更新日:2023/10/04
フリート契約とは?メリットやノンフリート契約との違いを解説
法人の方は自動車保険の契約がフリート契約になることも多くあります。しかし、ノンフリート契約との違いをしっかり理解しておかないと、翌年の保険料が大幅に上がってしまうこともあるのです。フリート契約のメリットなどの他、保険料についても勉強しておきましょう。
内容をまとめると
- 10台以上の場合はフリート契約を行う
- ノンフリート契約とは保険料の計算方法が違う
- メリットは、保険証券が1枚、増えた車の自動保障、割引制度の充実
- デメリットは、事故状況によって保険料が高くなる・「通販」で契約できないなど
- 保険料を決める際に重要な優良割引率は、損害率や車の台数で決まる
- 2台以上ならミニフリート契約ができる
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 自動車保険のフリート契約とは?
- ノンフリート契約との違い
- フリート契約のメリットは主に3つ!
- ①複数自動車があっても保険証券が1枚で済む(全車両一括特約)
- ②自動車の台数が増えても自動で補償の対象になる
- ③保険料の割引制度が充実している
- 【注意】フリート契約のデメリット
- ①事故を起こすと「保険料」が高くなる
- ②通販系の自動車保険会社は扱っていない可能性あり
- ③自動車が9台未満になったまま猶予期間がすぎるとノンフリート契約になる
- ④年齢別の割引やファミリーバイク特約がない
- フリート契約にすべき業種
- ①運送業
- ②不動産業
- 優良割引率(保険料)の決め方
- 台数・損害率・現状の優良割引率が重要!
- 料率審査日とは?
- ミニフリート(セミフリート)契約とは?
- フリート契約についてのまとめ
目次
自動車保険のフリート契約とは?
フリート契約は車の台数が10台を超える際に行われる契約方法です。数が多くなると管理が難しくなることから、一括で契約ができるようになっています。
個人で所持数が10台を超えることはほとんどないため、利用するのは法人として運送業を経営されている方などになります。
通常の自動車保険は自動車単位で契約するため、契約日は購入日などに左右されてしまいます。
そうすると、保険期間がそれぞれ違うため、うっかり保険が切れていた、ということになりかねません。
その点契約者単位でまとめたフリート契約は期間が揃っています。契約や更新が一度に行えるため、うっかり保険が切れていた、という状態とは無縁と言えます。管理が楽になるのは会社としても助かりますよね。
保険料の割引制度も豊富で、車の台数次第では最大70~80%もの割引を受けることも可能です。
また、特約を付帯しておくことで、契約途中に新しく購入した車も自動で補償されることになるため、煩わしい手続きが少ない回数で済むのです。
ノンフリート契約との違い
個人が契約する可能性が高いのが「ノンフリート契約」です。そのため、自動車保険=ノンフリート契約と考える方がほとんどかと思います。
しかし、10台以上になるとフリート契約へと切り替えが可能です。自動車保険の契約方法に違いがあること自体知らない方にとっては、切り替えることで何が変わるのか知っておきたいですよね。
特徴を見ていきましょう。
内容 | フリート契約 | ノンフリート契約 |
---|---|---|
割増・割引適用範囲 | 契約者単位 | 自動車単位(1台ずつ) |
割増・割引率決定方法 | 車の台数 全体の損害率 | ノンフリート等級 事故件数(内容) 事故有係数 |
年齢による割増・割引 | なし | あり |
保険証券 | 1枚 | 台数分 |
管理の視点から注目したいのが、保険証券です。台数分発行されるノンフリート契約では探すだけでも一苦労となってしまいます。10枚程度ならまだしも、50枚、100枚ともなってしまうとうんざりしてしまいますよね。
一方でフリート契約は1枚です。数十枚の中から探す必要もなければ、管理の手間も省けるのです。
フリート契約のメリットは主に3つ!
