
更新日:2021/08/26
リコール保険とは?基礎知識や実際の補償事例を解説【完全ガイド】

法人向けの保険のなかでも、ほぼすべての製造業に必要と言えるのがリコール保険です。このリコール保険に加入すれば、いったいどんなリスクに備えられるのでしょうか?今回はリコール保険の知っておくべき基礎知識を、わかりやすく解説していきます!
- リコール保険を検討している人
- リコール保険の基本的な知識を身につけたい人
- 自社にとって必要な保険を知りたい人
- 製造業
- 食品販売業
- 農業 など

目次を使って気になるところから読みましょう!
リコール保険とは?
製造業の方が加入していることの多い保険の一つであるリコール保険。
リコール保険をまず、簡単に説明するとリコールの際に起きた損害に対して支払われる、法人に向けた保険となっています。
後述で詳しく説明しますが、リコールとは製造販売した製品もしくは食品に、不備や異物混入など、正規の商品では無いものに対して、回収などの対応をすることをいいます。
従って、リコールの際に、回収に対してかかった費用や輸送代金など、リコール1度にかかる費用は高額になってしまうのです。
日本では製造業の割合も多く、業界で働く方であれば、言葉だけでも一度は聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?
リコールってどういう意味?
そもそも「リコール」とはどのような意味なのでしょうか?
由来としては英語の「recall」から来ています。「思い出す」「回収する」などの意味があります。
この「回収する」というところから、欠陥製品を会社が自らの判断で回収することを「リコール」と呼ぶようになりました。
- 自動車のブレーキ構造に不具合が確認された
- 食品に異物の混入が確認された
などの理由でリコールが行われることになります。
最近では2020年12月にニトリが珪藻土バスマットなどを回収していました。
また、2020年6月にはピーチジョンが下着の回収を行っています。
珪藻土バスマットはアスベストが含まれている恐れがあるため、下着はワイヤーが飛び出す恐れがあるため自主回収・返金が行われました。
このように、リコールは製品に欠陥があることが分かった場合に、製造者・販売者が自ら回収などを行うことなのです。
リコール保険の補償内容と事故事例|2パターン
では、実際にリコール保険とはどのような事態が起きたときに、支払われたのでしょうか?
ここからは、リコール保険が適用された内容を
- 損害が発生した分のリコール費用の補償
- 損害が発生する前のリコール費用の補償
①損害が発生したリコールの費用を補償 (一般的なリコール保険)
損害発生後のリコールに利用できるのは一般的なリコール保険です。
損害が発生した際には、その規模が広がる前に製品を回収する必要が出てきます。
- 自動車でブレーキの不具合が起きた
- 首掛け扇風機のバッテリーから発火事故が起きた
- ポータブル除菌脱臭機のバッテリーから発火事故が起きた
- パンプスのヒールの強度が弱く、折れて転倒する事故が起きた
などの事例があります。事故が起きたことのある商品を回収することで、それ以上被害が出ないようにするのです。
回収の際には「リコール社告」で告知が行われます。製品が危険であることを消費者に知らせるためのものです。
CMなどでも目にすることがあるかと思いますが、一般的な広告と区別するために「リコール社告」と明記することが義務付けられています。
このように、実際に消費者に被害が出てしまったときに行うリコールが対象となるのが「リコール保険」です。この場合、損害が出ていない場合は保障対象外となってしまいます。
※PL保険とはどう違う?どうゆう関係性がある?
ご紹介したリコール保険は、一般的には「PL保険」を補う保険と言われています。
PL保険は「生産物賠償責任保険」とも言い、生産物によって消費者が損害を受けた際に、消費者に対して行う損害賠償にかかる費用を補償するものです。
カバーする対象が違い、
種類 | 対象 |
---|---|
PL保険 | 損害賠償責任 |
リコール保険 | 回収費用 |
なかにはPL保険に加入することでリコール保険を特約として付帯することができる場合もあります。しかし、特約の場合補償される条件金額が低い場合や、そもそも特約としてリコール保険が設定されていない場合もあります。
加入するPL保険の状況を見て、特約にするか別の保険として加入するかを決めることになるのです。
②損害が発生していないリコールの費用を補償 (生産物品質保険) ※食品限定!
