法人契約の自転車保険とは?補償内容と加入が必要な理由などを解説!

最近の自転車事故では高額な賠償請求が発生しています。もし業務中に自転車事故が起きた場合には個人の自転車保険では対応が厳しくなりますが、法人保険に加入することで高額請求に対応できるかもしれません。また、法人の自転車保険や事例やTSマークについても解説します。

内容をまとめると

  • 業務中の自転車事故は雇用主に責任がある
  • 通勤と休憩中は法人の自転車保険で補償されない
  • 自転車事故では高額賠償になるケースも多い
  • TSマークの保険は従業員も対象になる
  • 法人向けの保険について、「どれを選べば良いかわからない」「無駄のない最適な保険を全ての保険の中から比較したい」と思ったらマネーキャリアの利用がおすすめ!
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業務中の自転車事故は誰が責任を負うの?


営業先に向かう際や配達など、業務中に自転車を使用する法人も多いと思います。


業務中の自転車事故の責任は誰が負う必要があるのか、賠償対策をどうすればいいのか心配な方もいるかもしれません。


業務中の自転車事故は法人の自転車保険で補償できますが、通勤中の事故は補償対象外です。


しかし、法人の自転車保険について詳しく知らない、あるいは誤った知識を持ったままでいいのでしょうか?


そこで、この記事では「法人の自転車保険」について

  • 業務中の自転車事故の責任の所在
  • 法人向け自転車保険が注目されている理由
  • 実際に起きた自転車事故の高額賠償例
  • 法人向け自転車保険のメリット・デメリット
  • TSマークの保険について
  • 法人向け自転車保険の加入方法
以上を中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、法人の自転車保険に関しての必要性などが詳しくわかり、加入の検討にも役に立つと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

業務中の自転車事故は事業主に責任があります

従業員が業務中に起こした自転車事故は、事業主に責任が問われます。


つまり、法人の自転車保険に加入していない場合、賠償金を全額負担する事になり多大な出費になるケースがあります。


そのため、法人の保険で自転車事故を補償する「施設所有管理者賠償保険」「事業活動総合保険」などの加入の検討が必要になってきます。


ただし、業務の拘束時間中でも法人の自転車保険で補償することができない場合もあり、正しく把握して身につけないと従業員や被害者を守ることはできません。


そこで、法人の自転車保険を検討するうえで重要になる


  • 個人の自転車保険で業務中の補償ができるのか
  • 法人保険の補償に含まれない例
  • 法人の自転車保険の加入を義務化する地域

について説明します。

1つずつ確認していきましょう。

個人の自転車保険では業務中の補償はできない

業務中の自転車事故は、個人で加入している自転車保険では補償できません。


つまり、個人で自転車保険に加入している方に自転車業務を任せている場合は、個人の自転車保険では補償されないので注意が必要です。


そのため、業務中の買い出しや外回りなどで自転車を使用している場合は、法人の自転車保険に加入することをオススメします。

通勤と休憩中に起きた自転車事故は法人保険の補償に含まれない

業務中の自転車事故を補償する法人の自転車保険ですが、以下の場合は補償されませんのでご注意下さい。


  • 通勤中に起きた自転車事故
  • 休憩中に起きた自転車事故

通勤時や休憩時の自転車事故は業務時間外のため、法人の自転車保険では補償されないのです。

通勤中や休憩中に発生した自転車事故を補償できるのは「個人賠償責任保険」などの個人契約の自転車保険になります。

実際、資料によれば、自転車事故の発生は通勤時間帯である朝と夕方に多いため、通勤時や休憩中に自転車を使用する従業員がいる場合、「個人賠償責任保険」などの個人で加入する自転車事故を補償する保険を勧めてみるのも従業員を守ることになります。(参照:警視庁


なぜ法人向けの自転車保険が注目されているの?

