三井住友海上の請負業者賠償責任保険とは?保険料や補償金額等を解説

三井住友海上の請負業者賠償責任保険とは?保険料や補償金額等を解説-サムネイル画像

請負業者賠償責任保険とは、作業等の遂行中に第三者にケガをさせた場合などの、損害賠償金や争訟費用などを補償する保険です。三井住友海上でも提供しています。こちらの記事では、三井住友海上の請負業者賠償責任保険における補償内容や保険料などについて、詳しく解説しています。

請負業者賠償責任保険とは?


請負業者賠償責任保険とは、工事や作業の遂行中に対人、対物の損害が発生した際の損害賠償金や争訟費用などを補償するための損害保険です。


請負業者賠償責任保険では、「業務上の賠償事故」「設備の不備による賠償事故」のリスクに対して対策することができます。


工事現場では危険がつきものです。事故が起きないように徹底した準備をしていると思いますが、完全に事故が起こらないようにするのは難しいと言えます。


また下請けの方で、元請が保険に加入しているから大丈夫だと考えている方もいるのではないでしょうか?しかし元請けから損害保険の加入を求められるケースが増えているため、下請けでも必要な保険の一つとなってきています。


そこでこちらの記事では、三井住友海上が提供する請負業者賠償責任保険について以下の内容を解説します。

  • 三井住友海上の請負業者賠償責任保険の補償内容
  • 三井住友海上の請負業者賠償責任保険で支払われる保険金
  • 三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法

請負業者賠償責任保険が適用される具体的な事故の事例などについては、別の記事で解説しています。気になる方は以下からご覧ください。

三井住友海上の請負業者賠償責任保険の補償内容


三井住友海上の請負業者賠償責任保険の基本補償をみていきましょう。


基本補償では、以下の事故に起因して、他人の生命や身体を害したり、他人の財物を損壊した場合に、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害が補償されます。

  • 請負業務遂行中の事故
  • 請負作業遂行のために所有、使用または管理している施設の欠陥、管理の不備により発生した事故

例えば、以下のような場合がお支払い対象となる事例です。
  • ビル改装工事中に作業現場から電気ドリルを誤って落とし、通行人がケガをした
  • 工事中の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊した
  • 資材置場に積んであった材木がくずれ通行人がケガをした
上記のような事故は、人為的ミスによるもので、いくら対策をしていたとしても防ぎきることができない事故ですね。

事故が発生し被害者がケガをするだけでなく、後遺障害をおってしまったり、死亡してしまった場合は、本人や遺族から多額の損害賠償金を請求されます。

この保険は、こういった、業務遂行中の事故で賠償責任が生じた場合に補償される第三者賠償責任保険です。

業務終了後に発生した事故や、建設現場における自社所有の資材自体の修理費用などは補償対象外となりますのでご注意ください。

三井住友海上の請負業者賠償責任保険で付帯できる特約

三井住友海上の請負業者賠償責任保険には様々な特約が用意されています。


基本補償に、特約をあわせてセットすることで充実した補償になります。


代表的なものが以下の5つです。

  • 管理財物損壊補償特約
  • 借用財物損壊補償特約
  • 支給財物損壊補償特約
  • 工事遅延損害補償特約
  • 地盤崩壊危険補償特約

仕事の作業内容によっては、特約を付帯しないと保険金が支払われない場合があるので十分注意しましょう。

特に加入をおすすめするのが、管理財物損壊補償特約です。

管理財物損壊補償特約は、仕事を遂行するにあたり、直接的に作業を行っている財物などが損壊した場合を補償するものです。

仕事遂行中の事故なので、一見、基本補償の範囲で補償されるのでは?と思われがちですが、基本補償では、管理下にある財物の損壊については補償対象外となっています。

例えば、以下のような事故は、どうでしょうか?
  • エアコンの清掃作業中、誤ってエアコンを損壊させてしまった

清掃作業の対象物はエアコンとなり、これは管理下にあるとみなされます。エアコン自体を損壊させてしまった場合、家主から賠償請求をされる場合がありますが、基本補償では補償対象外となっています。

