PL保険(生産物賠償責任保険)とは?保険料の相場や補償事例を解説!

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PL保険(生産物賠償責任保険)は、企業が製造・販売する生産物や工事が結果で起こった事故において、損害賠償を負う必要が発生した場合にそれを補償してくれる法人向け保険です。加入するとどのようなメリットがあるのか、どのような点に注意すべきか、などの点を取り上げます。

内容をまとめると

  • PL保険とは「生産物」や「仕事の結果」で発生した賠償責任を補償してくれる保険 
  • PL保険に加入することで企業が常に抱える賠償・訴訟リスクに対応できる
  • PL保険に加入する際は、明確に「補償外」と定義されている事例に注意
  • PL保険は「リコール特約」などの補償範囲を広げる特約が付帯できる
  • おすすめのPL保険を紹介
  • 個人事業主でもPL保険に加入することは可能
  • 法人向けの保険について、「どれを選べば良いかわからない」「損金割合や返戻率を全ての保険の中から比較したい」と思ったらマネーキャリアの利用がおすすめ!
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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

PL保険とは?


PL保険(生産物賠償責任保険)とは、ある企業が開発・生産した製品によって、消費者がケガを負ったり病気になるなどの損害を被った場合に発生する第三者への賠償金、いわば賠償責任を補償してくれる保険のことです。


これは製品を販売したり工事を行ったりする企業すべてに共通するリスクに備えるものであり、

  1. 生産した「製品(生産物)」
  2. 施行した「仕事(工事)」の結果
主にこれらに関する事故が発生し第三者が損害を被った場合、保険会社により保険金が支払われます。

1の生産物リスクに関しては製造・販売業者や飲食業、2の仕事リスクに関しては請負業務などが該当します。

そもそも法人保険の必要性やメリット・デメリットを知りたいという方は以下の記事をご覧ください!


法人保険のメリット・デメリットを解説!なんで経営に必要なの? 

PL保険にどんな価値がある?

企業経営を取り巻くリスク

企業経営を取り巻くリスク

先ほども説明したようにPL保険は、企業が提供する商品やサービスによって、第三者に損害を与えた場合の損害賠償責任を補償するための保険です。


上記のリスクマップから分かるように、損害賠償の発生頻度は比較的高頻度です。そのためリスク回避のためにもPL保険に加入しておくことをおすすめします。


そんなPL保険に加入することで得ることができる価値は、以下の5つになります。

  1. 損害を与えた場合に損害賠償責任があり、そのカバーをしてくれる
  2. 顧客との信頼関係の確立
  3. リスク管理
  4. 資金調達が可能
  5. 信用の獲得


万が一損害を与えてしまった場合に適切な対応ができないと、その後の事業継続に大きな影響を与えることになります。


適切な対応をするための準備として保険があります。そのため万が一のことが無い場合は保険の本来の価値を発揮することはないですが、保険とはもしもの事が起こったときに価値を発揮するものだと認識しておくのが一番良いと思われます。

PL保険のメリットとは?

続いてPL保険のメリットについて紹介していきます。

PL保険のメリットは以下になります。この後に一つ一つ解説していきます。
  • 加入対象となる業種の範囲が広い
  • 事業者の信頼性担保に繋がる
  • 損害賠償費用を補償してくれる

加入対象となる業種が広いというのは、製造物責任保険という名前なので製造業のみと思われていることがありますが、製造業以外でも加入することができます。

この後事例で紹介しますが、飲食業や工事・請負業なども補償の対象です。

2点目の事業者の信頼性担保に繋がるということについて説明します。PL保険に加入していることで、もしもの事があったときの対応が適切に行えるという風に判断されます。

それによりPL保険に加入していることがクライアントにとっても安心材料となるため、新規の取引獲得につながることもあります。

最後の損害賠償費用を補償してくれることについてです。当然ですが、PL保険は損害保険になるので、他人に損害を与え、損害賠償責任を負った場合にきちんと保険金が支払われます。

PL保険に加入する際の手続きと条件

続いては、PL保険に加入する際の手続きと条件について解説していきます。


PL保険に加入するには各保険会社に問い合わせることで加入できます。その際に条件や具体的な補償内容やプランの説明を受けると思います。


しかし、問い合わせの前に自身の経営している事業において、どのような加入条件があるのかや、適切なプランがどれなのかを知りたいという方は、「マネーキャリア」をご利用ください。


