海外投資保険とは?補償内容や保険料の計算について徹底解説!

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海外投資保険は、中小企業でも安心して海外投資ができるようにという思いから誕生しました。海外投資保険は株式や不動産などの投資による損害をカバーしてくれる心強い保険でもあります。また、海外投資保険には特約も付与することができるため、万が一に備えやすくなっています。

内容をまとめると

  • 海外投資保険とは、投資リスクによる損失のカバーをする保険
  • 株式と不動産によって内容が異なる
  • 保険金額は「損失額 × てん補率(95%) ≦ 保険金額」で計算される
  • 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
監修者
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。 以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP (注)保険の補償内容に関する記載以外の部分について監修を行っています。

海外投資保険とは?

中小企業の海外進出を促すために、東京海上日動が海外投資保険を2019年に販売しました。


これにより、海外投資を検討し始める企業も少しずつ増えてきたと思います。そんな法人の方はまず、海外投資保険の内容をしっかり理解する必要があります。


そこで今回は、

  • 海外投資保険の内容と保険期間
  • 保険料とその算出方法
  • 保険金はいくらになるのか
  • どのような特約を付けるべきか

について、解説していきます。

海外投資保険の主な補償内容


補償内容の解説に入る前に、まずは海外投資保険とは一体何なのかについてみていきましょう。海外投資保険とは、日本の企業が海外に持っている株式や不動産といった資産権利を、リスクによる損害からカバーするための心強い保険です。


この保険は投資している形態によって2種類の約款があります。

形態補償
出資に対する保険株式等約款
不動産などの権利に対する保険不動産等約款

被保険者は株式や不動産等の所有者です。それプラス、直接投資していなくても、中間法人経由を介しての再投資も補償対象となります。


ですが、先にも少し触れたように投資にはリスクがつきものです。海外投資保険がカバーできるリスクは次の3つからなりたっています。

  1. 外国政府等の介入による収用・権利侵害リスク
  2. 外国で発生した天災や戦争などによるリスク
  3. 為替取引の制限等による送金不能

では、上記の1番から順番に内容を詳しく見ていきます。

①収用・権利侵害リスク

リスクからもたらされる損失は海外投資保険によってカバーできますが、出資の場合と不動産の場合で若干異なっています。


まずは出資の場合についてまとめていきます。

対象リスクカバーできる損失
諸外国の政府などの介入による保険の補償となる投資の目的の収用日本の企業が所有する株式証券や配当金支払い請求権を外国政府などの介入により奪われたことで受けた損失
外国政府などの介入による日本の企業の投資先企業に対して行われる権利侵害により生じた事業不能などの不利益日本の企業の投資先企業が重要資産などを外国政府などの介入により侵害されたために損害を受けたことが原因で、事業不能等に陥ったがためにより受けた損失

事業不能等とは事業継続不能や銀行の取引停止などが該当します。


次に不動産の場合についてまとめていきます。

対象リスクカバーできる損失
諸外国の政府などの介入による保険の補償となる投資の目的の収用日本企業が所有する不動産に関する権利全般などを外国政府などの介入により奪われたがために受けた損害
外国政府などの介入による日本の企業の投資先企業に対して行われる権利侵害により生じる事業不能などの不利益しかし不動産に関する権利は対象外

このように対象リスクは同じでも、カバーできる損失はそれぞれで違うことがわかります。

②戦争等・天災等リスク

それでは次のリスクに進みます。こちらも先程と同じように表にしてみて行きます。


まずは出資の場合から。

対象リスクカバーできる損失
外国で勃発した戦争や革命、内乱など投資先の企業が戦争などによって損害を被ったがために、事業不能となることで生み出された損失
外国で発生した天災や国連による制裁など投資先の企業が天災等によって損害を被ったために、事業不能となることにより生み出された損失


次は不動産です。

対象リスクカバーできる損失
外国で勃発した戦争や革命、内乱など被保険者が戦争などにより不動産による権利といったものに損害を受け、その権利を事業のために役立てられなくなることで生み出された損失
外国で発生した天災や国連による制裁など被保険者が天災等により不動産による権利といったものに損害を受け、その権利を事業のために役立てられなくなったことによる損失

③送金不能リスク

それでは最後のリスクに入ります。こちらも表にしていきます。


まずは出資の場合から。

対象リスクカバーする損失
外国によって為替を制限されるといったことにより配当金の送金ができなくなった場合株式の配当金などを外国により為替の制限や禁止、送金許可の取り消しなどで2カ月以上本国へ送金できないことで生じた損失

次は不動産です。

対象リスクカバーする損失
外国によって為替を制限されるなどとといったことにより権利の譲渡金の送金ができなくなった場合不動産の権利などを売り渡した代金を外国によって為替の制限や禁止、送金許可の取り消しなどで2カ月以上本国へ送金できないことで生じた損失

以上が対象となる補償内容になります。

海外投資保険の保険期間


海外投資保険は生命保険などのように、保険期間が一定ではありません。保険契約時に2~30年(ただし更新時は1~30年)の範囲内で、自由に期間を設定できます。


ですが、一定の場合を除いて、保険期間内の中途解約はできないことになっています。

一定の場合の例を簡単にまとめます。

  • 投資先の企業が倒産したとき
  • 出資持分すべてを譲渡したとき
  • 保険対象の投資自体が消滅したとき
このような事態になったとき以外では、基本的に途中で解約できませんので契約期間はよく考えて設定しましょう。

