更新日:2024/02/21
三井住友海上の請負業者賠償責任保険とは?保険料や補償金額等を解説
請負業者賠償責任保険とは、作業等の遂行中に第三者にケガをさせた場合などの、損害賠償金や争訟費用などを補償する保険です。三井住友海上でも提供しています。こちらの記事では、三井住友海上の請負業者賠償責任保険における補償内容や保険料などについて、詳しく解説しています。
目次を使って気になるところから読みましょう!
請負業者賠償責任保険とは?
請負業者賠償責任保険とは、工事や作業の遂行中に対人、対物の損害が発生した際の損害賠償金や争訟費用などを補償するための損害保険です。
請負業者賠償責任保険では、「業務上の賠償事故」、「設備の不備による賠償事故」のリスクに対して対策することができます。
工事現場では危険がつきものです。事故が起きないように徹底した準備をしていると思いますが、完全に事故が起こらないようにするのは難しいと言えます。
また下請けの方で、元請が保険に加入しているから大丈夫だと考えている方もいるのではないでしょうか?しかし元請けから損害保険の加入を求められるケースが増えているため、下請けでも必要な保険の一つとなってきています。
そこでこちらの記事では、三井住友海上が提供する請負業者賠償責任保険について以下の内容を解説します。
- 三井住友海上の請負業者賠償責任保険の補償内容
- 三井住友海上の請負業者賠償責任保険で支払われる保険金
- 三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法
三井住友海上の請負業者賠償責任保険の補償内容
三井住友海上の請負業者賠償責任保険の基本補償をみていきましょう。
基本補償では、以下の事故に起因して、他人の生命や身体を害したり、他人の財物を損壊した場合に、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害が補償されます。
- 請負業務遂行中の事故
- 請負作業遂行のために所有、使用または管理している施設の欠陥、管理の不備により発生した事故
- ビル改装工事中に作業現場から電気ドリルを誤って落とし、通行人がケガをした
- 工事中の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊した
- 資材置場に積んであった材木がくずれ通行人がケガをした
三井住友海上の請負業者賠償責任保険で付帯できる特約
三井住友海上の請負業者賠償責任保険には様々な特約が用意されています。
基本補償に、特約をあわせてセットすることで充実した補償になります。
代表的なものが以下の5つです。
- 管理財物損壊補償特約
- 借用財物損壊補償特約
- 支給財物損壊補償特約
- 工事遅延損害補償特約
- 地盤崩壊危険補償特約
- エアコンの清掃作業中、誤ってエアコンを損壊させてしまった
三井住友海上の請負業者賠償責任保険で支払われる保険金
三井住友海上の請負業者賠償責任保険の基本補償で支払われる保険金には以下の6種類があります。
- 損害賠償金
- 損害防止費用
- 権利保全行使費用
- 緊急措置費用
- 協力費用
- 争訟費用
保険金として支払われる争訟費用=争訟費用✕支払限度額/法律上の損害賠償金
特約で支払われる保険金
三井住友海上でオプションで用意されている代表的な5つの特約では、どういった場合に補償対象となるのか、支払われる保険金を見ていきましょう。
管理財物損壊補償特約
- 住宅のリフォーム作業中、誤って壁に穴をあけてしまった
- リースしたクレーン車を作業場内で保管中、工具をぶつけてアームを破損させてしまった
- 発注者から支給されたリフォーム用の資材を誤って損壊してしまった
- 工事中の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊したことで、工事が中断されたため、履行期日を7日間超過してしまった
- 不測かつ突発的に発生した土地の沈下、隆起、土砂崩れ等に起因して土地の工作物や植物、動物等に損害を与えたことによる損害賠償責任
- 地下水の増減によって生ずる地盤の崩壊に起因して財物を損壊したことによる損害賠償責任
三井住友海上の請負業者賠償責任保険で保険金が支払われない場合
三井住友海上の請負業者賠償責任保険で保険金が支払われない場合について解説します。
以下のような場合は、基本補償では保険金がお支払いされません。
- 保険契約者または被保険者の故意によって生じた損害賠償責任
- 被保険者と第三者との間に損害賠償に関する特別の約定がある場合においてその約定によって加重された損害賠償責任
- 被保険者と生計をともにする同居の親族に対する損害賠償責任
- 被保険者の使用人が、被保険者の業務に従事中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任
- 地震、噴火、洪水、津波または高潮に起因する損害賠償責任
- 被保険者が所有、使用または管理する財物の損壊について、その財物につき正当な権利を有する者に対して負担する損害賠償責任
