
更新日:2022/08/21
施設賠償責任保険とは?具体的な補償事例まで解説【完全ガイド】

施設の管理者を務める人にとって欠かせない保険、それが施設賠償責任保険です。しかしこの施設賠償責任保険、実際にはどんなときに役立つ保険なのでしょうか?今回の記事では、施設賠償責任保険の知っておくべき基本知識を完全解説していきます!
- 施設賠償責任保険への加入を検討している人
- 施設賠償責任保険の基本知識を身につけておきたい人
- 施設賠償責任保険が自分にとって必要かどうか判断しかねている人
- マンションの大家
- 個人事業主
- フリーランス
- 娯楽施設の管理者
- 小売・飲食業
- 施設管理業
- デパート
- 自社ビル・自社工場などの管理者 など
内容をまとめると
- 施設賠償責任保険は、企業や個人事業主あらゆる施設管理者に必要な保険
- 施設賠償責任保険は、施設側の責任により起こった事故に関する賠償費用を補償する保険
- 賠償責任が発生しない事故に対しては、施設賠償責任保険は利用できない
- おすすめの施設賠償責任保険を紹介
- 特約として、漏水担保特約や人格権・宣伝侵害事故補償特約などがある
- 保険料は施設情報をもとに決定される
- 独断で示談締結した場合は、示談金の一部から全部において保険金を受け取れなくなる可能性がある
- その他の賠償責任保険との違い
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目次を使って気になるところから読みましょう!
施設賠償責任保険とは?必要なのはマンション管理人だけではない!
自社ビルや社宅、または会社が経営しているマンションなど、会社所有の資産として持ち合わせている企業は多いはずです。そんな企業の方はもうすでに施設賠償責任保険への加入はされていると思います。
個人事業主やフリーランスの方に関しても同じく施設賠償責任保険は必要な保険ですが、自分にとって必要な保険なのかどうかを決めかねている方もいらっしゃるでしょう。
けれども、たとえば飲食店を営んでいてそこに入店しようとした人が店の看板でケガを負ってしまい、賠償金を請求されたら当然支払いますよね。施設賠償責任保険はこういう時のために補償をしてもらえる保険なのです。
こうして事例を見ると、そういえばうちにも関係かるかもしれないと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事ではマンション管理人だけでなく、そして企業だけでなく個人の方にも施設賠償責任保険は必要であることを再確認できますので、ぜひ参考にしてみてください。
施設賠償責任保険の主な補償内容
まずは施設賠償責任保険がどんなことに対して補償をするのか、
- 補償内容の定義
- 保険金がどんな損害に対して支払われるか
以上2つの観点から一緒に知っていきたいと思います。
▼補償内容の定義
施設賠償責任保険では、
- 施設そのものの安全性
- 施設管理における不備
- 施設の構造上にあった欠陥
- 施設の用法に伴う仕事を遂行したことによる対人事故(対人賠償)
- 対物事故で損害賠償責任にかかる費用
- 損害賠償金:法律上で支払い義務が生じたもの
- 訴訟費用:賠償責任におけるもの
- 争訟費用:弁護士費用など
- 損害防止軽減費用:求償権(賠償を求める権利)の保全や行使に要したもの
- 緊急措置費用:事故発生時の応急手当や護送などに要したもの
- 協力費用:保険会社の要求などに被保険者が応じたときに生じたもの
施設賠償責任保険で補償される具体的な事故事例
補償内容について言葉で説明いたしましたが、いまいち掴みきれないという方もおられる方もおられるでしょう。
そこで、どんなケースに施設賠償責任保険で保険金が支払われるのか
- 立体駐車場
- ゴルフ場
- 飲食店
- 小学校
- イベント
- スカイダイビング
- 自転車での配達
- 水道
- 工場
- その他の場所
事故事例①立体駐車場
まず1つめは立体駐車場における事故事例です。
事故の内容
具体的な事故内容は、
- 立体駐車場においてメンテナンス業者が施設の点検を行っていた
- 駐車場の管理者が不注意でエレベーターを降下させた
- その結果、メンテナンス業者が車体と台車に挟まれ死亡した
施設の事業者
この事故における施設事業者は、駐車場運営会社です。
賠償金額
管理者の不注意から死亡事故に繋がっています。
