
更新日:2023/09/12
おすすめの法人向けの自動車保険とは?保険料相場など基本情報を解説

企業が所有する車での事故に備えることができる、法人向け自動車保険。加入は任意であるため、一層正しい知識を身につけることが求められます。そこで今回は、法人向け自動車保険を完全解説!これを読めば、基本的な知識を身につけることが可能です。
内容をまとめると
- 法人向け自動車保険とは、業務に関する自動車の運転における過失に備えられる保険。
- 基本的な補償内容は、対人賠償責任・対物賠償責任・人身障害・車両の損害の4つ
- 法人と個人の違いは、契約名義と補償範囲にある
- 法人向けの自動車保険では保険料の相場を提示することが困難
- 法人契約のデメリットは、純粋な保険料が高額・1台の事故が全車両に影響する可能性があるなど
- メリットは、節税できる・個人契約から等級継承が可能・フリート契約によって大幅割引・法人向け限定の特約・社員が変わっても契約に影響がないなど
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
法人向けの自動車保険とは?個人の自動車保険と何が違う?
世の中の保険には、法人向けと個人向けにわかれて販売されている保険が存在します。そして自動車保険も法人と個人にわかれているうちの1つです。
法人向けの自動車保険とは、事業活動に使用する自動車(トラックや営業車)で業務上の車の交通事故などのリスクを補償するための法人保険になります。
法人向け保険の基本補償内容は4つ
続いて、法人向けの自動車保険の補償内容の解説をしていきます。
法人向けの自動車保険の基本的な補償内容は以下になります。
- 対人賠償保険
- 対物賠償保険
- 人身傷害保険
- 車両保険
①対人賠償保険
まずは補償内容の1つ目、対人賠償責任について解説していきます。対人賠償責任とは、自動車事故によって相手が死傷した場合の損害賠償責任の事を言います。
そこで自動車保険の対人賠償保険では、自賠責保険等で支払われる保険金額を超える部分を補償してくれます。対人賠償保険で支払われる費用は以下になります。
- 慰謝料
- 治療費
- 休業損害 など
②対物賠償保険
続いては、法人向け自動車保険の補償内容の2つ目、対物賠償保険について解説していきます。対物賠償保険とは、自動車事故によって相手の自動車や財物を壊してしまった場合の損害賠償責任を補償します。
対物賠償保険の補償対象は以下になります。
- 相手の車の修理費用
- 代車費用
- 建物・設備といった財物の修理費用 など
対物賠償については、補償金額を500万、1,000万、5,000万、無制限と設定することが可能です。補償金額を抑えると保険料が割安になるメリットますが、対物賠償責任については、損害賠償金が高額になるケースが多くあります。
以下が交通事故による実際の判例になります。
認定総損害額 | 被害物件 | 判決年月 | 裁判所 |
---|---|---|---|
2億6,135万円 | 積荷(呉服・洋服・毛皮) | 1994年7月 | 神戸地裁 |
1億3,580万円 | 店舗(パチンコ店) | 1996年7月 | 東京地裁 |
1億2,037万円 | 電車、線路、家屋 | 1980年7月 | 福岡地裁 |
1億1,798万円 | トレーラー | 2011年12月 | 大阪地裁 |
1億1,347万円 | 電車 | 1998年10月 | 千葉地裁 |
上記のように損害額が高額になるケースがあるため、補償金額を無制限にしておくことをおすすめします。
③人身傷害保険
続いて法人向けの自動車保険の補償内容の3つ目の人身傷害保険について解説していきます。人身傷害保険では、自動車事故による運転者や同乗者の死傷による損害を補償してくれます。
人身傷害保険で補償される損害は以下になります。
- 治療費
- 精神的損害
- 逸失利益など
④車両保険
最後は法人向けの自動車保険の補償内容、車両保険について解説していきます。車両保険では、契約している自動車の損害を補償してくれます。
契約車が以下の理由で修理費などが生じた際に、保険金が支払われます。
- 自動車事故
- 盗難被害
- 火災 など
車両損害保険は加入方法が以下のように選択できます。
- 一般車両保険:ノーマルの補償
- エコノミー車両保険:ノーマルのものより補償の範囲が狭いもの
「保険料が無駄にならないか」「万が一のときに自分たちが求めるサポートを受けられる商品であるか」、それぞれ熟慮して選択するのがおすすめです。
法人向け自動車保険の主な特約とサービス
前項でご紹介した基本補償だけでは不安であるという方向けに、保険会社によって様々な特約やサービスが展開されています。
簡単にまとめてみましたので、一緒に見ていきましょう。
▼全員に共通しておすすめのもの
内容 | |
---|---|
