連帯保証する形をとっています。しかし、従業員が経営者となる場合、資金力に乏しく個人保証の難しいケースがあります。

同様に経営者の保有株式を、従業員が全て買い取るほどの資金力の有無も問題となります。このような場合は、ご自分が株式保有を継続、従業員には経営だけを任せるやり方があります(所有と経営の分離)。

ただし、株式を保有したままご自分が亡くなったら、会社に関わっていない親族まで株式の相続が発生し、会社の運営に支障を及ぼす危険性もあります。

後継者育成

資金的な面がクリアできる従業員にも、後継者として育成するための計画は立てるべきです。有能な従業員で、ある分野に高い専門性を有しながら、別の分野は素人同然と言う場合もあります。

経営者としてのスキル向上のため期間を定め、育成する機会を持つことが大切です。

従業員への事業承継で生じる課題

前述したように従業員の資力の問題で、所有と経営の分離が迫られる事態も考えられます。経営者であるご自分が亡くなり、後々株式相続でトラブルが発生することを懸念しているなら、別の承継方法を考えるべきです。


例えば同業他社へのM&Aを検討し、譲受に応じた相手方へ事業承継する方法も検討してみましょう。豊富な資金力のある企業を承継先に選べば、ご自分や家族たちは安心して将来を託すことができます。

事業承継スキーム例③持株会社・資産管理会社への事業承継

そのまま親族等へ事業承継をすれば贈与税・相続税の負担が気になる、という経営者は多いはずです。この場合には持株会社・資産管理会社を利用した承継方法について検討するべきです。


こちらでは、

  • 持株会社・資産管理会社による承継の概要
  • この方法をとるメリット
  • この方法のデメリット
  • 進める際のポイント・注意点
  • 生じ得る課題

以上を解説します。

持株会社・資産管理会社への事業承継の概要

資産管理会社資産管理を事業目的とした会社です。子会社やグループ会社の株式管理を目的としているなら持株会社と呼びます。税金面でのメリットが大きいスキームです。


設立の流れは次の通りです。

  1. 会社の基本事項を決定:会社名や出資者、資本金額等を定める
  2. 設立のための書類を準備:定款、登記に必要な書類、資金の準備
  3. 会社の設立登記・開業届出
自社を設立した時と同じように、煩雑な手続きを経ることになります。そのため、会社設立に見合うだけの節税効果が見込めるのか、よく検討しましょう。

持株会社・資産管理会社の設立方法

新会社を設立するだけで良いわけではなく、次のステップに進まなければいけません。それが「株式交換」です。次の流れとなります。

  1. 会社新設
  2. 新設会社の新規発行株式と、承継したい会社とで株式交換
  3. 経営者→後継者へ新設会社の株式を贈与
いわば、持株会社・資産管理会社が、承継したい会社の株式を買い取る方法です。

その他、「株式移転」で新しく持株会社・資産管理会社を設立する方法もあります。こちらは新設した会社へ、承継したい会社の株式を移転すると同時に、持株会社の株式をご自分に割り当て、更に後継者へ贈与する方法です。

持株会社・資産管理会社への事業承継を進めるメリット

この事業承継のスキームは節税効果の高さが強みです。持株会社・資産管理会社を設立した場合、後継者の資金で事業を引き取るので、贈与税・相続税を課される心配がありません。


相続人がこの会社の株主になれば、相続財産を分散させることができます。また、設立した株式を親族へ贈与する場合、ご自分の生きているうちに、親族1人につき基礎控除(110万円)以内で贈与を毎年繰り返せば、基本的に贈与税はかかりません。

持株会社・資産管理会社への事業承継を進めるデメリット

設立費用維持費がかかる点に留意しましょう。事業承継の節税のためとはいえ、株式会社を新設するのであれば25万円程度かかります。


また、設立した持株会社・資産管理会社で利益が出なくても、最低7万円程度の税負担が発生することになります。


そのため、事業承継で抑えられる節税効果と、設立費用や維持費その後にかかる税額を比較考量し、それでも前者の節税効果が大きいと判断したら、設立を決断しましょう。

持株会社・資産管理会社への事業承継で生じる課題

持株会社・資産管理会社を新設する手続きは煩雑です。自社の事業経営に追われる中、自社だけで手続きを進められるのか、という課題が出てくることでしょう。


会社設立の際は司法書士等登記申請の専門家へ依頼した方が効率的です。また、新設した会社の決算や法人税申告書を作成する余裕も無いなら、税理士に依頼しましょう。


ただし、法律や税金の専門家にこれらの手続き、作成・申告を依頼した場合、数十万円程度の報酬がかかる点に要注意です。

事業承継スキーム例④M&Aによる第三者への事業承継

後継者に親族や社内の従業員を検討したが、これといった人材がいないと思ったら、第三者へ事業承継する道を検討しましょう。その際に活用するのがM&Aです。


こちらでは

  • M&Aによる承継の概要
  • M&Aをとるメリット
  • M&Aのデメリット
  • 成功事例
  • 生じ得る課題

以上を解説します。

M&Aによる第三者への事業承継の概要と種類

M&Aには譲渡を希望する側(売り手)、譲り受ける側(買い手)がいなければ、事業承継が進みません。


この事業承継スキームは概ね

  1. 交渉相手を見つける
  2. 交渉開始
  3. 当事者の条件の調整を図る
  4. 事業承継契約成立
  5. 組織統合へ
交渉相手の発見~組織統合まで進むには1年以上かかる場合があります。

