
更新日:2023/09/28
テナント保険とは?保険料や火災保険との比較など徹底解説!!

オフィスなどの目的でテナントを借りる際「火災保険」への加入が必須となりますが、実は「テナント保険」というより補償が充実した保険へ加入することも可能です。今回はその「テナント保険」の補償内容や加入することで対応できるリスクなどについて取り上げます。
内容をまとめると
- テナント保険は火災や浸水などに伴う設備費用や第三者への賠償金を補償してくれる
- テナント保険は火災、水漏れや浸水、落雷や雪害、盗難などの事故に対応できる
- テナント保険の保険料は、リスクが高い業種ほど保険料が高くなる
- テナント保険は火災保険よりも補償範囲が広く、柔軟性がある
- 貸主が指定した保険以外の火災保険やテナント保険に加入することは可能
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
テナント保険とは?
テナント保険は、店舗経営者にとって重要な法人保険であり、万が一の事故や災害に備えるために検討することが重要です。テナント保険とは、借りている店舗や事務所に関連するリスクや損害に対して保護を提供する法人保険です。
火災や盗難、水害、賠償責任などが含まれ、店舗内の建物や備品だけでなく、事業主の財産や利益を守る役割も果たします。補償内容や保険料の相場についてはこの後詳しく解説していきます。
今回こちらの記事では以下の点について取り上げていきます。
- テナント保険は何を補償してくれる?
- テナント保険はどのような事故に対応できる?
- テナント保険の保険料はどれくらい?
- 火災保険や賠償責任保険との違いは?
- 貸主が指定した火災保険やテナント保険しか選べない?
テナント保険の補償内容
単に「テナント」というとかなり言葉の意味が広いですが、それはいわばビルに入っている事務所だけでなく、デパートや駅構内などに入っている販売店や飲食店なども含まれています。
それはいわば企業単位で賃貸契約を行い、家賃(テナント料)を支払うことで家(場所)を借りていることになりますが、もしそのテナントが火災を起こしてしまったら、被害は自分のところだけでなく甚大な被害額になる可能性もあります。
そういった「万が一のため」のリスクに備えられるのが「テナント保険」なのですが、加入することで具体的にどのような補償を受けられるのでしょうか。
これから、
- 設備什器等補償
- 費用補償
- 借家人賠償責任補償
- 施設賠償責任補償
①設備什器等補償
事故のなかでも「火災」や「爆発」、「浸水」などの事故については想像しやすいでしょう。
店舗で火災が起きて燃え広がった場合、おそらく最も被害を受けるのが店舗の設備や什器、その他様々な機器が被害を受け、使い物にならなくなってしまいます。
また、火を消すために消火活動が行われますが、消火に用いられた水で水浸しになり、それで備品類が壊れてしまうかもしれません。
被害は自分たちだけでなく、第三者にまで被害が広がる可能性は十分にあります。
その場合も限度額まで補償してくれますし、第三者に対しての賠償責任も補償されます。
火を扱う飲食店が加入することでのメリットは特に高いです。
②費用補償
火災や爆発、その他起こりうる災害によりテナントが受ける被害は、設備や什器などに関することだけではありません。
たとえば火災でオフィスが使い物にならなくなったら一時的に他のオフィスを探さなければなりませんし、そこまで大きな火災にならなくても設備品の修理や買い替えが必要になるかもしれません。
テナント保険に加入していると、そのような直接的被害で発生する以外の費用も補償してくれます。
では、具体的にどのような費用を補償してくれるのでしょうか。
ある保険会社が提供するテナント保険では、
- 災害見舞保険金:事故前の状態に復旧するための費用などを補償
- 仮事務所手配費用保険金:一時的に他の物件を借りるための費用を補償