最近はロードバイクや電動自転車など、速く走る自転車で通勤している人を見かけることが増えてきました。


また、経費節約やイメージのアップを図るために自転車を使って荷物を届けに行ったり、営業先に出向いたりなどする企業が増えていますよね。


従業員が自転車に乗る機会が増えた分だけ、自転車事故のリスクも増えるため、万が一に備えることの重要性が高まってきました。


しかしこれまでお伝えしたように、業務中の自転車事故は従業員個人が加入している自転車保険では補償されません


そこで役立つのが法人向けの自転車保険です。すでに加入している企業や、加入を検討している事業者はどういったことに注目しているのでしょうか。

理由①:自転車事故による高額な賠償請求が発生

平成20年に起きた自転車事故では、9500万円の賠償責任が発生しています。


事故の詳細は、加害者である11歳の少年が帰宅途中マウンテンバイクで時速20~30キロで坂道を下り、散歩していた女性に正面衝突。


女性は一命を取り留めましたが、長い間意識が戻らなくなりました。


賠償金9500万円の内訳は以下になります。


  1. 将来の介護費約3940万円
  2. 事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円
  3. ケガの後遺症に対する慰謝料2800万円

介護費は女性の介護費を1日に8千円とし、女性の平均余命と掛け合わせ算出。

逸失利益は、専業主婦の女性が月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られないとして計算。

さらに女性の意識が戻らないままなので慰謝料が高額になり、9500万円となりました。

自転車事故による高額賠償事例はこれだけではありません。

  • 平成17年、夜間に女子高生が携帯電話を操作しながら無灯火で走行し女性に衝突。女性には重大な障害が残り、加害者女性に5000万円の支払いを命じる
  • 平成19年、信号表示を無視した加害者の男性が、青信号で横断歩道を横断中の女性に衝突。女性は死亡し、東京地裁は加害者の男性に5438万円の支払いを命じる
  • 平成20年、出勤途中の女性が左折しようとし、直進していた自営業の女性と衝突。自営業の女性は股関節骨折等の重傷を負い、加害者女性に1300万円の支払いを命じる

上記の事例のような高額賠償事故が多数起きています。

理由②:自転車保険の加入を義務化している地域が出てきている

自転車の運転は車の運転と違って、危険に対する危機感が薄れがちですよね。慎重に運転していたとしても事故を起こすかもしれません。


場合によっては、相手に後遺症の残る大きなケガを負わせてしまったり、死なせてしまったりすることも考えられます。


深刻な事故となってしまった場合には賠償金も高額になるため、被害者だけでなく加害者にとっても大きな負担であることから、自転車保険の加入を義務化している地域も出てきました。


平成7年に初めて兵庫県が義務化の条例を制定して以降、義務化が重要視されるようになり今(令和2年4月現在)では、15都道府県・8政令都市で制定されています。(国土交通省)


義務化だけでなく努力義務としている地域もあります。努力義務としている地域でも段階的に努力義務へと変更していくようなので、今後多くの企業での加入が増えるでしょう。

法人向け自転車保険に加入するメリット・デメリット

仕事で自転車を使っていると、必ずしも事故に巻き込まれないとは限りませんよね。


上記のように業務中の事故は事業者の責任なので、「社員のために自転車保険に入ったほうがいいのか」と悩む方もいるのではないでしょうか。


ここでは、

  • 法人向け自転車保険のメリット
  • 法人向け自転車保険のデメリット

この2点を分かりやすくご紹介していきます。


保険にはメリットだけでなく、デメリットもあります。どちらも知った上で、入っておいたほうがよいのかを検討しましょう。

法人向け自転車保険のメリット

自転車の場合は危険が少ないように思ってしまうため、法人向けの自転車保険は入ったほうがよいのか悩む方が多いです。


では、法人向け自転車保険に入っておくと、どんなときによいのか見ていきましょう。


加入するとよいところは、

  • 社員が事故を起こしたときに、被害者に賠償金を払うことができる
  • 自動車との事故にあったとき、加害者から治療費などを受け取れる
  • 車を傷つけてしまった場合でも、高額な修理費用も出せる
です。

自転車を運転していると、自転車同士、歩行者などと接触してしまう事故が起こる可能性があります。

社員が事故を起こした側になったとき、入っていると相手の方に治療費慰謝料などが高額になっても保険金が出るので安心できます。

自転車の運転中に、自動車と事故が起こることもありますよね。

自動車と事故に遭った場合は相手から支払いを受けることができますが、法人向けの自動車保険に入っていないと納得のいく支払いを受けられないケースもあります。

その点、入っていれば傷害補償も充実しています。

法人向け自転車保険のデメリット

法人向けの自転車保険を扱っている会社がまだまだ少なく、たくさんある中から自由に選ぶのが難しいようです。


では、ほかにもデメリットがあるのでしょうか。


デメリットといわれているのは、

  • 自転車が盗難にあっても補償されない
  • 従業員が高齢だと、保険に加入できないことがある
  • すでに入っている保険の特約とかぶる可能性がある
  • 同居している親族に関しては、業務中であっても保険料の支払いはできない
です。

