北海道胆振東部地震の被害から考える、火災保険の必要性について
更新日:2019/02/11
掲載日:2019/02/11
2018年9月6日に発生した、胆振地方中東部を震源とした北海道胆振東部地震について関心をお持ちで調べていることでしょう。本記事では、北海道胆振東部地震での被害を説明します。これを読めば、地震への備えとして火災保険へ加入することを考えるキッカケができるでしょう。
地震保険に入るべき?北海道胆振東部地震の被害状況から考察
北海道胆振東部地震の被害状況
連日ニュースで大きく取り上げられていた北海道胆振東部地震ですが、どの程度の規模でどのような被害があったのでしょうか。
当初は停電のせいで正しい情報が得られなかった方も多いのではないかと思います。
そこで、この地震を改めて振り返るために
- 北海道胆振東部地震の各地の震度や被害状況
- 地震による停電の影響について
- 津波による被害はあったのか
これらのことについて、詳しくお伝えしていきます。
胆振地方中東部が震源地、最高震度7。札幌でも震度3
北海道胆振東部地震の規模はマグニチュード6.7、北海道の胆振(いぶり)地方中東部を震源地とし、震源の深さは37 kmでした。
最大震度は厚真町鹿沼(あつまちょうしかぬま)の震度7です。
これは震度を表す階級で最も高いレベルで、北海道では初めて観測されました。
震度7とは、
- 立っていることができない
- 這わないと動くことができなず、飛ばされることもある
- 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある
という状況です。
なお、札幌市内でも東区が震度6弱を記録し、市内では観測史上最大となりました。
他にも清田区・白石区・手稲区で震度5強、厚別区・豊平区・西区が震度5弱が観測されています。
この揺れにより、死者41人・負傷者749人・住家の全壊415棟・半壊1,346棟・一部破損8,607棟という大きな被害が生じました。
北海道内全295万戸で停電が発生
この地震で北海道内すべての火力発電所が緊急停止し、全道で約295万戸が停電となりました。
ここまでの大規模停電は、日本では初めてのことです。
鉄道や航空などの交通機関も影響を受け、固定電話3万4,000回線が不通となり、携帯電話も極めてつながりにくい状態となりました。
しかし、なぜ震源地に近い苫東厚真発電所だけではなく他の火力発電所まで停止してしまったのでしょうか?
電力供給システムは、すべての発電機が協力しながら電力を供給する仕組みになっています。
その一部がストップしても他でカバーできれば良いのですが、過負荷になると自分まで故障しないよう自動的に止まるようになっているのです。
完全なパワーではないものの、とりあえずほぼ全戸に電気が復旧したのは翌々日の8日未明のことでした。
奥尻島では津波も発生
北海道胆振東部地震は東日本大震災のような海溝型ではなく直下型であるため、津波は発生しませんでした。
1993年の北海道南西沖地震では奥尻島を大津波が襲っていますが、この地震については後述します。
現在文部科学省の地震調査委員会は、北海道の太平洋側に延びる千島海溝でマグニチュード9級の巨大地震が発生する可能性が高いと評価しています。
この地震の発生間隔は340~380年で、前回から約400年が経過しているため今後30年以内の発生確率は最大40%とされています。
もし千鳥海溝で巨大地震が発生すれば、津波による大きな被害は避けられません。
地震による経済的影響:被害額3675億円
ここまでは、各地の震度や被害状況の概要についてお伝えしてきました。
では、この地震により北海道にはどの程度の経済的影響があったのでしょうか。
北海道胆振東部地震による道内の被害額は、トータルで3,675億5,100万円とされています。
ここからは具体的にどのような損失があったのか、北海道を代表する産業の中から
- 観光産業
- 酪農業
この二つにスポットを当てて説明していきたいと思います。
北海道の観光産業への影響は292億円
地震後には、もちろん北海道旅行のキャンセルが続出しました。
当初は、北海道内の宿泊施設をキャンセルした観光客は94万2,000人、金額にして117億2,500万円と発表されました。