上記のような、管理下にある財物を補償したい場合は、「管理財物損壊補償特約」をセットで契約しましょう。

事業内容によっては、「借用財物損壊補償特約」「支給財物損壊補償特約」がマッチする場合もありますのでこちらもあわせてご検討ください。

自社に必要な特約は何か?他社との比較がどうか?など詳しく聞きたい場合は、「マネーキャリア」でご相談ください。

三井住友海上の請負業者賠償責任保険で支払われる保険金


三井住友海上の請負業者賠償責任保険の基本補償で支払われる保険金には以下の6種類があります。

  1. 損害賠償金
  2. 損害防止費用
  3. 権利保全行使費用
  4. 緊急措置費用
  5. 協力費用
  6. 争訟費用

1~4の費用については、支払限度額を限度として、保険証券記載の免責金額を差し引いた全額が支払われます。

上記5と6については支払限度額はありませんが、損害賠償金が支払限度額を超える場合のみ、6については以下の式で計算された金額が支払われます。

保険金として支払われる争訟費用=争訟費用✕支払限度額/法律上の損害賠償金


協力費用は、保険会社が発生した事故の解決にあたる際に、協力する費用を、争訟費用は、弁護士報酬などの費用が対象です。

通常、第三者賠償事故は、損害賠償額が確定するまでには時間がかかるため、損害賠償金以外にも費用が受け取れるのはありがたいですね。

特約で支払われる保険金

三井住友海上でオプションで用意されている代表的な5つの特約では、どういった場合に補償対象となるのか、支払われる保険金を見ていきましょう。


管理財物損壊補償特約

管理財物損壊補償特約は、仕事を遂行するにあたり、現実かつ直接的に作業を行っている財物など、管理下にある財物の損壊により損害賠償責任を負担することによって被る損害について、基本補償の財物損壊の支払限度額の範囲で、補償してくれるものです。

例えば、以下のような事故がお支払い対象です。
  • 住宅のリフォーム作業中、誤って壁に穴をあけてしまった

借用財物損壊補償特約

借用財物損壊補償特約は、仕事の遂行のためにリース・レンタル契約などにもとづき借用する財物を損壊したことにより損害賠償責任を負担することによって被る損害について、補償されるものです。

例えば、以下のような事故がお支払い対象です。
  • リースしたクレーン車を作業場内で保管中、工具をぶつけてアームを破損させてしまった
こういった場合、リース業者に対して賠償責任を負いますので、加入しておくと安心です。

支給財物損壊補償特約

支給財物損壊補償特約は、仕事の遂行のために支給された資材や商品などの財物を損壊したことにより損害賠償責任を負担することによって被る損害について、補償されるものです。

例えば以下のような事故がお支払い対象です。
  • 発注者から支給されたリフォーム用の資材を誤って損壊してしまった
こういった場合、発注者に対して賠償責任を負いますが、こちらに加入しておけば安心です。

工事遅延損害補償特約

工事遅延損害補償特約は、基本補償で支払対象となる事故の発生によって、対象工事の請負契約書において約定された履行期日の翌日から起算して、6日以上の工事遅延が発生したことで、発注者に対して損害賠償責任を負う場合に補償されます。

例えば以下のような事故がお支払い対象です。
  • 工事中の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊したことで、工事が中断されたため、履行期日を7日間超過してしまった

建設工事業者をはじめ長期的に作業するような事業者など、対象工事の請負契約書に工事遅延による賠償金や違約金が定められている場合は加入しておくべき特約です。

地盤崩壊危険補償特約

地盤崩壊危険補償特約は、地下工事や基礎工事または土地の掘削工事に伴う以下のような場合に補償対象となります。
  • 不測かつ突発的に発生した土地の沈下、隆起、土砂崩れ等に起因して土地の工作物や植物、動物等に損害を与えたことによる損害賠償責任
  • 地下水の増減によって生ずる地盤の崩壊に起因して財物を損壊したことによる損害賠償責任

