貨物保険とは?保険料の相場や補償範囲を徹底解説!【運送業必見】

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貨物保険とは国内外の貨物取引の際の補償となっています。特に海外との取引の場合は国際的な規約があります。その規約に従って貨物保険に加入していきます。また、貨物保険には基本的な条件ありますが、その条件で不安があるときは保険加入時に特約を付けることができます。

内容をまとめると

  • 貨物保険とは、輸送中に起こった事故に対する賠償責任を補償するため保険
  • 貨物保険の補償条件は世界的に共通したもので決められている
  • 基本となるのは3つの条件であるが、契約内容に不安がある場合は特約を付けることでカバーできる
  • 戦争やストライキの場合対象外となるが、これらのリスクにも対処できる補償特約がある
  • インコタームズという貿易ルールは全部で11から成り立っており、その中でも特に重要な3つを知っておくべき!①ICC(A) ②ICC(B) ③ICC(C)
  • 保険契約の内容によって、契約者が変わる
  • 補償対象外の事故事例は確認しておこう
  • 保険料は保険料率によって変化する
  • 貨物保険と海上保険では補償内容が違ってくる
  • 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ

貨物保険とは?


流通にはかかせない運搬業務ですが、運送にも陸の運送、海の運送、そして航空運輸など荷物や取引によって、さまざまな方法で運搬していることでしょう。そんな貨物を扱う業者にとって貨物保険はなくてはならない保険ですから、当然加入していることと思います。


さらに海外と取引を行っている会社には、貨物保険や海上保険の加入が義務付けされているというところもあります。そのため貨物保険は、運送地域などによって保険の名称や内容が変わってきます。


特に国内では一般的に国内運送保険、そして国外では外航貨物海上保険のように業種や荷物の内容などによって補償内容なども変わってきます。


そこでこの記事では、貨物保険の中の外航貨物海上保険の補償内容や保険料の相場など貨物保険について詳しく解説していきます。現在加入している貨物保険を見直したいと考えられている方や、新しく加入したいと考えられている方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも法人保険の必要性やメリット・デメリットを知りたいという方は以下の記事をご覧ください!


法人保険のメリット・デメリットを解説!なんで経営に必要なの? 


貨物保険の補償内容|世界共通の「新協会貨物約款」(通称:ICC)で決められている

貨物保険は基本的に輸送方法を問わず、貨物輸送中に発生した事故の損害を補償するものとなっています。


ですが貨物保険の1つである外航貨物海上保険は輸出先と輸入先との間で取り交わされる国際的な保険のため、国内だけの保険とは大きく異なる仕組みや取り決めが存在します。


その内容は日本と海外との貿易の際に輸送中の貨物が不慮の事故等で損害を受けた時、その損害金を保証するものとなっています。特に国外との取引となると輸送中に何が起こるか予測できません。


そのため、貨物保険は国際的に共通した協会貨物約款の3つの基本条件が定められており、それぞれの担保条件によって保険金が支払われるかが判定されます。


補償リスクは2つあります。

  • 海上危険
  • 戦争・ストライキ危険

また旧協会貨物約款もあり保険証券でどちらの約款か確認できます。

  • 全危険担保(新協会貨物約款のICC(A)に相当)
  • 分損担保(新協会貨物約款のICC(B)に相当)
  • 分損不担保(新協会貨物約款のICC(C)に相当)


この基準は英国で誕生しており、それ以来貨物保険の基準として使われています。では、次の項目から3つの基本条件に付いて詳しく見ていきます。

貨物保険の基本条件①ICC(A)

外航貨物海上保険においては、3つの条件によってそれぞれ支払われる損害や事故の内容が異なっています。このICC(A)は最も補償内容が広いものとなっています。


また、損害が発生したときに保険会社が保険金を支払う責任があるか、責任がある場合はどのようにして支払うかは準処法は英国法となっています。


ICC(A)の補償内容は下記になります。

  • 火災や爆発
  • 船舶等の沈没・座礁
  • 陸上運送用具の転倒や脱線
  • 輸送用具の衝突
  • 本船等への積み込みや荷下ろし中の落下による梱包の全損
  • 河川等水の輸送用具や保管場所への浸入
  • 地震や噴火、雷
  • 雨や雪などによる濡れ
  • 破損やまがりなど
  • 盗難や不着など
  • 外的な要因による不足など
  • 共同海損・救助料など
  • 波ざらい


このようにICC(A)は海上にあるほどんどの危険をカバーできる内容となっています。そのため、水に弱い電気製品や機械類といった高額な製品に対してつけている場合が多いです。