また、M&Aへ最も活用されている手法が「株式譲渡」です。こちらは株主が保有する対象会社の株式を、対価と引き換えに他社へ譲渡する方法です。

この方法ならば、自社の従業員・不動産・設備等はそのまま買い手に譲渡され、以前と変わらずに事業を継続できる場合が多いです。

M&Aによる第三者への事業承継を進めるメリット

M&Aによる事業承継なら、全国規模で事業承継候補を探すことができます。大手の傘下に入れば、資金面はもちろん、従業員全員をこれまで通り雇用してもらうことが期待できます。


また、M&Aにより買い手がシナジーを得られることは、売り手側(事業承継された会社)へも大きな利益が生じることにつながるはずです。


M&A契約によっては、契約締結後ご自分(売り手側の経営者)が経営権を保有したまま、第一線で活躍できることもあります。

M&Aによる第三者への事業承継を進めるデメリット

M&Aは相手との交渉です。そのため、交渉が決裂する場合もあります。交渉条件に大きな溝があれば、互いに調整して合意する心掛けが必要です。ただし、相手の条件が自社にとってかなり不利と感じたら、交渉は打ち切った方が良いでしょう。


また、M&Aの交渉成立後は組織統合へ移行しますが、その際に売り手側従業員と買い手との間でトラブルが起こることもあります。


もともと企業文化の違う者同士が一緒になるわけですから、戸惑いや誤解が生じるかもしれません。そのため、交渉の段階で従業員の雇用条件等をしっかり話し合い、買い手側の合意を得ておくことが必要です。

M&Aによる第三者への事業承継の5つの成功事例

M&Aを利用した事業承継は、さまざまな業種で成功しています。下表をご覧ください。

当事者M&A理由M&A手法
ケース1
・売り手:木造注文住宅の設計・販売
・買い手:建設工事・開発環境整備等
・売り手:後継者不在等
・買い手:新規事業開拓
株式譲渡
ケース2
・売り手:個人経営調剤薬局

・買い手:調剤薬局チェーン
・売り手:高齢、後継者不在
・買い手:他地域へ事業拡大
事業譲渡
ケース3
・売り手:樹脂製品製造
・売り手:樹脂製品製造
・売り手:高齢、後継者不在
・買い手:新規受注の獲得等
株式譲渡
ケース4
・売り手:土木建築業
・買い手:総合建設業
・売り手:高齢、後継者不在
・買い手:事業エリアの拡大
株式譲渡
ケース5
・売り手:映像制作業
・買い手:映像制作業
・売り手:高齢で事業継続が困難
・買い手:他事業とシナジー効果
事業譲渡

いずれも事業内容の近い企業同士が、M&A交渉によって事業承継を決めています。承継先に、自社が培ってきた技術・ノウハウを十分活用してもらうため、事業内容の似た相手方との交渉を望んでいるのです。

M&Aによる第三者への事業承継で生じる課題

M&A交渉は売り手・買い手のみで交渉をすると、交渉が上手く捗らない事態も考えられます。1年以上も長期間にわたり交渉した結果、交渉決裂となれば、費やした時間や作業がもったいないです。


そのため、M&A仲介サービスを利用しましょう。このサービスを活用すれば、業者が交渉相手のマッチング、交渉調整、クロージングをサポートしてくれます。専門家を立てれば成功率は飛躍的にあがるはずです。


ただし、業者に依頼すれば報酬がかかるので、事前相談の際に見積もりを行ってもらいましょう。

事業承継スキーム例⑤事業承継ファンドを活用した事業承継

事業承継ファンドを利用したスキームも検討しておきましょう。こちらは事業承継問題に直面している中小企業の経営者へ、経営支援を行う投資ファンドです。公的なファンドも利用できるので、安心してサポートが受けられるはずです。


こちらでは、

  • 事業承継ファンドの承継概要
  • 活用した場合のメリット
  • 活用した場合のデメリット

以上を解説します。

事業承継ファンドを活用した事業承継の概要

事業承継ファンドは、事業承継を最大目標として、出資および事業承継に関する相談等へ応じてくれます。


中小機構の「ファンド出資」を例にみると

  1. 事前審査:民間ファンドが出資要件へ合致しているかチェック
  2. 本審査:適格性について現地調査等を行う
  3. 契約協議:投資事業有限責任組合契約を締結
  4. 出資決定(中小機構が半分出資)
の流れで公的・民間ファンドが、後継者問題に悩む中小企業者の経営者へ、出資を行っててくれます。