そのような諸々の背景から、賠償金額は約6,000万円となりました。
解説
今回の事例は「施設の使用に欠かせない仕事を遂行している際に起こった対人事故」、すなわち対人賠償となります。
前述の通り、対人賠償は施設賠償責任保険でカバーできるものです。
起きた事故も管理者の責任が明白なものですので、賠償義務が生じる理由についても納得できるものではないでしょうか。
事故事例②ゴルフ場
続いてご紹介するのは、ゴルフ場における事故事例です。
事故の内容
具体的な事故内容は、
- ゴルフ場において、利用客がティーショットを打った
- そのボールが隣のホールにいた別の利用客を直撃し、負傷させた
- 管理者側が防護ネットを張るなどの防護策を怠ったことを理由として、ゴルフ場施設へ賠償責任が請求された
事故の原因
この事故の場合は、施設の構造上にあった欠陥が原因と見なされます。
施設の事業者
この事故における施設の事業者は、ゴルフ場管理会社です。
賠償金額
程度はわからないもののゴルフボールにより負傷しておりますので、このケースの賠償金額は約4,000万円となりました。
解説
先ほどの立体駐車場での事例とは異なり、一見すると利用者間のトラブルのようにも見えます。
しかしゴルフなどのスポーツでは特に、天候や風の影響を受けてプレイヤーの予測不可能な事態が起こるのも十分あり得ることです。
それらの不可抗力に対しても、あらかじめ防護策をとることが管理者の責任とされます。
この責任を怠ったと判断されたため、管理者側に賠償の義務が生じたというわけです。
事故事例③飲食店
3つ目は、飲食店における事故事例です。
事故の内容
具体的な事故内容は、
- テナント店で、厨房にて水漏れが発生した
- 階下にまで影響を及ぼし、被害を与えた
事故の原因
この場合は、施設の管理不備が原因となります。
施設の事業者
今回の事故の施設の事業者は、飲食店運営会社です。
賠償金額
請求金額はまちまちですが、被害状況によって賠償金額は約900万円になることもあります。
解説
今回のように施設の管理面における不注意で起こった事故は、施設賠償責任保険の適用範囲内です。
他にも飲食店では例えば看板の落下や店内での転倒による利用客の負傷など、様々なリスクに備えなければなりません。
そういった事故は、高額な賠償金の支払い義務を伴うものがほとんどです。
飲食店を経営される管理者の方は、施設賠償責任保険への加入がマストと言えます。
事故事例④小学校
事故事例⑤イベント
- コンサート会場で火災が発生してしまった
- 避難経路が整理されておらず、結果として観客が逃げ遅れ負傷した
事故事例⑥スカイダイビング
- スカイダイビングの参加者とインストラクターの2名が、タンデムパラシュートにて降下した
- メインパラシュート・予備用パラシュートがともに器具に絡まり開かなくなった
- そのまま地面に激しく衝突、両名が死亡した
事故事例⑦自転車での配達
- デリバリーサービスの配達員として、自転車を運転していた
- その道中で歩行者と衝突、相手が負傷した
事故事例⑧水道
- 地下に埋設された送水管が老朽化により破損した
- 大量の水が噴出、濁流となった
- 行動に面した住宅や店舗、医療機関など複数の施設に損害が生じた
事故事例⑨工場
- 花火工場にて火災が発生した
- 消火が間に合わず、火薬庫に延焼したため火薬が爆発
- 激しい爆風が起き、火薬庫のコンクリート片が四方に飛散した
- その影響で、隣接する数十件に及ぶ周囲の建物に損害が生じた
その他の事例
- スキー練習中に雪崩が発生し、学生が死亡
- 降雪や積雪の状況と地形から、雪崩の発生は予見できるものであった
- 海で船の下にて潜水していたダイバーが、運航した船のスクリューに巻き込まれ負傷
- 注意喚起が無線により行われていたが、船の操縦士が聞き漏らして船を運航させてしまった
- 施設がガス爆発を起こし入場者が死亡、さらに近隣の建物などにも損害を発生させた
- 施設の壁が倒壊して負傷者を出した
【注意】間違えやすい施設賠償責任保険で補償されない損害
施設賠償責任保険がカバーできる具体的事例に関しては、なんとなくでもご理解いただけたのではないでしょうか。
簡単に言うならば、この施設賠償責任保険は「損害賠償が発生したとき」の補償に特化した保険です。
そのため自社が事故を起こしたとしても、賠償責任を問われない内容であればこの保険は適用外となってしまいます。