貨物保険の基本条件②ICC(B)

ICC(B)はICC(A)とほぼ同様の範囲をカバーすることができますが、この二つのは大きな違いがあります。


まずは、先ほどと同様に補償内容をまとめていきます。

  • 火災や爆発など
  • 船舶等の沈没や座礁
  • 陸上輸送用具の転覆や脱線
  • 輸送用具の衝突
  • 本船などへの積み込みや荷下ろし中の落下による梱包1個ごとの全損
  • 海や河川等の水の輸送道具や保管場所への浸入
  • 地震や噴火、雷
  • 協同海損や救助料、投荷
  • 波ざらい

このように内容は似ていますが、人為的な原因に関しては補償がされないというのが大きく異なっている点です。海水などの水濡れに対し補償がされているというのが、大きな特徴です。


そのため、海外から輸入される穀物や飼料などを多く扱ってる企業等に適しています。

貨物保険の基本条件③ICC(C)

最後となる3つ目のICC(C)ですが、こちらは先の2つとは補償できる範囲がだいぶ異なっています。


では、どのような違いがあるのかをまとめていきます。

  • 火災や爆発
  • 船舶などの沈没や座礁
  • 陸上運送用具の転覆や脱線
  • 輸送用具の衝突
  • 共同海損や救助料、投荷

このように3つの中でも最も補償範囲がシンプルになっています。


航海そのものができなくなってしまうような船の転覆や座礁といったもののみを補償しています。また、水漏れも補償の対象外です。


そのために木材や鉱物などの、ぬれても劣化しにくい品物を多く取り扱っているところに適した保障となります。


ですが、これら3つの基本条件に不安があるときは各種の特約を付与することで不安の解消につながります。


今回解説したのは新協会貨物約款といわれるものですが、これ以前には旧協会貨物約款があり、そちらも3つの基本条件があります。内容自体は新旧特に変わらないため、3つの基本条件それぞれで対応しています。どちらに該当しているかは保険証券で確認をとることができるため、実際に確認してみるのもいいでしょう。

戦争・ストライキのリスクに対する補償

海外との貿易において避けて通れなのが戦争です。これは世界情勢が不安定なため各地で起こっています。また、同じ人的な問題としてストライキによるリスクも出てきます。


この2つの問題を解決するために、貨物保険には協会戦争約款と協会ストライキ約款という特約があります。


それぞれはいったいどんな問題のことをさし、どのような内容を補償しているのでしょう。


まずは協会戦争約款について紹介します。これは戦争危険に備えるものであり、保険契約を結んだあと仕向け国の戦争危険が変動すると、荷卸港以外の港へ向かう場合は原則として保険者の危険担保は解除されます。


しかし、保険者に対する通知とその分の割り増し保険料を支払うことで担保が継続されるという規定があります。その保険期間も決まっており、貨物が本船に積み込まれた時から荷卸しされた時までとなっており、荷卸しが遅れた場合でも港到着日から日で終了します。


主な補償内容をまとめていきます。

  • 戦争や内乱、革命などから生じる国内闘争
  • これらの状態における捕獲や拿捕
  • 遺棄された機雷や魚雷

戦争や内乱はいつ起こるかわからないものです。ですから、それに備えておくといいでしょう。


次に協会ストライキ約款について紹介します。こちらはその名の通りストライキ等に備える補償となっています。

  • ストライキ
  • 職場の閉鎖
  • 労働争議
  • 暴動や騒乱

こちらもいつ起こるかわからないので、協会戦争約款とセットで先ほどの新協会貨物約款に付与しておきましょう。

インコタームズ(世界共通の貿易ルール)とは?

インコタームズとは、国際商業会議所であるICCが国際貿易である輸出入取引に関連するひな型的な取引条件や当事者間の費用と範囲を定めたもののことです。


輸出入当事者間の商業的習慣がそれぞれの国によって異なるという問題があるため、それにより発生する取引条件の誤差や訴訟などを防ぎ円滑に行えるよう、定型取引条件の解釈に関する国際規則として、インコタームズを制定しました。


インコタームズは11の規則から成り立っており、それらは第一グループと第二グループに分けられます。


第一グループ(すべての輸送に適用する規則)は全部で7項目あり

  • EXW 工場渡し
  • FCA 輸送人渡し
  • CPT 輸送費込み
  • CIP 輸送費保険料込み
  • DAP 仕向地持ち込み渡し
  • DPU 荷卸し込み持ち込み渡し
  • DDP 関税込み持ち込み渡し

