更新日:2024/08/06
船客傷害賠償責任保険とは?知床遊覧船事故の事例を用いて解説
内容をまとめると
- 船客傷害賠償責任保険とは、保険の対象としている船舶で、旅客の運送中に事故が起こった場合の損害賠償責任を補償する保険である。
- 補償内容は船客に対する損害賠償責任に関する費用、救助費用であるが、特約に加入すると補償範囲を拡大できる。
- 船客傷害賠償責任保険の加入対象は遊覧船や貨物船、通船などであり、戦争や故意の事故については保険金(支払限度額は1人当たりと1事故あたりのいずれか)が支払われない。
- 保険料の計算は船舶の乗客定員数や船舶の重量、事故経験の有無などにより決められる。
- 船客傷害賠償責任保険のほかにも、過不足なくリスク対策ができるいるかを「マネーキャリア」のようなリスク対策のプロへ無料で何度でも相談できるサービスを使う会社が急増している。
目次を使って気になるところから読みましょう!
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船客傷害賠償責任保険とは?
船客傷害賠償責任とは、保険の対象としている船舶で、旅客の運送中に事故が起こった場合の損害賠償責任を補償する保険です。
船舶運航事業者は、乗客を安全に目的地まで運ぶ義務を負っています。この義務を怠ったために乗客が傷害を負ったり、死亡したりした場合、船舶運航事業者は法律上の賠償責任を負うことになります。
具体的には、以下のような事故が船客傷害賠償責任の対象となります。
- 船舶の衝突、座礁、転覆などの海難事故により、乗客が傷害を負ったり、死亡したりした場合
- 船内での設備の不備や乗組員の過失により、乗客が傷害を負ったり、死亡したりした場合
- 乗客の乗降時の事故により、乗客が傷害を負ったり、死亡したりした場合
これらの事故による賠償責任は、医療費、休業損害、慰謝料、逸失利益など、多岐にわたります。賠償額は事故の状況や被害の程度によって異なりますが、高額になるケースも少なくありません。
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知床遊覧船事故とは
2022年4月23日に北海道の知床で遊覧船に関する大きな事故が発生しました。
簡単な事件の概要は以下のとおりです。
- 知床半島沖を航行していた観光船「KAZU I(カズワン)」が、悪天候の中、海上保安庁に救助を要請
- 船には乗客24名と乗組員2名の合計26名が乗船していた。
- 船は救助要請から間もなく沈没し、乗客乗員全員が海に投げ出された。
- 海上保安庁や地元漁船による救助活動が行われたが、10名が死亡、16名が行方不明となった。 行方不明者の捜索が続けられたが、全員の発見には至らなかった。
この事故は、観光船の安全運航管理の問題点を浮き彫りにしました。事故原因については、船舶の構造的な欠陥、天候判断の誤り、安全管理体制の不備などが指摘されています。
その後の事故後の乗客家族への説明会で、「船客傷害賠償責任保険」には加入していると説明していました。
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船客傷害賠償責任保険の補償内容
まずは船客傷害賠償責任保険の補償内容と保険の対象について解説していきます。早速、船客傷害賠償責任保険の補償内容は以下になります。
- 賠償責任補償
- 救助費用
- 旅客船
- 貨物船
- 通船
- 渡船 など
保険金の支払い対象
続いては保険が支払われる対象について解説します。
こちらの船客傷害賠償責任保険における保険金の支払い対象は以下です。
保険金支払い内容 | |
---|---|
損害賠償金 | 損害賠償費用を請求した人に支払われる治療費など |
損害防止費用 | 損害の拡大や防止に取り組んだ際に発生した費用 |
権利保全行使費用 | 被保険者が発生した事故において、別の人に損害賠償請求できる場合の権利を保全、行使する際に要した費用 |
緊急措置費用 | 乗客の応急手当などで要した費用 |
協力費用 | 事故解決のため、保険会社で協力したことで要した費用 |
争訟費用 | 裁判の費用や弁護士への報酬などの費用 |
救助費用 | 乗客を救助したり、捜索する際に要した費用 |
こちらの保険に加入しておくことで、事故の発生から事故解決まで幅広い補償が可能です。
保険金の支払いができない内容
反対に保険金の支払いができない内容を解説します。以下のような場合は、保険金の支払い対象とはなりません。
- 定員がオーバーしている船舶での乗下船で生じた事故
- 船長や乗務員などの関係者の故意による事故
- 戦争や内乱
- 海賊行為
- 地震や噴火や津波
- 暴動や政治的な騒擾
- 燃料などにより汚染された物の放射性や爆発性が起因となった事故 など
保険金の支払限度額
最後は保険金が支払われる限度額について解説します。
船客傷害賠償責任保険では1人当たりに支払われる保険金と1事故あたりで支払われる保険金の設定をすることが可能です。
まず、船客1人当たりに支払われる保険金については、「2,500万円/人~」となっており、500万円単位で設定できます。ただし、希望金額が高額すぎると、保険会社が引き受けできない可能性があるのです。
