更新日:2023/09/28
リコール保険とはどんな法人保険?PL保険との違いや保険料を徹底解説
リコール保険とは、事故が起きた際や、起きる可能性がある商品を回収する時に発生した費用を、補償するための法人向けの損害保険です。こちらの記事ではリコール保険の補償内容や保険料、PL保険との違いについてわかりやすく解説しています。
内容をまとめると
- リコール時にかかる回収費用は企業にとっては大きな損害となってしまう
- 保険利用が損害の発生前後でリコール保険かPL保険かどちらが必要か決まる
- 原因によっては補償対象外となる場合もある
- 保険料を決める際には売上高が基準になる
- 加入率は全体で33%程度
- 事業のリスクや保険に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
リコール保険とは?
製造業の方が加入していることの多い保険の一つであるリコール保険。
リコール保険をまず、簡単に説明するとリコールの際に起きた損害に対して支払われる、法人に向けた保険となっています。
後述で詳しく説明しますが、リコールとは製造販売した製品もしくは食品に、不備や異物混入など、正規の商品では無いものに対して、回収などの対応をすることをいいます。
従って、リコールの際に、回収に対してかかった費用や輸送代金など、リコール1度にかかる費用は高額になってしまうのです。
こちらの記事では、リコール保険の補償内容やPL保険との違い、加入率などについて解説していきます。その前に法人保険の全体像について把握したい方は、「法人向けの損害保険について」からご覧いただくか、法人保険の専門家に直接聞くことをおすすめします。
専門家に聞くことを希望する方は、「マネーキャリア」がおすすめです。「マネーキャリア」では法人保険や事業のリスク対策に詳しい専門家が些細なことでも相談に乗ってくれるサービスです。
オンラインでの対応も可能のためどこにいても相談することができます。気になる方は以下から相談のお申し込みをしてください。
リコールってどういう意味?
そもそも「リコール」とはどのような意味なのでしょうか?
由来としては英語の「recall」から来ています。「思い出す」「回収する」などの意味があります。
この「回収する」というところから、欠陥製品を会社が自らの判断で回収することを「リコール」と呼ぶようになりました。
- 自動車のブレーキ構造に不具合が確認された
- 食品に異物の混入が確認された
などの理由でリコールが行われることになります。
最近では2020年12月にニトリが珪藻土バスマットなどを回収していました。
また、2020年6月にはピーチジョンが下着の回収を行っています。
珪藻土バスマットはアスベストが含まれている恐れがあるため、下着はワイヤーが飛び出す恐れがあるため自主回収・返金が行われました。
このように、リコールは製品に欠陥があることが分かった場合に、製造者・販売者が自ら回収などを行うことなのです。
リコール保険の補償内容と事故事例
では、実際にリコール保険とはどのような事態が起きたときに、支払われたのでしょうか?
ここからは、リコール保険が適用された内容を
- 損害が発生した分のリコール費用の補償
- 損害が発生する前のリコール費用の補償
①損害が発生したリコールの費用を補償 (一般的なリコール保険)
損害発生後のリコールに利用できるのは一般的なリコール保険です。
損害が発生した際には、その規模が広がる前に製品を回収する必要が出てきます。
- 自動車でブレーキの不具合が起きた
- 首掛け扇風機のバッテリーから発火事故が起きた
- ポータブル除菌脱臭機のバッテリーから発火事故が起きた
- パンプスのヒールの強度が弱く、折れて転倒する事故が起きた
などの事例があります。事故が起きたことのある商品を回収することで、それ以上被害が出ないようにするのです。
回収の際には「リコール社告」で告知が行われます。製品が危険であることを消費者に知らせるためのものです。
CMなどでも目にすることがあるかと思いますが、一般的な広告と区別するために「リコール社告」と明記することが義務付けられています。
このように、実際に消費者に被害が出てしまったときに行うリコールが対象となるのが「リコール保険」です。この場合、損害が出ていない場合は保障対象外となってしまいます。
②損害が発生していないリコールの費用を補償 (生産物品質保険) ※食品限定!
損害が発生した状態でリコールを行う場合にはリコール保険が利用できます。しかし、損害が発生する前にリコールを行う場合もあるのです。
- 消費期限の印字ミス
- 食品に異物混入の可能性がある
- アレルギー表示の記入漏れ
- 異物混入脅迫があった
などです。
消費者に実害は出ていませんが、食品の場合被害が出てからでは遅いことが多々あります。
食品では生産数も多く、さらに不特定多数の消費者に渡る傾向が強くなります。早めに回収を行わないと被害の範囲が拡大してしまうため、このような保険を利用してリコールを行いやすくするのです。
生産物品質保険ではどちらのタイミングでのリコールも対象となっています。
PL保険との違いは?どうゆう関係性がある?