弁護士費用特約 | 契約側が被害者となる事故の際に、相手との交渉を弁護士に依頼したときの費用などをサポートする。 |
レンタカー費用特約 | 車の走行が困難になったときや盗難被害にあった際などに、レンタカーを利用した場合の費用をサポートする。 |
対人賠償使用人災害特約 | 引き起こした自動車事故での「従業員の死亡」に対してサポートする。 |
対物賠償非所有管理財物特約 | 自動車事故による「一時的に預かり管理している他人の所有財物・財産の損壊」に対してサポートする。 |
事業用積載動産補償特約 | 車に積み込んでいた商品や備品などの損害に対してサポートする。 運輸・運送業者が対象。 |
運送業者受託貨物賠償責任補償特約 | 貨物の損害・荷役作業などに付随して荷主に対して生じた賠償責任をサポートする。 運輸・運送業者が対象。 |
ロードアシスタントサービス | 走行中に突然発生したトラブルに対してサポートする。 |
基本補償では補償されない範囲に対してのサポートを受けられます。
▼自動車関連の業者を対象としたもの
内容 | |
---|---|
整備・サービスステーション等受託自動車包括契約 | 業務上の利用(整備・修理・点検・試運転など)を目的に顧客から預かった自動車で引き起こした事故を全般的にサポートする。 自動車整備業者やガソリンスタンドなどが対象。 |
販売者用自動車保険 | 顧客へ販売する商品として管理される自動車をまとめてサポートする。 ディーラーや中古車販売業者などが対象。 |
運転代行受託自動車保険契約 | 運転代行業務中に、顧客の自動車で起こした事故などを全般的にサポートする。 |
こちらは、自動車にまつわる業務を行う企業向けに展開されている保険商品です。
▼法人限定のもの
内容 | |
---|---|
企業・団体見舞費用特約 | 事故により負傷・死亡させてしまった相手への見舞金や葬儀参列の交通費などをサポートする。 |
搭乗者傷害事業主費用特約 | 事故により該当の車に搭乗していた従業員が負傷・死亡した際に、事業主が負担する費用をサポートする。 |
法人他者運転特約 | 取引先から預かった車で従業員が事故を起こした際にサポートする。 |
リースカーの車両費用特約 | リースカーの事故・盗難などによる損害をサポートする。 |
対人賠償使用人災害特約 | 引き起こした自動車事故での「従業員の死亡」に対してサポートする。 |
受託貨物賠償責任特約 | 車に積み込んでいた商品や備品などの損害に対してサポートする。 |
これらは個人向けの自動車保険には用意されていない特約となっています。
法人向け自動車保険のフリート契約って何?
ここからは法人向けの自動車保険のフリート契約について解説していきます。
法人が自動車保険に加入する際は、以下のような契約形態があります。
- フリート契約
- ノンフリート契約
- ミニフリート契約

①フリート契約
最初はフリート契約について解説していきます。フリート契約とは、「所有・使用する自動車」のうち、1年以上の自動車保険を契約している自動車の合計台数が10台以上である場合に契約できる方法です。
フリート契約の特徴は、契約方法にあります。フリート契約は契約の対象が車でなく、所有者または使用者が契約対象となります。つまり社用車1台1台で保険に加入するのではなく、法人として所有、使用する車をまとめて保険に加入するという方法です。
- 1年以上の自動車保険を契約している
- 車を10台以上保有している
②ノンフリート契約
続いてはノンフリート契約について解説していきます。ノンフリート契約とは、契約者が所有している車の保有台数が9台以下の場合の契約の事を言います。
つまりノンフリート契約とは、車ごとに保険を契約することを指します。そのため個人で自動車保険を契約する場合は、ノンフリート契約となります。
フリート契約とノンフリート契約では、保険料の割引率が異なることは先ほども説明しました。ノンフリート契約では、契約者の安全運転度に応じて等級が定められています。
等級が高いほど保険料の割引率は高くなり、割安で任意保険に加入することができます。
③ミニフリート契約
最後は、ミニフリート契約について解説していきます。ミニフリート契約とは、一部の保険会社が用意している契約方法で、2台~9台の車を保有している場合の契約です。
10代以上まとめて契約する場合は、フリート契約となります。そのためノンフリート契約で複数台まとめて契約する場合をミニフリート契約といます。
ミニフリート契約には、保険会社によって条件を満たせば車の台数に応じた割引を受ける事ができます。この割引を保険会社によっては「ミニフリート割引」「複数台割引」「ノンフリート多数割引」などとなっていることがあります。
ミニフリート契約についてもほけんROOMのフリート契約について解説している記事に詳しい内容が載っているので気になる方は、そちらをご覧ください。
法人向け自動車保険の相場はいくら?