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PL保険の補償対象になる実際の事故事例

続いては、どのような事故においてPL保険(生産物賠償責任保険)の補償対象になるのか、実例を見ていきましょう。 

今回紹介する業種は以下になります。
  • 製造業
  • 飲食業
  • 工事・請負業
  • その他業種

製造業

まずは製造業の損害事例を紹介します。製造業の損害において多い事例が、製造後消費者の手に渡り、使用した後に損害が発生し損害賠償責任を負うことになったという事例が多いです。

そのような事例をここでは2点紹介します。1点目は、製造した電子レンジから出火し、それが原因で火災となり住宅を全焼させたという損害です。これにより損害賠償責任として、6,000万円の損害金を支払うこととなりました。

加えて、ある特定の製造物が発火した場合は、その製造物の回収をしなければいけないので回収と交換の費用として、今回の場合は10万円の費用が発生しました。

2点目は、ポリエチレン製灯油容器の溶着不良により、店舗内および自動車内に灯油が漏れたことにより損害が発生した事例です。

この損害により灯油容器を製造していた企業は、944万円の損害賠償請求を請けました。

飲食業

続いては、飲食業の損害賠償事例を紹介します。飲食業に多い損害賠償責任は、食中毒による損害賠償責任です。こちらについても事例を2点紹介します。

1つ目の事例は、生食用カキを提供した飲食店で、小型球形ウイルスに汚染されていたことから集団食中毒事件を起こした。生食用カキの加工販売会社と仕入販売会社とを相手取って、損害賠償請求を求めたという事例です。

この事例で請求されて損害金額は、約1,810万円ですが、実際の賠償金額は約475万円という判決になりました。

2つ目の事例は、料亭でお客様に提供したイシガキダイの刺身に、シガテラ毒素が含まれていたために複数の顧客が食中毒を起こした事件。中には休業した人もいたため、休業補償など多額の損害賠償を請求された。

この事例によって請求された損害金額は、742万円ですが、実際の判決で決定した賠償金額は308万円となりました。

工事・請負業

最後は、工事・請負業の損害賠償事例を紹介します。こちらについても事例を2つご紹介します。

1つ目は、塗装作業に際してシンナーを用いて古い塗装をはがす作業中、何らかの原因でシンナーへ引火し火災となった事例です。これにより施工方法などから賠償責任が認められた。この損害により支払われた損害金額は、2億7,900万円でした。

2つ目の事例は、店舗建物の屋根の防水工事の際、養生の不備から降雨により雨漏れが発生。建物、設備、什器等が水濡れ損となった事例です。この事例により支払われた損害賠償金額は、3,650万円になったそうです。

その他業種

これまで紹介してきた、製造業、飲食業、工事・請負業の他にもPL保険の対象となる損害賠償事例があります。ここではいくつかその事例を簡単に紹介します。

  • 自社が販売した化粧品を使用し、白斑症状が出た複数の購入者から訴訟を起こされた。(販売業)
  • 製造・販売した魚介缶詰に細菌が混入しており、購入者に重大な健康被害を及ぼした。(加工業)

PL保険の基本的な補償対象や適用範囲


PL保険(生産物賠償責任保険)とは商品の引き渡し後のリスクに対応できる保険ということがわかったところで、次はPL保険(生産物賠償責任保険)に加入するとどのような場合に補償が適用されるのか、そして補償対象はどうなっているのか、補償範囲について見ていきましょう。

補償適用範囲

PL保険(生産物賠償責任保険)における補償範囲は、「生産物」と「仕事の結果」で発生した、第三者(消費者)に対する損害賠償です。


損害賠償が発生するケースの多くは「自社の商品が原因で消費者がケガをした」とか「自社の工事手法が原因で健康被害が発生した」のように、いち企業が販売した商品や仕事として施工した工事が原因で事故が起こり、訴訟へと発展するリスクが少なからずあります。


これだけなら企業だけが加入する保険のようにに思えますが、実際は「個人単位で製作したハンドメイド商品」や「農家が生産した農産物」も補償の対象となります。そのうえ飲食店で提供された飲食物やまたはキッチンカーで提供した飲食物を食べて食中毒になったということも、誰もが考えられる事例の一つではないでしょうか。