施設に関するトラブルならば何にでもカバーできる万能な保険、というわけではないのです。
では反対に、どのような損害に対応できないのかが気になるところですよね。
ここでは、補償を受けられると誤解されやすい
- 従業員の損害
- 自然災害による損害
- 自動車による損害
①従業員の損害
施設賠償責任保険が適用されるのは、「他人」に対してのみです。
言い換えると、施設を利用する客や先程ご紹介した外部のメンテナンス業者のような第三者が損害を受けた事故に対して保険金が給付されます。
そのため、もし施設側の不備などで従業員が負傷・死亡したとしても施設賠償責任保険では補償されません。
こういったケースに備える場合は、別途で傷害保険や業務災害補償保険へ加入する必要があります。
また当然ですが、故意に起こした事故に対してはどんな保険であっても補償されませんので、ご注意ください。
②台風や津波などの自然災害による損害
施設賠償責任保険は、
- 地震
- 台風
- 津波
- 火山の噴火
- 洪水
- 雨漏り
- 火災保険・地震保険はそれぞれ単独での保険加入が認められていない
- 地震保険は原則として「住居が震災にあった際の保険」
台風や地震、雨漏りといった自然災害に備えられる、
- マンションの大家
- 空き屋の管理人
を対象とした火災保険・地震保険に関しては、別記事にてより詳しく解説しております。
そちらもぜひご覧ください。
これ以外にも
- 戦争
- クーデター
- 暴動
なども同様です。
これらは現在の日本国内で起こる可能性が低いということが理由で、補償を受けられる体制は未だに整頓されていません。
③自動車による損害
最後に、
- 自動車
- 原動機付自転車(通称原付)
これらの使用や管理に関する事故に対しても、施設賠償責任保険は適用されません。
備えたいのであれば、自賠責保険でカバーが可能です。
自賠責保険とは強制的に加入する保険なので、施設の管理者や個人事業主の方などはすでに加入済みかと思います。
ただし、「請求される損害賠償額が自賠責保険でカバーできる範囲を超えるた金額である」という事態ももちろんありえますよね。
高額な賠償金で苦しむ前に、任意保険ではありますが自動車保険やバイク保険に加入して備えておきましょう。
この自動車保険とバイク保険のほとんどが
- 対人賠償
- 対物賠償
上記どちらにおいても、給付を受けられる保険金の限度額に対して制限を設けられていない商です。
そのため、どのような事故に対しても安心して備えることができます。
施設賠償責任保険が必要かどうか迷ったら保険のプロへの相談が最善の選び方
④共栄火災
施設賠償責任保険に付随できる主な特約
施設賠償責任保険には、プラスアルファすることでさらに補償の範囲が広がる特約が用意されています。
特約とは、それ単独では商品化されていない代わりに、メインの保険にオプションとして付加できる補償のことです。
ここでは施設賠償責任保険の主な特約として、
- 漏水担保特約
- 人格権・宣伝侵害事故補償特約
漏水担保特約
人格権・宣伝侵害事故補償特約
その他の特約
以上2つの特約以外にも、施設賠償責任保険には
- 見舞費用補償特約:身体賠償事故の発生時、弔慰金や見舞金などを補償する特約
- 事故対応費用補償特約:身体賠償事故の発生時、被害者対応費用と示談交渉費用を補償する特約
- 管理財物損壊賠償特約:施設が管理している財産や物(ただし正当な権利保有者は他者である)に対する損壊事故の発生時、損害賠償費用を補償する特約
- 飲食物危険補償特約:イベントや祭りで提供した飲食物を原因として第三者へ身体障害を与えた場合(一定期間内の発症に限定)、その賠償費用を補償する特約
保険料はどのように決められるの?
保険に加入する上で、やはり気になるのは保険料ですよね。
施設賠償責任保険で支払うべき保険料はどのように算出され決定しているのか、皆さんはご存知ですか?
先に結論から記述してしまうと、保険料の決定のされ方は施設の業種によって左右されます。
実際あなたが管理しているのがマンションなのか、飲食店なのか、はたまた空き家なのかによって事故が起こるリスクというのは大きく異なってしまいますよね。
参考程度ではありますが、保険決定時に
- 施設の種類
- 事業の内容
- 保有している施設の面積
- 施設への入場者数
- 施設の売り上げ
よくある質問:示談締結したら保険金はどうなる?