割増・割引率の決定方法などで大きな違いがみられるフリート契約ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
以下のようなメリットがあると言えます。
- 保険証券が1枚で済む
- 新たに車を増やしても自動で保障される
- 割引制度が充実している
確かに台数が多い場合、保険証券が台数分になってしまうとどれがどれなのかもわからなくなってしまいますし、保管するのも大変そうですよね。必要なときにサッと出せなくなってしまう事も考えられます。
以下ではそれぞれのメリットを解説していきます。
①複数自動車があっても保険証券が1枚で済む(全車両一括特約)
保険証券は1台ずつ発行されるため、50台分契約すれば50枚が手元に来ることになります。見た目が同じため見分けるのも難しく、管理が難しい状態と言えます。
このようなときに活用したいのが「全車両一括特約」です。
この特約を付帯することで、数十枚ともなってしまう保険証券を1枚にすることが可能です。
枚数が減るだけでそんなに良いことなの?と疑う方は多いと思います。しかし考えてみてください。
1枚ならば管理をするのも楽になります。
- 保険期間が統一される
- 保管が楽になる
- 利用するときはどの車でも同じ保険証券が使える
などです。
特に保険期間が統一されるメリットは大きく、同時に更新が行えることによって「無保険期間」が防げるのです。
さらに、
- 保険料5%割引
- 割増無しの分割払い
などの特典を受けることができます。
管理が楽になる上に、保険料まで安くなるのです。
②自動車の台数が増えても自動で補償の対象になる
契約途中で自動車が増えることもあるかと思いますが、全車両一括特約を付けていれば自動で補償対象となります。契約者の管理下に入ってすぐに保障の対象となるため、安心して車を利用することができます。
自動で補償対象にはなりますが、台数が増えたことを連絡することは必要です。しかし、すぐに連絡しなくてはいけないという訳ではなく、保険会社が定めた一定日に、一か月分の増減をまとめて報告をします。
報告後には増えた台数分の保険料の支払いがありますが。保険料の支払いが日割りの保険会社もあります。日割りの保険会社ならば利用した分だけ支払うことができるため、無駄なく保険料が支払えるのです。
③保険料の割引制度が充実している
主な割引率は
- 台数
- 事故の有無
で決まります。
台数
割引率とつながりがなさそうですが、多いと割引率に有利な影響が出ます。上昇率が大きくなるのです。
最大割引率にも違いがあり、70%のところが80%まで上昇します。
また、フリート多数割引で5%上乗せされます。事故を起こしても5%の数値に変更はありません。
無事故割引
フリート契約の割引のメインとなるのが事故の有無です。1年で15~30%上昇し、台数が多い場合には30%と一気に増えるのが特徴です。
等級制度では1年で8~10%ほどの上昇のため、短期間で一気に上昇することはメリットと言えます。
条件次第では最大80%まで割引されるのです。
事故があった場合
このような場合でも割引の可能性があります。1台のみで保険金額も少額などの場合、残りの台数分引かれる可能性があるのです。
【注意】フリート契約のデメリット
メリットが大きいことはわかりましたが、良いことだけではありません。注意しておきたい点もいくつかあります。
ノンフリート契約と同じ感覚でいると後悔してしまう可能性もあるのです。
- 事故を起こした場合の保険料
- 「通販」での取り扱いが少ない
- 途中で9台以下になってしまった場合
- 年齢別の割引やファミリーバイク特約が無い
などに注意しましょう。
特に保険料については知っておかないと高額な保険料となる可能性が高くなってしまいます。契約途中で台数が減る可能性があることにも気をつけたいですね。
切り替え前にはデメリットについても勉強しておきましょう。
①事故を起こすと「保険料」が高くなる
「事故を起こすと保険料が高くなる」というのは当たり前のことのように感じます。ノンフリート契約でも同じ現象が起きますよね。
しかしその仕組みに注意が必要なのです。
ノンフリート契約では割引率は等級で管理されているため、事故を起こしてもすぐさま割増となる状況はかなりまれな事です。
しかし、フリート契約の場合「優良割引率」で決まり、特に「損害率」に大きく左右されます。
損害率は総保険金額で決まるため、金額が大きい場合は1回の事故で割増となってしまう可能性もあるのです。
ノンフリート契約では大きな事故を起こしてしまった際には迷いなく利用する方が多いと思います。しかし、保険金額のことを気にせずに利用してしまうと、翌年の保険料が思った以上に高額になっていた、ということもあり得るので注意が必要です。
②通販系の自動車保険会社は扱っていない可能性あり
保険料が安いことで有名な「通販系」はフリート契約では利用できない可能性が高くなります。
そもそも法人に対する制限が多く、
- ノンフリート契約のみ
- インターネット割引なし
- ゴールド免許割引なし
- 自家用自動車登録車のみ
など多数の制限があるのが現状です。
インターネットではなく電話などで申し込む必要があります。割引も無いのならばあまり魅力がありませんよね。
今までの契約が通販系だった、という場合もあるかと思います。しかし、ノンフリートは契約できていても、契約方法がかわってしまうと継続できなくなってしまうのです。
そのため、フリート契約になるタイミングで新しい保険会社に乗り換えなくてはいけません。今までの保険会社が利用できなくなり、新たに探すという手間も増えてしまいます。
③自動車が9台未満になったまま猶予期間がすぎるとノンフリート契約になる
台数条件のある契約方法ですが、減ってしまうとどのような影響があるのでしょうか?