ということは、他人に商品を提供する個人事業主などの立場としてなら、たとえいち企業ではなくても加入できる、そして加入することにメリットがある保険だといえます。

支払われる保険金

PL保険(生産物賠償責任保険)に加入することで補償を受けられる損害の種類は、 

  1. 損害賠償金:損害を負った第三者に対して支払う治療費や修繕費など 
  2. 損害防止費用:発生した事故の拡大、再発を防ぐために発生した費用 
  3. 権利保全行使費用:他人から損害賠償を受けるために要した費用 
  4. 緊急措置費用:損害を負った第三者に対して行った緊急措置で発生した費用 
  5. 協力費用:自社への協力に伴って発生した費用 
  6. 争訟費用:訴訟費用や弁護士費用など損害賠償の裁判手続きで発生した費用 

主にこの6種類です。 


そして保険会社から支払われる保険金はどのように計算されるのか、

  • 1~4:損害額 ー 免責金額 ※支払限度額を補償上限とする
  • 5:原則全額補償
  • 6:争訟額 ✕ (支払限度額 ÷ 損害賠償金額) ※限度額を超える場合
ある保険会社のPL保険(生産物賠償責任保険)においてはこのような基準が設けられています。

保険金の支払限度額は契約時に設定しますが、次の設定例をご覧ください。

項目支払限度額
身体障害
(1名あたり)
1億円
身体障害
(1事故あたり・保険期間中)
2億円
財物損壊
(1事故あたり・保険期間中)
1,000万円
上記の金額は生産物の種類や工事の内容、売上高などさまざまな要素を考慮したうえで決定します。

PL保険の主な特約

PL保険(生産物賠償責任保険)は、一般的な保険と同様に特約を付帯することで補償範囲をさらに広範にすることができます。


加入できる特約の種類は保険会社によって異なりますが、

  • リコール費用特約:生産物のリコールが発生した場合に製品の回収費用等を補償
  • 不良完成品損害補償特約:生産物を原料として用いられた完成品による損害まで補償範囲を広げる
  • 不良製造品損害補償特約:生産物が部品として用いられている機械等の損害まで補償範囲を広げる
  • 食中毒・特定感染症利益補償特約:食中毒等の原因により営業が停止されたことで発生した損失分の補償
たとえばこのような特約を付帯できます。

「リコール費用特約」に関しては生産物のリコールに対応できるためとても有用な特約ですが、すべてのPL保険に付帯できるわけではありません。  

特約として付帯できない場合は別途「リコール保険」に加入することで、より充実したリコール補償を受けることが可能です。

PL保険の保険料の相場はいくら?

ここでPL保険(生産物賠償責任保険)の保険料の相場はいくらぐらいになるのかみていきましょう。

PL保険(生産物賠償責任保険)は法人向け保険であるため、たとえば個人で加入する「個人賠償責任保険」のような保険よりも大幅に保険料は高くなります。


実際にどれくらいの保険料になるのか、ある保険会社のPL保険(生産物賠償責任保険)における保険料と補償内容の一例を見てみましょう。


【例1】飲食店 月々の保険料:306,000円(割引適用前)

区分身体障害財物損壊
支払限度額
(1名あたり)
1億円
支払限度額
(1事故あたり)
2億円1,000万円
支払限度額
(保険期間中)
2億円1,000万円
免責金額
(1事故あたり)
1,000万円1,000万円


【例2】建設業 月々の保険料:293,000円(割引適用前)

区分身体障害財物損壊
支払限度額
(1名あたり)
5,000万円
支払限度額
(1事故あたり)
3億円3,000万円
支払限度額
(保険期間中)
3億円3,000万円
免責金額
(1事故あたり)
なしなし


これらの保険料は一律に決められているわけではなく、設定した支払限度額や免責金額、またどのようなものを生産しているのか、どのような内容の工事を行うのか、といった要素により変動します。

PL保険に加入する際の注意点


製造・販売を行う企業にとっては欠かせない保険ともいえるPL保険(生産物賠償責任保険)ですが、加入にはいくつかの注意点があります。


ここでは主に以下の2点について紹介します。


  • 注意点①事故が故意の場合は保険金は支払われない
  • 注意点②事故の原因が危険物質の場合は補償されない
PL保険はあくまでも対人・対物への被害を補償する保険ですから、商品やサービス自体を補償する保険ではないことを覚えておく必要があります。