- 修理費用保険金:貸主の被害により設備の修理を行った分の費用などを補償
- 失火見舞費用保険金:同じ物件にある他の動産に被害を与えた場合の見舞金などを補償
- 残存物取片付費用保険金:事故により発生した残存物を片付けるための費用を補償
- 損害防止費用保険金:被害の拡大を防ぐために用いられた消化器などの費用を補償
③借家人賠償責任補償
3つ目の補償事項は、借家人(貸主)に対する責任補償です。
たとえばテナントで入っている一つのオフィス火事が原因で建物が全焼してしまった場合などは、保険に加入していたとしても借家人に対する法的責任自体がなくなるわけではありません。
火事を起こした当事者側には、当然ながら損害賠償を行う義務があり、被害相応の賠償金を支払う必要があります。
そのような場合にテナント保険に加入していれば、「借家人賠償責任保険」によって保険金が支払われ、賠償費用が賄えます。
これには火災だけでなく、爆発や破裂などによる事故、漏水や消火活動に伴う放水で発生した被害も含まれます。
ただし、原因がそれ以外の事故である場合や、借主による故意の事故と認められる場合はこの補償対象とはならない場合があります。
④施設賠償責任補償
起こりうる事故例には、被害者が施設の利用者、いわば一般客である可能性もあります。
たとえば設備の不備により本棚が倒れ利用者にケガを負わせてしまったり、従業員が熱い飲食物を利用客にこぼして、やけどを負わせてしまうかもしれません。
そういった施設利用にかかわる事故の場合も店舗側が第三者に対して法的な責任を負い、賠償金を支払う必要がありますが、テナント保険に加入していれば「施設賠償責任保険」により、そのような事態でも補償対象となるため、保険金が支払われます。
借家人だけでなく、第三者に対する責任も補償してくれるというのは安心できますね。
テナントなどの小売店舗のリスクマップ
上記ではテナントを用いて事業をする際のリスクをマップに表したものです。
この後に事例を紹介しますが、テナントを用いての事業にも様々なリスクがあります。今回紹介している、「テナント保険」ではカバーしきれないリスクがあることがこちらのマップから分かると思います。
そこで、自社が潜在的に抱えているリスクはどのようなリスクなのかを詳しく知りたいという方がいるでしょう。そんな方々には、「マネーキャリア」をおすすめします。
「マネーキャリア」では、保険やリスクに関する相談を専門家と相談することができるサービスです。相談は満足のいくまで何度でも相談でき、相談を実際にした93%の方々に大変満足していただいています。
最近では、保険の補償漏れでもしもの事が起こった際に保険が適応できなかったという事例が出てきています。そうならないようにも一度相談することをおすすめします。
対象となる具体的な事故例
テナント保険の対象となる、どのような事故が考えられるでしょうか。
まずリスクが高い事故として考えられるのが「火災」です。
ビル火災事故は珍しいことではありませんが、たとえばビルのうち燃えたのが1室だけで消火活動事態はその部屋だけで良かったものの、放水により他の部屋も水浸しになったり、設備が被害を受けたような場合に、補償の対象となります。
その場合対象となる補償と保険金の一例を挙げると、
- 設備・什器等補償:2,500,000円
- 災害見舞保険金:750,000円
- 残存物取片付費用費用保険金:250,000円
金額はこのようになります。
次に挙げる事例は「盗難」です。
たとえばテナントとして入っているオフィスに泥棒が入り、現金やパソコン、プリンターなどの備品が盗難に遭ったような場合も、実はテナント保険の補償対象です。
その場合どのような補償がなされるのか一例を挙げると、
- 現金:200,000円
- パソコン:100,000円
- 設備修理費:8,000円
テナント保険の加入をする際に必ず必要な補償
テナント保険に加入する際、どんな補償があればあらゆるリスクに対応できるでしょうか。