また、事故あたりに支払われる保険金ですが、上記の「1人当たりに支払われる保険料に船舶検査証に記載されている乗客定員数をかけた額が支払われる保険金」と、「救助に要した費用としての保険金の2種類」があります。
救助に要した費用については、30万円に乗客の定員数をかけた額または、1億円の内、低い額を支払限度額として設定されます。
こちらの船客傷害賠償責任保険では、免責はありません。
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船客傷害賠償責任保険の保険料
続いては船客傷害賠償責任保険の保険料を解説します。船客傷害賠償責任保険の保険料は以下の要素で決定されます。
- 船舶の乗客定員数
- 船舶の重量
- 材質
- 装備
- 船舶の構造
- 船舶の管理状況
- 運航経路
- 過去に事故をしたことがあるかどうか など
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知床観光船事故における活用事例
ここでは実際に船客傷害賠償責任保険が活用された事例を紹介します。
一例である「知床観光船事故」では、船客傷害賠償責任保険の活用がされました。
事故の内容は、 令和4年4月23日に北海道知床半島沖合で、乗客26名を乗せた遊覧船が沈みかかっていると通報がありました。こちらの事故で乗客や船長などを含めた18名が死亡し、旅客6名が行方不明となりました。
この当時の出航状況は、知床遊覧船の運行基準を超えている状況のため、本来は運行を中止すべきでしたが、船長が出航させたのです。
事故後に行われた被害者の家族への説明会で、運営している社長は「船客傷害賠償責任保険」に加入していると説明しました。
こちらの事故では少なくとも20人ほどが保険金が支払われる対象となると考えられています。もし、船客傷害賠償責任保険に加入していない場合、保険の上限である1億円が全ての人に支払われたとすると、20億円ほどを保険で補償できたといえす。
そのため、船客傷害賠償責任保険に加入していなければ、20億円を自社で全て負担しなければならなかったのです。
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自社に最適なリスク対策がすぐにわかる方法とは
以下では、船舶運航事業者の方々に向けた、自社に最適なリスク対策がすぐにわかる方法を解説します。
船舶運航事業では、乗客の安全確保が最重要課題ですが、万が一の事故による賠償責任も大きなリスクとなります。事故発生時の高額な賠償金は、企業の存続をも脅かしかねないため、適切な船客傷害賠償責任保険への加入が不可欠です。
しかし、船客傷害賠償責任保険の補償内容や保険料は事業規模や船舶の種類、特約によっても異なるため、自社に最適な保険を選ぶには専門的な知識が必要です。
そこで、船舶運航事業者の方々には、法人保険の専門家に相談しながら、自社の事業内容に合った最適な船客傷害賠償責任保険を選ぶべきです。
そこで、マネーキャリアのように法人保険のプロへ「無料で何度でも」事業リスクを相談できるサービスを使う会社が増えているのです。
丸紅グループが運営するマネーキャリアは「80,000件以上の相談実績、98.6%の高い満足度」を誇ります。船舶運航事業者の方々の事業内容やリスク特性に合わせて、最適な船客傷害賠償責任保険のプランを提案してくれるので、保険選びの悩みを解消できます。
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まとめ:船客傷害賠償責任保険について
ここまで、知床の遊覧船事故の事例を交えて、船客傷害賠償責任保険の補償内容、保険料などを解説しました。
船客傷害賠償責任保険とは、保険の対象としている船舶(遊覧船や貨物船、通船)で、旅客の運送中に事故が起こった場合の損害賠償責任を補償する保険です。
補償内容は船客に対する損害賠償責任に関する費用、救助費用であるうえ、特約に加入することで補償範囲を拡大できます。保険料の計算は船舶の乗客定員数や船舶の重量、事故経験の有無などにより決められます。
船舶を運航する上で、乗客の安全を確保することは非常に重要であり、多くの船舶運航事業者が船客傷害賠償責任保険に加入することで、万が一の事故による乗客の傷害や死亡に対する賠償責任に備えようとしています。
しかし、船客傷害賠償責任保険には様々な種類があり、自社に最適な保険を選ぶことは簡単ではありません。実際に、保険はもちろん、どの特約が自社に最適なのか判断が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、船舶運航事業者の方々に向けて知床船舶事故の事例を参考に、船客傷害賠償責任保険の選び方や注意点、保険料などを詳しく解説します。
・現在、船舶運航事業を営んでいる方で、船客傷害賠償責任保険の選定に悩んでいる方
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は本記事を参考にすると、船客傷害賠償責任保険に関する知識を深め、自社のリスク対策を強固にする方法もわかります。