と定められています。

一方の第二グループ(海上や内陸水路輸送のための規則)は4項目あり

  • FAS 船側渡し
  • FOB 本船渡し
  • CFR 運賃込み
  • CIF 運賃保険料込み

となっています。

その中でも貨物保険で重要な3つの条件

  1. FOB:輸入者がリスクを負い、保険も加入する
  2. CFR:輸入者がリスクを負い、保険も加入する
  3. CIF:輸入者がリスクを負うが、保険加入をするのは輸出者

になります。


この3つの条件下において、下記項目の3つがどのようになるのかそれぞれについて詳しく見ていきます。

①保険契約者

先にも述べたようには持つ保険において重要な3つの条件によって、保険加入者も変わっていきます。


まず、FOB・CFR・CIFの3つすべてに共通するのが、貨物が輸出船に積み込む作業工程完了時を起点とし、輸送中に関するあらゆるリスクは輸入者が負うことになっています。


次に保険の加入義務はだれにあるのかというと、FOBとCFRでは保険契約者は商品の買主である輸入者に義務があります。その結果、輸送中の事故のリスクを負う商品購入者が保険者ということになるのです。


ですがCIFのみそれには当てはまることがありません。この場合に関しては輸入者がリスクを背負うことになりますが、貨物保険の契約は輸出者サイドが行うことと決められています。


特徴を表にまとめるとこうなります。

条件名貨物保険保険者特徴
FOB輸入者貨物といった物品等を引き渡した時点で引き渡し義務は完遂され、輸入者はその時点からリスクを負う。
CFR輸入者引き渡し義務はFOBと同じであるが、仕向港までの運送費用を負担する。貨物を引き渡した時点でリスクは輸入者サイドに移る。
CIF輸出者輸出者(売主)は輸入者(買主)の海上保険を契約しなければならないと決まられているが、この条件は輸入者にとって落とし穴があり、加入されるものは最小担保の保険にたいしそれを負担するために注意が必要。

このように各条件により貨物保険保険者は変わるので、輸送手段に適した条件を選択していきましょう。

②保険金の金額

貨物保険は実際に国際貨物輸送中に起きた保険事故について、その損害をカバーしてくれる心強い保険商品です。このとき支払われる保険金額とは、1回の保険事故について支払われる保険金の最高限度額のことを示しています。


この時支払われる金額はCIF価格もしくはCIP価格の110%の金額と定められています。

どちらの価格も「商品価格+輸入地までの運賃+貨物保険料」で求められますが、輸出者と輸入者のリスク範囲の負担によって異なっています。

  • CIF:輸出者が船に商品を載せた時点で、輸入者にリスクが移る
  • CIP:輸出者が商品を運送品に引き渡した時点で、輸入者にリスクが移る

そしてその保険金額の計算式ですが、無事に荷物が届いた時の期待利益分を含んでの計算となります。

保険金額=CIFまたはCIP価格×110%

なお、保険会社からの保険証券には保険金額が記載されているため、万が一の時を考え上記の計算式は、把握しておいたほうが良いでしょう。

③保険期間

保険期間とは保険会社が責任を負担する期間のことであり、海上危険とストライキ危険は同じ期間での補償と定められていますが、戦争危険のみその期間はだいぶ異なります。


まずは海上危険とストライキ危険について触れていきます。

  • 輸出の保険開始:指定した保管場所から、輸送目的で貨物が移動したとき
  • 輸出の保険終了:目的地で荷卸しが完了したとき
  • 輸入の保険開始:リスク負担者が輸入者に移ったとき
  • 輸入の保険終了:輸出の終了時と同じ

ただし例外もあり、下記に該当した時点で保険終了です。

  • 輸送用具から荷卸しされて60日経った時
  • 通常の輸送過程以外での保管や、貨物の仕分け等で工場等で荷卸しされた時


次にある意味で特殊な戦争危険についてです。戦争危険の保険期間は戦争という不安定な情勢からか短く外航船に貨物が積まれている間のみと限定的になります。

貨物保険の具体的な補償事例

海外と貿易取引を行う以上、どうしてもリスクはつきものとなります。そのリスクを軽減するために貨物保険があるわけですが、先にも解説した通り加入する保険によって補償されるリスクされないリスクが存在します。


先の項目で内容には触れていましたが、ここでは簡略化した表にまとめ、より分かりやくすみていきましょう。

補償項目ICC(A)・ICC(B)ICC(C)
火災や爆発などの事故や共同海損など
積み込み中の落下や地震や雷、波ざらいなど×
破損や曲がり、盗難など
ICC(A)のみ補償・(B)は××