10台以上が条件となるフリート契約は、9台以下でノンフリートへ切り替わることになります。
しかし、すぐに切り替えが必要になるわけではなく、猶予期間が存在します。
一般的な猶予期間は「次の更新時」までです。これを過ぎても台数が足りない場合には契約方法の変更をする必要があります。
もしフリート契約の更新をしたいけれども、自動車を新しく購入する予定がない、という場合、原付で代用することも可能です。原付バイクを含んだ10台でも契約することが可能です。
自動車はいらないけれど原付ならば一台くらい置いておきたい、と思う方は、ぜひ利用してみてください。
④年齢別の割引やファミリーバイク特約がない
年齢などの「リスク細分化」による割引がありません。
誰が乗るのか指定が難しいため、年齢などの条件を付けることができません。そのため、年齢条件による割引はありません。同じように、契約者がゴールド免許を持っていても、割引率に有利に働くことは無いのです。
保険料が高い20代などの若い方にはあまりデメリットと感じないかもしれません。しかし、年齢が高い方が多い場合、このような年齢制限が設けられないことはデメリットと感じるのではないでしょうか。
また、ファミリーバイク特約などもありません。契約方法変更前に特約を利用していた場合は、フリート契約にすることで原付に対する補償がなくなってしまうため、新たに契約をするかフリート契約の枠に入れてしまうかして補償のある状態にしておくことをおすすめします。
フリート契約にすべき業種
これまでフリート契約の契約内容やデメリット等について解説してきましたが、自社でもフリート契約にする必要があるのかと、考えている方もいるでしょう。
そこで以下の業種の方々で、自動車を10台以上保有している方はフリート契約にすることをおすすめします。
- 運送業
- 不動産業
①運送業
まずは運送業の方々です。運送業は自動車がないと事業ができないため、10台以上保有している事業者も多くいると思います。
それに加え、誰がどの自動車を運転するのか決まっていない場合は、保険料が割高になることがあるので、フリート契約の豊富な割引制度を利用して、できるだけ保険料を抑えるようにする必要があると言えます。
運送業のリスクやリスク対策については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はそちらをご覧ください。
②不動産業
続いては不動産業の方々です。不動産業では、不動産の営業や、物件を内見する際に自動車を社員が利用することがあると思います。
中には、10台以上の自動車を保有している不動産業の経営者の方もいるのではないでしょうか?そのため10台以上自動車を保有している不動産業の方々については、フリート契約で自動車保険に加入することをおすすめします。
そんな不動産業に関するリスクやリスク対策についても、詳しく解説している記事を公開しているので、気になる方は以下からご覧ください。
優良割引率(保険料)の決め方
事故を起こしてしまった場合には保険料が高額になってしまうことはご紹介しましたが、どのように保険料が決まっているのか知っておきたいですよね。
基本となるのは現在契約中のフリート契約の割引率です。さらに台数や損害率に応じた割引率が出され、新しい優良割引率が決定するのです。
ここでは保険料を決める際にポイントとなる、
- 台数・損害率などによる優良割引率の決まり方
- 料率審査日
についてそれぞれ解説していきます。
台数・損害率・現状の優良割引率が重要!