代表的な保険と言われるものは、以下の6つ。
- 修理費用保険
- 施設賠償責任保険
- 生産物賠償責任保険
- 食中毒見舞保険金
- 受託物賠償責任の補償
- 人格権侵害賠償責任の補償
火災や漏水などの被害に備えることは、誰しもが思いつくでしょう。
しかし、テナント店舗はさらに幅広くリスクに備える必要があリます。
例えば、飲食店による食中毒。
被害に合われた方々への賠償金が必要になります。
このような状況に活用できるのが「生産物賠償責任保険」です。
店舗側には「食中毒見舞保険金」が支払われ、営業停止中の資金を補償してくれます。
また、テナント内の管理不備によって、お客様に精神的ショックを与えてしまった場合。
こうしたお客様への損害賠償においては「人格権侵害賠償責任の補償」を活用できます。
どんなテナントも「絶対に安全」「絶対に大丈夫」という保障はありません。
あらゆるリスクに備えることが、テナントを借りる際に最も大切なことと言えるでしょう。
自分で保険の内容や保険会社を検討する際のポイント
テナントの契約時、不動産から進めれた保険に入る必要があると思われる方も多いのでは?実は、加入する保険や補償内容は自分自身で選ぶことができます。
しかし、「自分で保険を選ぶのは心配」と思われる方も多いはず。
そこでここからは、保険会社を検討する際に意識したい、3つのポイントをご紹介します。
- 貸主指定の補償内容を確認する
- 複数の保険会社で見積もりをとる
- 見積もりを持って貸主に交渉する
テナント保険を選ぶときのポイント①貸主指定の保険内容を確認する
まずは、不動産や借主から指定された保険内容をしっかり確認しましょう。
不動産が指定の保険を勧めるのは、紹介料を取りたいからです。
提携した保険会社に契約してもらえれば、不動産に利益がでる仕組みです。
つまり、補償内容はあなたのテナントに最適なプランでない可能性があります。
指定された保険内容を確認するポイントは4つです。
- 保険料はいくらか
- 保険期間はどのくらいか
- どこまでのリスクに対応してくれる内容か
- 指定の保険で補償されないリスクは何か
指定の保険内容で「補償されない内容」は必ずチェックしましょう。
保険に加入しても、もしもの時にリスクに対応できない補償対内容では意味がありません。
テナント保険を選ぶときのポイント②様々な保険会社で見積もりをする
自分で保険を選ぶ際は、複数の会社の見積もりを比較することが大切です。
比較することで、どの保険会社が最適か答えが出しやすくなりますよ。
指定の保険と同じく、
- 保険料
- 保険期間
- 保険の補償内容
- その保険で補償されない内容
また、テナント保険以外に「火災保険」単体の見積もりを依頼すると便利です。
不動産や借主に指定された火災保険との差額が提示できるので、交渉材料として役立ちます。
指定された保険は手数料が上乗せされているため、保険会社との保険料の差は一目瞭然のはず。
自分に最適な保険を見つけるためだけでなく、自分に有利な契約に進められるよう万全の準備でのぞみましょう!
テナント保険を選ぶときのポイント③見積もりを持って貸主に交渉する
指定の保険加入が入居条件の場合、他社の見積もりを持って借主に交渉しましょう。
手数料が上乗せされた保険料と、他社の保険料の差は一目瞭然なので、うまくいけば条件の変更や保険料を見直してくれる場合も。
指定の保険に加入せざるおえない場合は、補償内容は必ず見直しましょう。
補償プランを下げることができれば、保険料が安くなる可能性があります。
保険料が安くなれば、浮いた分をテナント保険料に当てることができますよ!
見積もりがあれば、粘り強く交渉できます。
テナントを借りてお店や事業を行うにあたり、保険の加入はかかせません。
保険はいざという時に手を差し伸べてくれる存在です。
後から後悔しないためにも、保険選びは粘り強く慎重に進めていきましょう!