注意点①事故が故意の場合は保険金は支払われない

発生した事故の原因が故意である場合、または法令に違反する重過失と認められる生産物や仕事に起因している場合は、当然ながらどの保険でも保険金は支払われません。


たとえば不当表示虚偽表示、またはミスが重大すぎる場合には故意と見られてしまい、補償の対象外とされてしまいます。


同様の例として、医師免許を有していないのにも関わらず第三者に医療行為を行い、その結果発生した健康被害に対する賠償なども、補償対象とはなりません。

注意点②事故の原因が危険物質の場合は補償されない

事故の原因が、放射性物質やアスベスト、やさらに燃料物質などの危険物質である場合は、当然ですがどのような場合でも補償されません。


危険物質の場合は、被害がどの程度まで拡大してしまうか計り知れないため、保険会社では対象外となっています。


この他にも、明確に「保険料が支払われない事例」が保険会社より公表されているので、自社で製造していたり扱っている製造物や商品は補償対象外かどうかを加入前にチェックしておくべきでしょう。

賠償責任保険との違い


PL保険は「生産物賠償責任保険」という名のとおり、他者に対しての賠償責任を補償する「賠償責任保険」の一つです。


ただし単なる「賠償責任保険」に関していえばさらに意味合いが広範であり、

このような業務に合わせて発生しやすいリスクに対応した法人向け保険も「賠償責任保険」に含まれます。

PL保険はあくまで「生産物」や「仕事の結果」の事故における賠償を補償してくれるものであり、作業中の従業員に健康被害が発生した場合などは範囲外です。

業種ごとに高いさまざまなリスクに応じて、確実にリスクマネジメントができる保険へ加入することが求められます。

【参考①】PL保険は個人事業主でも加入できる?


PL保険(生産物賠償責任保険)は法人向け保険ですが、個人事業主でも加入することは可能です。個人事業主ではあっても第三者に商品を提供するのには変わりありませんので、こういったリスクは誰もが抱えているはずです。


保険会社にもよりますが、個人事業主の加入が可能となっている保険もあります。たとえば三井住友海上には小売業向けの保険がありますし、東京海上日動では飲食業向けの保険商品も用意されています。


またハンドメイド商品をネットショップで販売している方や、ネットショップを経営している個人事業主の方も加入できますので、事前に確認することをおすすめ致します。

【参考②】責任保険契約についての先取特権を知っておこう!

そのほか生産物賠償責任保険契約には先取特権という制度が保険法で定められています。


もしもPL保険に加入している事業者が生産した商品に事故が起き、その結果その事業者は倒産してしまったとします。当然消費者の立場からすると損害賠償を請求したにもかかわらず賠償金が支払われない状況になります。


けれどもPL保険に加入していたためPL保険の保険金が事業者に支払われます。ただ倒産してしまったということは負債を抱えているということになりますから、その保険金が破産処理に使われてしまう可能性があるわけです。そうなれば消費者への賠償金は後回しとされ、もしかすると被害に対して何もないままとなってしまうでしょう。


こういったことを防ぐために保険法では先取特権を認め、事業者が破産したとしても保険金は優先的に被害者である消費者が被害の回復を受けられる規定を設けているのです。


そのため保険会社によっては、保険会社から直接被害者に保険金を支払うといったケースもあります。

PL保険に関するまとめ

PL保険すなわち生産物賠償責任保険についてや補償内容、またPL保険の保険料や保険料の相場はいくらぐらいなのか、さらにPL保険の補償事例などもみてきました。

PL保険はほぼすべての業者の方に必要な保険であり、ネットショップなどの経営者や個人事業主の方にも必要な保険の一つということがわかったのではないでしょうか。


自分の会社にPL保険は必要なのか疑問に思ったり、いま加入中の保険があるけれどもしもの時の補償の範囲がわからないなど、法人保険についてのわからないことがある方は、ぜひマネーキャリア無料法人保険相談を活用してみましょう。


マネーキャリアでは自社に必要な保険についてなども含め、自社にはどこの保険会社の保険が合っているのかを見極めてくれるはずですから、この機会にマネーキャリアに保険無料相談をしてみてはいかがでしょうか。

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