法人向けの自動車保険の保険料は割高になる傾向があると言われています。そのため既に法人向けの自動車保険に加入している企業の方は保険料が負担だと感じている方も多いのではないでしょうか?
ではなぜ保険料が割高になるのでしょうか?それは社用車は運転をする人が限定されていないからです。各従業員により、車を運転する頻度や事故の経験の有無などを明確に特定することができないため、法人として自動車保険を契約すると割高になってしまいます。
法人向けの自動車保険の保険料は、等級や車種、走行距離などにより異なるため相場を示すことが難しくなっています。そのため具体的に知りたい方は保険会社や専門家に問い合わせることをおすすめします。
専門家に問い合わせることを希望する方は「マネーキャリア」をおすすめします。「マネーキャリア」とは、法人保険や事業のリスク対策に詳しい専門家が、事業のリスクを理解した上で適切な法人保険の提案までしてくれるサービスです。
相談をしたからと言って無理に保険の加入を勧めることはありません。その証拠に実際に相談した93%の方々に大変満足していただいています。
些細なことでも相談したいことがある方は、以下から相談の申し込みをしてください。
法人向けの自動車保険の保険料(一例)
先ほども解説したように法人向けの自動車保険では、保険料の相場を示すことが困難です。そこでここでは、法人向けの自動車保険の保険料を一例として紹介します。以下のように保険料は等級や車種、補償内容や走行距離など、複数の条件によって決定されます。
以下が具体例になります。
車種・等級 | クラウン 16等級 (事故有係数適用期間0年) | プロボックス 20等級 (事故有係数適用期間0年) |
---|---|---|
車両保険金額 | 600万円 | 160万円 |
走行距離 | 年間5,000-10,000km以下 | 年間10,000-15,000km以下 |
一括払の場合 | 55,340円 | 58,470円 |
月払の場合 | 4,980円 | 5,260円 |
※割引が適応されて上記の保険料となっています。
法人向け自動車保険のデメリット【注意点】
さてここまで法人向けの自動車保険の特徴などを説明してきましたが、法人向けの自動車保険にもデメリットはあります。加入を検討している方はこちらのデメリットと、メリットをご覧になってから判断してみてください。
法人向けの自動車保険には以下のようなデメリットがあります。
- 保険料が高額
- 1台の事故の影響が大きい
①割引などを考慮しないと保険料が高い
基本的に、個人、法人に関係なく自動車保険は
- 事故の有無
- 申し込み手段
- 早期の申し込み
- 自動車保険で補償を受けられるのが「全従業員」など、不特定多数に及ぶため
- 補償内容が個人のものより充実しているため
②1台の事故によってすべての保険契約車両の等級が下がる
まずは「等級」について軽く説明しておきましょう。
個人保険の場合、この等級は
- 新規契約時は6等級からスタート
- 無事故であれば1等級アップ(7等級であれば8等級へ)
- 事故を起こせば3等級ダウン(7等級であれば4等級へ)
法人向け自動車保険のメリット
ここからは、法人向けの自動車保険のメリットについて解説していきます。
法人向け自動車保険のメリットとして
- 法人税が節約できる
- 個人向け保険から等級継承が可能
- フリート契約によって大幅割引ができる
- 法人向けにしかない特約の存在
- 社員が変わっても契約に影響がない
①法人税の課税対象の軽減が可能に
法人向け自動車保険の保険料は「損金」として計上されます。
少しニュアンスは異なるのですが、平たく言うのであれば必要経費のようなものです。
その必要経費のなかで「法人税の算出時に、収益金から差し引くことが可能なお金」が損金となります。
このように税務処理することで課税対象となる金額が少なくなるため、法人税対策につながるのです。
一般的に、自動車保険の保険料は企業の規模が大きくなるほど高額になります。
つまりその分損金に計上できる金額も大きくなり、効果が期待できるでしょう。
大企業では特に、見かけの保険料は高額ですが、結果的にはお得なのも法人保険であると言えます。
②個人向け保険の等級継承ができる
これは個人事業主の方に特に知っておいて欲しい項目です。
個人で事業をしていて、個人向きの自動車保険に加入しているということもありますよね。
その個人の事業をそのままに法人化するとしましょう。
その場合、
- 法人成りする以前から同じ車両を所有している
- 法人を設立する以前から自動車保険に加入している
- 個人事業主であった
- 法人化後も、個人のときと同じ業務を引き継いで行う
- 保険を法人契約へ切り替えるタイミングは、法人成りしたときのみ
③フリート契約で割引率が大きい
規模の大きな企業となると、所有する車両台数が10台を超えることも多いですよね。
そんな企業はフリート契約という形態が適用されます。
詳しくは後述しますが、全車両をまとめて契約するというものです。