保険料の相場は?テナント保険の具体的な契約例
ここまではテナント保険の詳細について紹介してきましたが、加入すると実際にどのくらいの保険料がかかるのでしょうか。
次からは5つの事例ごとに、保険料がどれくらいかかるのかをある保険会社が用意しているシミュレーションを用いて見ていきましょう。
まず理解していただきたいことは、法人向けの提供してる保険の保険料は一律ではありません。事業の規模、売上高、補償対象など様々な要素により保険料は決定されます。そのため相場を示すことが難しくなっています。
自社がテナント保険に加入する場合の保険料を知りたい方は、「マネーキャリア」をご利用ください。
法人保険に詳しい専門家が事業内容等を理解した上で保険料を提示してくれます。また既にテナント保険に加入している方も保険料が今よりも割安になる可能性があるので、保険の見直しをおすすめします。
気になる方は以下から相談のお申し込みが可能です。
①アパレル店舗
まずは、アパレル店舗がある保険会社のテナント保険に加入した場合のシミュレーションです。
条件を次のように設定した場合、
- 業態:小売業・衣服・アパレルショップ
- 支払い方法:年払い
- プラン:プラン200(200万円プラン)
- 特約:小売業特約・休業障害補償特約・施設賠償責任保険・借家賠償責任保険
②小規模のオフィス
次は、テナントとして入っている小規模のオフィスが保険を契約した場合のシミュレーションです。
条件を次のように設定すると、
- 業態:会社・一般事務所
- 支払い方法:年払い
- プラン:プラン200(200万円プラン)
- 特約:休業障害補償特約・施設賠償責任保険・借家賠償責任保険
③エステサロン
3番目は、保険加入しようとしているテナントがエステサロンである場合です。
条件を次のように設定すると、
- 業態:理美容・サロン業・エステサロン
- 支払い方法:年払い
- プラン:プラン200(200万円プラン)
- 特約:理美容・サロン業特約・休業損害補償特約・施設賠償責任保険・借家人賠償責任保険
④美容室
次は、テナントが美容室である場合の保険料です。
条件を次のように設定すると、
- 業態:理美容・サロン業・美容室
- 支払い方法:年払い
- プラン:プラン200
- 特約:理美容・サロン業特約・休業損害補償特約・施設賠償責任保険・借家人賠償責任保険
⑤韓国料理店
最後に取り上げるのは、韓国料理店がテナント保険に加入する場合です。
条件を次のように設定すると、
- 業態:飲食業・外国料理・韓国料理
- 支払い方法:年払い
- プラン:プラン200(200万円プラン)
- 特約:飲食業特約・休業障害補償特約・施設賠償責任保険・借家人賠償責任保険
火災保険や賠償責任保険とは違うの?
ここまで読んで、「火災保険ではだめなのか?」と思っている方もおられるでしょう。
本来オフィスなどの目的でビルの一室を借りる場合、いわゆる「賃貸物件」なので必ず火災保険に加入するのが必須ですが、「テナント保険」も選択できます。
2つの大きな違いはずばり「補償の範囲」なのですが、どのような内容がテナント保険で補償されるのか、次の簡易表をご覧ください。
補償内容 | 火災保険 | テナント保険 |
---|---|---|
火災 | ◯ | ◯ |
爆発・破裂 | ◯ | ◯ |
水漏れ・浸水 | △ | ◯ |
台風・防風 | ◯ | ◯ |
落雷 | ◯ | ◯ |
地震・津波 | ✕ | ✕ |
雪害 | △ | ◯ |
飛来・落下物 | ◯ | ◯ |
盗難・損壊等 | △ | ◯ |
これはあくまで補償の一例であり補償内容は保険によって異なりますが、一般的にこのようにテナント保険は火災保険よりも範囲が広くなっています。
特約を付帯すれば多様なリスクに追加で対応できます。
ただし、どちらの場合も地震が原因である場合は対象外となってしまうので、専用の地震保険に別途加入する必要があります。
また、「賠償責任保険」も比較例として挙げられますが、その名のとおり賠償責任がメインとなりますので、自己が負った損害はカバーできません。
参考:貸主指定の保険しか加入できない?不動産会社と保険会社の関係
貸主指定の保険のみ選べると思っている方は少なくありません。
そもそも契約時に「指定保険への加入が」必須条件のように提示されていることがあります。
また、指定保険は「提携先」でもあるため、貸主や管理会社にいくらかお金が入ります。
しかし実際のところ、指定された保険以外でも加入は可能で、貸主は強制ができませんので、指定された保険以外のテナント保険を選ぶことは可能です。
ただし、貸主の条件に保険が対応できているかどうか相談する必要がありますので、まずは貸主に相談してみましょう。
テナント保険に関するまとめ
今回はテナント保険について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- テナント保険は火災や浸水などに伴う設備費用や第三者への賠償金を補償してくれる
- テナント保険は火災、水漏れや浸水、落雷や雪害、盗難などの事故に対応できる
- テナント保険の保険料は、リスクが高い業種ほど保険料が高くなる
- テナント保険は火災保険よりも補償範囲が広く、柔軟性がある
- 貸主が指定した保険以外の火災保険やテナント保険に加入することは可能