土地の掘削工事等を行う事業者は、加入しておくべき特約と言えます

三井住友海上の請負業者賠償責任保険で保険金が支払われない場合

三井住友海上の請負業者賠償責任保険で保険金が支払われない場合について解説します。


以下のような場合は、基本補償では保険金がお支払いされません。

  • 保険契約者または被保険者の故意によって生じた損害賠償責任
  • 被保険者と第三者との間に損害賠償に関する特別の約定がある場合においてその約定によって加重された損害賠償責任
  • 被保険者と生計をともにする同居の親族に対する損害賠償責任
  • 被保険者の使用人が、被保険者の業務に従事中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任
  • 地震、噴火、洪水、津波または高潮に起因する損害賠償責任

また、基本補償で保険金が支払われない場合で、オプションの特約を付帯することで補償対象となるものがあります。
  • 被保険者が所有、使用または管理する財物の損壊について、その財物につき正当な権利を有する者に対して負担する損害賠償責任

この場合は、管理財物損壊補償特約・借用財物損壊補償特約・支給財物損壊補償特約をセットすることで一部が補償されます。どの特約をセットするかは、自社の事業にあった内容を選択いただく必要があります。

そのほか、以下のような場合も保険金がお支払いされませんが、これらは他の保険を契約することで補償されます。
  • 仕事の終了または放棄のあとに、仕事の結果に起因する損害賠償責任
  • 被保険者の占有を離れ施設外にある財物に起因する損害賠償責任

このような場合を補償したいときは、PL保険(生産物賠償責任保険)に別途加入する必要がありますので注意しましょう。

記載したもの以外にも保険金が支払われない場合があります。

詳しくは、三井住友海上の請負業者賠償責任保険のパンフレットや約款をご確認いただくか、「マネーキャリア」でご相談ください。

三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法


三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法をご紹介します。


契約できるのは、法人だけではなく、個人事業主でも加入できます。


特に、個人事業主や一人親方の場合は、万が一事故により多額の賠償責任を負ってしまうと事業だけでなく、生活自体も厳しくなることが想定されますので、しっかり備えておきましょう。


この請負業者賠償責任保険の対象となる業種は、以下の業種です。

  • 各種地下工事
  • 道路建設工事、道路等の舗装工事
  • 軌道建設工事
  • ビル建設工事
  • 橋りょう建設工事
  • 各種建築物設備工事
  • 移動・解体・取壊工事
  • プラント・機械装置の組立・据付工事
  • 高層構築物(鉄塔・高架線等)建築工事
  • 建築物設備・機械装置等の改修または維持工事
  • 土地造成工事
  • 荷役
  • 掃除
  • 造園
  • 芝刈・草刈・除草作業
  • 殺虫殺鼠(害虫等駆除)
  • 引越・運送
  • 撮影・取材
  • 除雪
  • 調査・測量
  • 放置車両確認業務
  • ビルメンテナンス業務 など

対象とならない工事や作業もあるため、詳細は三井住友海上に確認することをおすすめします。

その他、以下についても解説していきます。

  • 契約方式を決定する
  • 支払限度額と免責金額を設定する
  • 保険料を算出する

①契約方式を決定する

まずは契約方式を決定しましょう。


三井住友海上では、契約方式を以下2つのパターンから決定します。

  • 個別スポット契約
  • 年間包括契約

それぞれ解説していきます。


個別スポット契約

個別スポット契約は、個々の工事、仕事ごとに保険を手配する契約です。保険期間は工事や仕事の内容にあわせて設定します。


工事遅延等に備えて、保険期間を仕事の期間より長めに設定することも可能です。


年間包括契約

年間包括契約は、あらかじめ定めた範囲の工事・仕事について一括して保険を手配します。保険期間は1年間で、その間に実施する工事・仕事が対象です。

例えば、「施工するビル建設工事のすべて」など、決定した範囲の仕事を包括して引き受けます。

年間包括契約であれば、都度契約する手間が省けます。また、保険の付保漏れも防ぐことができるのでおすすめです。

②支払限度額と免責金額を設定する

支払限度額とは、事故が発生した場合に保険会社から払われる保険金の限度額です。


また、免責金額とは、1事故ごとに適用され、損害の額から免責金額を差し引き、お支払いされます。


支払限度額と免責金額は、基本補償と特約でわけて設定するものがあります。


基本補償では、「身体障害」と「財物損壊」について例えば以下のように設定します。

  • 身体障害:1億円(1名につき)/2億円(1事故につき)
  • 財物損壊:1,000万円(1事故につき)