保険会社によっては、上記では補償ができないとされている項目でも特約を付けることによって、カバーすることができます。


また、戦争やストライキ等は3つとも共通で特約扱いになります。

貨物保険では補償範囲外の事故事例【注意】


ここまでは保険で補償される内容について詳しく見てきましたが、こちらでは反対に補償されない事例についていくつか紹介していきます。


  • 故意による損害や梱包の不完全による損害やコンテナの積み込み時に不安であったがために起こる損害
  • 貨物の性質等による自然的な消耗や劣化など
  • 運送の遅延による損害
  • 慰謝料や違約金などの間接的な費用
  • 貨物が陸上にあるときの戦争危険
  • 放射能の汚染や生物兵器などによる損害
  • 輸送過程にない保管中による損害
  • サイバー攻撃などによる損害

このように故意による損害等に対しては、保険金は支払われないことになっているので貨物の取り扱いなどには注意が必要です。


ただし、貨物の性質などに応じて特約がセットできたり別保険でカバーできたりすることもあります。

貨物保険の保険料の決め方

貨物保険の保険料の決め方ですが、生命保険などのように固定された金額があるわけではありません。


その保険料の求め方は

保険金額×保険料率=保険料

という計算式のもとで、決められているのです。


この計算式で出てくる保険料率とは一体何なのかについてみて行きます。

  • 海上危険料率:自由料率と呼ばれている。季節や貨物などの条件で変動
  • 戦争・ストライキ危険料率:世界情勢によって変動

そのために、貨物保険の保険料は一定料金を払い続ける生命保険などどは異なる料金形態であることを押さえておきましょう。


特に海上輸送をされる場合の海上危険料率は、使用される船舶によって設定されていますので、積載量などによって割増保険料が別途かかってくる場合もありますので注意が必要です。

貨物保険に加入する方法


ここまで記事をご覧になって、自社でも貨物保険が必要だと考えている方もいるでしょう。貨物保険に加入する場合は、こちらの保険を取り扱っている保険会社または、保険代理店に問い合わせることで加入することができます


しかし問い合わせる前に、あなたの事業を取り巻くリスクが他にないかどうか確認しておくことをおすすめします。


また、事業のリスクに関して一人で考えるのではなく、「マネーキャリア」で専門家に相談してみることをおすすめします。


「マネーキャリア」では、事業のリスク対策や法人保険に詳しい専門家がいつでも相談に乗ってくれるサービスです。毎月30社以上の経営者や個人事業主の方々が相談しており、実際に相談した98.6%の方々が満足しているサービスです。


これだけの方々が満足しているので、企業の情報を外部に漏らすことは一切ありません。そのため安心して相談していただくことが可能です。


事業のことでお悩みがある方は以下から相談のお申し込みをしてみてください。

【参考】海上保険との違い


ここで貨物保険海上保険の違いについて、どのような違いがあるのかをみていきましょう。名称だけ見ると外航海上貨物保険も海上保険も同じなのではと思うはずですが、海上保険の場合主に海上で起きる危険な事故についての保険ということになります。そのため貿易や海運など国際的な取引などの営業活動に利用されています。


ところが外航海上貨物保険の場合は、輸送中や保管中の貨物についての損害をカバーしてくれるため、貿易や物流を営業としている企業にとってはかかせない保険となっています。


保険会社によっては海上保険を運送・貨物・船舶と補償対象別に商品を分けていたり、企業側にとってわかりやすい保険商品も用意されています。


一般的には海上保険は、貨物保険と船舶保険が併せて成り立つ保険と言えるでしょう。そのため、自社に必要としない補償まで含まれている可能性もあります。いま一度保険証書を確かめておくことをおすすめします。

まとめ:貨物保険について


外航海上貨物保険についての補償内容や基本条件、さらには外航海上保険の保険料などをみてきましたが、運送業者の方や輸出入をされている企業の方は参考になったのではないでしょうか。


とはいえ貨物保険は運ぶ荷物や商品、そしてどこと取引しているのかやどこの地域に卸しているのかなど、かなりピンポイントで補償してくれる保険であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。


現在の貨物保険は、業種などに応じて細かく補償内容とともに商品が別れている傾向があります。そのため、自社の業種と補償内容を確認してみれば必要な商品が自ずとわかるはずです。


なんだか今までざっくりした保険に入っていたとか、通関業者に任せきりだったとか、そんなにこと細かく聞かれると何を重視していいかわからないといった方もいらっしゃるはずです。そんな方にはぜひマネーキャリア法人無料保険相談を活用していただき、保険のプロと一緒に自社に合った貨物保険を見つけてみてください

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