保険料は、
- 台数
- 損害率
- 現在の優良割引率
に応じています。
運転者の条件を限定することで割引されるリスク細分化の割引がありません。しかし、この3つの条件次第ではかなり良い割引を受けることができます。
割引率の進捗率の幅を左右するのが「台数」です。多い方が有利に進行し、最大値も増えます。
また、保険料の基盤となるのが今の優良割引率です。今年度からの場合は、「平均無事故率」を使います。
のこりの要素である損害率は保険料決定の「かなめ」とも言えます。
保険金額÷保険料×100
で計算される数値です。
損害率 | 割引率 |
---|---|
高い | 低い |
低い | 高い |
努力次第で事故を減らすことはできますよね?そのため、保険料の「かなめ」とも言えるのです。
どうすれば安くなるのか。とても簡単なことです。大きな事故を防ぐことで改善することができます。
無事故に繋げるためにも事故を起こさないようなシステムを導入することは会社として行っておくべきですよね。
料率審査日とは?
新しい優良割引率が決定する日をさしています。全車両一括特約の有無によって一回目の料率審査日に違いがあり、
全車両一括特約の有無 | 第1回料率審査日 |
---|---|
あり | 1年後の応当日 |
なし | 1年6ヵ月後の月初 |
契約後すぐに新しい優良料率が決まらないのは、成績計算期間が必要になるためです。1年間の期間が設けられています。
この1年間の間に起こった事故などに応じて、損害率などが出されます。第2回目はどちらの場合も1回目の1年後の応当日となります。
全車両一括特約を無しとした場合、期間のズレに注意しましょう。フリート契約となってから1年半後となるため、契約期間と比較すると6ヵ月の「ズレ」があることになります。
無事故だったはずなのに保険料が安くなっていない、などの場合、期間のズレが関係しています。
事故を起こしてしまい保険料が上がると思っていたけれど上がらなかった、ということも起こります。このような場合、その事故の損害率はさらに次の回で計算されることになります。保険料が次の審査日に上がってしまうのです。
しかし、上がることが分かっていればこれから気をつけることでそれ以上の上昇を防ぐことも可能です。保険料を抑えるためにも事故防止に力を注ぎましょう。
ミニフリート(セミフリート)契約とは?
ミニフリート契約とは、1保険証券で2台以上の契約をまとめて行うことです。セミフリート契約とも呼ばれます。
2台以上であれば一括で管理をすることが可能になります。
ただし、所有者に条件があり、
- 契約者
- 配偶者
- 同居の家族
の場合の車のみまとめることが可能になります。
家族であっても別居している場合はまとめることができません。また、保険料の引き落とし口座を統一することも条件の一つです。
保険開始期日を合わせる必要もあり、上手く調整をしないと等級が進むのが先延ばしになってしまう事もあります。
しかし、これらの注意点を上手くクリアできれば、ミニフリート契約を行うことができます。保険料も安くなりますし、保険証券がまとまっているので管理も楽になるのです。
フリート契約についてのまとめ
いかがでしたか?ここでは自動車保険の契約方法の一つであるフリート契約をご紹介しました。
この記事では、
- 10台以上の場合はフリート契約を行う
- ノンフリート契約とは保険料の計算方法が違う
- メリットは、保険証券が1枚、増えた車の自動保障、割引制度の充実
- デメリットは、事故状況によって保険料が高くなる、「通販」で契約できないなど
- 保険料を決める際に重要な優良割引率は、損害率や車の台数で決まる
- 2台以上ならミニフリート契約ができる
をご紹介しました。
フリート契約を行うことはプラスになる面もある一方、マイナスとなってしまう事もあります。メリット・デメリットをしっかりと把握し、損をしないよう上手に利用してください。
損をしないためにもしっかりと勉強をしておく必要があります。
「ほけんROOM」では他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。
また「マネーキャリア」では、法人保険や事業に関する相談をいつでも承っています。些細なことでも専門家に聞きたいことがある方はぜひご利用ください。