海外投資保険の保険料計算方法


海外投資保険の保険期間中の保険料は、原則年払いとなっています。また、支払う保険料は保険料率によっても変わってきます。


保険料の保険料率は下記の条件で変わります。

  • 対象国をA~Hにカテゴリー分け(カントリーリスク)
  • 投資元本のみなどのカバー対象
  • てん補リスク対象

この3つの条件を組み合わせて保険料率は決まっているのです。


では、保険料率について株式のリスク対象フルカバー型を例に見ていきます。(上から対象国Aの順番になっています。

被償還型(元本のみ)混合型(元本+配当金)償還型(配当金のみ)
A  0.174%0.202%0.252%
B     0.217%
0.251%0.294%
C   0.259%0.288%0.349%
D         0.301%0.343%0.420%
E       0.364%0.412%0.504%
 F       0.421%0.580%0.580%
 G       0.475%0.659%0.659%
 H      0.617%0.847%0.848%


このように対象国カテゴリーが下がるにつれ、保険料率が上がっているのがわかります。

また、保険期間中であれば、カントリーリスクが変動しても保険料は変わりません。

保険金はいくらもらえる?


保険に加入するときに、保険対象額を自由に設定することができます。


その額は以下の範囲内であることと決められています。

  • 財務諸表で確認できる純資産額
  • 保険証券記載の取得時に支払った対価

補償対象額見直しをする際には、公認会計士の監査を受けた最新の財務諸表が求められます。

支払保険金は「損失額 × てん補率(95%) ≦ 保険金額」

海外投資保険の保険金は、見出しの計算式で求めることができます。


では、実際に計算するにあたって必要な情報をまとめていきます。

  1. 直前の評価額
  2. 資産取得のために支払った額
  3. 1と2のどちらか小さい額
  4. 直後の評価額
  5. 損失額(3の額-4の額)
  6. てん補率95%
  7. 保険カバーの対象額(5の額×6の%)
  8. 保険金額
  9. 7の額と8の額の小さいほうの額=実損てん補額(支払保険金)


実損てん補額を支払うことが特徴的です。


上記に記した計算方法は、先に解説したてん補リスクの1番と2番に使用します。

3番の送金不能の損失額は、そのまま送金不能額となります。

支払い保険金の計算例

出資金推移を参照。

出資金推移取得対価保険金額
出資時18,000,000
17,100,000
変更後22,500,00021,375,000
損害発生の直前の額27,500,00026,125,000


計算例

  1. 27,500,000(直前評価額)
  2. 22,500,000(取得対価)
  3. 22,500,000(小さい額のため)
  4. 0(損害直後の評価額は工場爆破された設定のため0)
  5. 22,500,000-0=22,500,000
  6. 95%(てん補率)
  7. 22,500,000×95%=21,375,000
  8. 21,375,000(保険金額)
  9. 21,375,000(受け取れる保険金)

海外投資保険に些細なことでも疑問があればマネーキャリア!

国内投資では利益がでるものも、同じ商品で海外に投資してうまくいくとは限りません。海外投資は、国の情勢や利益を出せる投資先などが、日本とは全く違うからです。


仮に投資先を決めたとしても、リスク対策のための適切な保険を選べるとは限りません。


そんな時にお勧めなのがマネーキャリアです。


マネーキャリアにはお金に関するプロが、無料で相談を受けおってくれます。投資商品と海外投資保険、まとめてマネーキャリアにご相談ください。

【参考】コロナによる損害は補償の対象?


海外投資保険は、異常な自然現象による災害についての損失によるカバーができます。新型コロナウイルスはこれに当てはまるため、条件を満たせば損失カバーの対象となります。


  • 投資先国や公共機関による自粛などで1カ月半以上の事業の休止
  • 部品の仕入れ先などが事業を停止したことによる1カ月以上の事業の停止

また、コロナによる保険金支払いなどに関しては専用窓口も用意されているため、不明な点は窓口に問い合わせてみましょう。

海外投資保険に付随するべき主な特約

海外投資保険にも、生命保険などのように特約を付けることができます。

  • プレミアム特約:プレミアム込みで取得した株式等が戦争などによって損害を受けた時プレミアム分も含めて補填
  • 重要資産等特約:再投資先が政府などにより権利侵害され出資先が事業不能となったときの損害の補填
  • 部分損失特約:投資先企業の国のリスク以外にも、再投資先でも受けた損害補填
  • 事業拠点等特約:事業拠点が事業不能に陥ったことで受けた損害補填

海外投資保険の補償内容に不安があるときは、ぜひ特約を付与してリスクを減らしましょう。

海外投資保険に関するまとめ


海外投資保険について知ることで、海外投資への不安は解消できましたか。


海外投資保険についてのまとめになります。

  • 投資リスクによる損失のカバーをしてくれる
  • 株式と不動産によって内容が異なる
  • 受け取れる保険金は計算式から算出できる
  • 特約で補償の充実が図れる

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