施設側の不徳によって施設の利用客や無関係の第三者などに対し、何かしらの損害を与えた場合に賠償責任は発生します。
この賠償責任をめぐって、示談交渉が行われることは珍しくありません。
示談が締結した場合、施設賠償責任保険の保険金には何か影響は及ぶのでしょうか?
そもそもではありますが前提として、「保険会社が直接、被害者との示談交渉を行う」というようなサポート・サービスは、施設賠償責任保険には一切付随しません。
つまり被保険者本人が被害者と示談交渉を行うこととなります。
この際、必ず保険会社の担当部署による助言・指示を受けた上で交渉を進めるようにしてください。
仮に被保険者が保険会社の了承を得ていない状態、つまり独断で示談締結させてしまった場合には、示談金の一部あるいは全部を保険金で受け取ることができなくなってしまうのです。
【参考①】個人賠償責任保険&生産物賠償責任保険との違い
さてここからは、施設賠償責任保険へ加入する方には特に参考程度に身につけておくべきだという知識・情報をご紹介していきます。
- 個人賠償責任保険
- 生物賠償責任保険
個人賠償責任保険との違い
1世帯や個人が、事故などで誰かの身体や財物に対して損害を与えた際に保険金が受け取れるのが、個人賠償責任保険です。
ここまで説明してきたように施設賠償責任保険は、加害者(賠償責任を問われる側)が施設となる場合に利用できる保険でした。
その一方で、個人賠償責任保険は個人が引き起こした事故によって損害を与えた際に有効な保険となっています。たとえば、ペットの散歩中に飼い犬が他人を傷つけてしまったときに、慰謝料などを請求されるケースや子どもが自転車で他人にケガを負わせてしまい慰謝料を請求されるケースなどです。
こうしてみるとそもそも補償を受けられる人が異なるというわけですね。
まとめると
- 施設損害賠償保険の被保険者:施設管理者や運営している会社など
- 個人賠償責任保険の被保険者:個人やその家族など
生産物賠償責任保険との違い
生産物賠償責任保険は、別名PL保険(PL=Product Liability、製造物に対する責任のこと)と呼ばれることもあります。
生産物や仕事の成果が原因で誰かの身体や財物に対して損害を与えるような事故を起こした際に、保険金を受け取ることができる保険です。
こちらもほけんROOMの他の記事にて解説しているので、詳しいことは省略します。
前述のように、施設賠償責任保険は事故に対して施設側が賠償責任を問われた際に利用できる保険でした。
その一方で、生産物賠償責任保険は生産物が他者への損害を引き起こした際に有効な保険となっています。
補償範囲となる事故のきっかけが異なるということです。
要するに
- 施設損害賠償保険の補償・適用範囲:施設上の不備や欠陥などが原因で起きてしまった対人あるいは対物事故
- 生産物賠償責任保険の補償・適用範囲:生産物や仕事の結果が原因で起きてしまった対人あるいは対物事故
【参考②】レジャーサービス施設費用保険ってなに?
レジャーサービス施設費用保険は、
- 旅館・ホテル
- スーパー・百貨店
- 小売店
- 飲食店
- 遊園地・映画館・水族館・図書館などの娯楽施設
- 鉄道・駐車場などの運輸関係施設
- 美容院・結婚式場などのサービス業施設
- 病院
- 施設利用時の対人事故における被災者対応費用
- 被災者に対する見舞金など
- 事故の発生を詫びる広告(災害広告)などの掲載・作成費用
施設賠償責任保険に関するまとめ
施設賠償責任保険とはどういった保険なのか、そして施設賠償責任保険の具体的な補償事例をみてきましたが、これから加入を検討している方や見直しを考えている方にとっては参考になったのではないでしょうか。
大きな企業じゃないし個人経営者で細々と経営しているからといままで保険に加入していなかったという方には、必要な保険であるということがお分かりいただけたはずです。施設賠償責任保険は人が集まる場所には必要な保険ですから、店舗などを経営する方にとっては加入するべき保険ではないでしょうか。
必要であることはわかっていても、どんな賠償責任保険に加入すれば良いのか、そこの会社の保険に加入すれば良いのかわからないといった企業の方や個人事業者の方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にはマネーキャリアの法人無料保険相談を活用して、自社に必要な補償は何なのか、そしてどういった保険で備えておけば良いのかといったことを再度確認してみることをおすすめします。マネーキャリアでは保険のプロが相談員ですから、保険会社各社の比較や自社にはどういった保険が足りていないのかも見極めることができるはずです。