- 仕事の終了または放棄のあとに、仕事の結果に起因する損害賠償責任
- 被保険者の占有を離れ施設外にある財物に起因する損害賠償責任
三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法
三井住友海上の請負業者賠償責任保険に加入する方法をご紹介します。
契約できるのは、法人だけではなく、個人事業主でも加入できます。
特に、個人事業主や一人親方の場合は、万が一事故により多額の賠償責任を負ってしまうと事業だけでなく、生活自体も厳しくなることが想定されますので、しっかり備えておきましょう。
この請負業者賠償責任保険の対象となる業種は、以下の業種です。
- 各種地下工事
- 道路建設工事、道路等の舗装工事
- 軌道建設工事
- ビル建設工事
- 橋りょう建設工事
- 各種建築物設備工事
- 移動・解体・取壊工事
- プラント・機械装置の組立・据付工事
- 高層構築物(鉄塔・高架線等)建築工事
- 建築物設備・機械装置等の改修または維持工事
- 土地造成工事
- 荷役
- 掃除
- 造園
- 芝刈・草刈・除草作業
- 殺虫殺鼠(害虫等駆除)
- 引越・運送
- 撮影・取材
- 除雪
- 調査・測量
- 放置車両確認業務
- ビルメンテナンス業務 など
その他、以下についても解説していきます。
- 契約方式を決定する
- 支払限度額と免責金額を設定する
- 保険料を算出する
①契約方式を決定する
まずは契約方式を決定しましょう。
三井住友海上では、契約方式を以下2つのパターンから決定します。
- 個別スポット契約
- 年間包括契約
それぞれ解説していきます。
個別スポット契約
個別スポット契約は、個々の工事、仕事ごとに保険を手配する契約です。保険期間は工事や仕事の内容にあわせて設定します。
工事遅延等に備えて、保険期間を仕事の期間より長めに設定することも可能です。
年間包括契約
②支払限度額と免責金額を設定する
支払限度額とは、事故が発生した場合に保険会社から払われる保険金の限度額です。
また、免責金額とは、1事故ごとに適用され、損害の額から免責金額を差し引き、お支払いされます。
支払限度額と免責金額は、基本補償と特約でわけて設定するものがあります。
基本補償では、「身体障害」と「財物損壊」について例えば以下のように設定します。
- 身体障害:1億円(1名につき)/2億円(1事故につき)
- 財物損壊:1,000万円(1事故につき)
三井住友海上では、代表的な5つの特約については以下の通り支払限度額と免責金額を設定します。
特約 | 支払限度額 (1回の事故あたり) | 免責金額 (1事故あたり) |
---|---|---|
管理財物損壊 補償特約 | 財物損壊の支払限度額を適用 | 財物損壊と同じ |
借用財物損壊 補償特約 | 「100万円」 「500万円」 「1,000万円」 のいずれかで設定 | 財物損壊と同じ |
支給財物損壊 補償特約 | 「100万円」 「500万円」 「1,000万円」 のいずれかで設定 | 財物損壊と同じ |
工事遅延損害 補償特約 | 「対象工事の 請負契約書規定の 工事遅延による 損害賠償金 または違約金の額」 「1,000万円」 「身体障害の支払限度額」 「財物損壊の支払限度額」 のいずれか低い金額 | 財物損壊と同じ |
地盤崩壊危険 補償特約 | 「500万円」 「1,000万円」 「2,000万円」 のいずれかで設定 | 「100万円」 「200万円」 「300万円」 「500万円」 のいずれかで設定 |
支払限度額は、何を対象とする工事なのか、どんな事故が想定されるかによって設定するとよいでしょう。
自社の事業に必要な支払限度額の設定方法など、詳しくは「マネーキャリア」で専門家にご相談ください。
③保険料を算出する
三井住友海上の請負業者賠償責任保険の保険料は以下の情報をもとに算出されます。
- 保険の対象となる工事、仕事の内容、規模(請負金額、完成工事高・売上高)
- 支払限度額
- 保険期間
- 免責金額
- セットする特約 など
区分 | 支払限度額 (1名/1事故) | 免責金額 (1事故につき) |
---|---|---|
身体障害 | 1億円/2億円 | 1,000円 |
財物損壊 | ー/1億円 | 1,000円 |
まとめ:三井住友海上の請負業者賠償責任保険について
ここまで、三井住友海上の請負業者賠償責任保険について解説しました。
この記事の概要が以下です。
- 三井住友海上の請負業者賠償責任保険は業務遂行中の事故を補償
- 事故が起きないように準備をしても、人為的ミスなど、完全に事故が起こらないようにするのは難しいので加入しておくと安心
- 作業中に管理下にある財物の事故を補償したい場合は、管理財物損壊補償特約がおすすめ
- 仕事の終了後や、結果に起因する事故は別途、PL保険を契約する必要がある
- 三井住友海上の請負業者賠償責任保険は、個人事業主や一人親方でも加入できる
- 支払限度額と免責金額は、基本補償と特約でわけて設定する必要がある