先に申しておくと、デメリットの項で「1台の事故がすべてに影響を及ぼす」とされた契約形態となります。
マイナスイメージかもしれませんが、このフリート契約は保険料を抑えるのに有効です。
割引率が大きく、その数なんと最大にして70〜80%。
さらに新たに社用車を増加させた場合には割引率が上がります。
ただデメリットがあるだけというわけではないのです。
④法人向け自動車保険限定の特約がある
この記事の序盤のほうで、特約やサービスなどを列挙しました。
業種に合わせて展開されているものもあり、かなりバラエティに富んでいることがご理解いただけたのではないかと思います。
そのなかでも、個人向けにはないものが
- 企業・団体見舞費用特約
- 搭乗者傷害事業主費用特約
- 法人他車運転特約
- リースカーの車両費用特約
- 対人賠償使用人災害特約
- 受託貨物賠償責任特約
⑤社員が変更しても契約を更新する必要がない
企業は当然のことながら、入社する人もいれば退社する人もと人員の入れ替わりが激しくなっています。
このように従業員が変更されても、契約における手続きの変更は必要ありません。
ただし、被保険者を代表取締役の名前など個人名義にしてしまうと、従業員が入れ替わるたびに更新する必要が生じます。
そのため1台の車を複数の従業員で運転するような場合は、法人名義にしておくのが無難でしょう。
法人向けの自動車保険の加入条件
ここからは法人向けの自動車保険に加入する際の条件について解説していきます。
法人として自動車保険を契約する場合は以下の3つを全て法人として契約する必要があります。
対象 | |
---|---|
契約者 | 保険の加入者 |
記名被保険者 | 最も車を運転する人(法人) |
車両所有者 | 車検証に記載のある所有者名(または使用者名) |
これら全てが法人として契約していなければ、法人契約とはなりません。法人として自動車保険を契約することについて詳しい内容を知りたい方は、以下からご覧ください。

法人向けの自動車保険においてよくある質問
ここからは、法人向けの自動車保険でよく寄せられる質問について回答していきたいと思います。こちらの記事で回答していく質問は以下になります。
- 自動車保険の個人から法人、法人から個人の切り替えについて
- 法人名義の車で1日限りのちょいのり保険(1day保険)に個人で加入できる?
- 通販型だと法人の自動車保険はない可能性が高い
①自動車保険の個人から法人、法人から個人の切り替えについて
一例ですが、
- 個人事業主から法人成りした
- 法人であったが個人で事業をすることにした
- 新しく設立された法人である
- 個人事業主として同じ事業を行った
- 法人を設立した段階で自動車保険に加入している
②法人名義の車で1日限りのちょいのり保険(1day保険)に個人で加入できる?
自動車保険の「ちょい乗り保険(1day保険)」をご存知ですか?
他人(友人や家族など)の車運転において1日に限り補償されるという自動車保険です。
この保険に法人名義の車を登録して個人で加入することは可能か、結論を言うとできません。原則として法人名義の車は対象外となります。
しかしある一定の条件を法人名義の車が満たしていた場合、1day保険への加入が認められることがあるのです。
この条件などその他詳しい情報は、ほけんROOM内の以下の記事にて記載されています。
③通販型だと法人の自動車保険はない可能性が高い
「通販型保険」、テレビCMでも耳にする機会が多いワードではないでしょうか。
しかしこの通販型では、法人向けの取り扱いがそもそも少ないという面も。
まず通販型と代理店型では、
通販型 | 代理店型 | |
---|---|---|
加入手段 | ネットや電話など。 | 保険代理店を経由。 |
契約の仕方 | 保険会社と直接契約。 | 間接的な契約。 |
保険料 | 直接契約のため安い。 | 代理店を仲介するため高い。 |
補償内容に関して | 自分で調べる。 質問することも可能。 | 代理店の担当者と相談できる。 |
大きな違いとして以上のものが挙げられるようです。
やはり保険料の部分では通販型の方が魅力的に感じられます。
法人向け自動車保険のまとめ
法人向けの自動車保険に関する全般を解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
今回の記事のポイントは、以下になります。
- 法人向け自動車保険は、業務に関する自動車の運転における過失に備えられる
- 基本的な補償内容は、対人賠償責任・対物賠償責任・人身障害・車両の損害の4つ
- 法人契約にもいくつか条件がある
- 法人と個人の違いは、契約名義と補償範囲にある
- 補償内容と保険料に着目して商品を比較することがおすすめ
- 法人契約のデメリットは、純粋な保険料が高額・1台の事故が全車両に影響する可能性があるなど
- 一方のメリットは、節税できる・個人契約から等級継承が可能・フリート契約によって大幅割引・法人向け限定の特約・社員が変わっても契約に影響がないなど