その他、民間ファンドでは、後継者の選定や人材教育などをサポートしてくれます(プライベートファンド)。

事業承継ファンドを活用した事業承継を進めるメリット

事業承継ファンド(公的・民間)が出資してくれることにより、事業承継の際の費用が確保でき、安心して承継作業が進められます。


また、民間ファンドの場合、事業承継をしたい会社の株式を取得し、新たな経営権を握りマネジメントすることになります。


この手法ならば、その会社内の人材を育成できる他、ご自分の後継者にふさわしい人材を発見することもできます。

事業承継ファンドを活用した事業承継を進めるデメリット

事業承継ファンドは事業承継を支援し、対象企業の価値を高めていくことを目的とします。そのため、

  • 対象企業が事業承継前なのに、何故か金融機関から多額の借入がある
  • 規模の大きい不良在庫が発覚した
というケースがあって、とても改善できないような窮地に陥っている場合、活用が難しいこともあります。

事業承継スキーム例⑥信託を活用した事業承継

万一の無いことが一番であるものの、ご自分が予想外の不運に遭っても、待ってくれないのが事業承継です。そんなときに頼もしい事業承継のスキームとして信託を利用した承継があります。


こちらでは、

  • 信託を利用した承継概要
  • 信託を利用するメリット
  • 信託を利用するデメリット

以上を解説します。

信託を活用した事業承継の概要

こちらは、ご自分に不慮の事態が起きた場合、受託者が委託者の希望通りの事業承継を進めてくれる方法です。信託銀行が対応しています。


この事業承継スキームは概ね

  1. 経営者は議決権を行使し、配当金を受領
  2. 信託設定:信託銀行と信託契約を締結、自社株の信託等を行う
  3. 信託終了:万一の事態が発生したら自社株を後継者へ交付
の流れとなります。

信託による事業承継サービスが利用できる金融機関では、遺言代用タイプ・生前贈与タイプというように種類を分けているところもあります。

信託を活用した事業承継を進めるメリット

現経営者が柔軟に条件をつけ、承継内容を決められるのが利点です。例えば受益者(後継者)を誰に設定するか、事業承継の条件をどのように決定するか、等はご自分の考え次第です。


信託で後継者を定めている以上、ご自分が急に亡くなった場合でも、相続人間で後継トラブルに発展することはありません。


また、信託契約で後継者を決めておけば、経営者不在の空白期間が生まれず、会社経営が不安定になることも避けられます。

信託を活用した事業承継を進めるデメリット

信託設定後しばらくたってから、ご自分からみて後継者が「やはり不適切だった。」と判断される場合もあるでしょう。


そんな時に、ご自分の意思で信託契約を解除できる条項がなければ、ご自分の希望と異なる状況になってトラブルが起きることも懸念されます。


オーダーメイドで設定できる信託だからと油断せず、将来のことも考え、内容を慎重に検討しましょう。信託契約の担当者の意見もよく聞いて設定するべきです。

事業承継に関する相談ならマネーキャリアの無料相談を利用しよう

事業承継を検討しているなら、まずは気軽に相談できるところで不明点や疑問点をききたいものですよね。できれば相談費用はかけず、有益なアドバイスを得たいものです。


そんな時は、無料で何回でも相談が可能な「マネーキャリア」を利用してみましょう。こちらの相談サービスでは、相談員がファイナンシャルプランナーという専門資格を有しているので、事業承継のスキームや、費用、税負担等を的確に説明してくれます。


対面相談はもちろんオンラインでも相談可能です。相談予約を行い、いろいろな相談をしてみましょう。

事業承継スキームのセミナーに参加しよう

事業承継に取り組みたい士業専門家の方々(弁護士、司法書士、税理士、行政書士事務所経営者)は多いはずです。


そんな方々は、事業承継スキームに特化したセミナー参加してみましょう。2020年以降は中小企業経営者の引退が急増すると言われています。


事業承継マーケットは、プレイヤーが少ない市場なので活躍の場が多く与えられるはずです。


セミナーではマーケットの動向、事業承継スキームの各手法、取り組み事例等が学べます。会場受講はもちろんオンライン受講も可能なセミナーが多いので、是非検討してみましょう。

まとめ:自分に合った事業承継スキームを活用しよう

今回の記事では、いろいろな事業承継のスキームの特徴やメリット・デメリット等を解説してきました。


ご自分の親族や自社の従業員から後継者を選ぶ、という選択肢の他にもいろいろな方法があります。各スキームの特徴や注意点を把握し活用していきたいものです。


この記事では次の内容を紹介しました

  • 事業承継のスキームはいろいろある
  • 親族や自社の従業員から後継者を選ぶなら、育成期間も考慮に入れる
  • 持株会社・資産管理会社の活用は節税効果が高いものの、手間がかかる
  • M&Aによる事業承継の方法もある
まずはご自分の後継者候補の有無、自社の経営状態等を把握し、そのニーズに合わせた事業承継のスキームを検討しましょう。

マネーキャリアでは、他にも読んで頂きたい記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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