損害が発生した状態でリコールを行う場合にはリコール保険が利用できます。しかし、損害が発生する前にリコールを行う場合もあるのです。
- 消費期限の印字ミス
- 食品に異物混入の可能性がある
- アレルギー表示の記入漏れ
- 異物混入脅迫があった
などです。
消費者に実害は出ていませんが、食品の場合被害が出てからでは遅いことが多々あります。
食品では生産数も多く、さらに不特定多数の消費者に渡る傾向が強くなります。早めに回収を行わないと被害の範囲が拡大してしまうため、このような保険を利用してリコールを行いやすくするのです。
生産物品質保険ではどちらのタイミングでのリコールも対象となっています。
補償対象外で保険金が支払われない例
リコール保険では全てのリコールが補償の対象となっているわけではありません。対象外となってしまう例としては、
- 原因が故意・重大な過失によるのもだった
- 有効期限や使用期限の切れた後の事故
- 効能・品質に対するうその表示
- 法令違反
- 自然の消耗・腐敗・さびなど
- 保険開始期以前から原因を知っていた・知り得た場合
などの場合対象外となります。
また、リコール費用がまるまる補償されるわけではなく、免責金額や縮小支払割合などがかけられることがほとんどです。
ご自身の法人に必要な保険を検討するならマネーキャリアへ
ものを生産している企業にとってはリコール保険への加入は非常に重要となってきます。しかし、保険料がいくらかかるのか、どのような保障内容にすればいいのか、保険に詳しくない方にとっては選択が難しいですよね。
自身が保険に詳しくなれば、リコール保険の必要性や自分の会社に必要な保険がどれなのか、難なく選ぶことができると思います。しかし、会社を経営している方全てが保険に詳しいわけではありません。
保険について相談をする場所は保険相談です。マネーキャリアでは法人の保険にも詳しいプロが多数在籍しています。法人の方でも保険のことで迷ったらぜひマネーキャリアの保険相談をご利用ください。
保険料(掛け金)の決め方と保険期間
リコール保険の保険期間は1年間としている保険会社がほとんどです。そのため、保険料は1年間分で決めることになります。
保険料を決める際に基準となるのは売上高です。さらに対象となる生産物や支払い限度額に応じて設定されます。
また、過去のリコール実施状況も保険料を左右するポイントになっています。
ある保険を見てみましょう。対象となるのは食品です。
補償内容 | ケース1 | ケース2 |
---|---|---|
年間売上高 | 2億円 | 10億円 |
支払限度額 | 1,000万円 | 1億円 |
免責金額 | 0 | 0 |
在庫品廃棄関連費用 | 200万円 | 1,000万円 |
保険料 | 33,810円 | 267,490円 |
年間売上高が大きい分、保障金額も大きくしておかないとリコールとなってしまった際の損害をカバーすることはできません。補償を大きくする分、保険料も高くなってしまうのです。
リコール保険の加入率
実際にどれくらいの企業が加入しているのか気になりますよね?
全体の加入率は33%ほどです。(参考:内閣府国民生活局・リコールに関する調査・研究)
売上高ごとでは、
売上高 | 加入率 |
---|---|
500億円未満 | 27.8% |
500億円~2500億円未満 | 30.6% |
2500億円以上 | 39.6% |
大企業では4割近くが加入しています。売上高が高いとその分損害も大きなものとなってしまいますよね。損害が大きい事が予想される会社は高確率でリコールに対して備えを行っていることが分かります。
また、回数が10回以上と多い業種に
- 輸送機器
- 流通サービス
などが挙げられています。多いと思われている食品生産業が入っていないことが意外ですよね。
生産業以外でも可能性があるため、自分の企業に必要なのかどうかをしっかりと見極めるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?ここではリコール保険をご紹介しました。
この記事は、
- リコール保険は回収費用などを補償してくれる保険
- 一般的なリコール保険が補償するのは損害発生後のリコール
- 損害が発生する前のリコール費用は生産物品質保険でカバーできる
- 原因が故意や重大な過失であった場合など補償されない例もある
- 保険料は売上高が基準
- 加入率は33%程度
についてご紹介しました。
リコールでの損害ををカバーしてくれるため、生産・製造業にとってはかなり重要度の高い保険と言えます。しかし、これ以外の業種でも必要な可能性があるため、自分の会社に必要かどうかをしっかりと見極めるようにしましょう。
自分の企業にはどの保険が必要なのか、悩んだらマネーキャリアで保険相談を行ってみましょう。
ほけんROOMでは他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。