上記のように分けて設定することも可能ですが、身体障害・財物損壊で共通の支払限度額を設定することも可能です。

免責金額はも同様に、「身体障害」と「財物損壊」に分けて設定します。

三井住友海上では、代表的な5つの特約については以下の通り支払限度額と免責金額を設定します。

特約 支払限度額
(1回の事故あたり)
免責金額
(1事故あたり)
管理財物損壊
補償特約
財物損壊の支払限度額を適用財物損壊と同じ
借用財物損壊
補償特約 
「100万円」
「500万円」
「1,000万円」
のいずれかで設定
財物損壊と同じ
支給財物損壊
補償特約 
「100万円」
「500万円」
「1,000万円」
のいずれかで設定
財物損壊と同じ
工事遅延損害
補償特約 
「対象工事の
請負契約書規定の
工事遅延による
損害賠償金
または違約金の額」
「1,000万円」
「身体障害の支払限度額」
「財物損壊の支払限度額」
のいずれか低い金額
財物損壊と同じ
地盤崩壊危険
補償特約
「500万円」
「1,000万円」
「2,000万円」
 のいずれかで設定 
「100万円」
「200万円」
「300万円」
「500万円」
のいずれかで設定


支払限度額は、何を対象とする工事なのか、どんな事故が想定されるかによって設定するとよいでしょう。


自社の事業に必要な支払限度額の設定方法など、詳しくは「マネーキャリア」で専門家にご相談ください。

③保険料を算出する

三井住友海上の請負業者賠償責任保険の保険料は以下の情報をもとに算出されます。

  • 保険の対象となる工事、仕事の内容、規模(請負金額、完成工事高・売上高)
  • 支払限度額
  • 保険期間
  • 免責金額
  • セットする特約 など

請負金額や完成工事高・売上高については、数値が確認できるお客さま内部の資料の提出が必要になります。

たとえば、年間見込み完成工事高2億円のビル建設業で以下のような年間包括契約をする場合の暫定保険料は、約552,000円です。
区分支払限度額
(1名/1事故)
免責金額
(1事故につき)
身体障害1億円/2億円1,000円
財物損壊ー/1億円1,000円
年間見込み完成工事高で暫定保険料を算出した場合は、保険期間終了後に確定した完成工事高で確定保険料を算出し、差額を精算します。

保険料は、各種割引が適用できる場合もあります。

詳しくは保険会社にご確認いただくか、「マネーキャリア」で一度ご相談ください。

まとめ:三井住友海上の請負業者賠償責任保険について


ここまで、三井住友海上の請負業者賠償責任保険について解説しました。


この記事の概要が以下です。

  • 三井住友海上の請負業者賠償責任保険は業務遂行中の事故を補償
  • 事故が起きないように準備をしても、人為的ミスなど、完全に事故が起こらないようにするのは難しいので加入しておくと安心
  • 作業中に管理下にある財物の事故を補償したい場合は、管理財物損壊補償特約がおすすめ
  • 仕事の終了後や、結果に起因する事故は別途、PL保険を契約する必要がある
  • 三井住友海上の請負業者賠償責任保険は、個人事業主や一人親方でも加入できる
  • 支払限度額と免責金額は、基本補償と特約でわけて設定する必要がある

三井住友海上の請負業者賠償責任保険は、基本補償に代表的な特約5つと、シンプルな補償内容でありながら、特約ごとに支払限度額を設定できたりと細かな調整ができます。そのため、保険料を安く抑えたい方にもおすすめです。

ほけんROOM」では、請負業者賠償責任保険以外にも、各種損害保険に関する記事を掲載していますので、他の保険にも興味がある方はぜひご覧ください。

詳しい補償内容や、保険の見直しなどは、相談満足度98.6%で累計相談件数は40,000件を超える実績がある「マネーキャリア」でご相談ください。

このページは保険の特徴を説明したものです。詳細は三井住友海上の請負業者賠償責任保険商品パンフレットをご覧ください。

募集文書番号:B23-101018(2024年2月承認)

ランキング