リコール保険は、PL保険を補う役割がある保険であると言われています。
そもそもPL保険(生産物賠償責任保険)とは、生産物によって消費者が損害を受けた際に、消費者に対して行う損害賠償にかかる費用を補償するものです。
PL保険とリコール保険の違いは、補償対象の違いです。
種類 | 対象 |
---|---|
PL保険 | 損害賠償責任 |
リコール保険 | 回収費用 |
製造・販売した製品によって被害を受けた消費者がいた場合、損害賠償責任が生じます。また、同じような被害を防ぐために、同時にリコールとなる可能性もあるので、リコール保険はPL保険を補う保険と言われているのです。
リコール保険はPL保険を補完する役割があるため、PL保険の特約にあると思っている方がいるかと思います。しかしPL保険にはリコールに関する特約が無いため、必要な場合は、こちらのリコール保険に加入する必要があります。
PL保険については以下の記事で詳しい内容を解説しているので、気になる方はそちらをご覧ください。
補償対象外で保険金が支払われない例
リコール保険では全てのリコールが補償の対象となっているわけではありません。対象外となってしまう例としては、
- 原因が故意・重大な過失によるのもだった
- 有効期限や使用期限の切れた後の事故
- 効能・品質に対するうその表示
- 法令違反
- 自然の消耗・腐敗・さびなど
- 保険開始期以前から原因を知っていた・知り得た場合
などの場合対象外となります。
また、リコール費用がまるまる補償されるわけではなく、免責金額や縮小支払割合などがかけられることがほとんどです。
リコール保険の保険料(掛け金)の決め方と保険期間
リコール保険の保険期間は1年間としている保険会社がほとんどです。そのため、保険料は1年間分で決めることになります。
保険料を決める際に基準となるのは売上高です。さらに対象となる生産物や支払い限度額に応じて設定されます。
そのため法人保険の保険料については一律ではありません。リコール保険も例外ではなく一律ではありません。そのため明確な保険料の相場もありません。そこでリコール保険を含む法人保険の保険料について知りたい方は、「マネーキャリア」の無料相談をご利用ください。相談の申し込みは以下から可能です。
また、過去のリコール実施状況も保険料を左右するポイントになっています。
ある保険を見てみましょう。対象となるのは食品です。
補償内容 | ケース1 | ケース2 |
---|---|---|
年間売上高 | 2億円 | 10億円 |
支払限度額 | 1,000万円 | 1億円 |
免責金額 | 0 | 0 |
在庫品廃棄関連費用 | 200万円 | 1,000万円 |
保険料 | 33,810円 | 267,490円 |
年間売上高が大きい分、保障金額も大きくしておかないとリコールとなってしまった際の損害をカバーすることはできません。補償を大きくする分、保険料も高くなってしまうのです。
法人向けの損害保険:リコール保険の加入率
実際にどれくらいの企業が加入しているのか気になりますよね?
全体の加入率は33%ほどです。(参考:内閣府国民生活局・リコールに関する調査・研究)
売上高ごとでは、
売上高 | 加入率 |
---|---|
500億円未満 | 27.8% |
500億円~2500億円未満 | 30.6% |
2500億円以上 | 39.6% |
大企業では4割近くが加入しています。売上高が高いとその分損害も大きなものとなってしまいますよね。損害が大きい事が予想される会社は高確率でリコールに対して備えを行っていることが分かります。
また、回数が10回以上と多い業種に
- 輸送機器
- 流通サービス
などが挙げられています。多いと思われている食品生産業が入っていないことが意外ですよね。
生産業以外でも可能性があるため、自分の企業に必要なのかどうかをしっかりと見極めるようにしましょう。
まとめ:リコール保険の補償内容やPL保険との違いについて
いかがでしたか?ここではリコール保険をご紹介しました。
この記事は、
- リコール保険は回収費用などを補償してくれる保険
- 一般的なリコール保険が補償するのは損害発生後のリコール
- 損害が発生する前のリコール費用は生産物品質保険でカバーできる
- 原因が故意や重大な過失であった場合など補償されない例もある
- 保険料は売上高が基準
- 加入率は33%程度
についてご紹介しました。
リコールでの損害ををカバーしてくれるため、生産・製造業にとってはかなり重要度の高い保険と言えます。PL保険に加入している事業者の方にとっては必要な法人向けの保険であるでしょう。
また既にリコール保険に加入してる方でも、このタイミングで保険の見直しをすることをおすすめします。保険の見直しをすることで保険料が今よりも割安になることがあったり、補償漏れやダブりが無くなる可能性があります。
このような保険に関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。「マネーキャリア」とは、法人保険や事業のリスクに対する専門家が相談に乗ってくれるサービスです。相談は何度でも無料です。またオンラインにも対応しているのでどこでも相談可能です。
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