自転車が盗まれるトラブルは、残念ながらまだまだ多いです。しかし、法人向けのものは盗難に対しての補償がされないのがほとんどです。

また、年齢制限がある保険もあり、65歳以下でないと入れないものもあるので注意しましょう。

ほかにも、法人向け自動車保険火災保険などに自転車の事故にも対応しているものをオプションでつけている場合もあります。

そうなると重複して加入することになるので、確認してから入るのが大切です。

TSマークの保険とは     

TSマークの保険とは自転車の保険で、自転車安全整備士が点検確認した普通自転車に貼付されます。


TSマークの保険は自転車に付帯しますので、法人で契約をしている場合は、自転車を使用するすべての従業員に保険が付きます。


TSマークの保険には傷害保険賠償責任保険が付いており、TSマークの保険に加入するには、自転車安全整備店で有料の自転車の点検整備を受けて、TSマークを貼付して貰う必要があります。


その際に自転車安全整備店から「TSマーク付帯保険加入書」が渡されますので、1年間保管して下さい。


TSマークの保険の有効期間は、貼付したTSマークに記載されている日から1年間で、再度点検整備を受けると更新されます。


 TSマークには青色マーク赤色マークの2種類があり、ここからはそれぞれの特徴について説明していきます。

青色TSマークの賠償責任補償は1000万円

青色TSマークの補償内容は以下です。


  • 賠償責任補償:死亡、重度後遺障害(1~7級)限度額1000万円
  • 傷害補償:死亡、重度後遺障害(1~4級)30万円
  • 傷害補償:入院15日以上 1万円

加入には点検整備の料金を支払う必要があります。

赤色TSマークの賠償責任補償は1憶円

赤色TSマークの補償内容は以下です。


  • 賠償責任補償:死亡、重度後遺障害(1~7級)限度額1億円
  • 傷害補償:死亡、重度後遺障害(1~4級)100万円
  • 傷害補償:入院15日以上 10万円

加入には点検整備の料金を支払う必要があります。

見ての通り、赤色TSマークは青色TSマークよりも保障が厚くなっています。

賠償には最低限1億円必要という考え方から、自転車通勤者に赤色TSマークを義務化する法人も増えています。

参考:法人向け自転車保険の加入方法

入りたいと思っても、どのようにして入ればよいのか分からない方もいますよね。


「会社のために入りたいけれど、どうやって申し込みすればいいか分からない」「周りに入っている人が少なく、入り方を教えてもらえない」と悩んでいる方もいるようです。


入りたい方は、

  • 自転車を買ったお店で申し込む
  • インターネットで検索して加入する
この2つの方法があります。

自転車を買ったついでに保険の申し込みをすると手続きがスムーズです。

自転車をすでに使っている場合は、購入したお店で自転車の点検や整備をしてもらった後に申し込むのが一般的です。

自転車の点検や整備は時間もかからないものなので、気軽にお店に問い合わせてみましょう。

また、最近ではインターネットで色々な保険に入れますが、法人向け自転車保険についてもネットで申し込むことができます。

インターネットで入る場合は、慎重に内容などを確認して入りましょう。

まとめ:法人の自転車保険加入で自転車事故にも対応しよう

法人の自転車保険の基本的知識について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 業務中の自転車事故は雇用主に責任がある
  • 通勤と休憩中は法人の自転車保険で補償されない
  • 自転車事故では高額賠償になるケースも多い
  • TSマークの保険は従業員も対象になる
です。

昨今、自転車保険の重要性が見直されてきています。

無保険状態で業務中に自転車を使用するのは、大きな損失に繋がる可能性がある危険な行為です。

数千万円規模の高額賠償事故は、どこで発生してもおかしくありません。

高額賠償に対処するためにも、法人の自転車保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい法人保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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