観光バスなどのキャンセルや飲食・土産物などの販売機会損失などを合わせると、観光全体での被害は292億円に達するとの推計でした。
しかしその後、同年9月末までにキャンセル客の人数は114万9,000人に増加し、宿泊費以外の項目も合わせれば観光への総影響額は356億円に達しています。
観光が主要産業の一つである北海道にとって、観光客の減少は死活問題になり得るのです。
停電による生乳廃棄
地震にともなう停電は、生乳生産量が全国の50%以上を占める北海道の酪農業界にも大きな被害をもたらしました。
まず、出荷先の乳業工場が停止しているため生乳を出荷できません。
しかし乳牛は毎日乳搾りをしないと体調が悪くなってしまうため、搾乳は止められないのです。
したがって北海道の酪農家の多くは、搾ってはそれを捨てるという作業を繰り返さざるを得なくなってしまいました。
搾乳は搾乳機という電動の機械を使いますが、発電機を持つ酪農家は少ないため、借りるなどして順番に搾乳をしてしのぐ以外に方法はありません。
特に酪農が盛んな根室管内からは「生乳の廃棄は1日あたり2億円の損失」との報告も出ています。
過去には道南・南西沖でも地震発生
1993年の北海道南西沖地震で奥尻島を襲った大津波では、死者・行方不明者が198人に上りました。
これは奥尻島の人口の4%にあたります。
この大津波による津波火災も多く発生し、特に青苗地区では津波直後風速10m近い風の影響から炎が燃え広がり被害が拡大しました。
津波火災とは、漁船や車両の燃料や家庭用のガスが漏電などで引火し、津波で流された瓦礫が炎上するという現象です。
東日本大震災では宮城県気仙沼市をはじめ、東北地方沿岸部の多くの町でこの津波火災が発生しました。
なお、北海道で過去に発生した大きな地震の大半は南東側の海沿いで発生しているため、北海道胆振東部地震のような内陸部での地震は珍しいといえます。
地震の被害は火災保険の地震保険特約で補償
地震保険に加入しておけば、火災保険では補償できない「地震や噴火・それにともなう津波の被害」をカバーすることができます。
地震保険は火災保険に付帯して契約できる特約ともいえるもので、単独での契約はできません。
地震保険は「半公的保険」であるため、どの損保会社によって内容は同じです。
ただしその保険料は、設定した保険金額・住む地域の地震リスク・建物の構造・建築年数・耐震診断などによって異なります。
なお、地震保険の補償上限額は火災保険で設定した保険金額の30%~50%の間で「建物5,000万円・家財1,000万円」を限度として任意に決めることになります。
それ以上の被害があっても、上限額以上の補償を受けることはできません。
地震保険だけでは不足と感じるなら、単独で加入できる民間の地震補償保険という商品で補償を上乗せすることもできます。
まとめ:火災保険で地震の被害に備えよう
北海道胆振東部地震から考える火災保険の必要性についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは、
- 2018年9月6日に、北海道観測史上最大の北海道胆振東部地震が発生し、甚大な被害をもたらした
- 北海道は過去にも地震や津波により大きな被害を受けている
- 北海道では今後も大地震が起こる可能性があるため、地震保険に加入して被害に備えるべき
以上のことでした。
2019年1月地震保険料が改定されましたが、直近に発生した北海道胆振東部地震は影響しておらず、今回北海道の保険料はむしろ下がっています。
北海道にお住まいの皆さんは、ぜひ次回の改定で保険料が上がる前に地震保険へ加入しておきましょう。
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2018年9月6日に、胆振地方(いぶり)中東部を震源とした北海道胆振東部地震が発生しました。
あまり地震が多いイメージのない北海道で起こった大惨事に、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
特に北海道にお住まいの方は、緊急時の備えや保険加入などの地震対策を強化しなければならないと強く感じたことでしょう。
そこで、この記事では北海道胆振東部地震から考える火災保険の必要性について、
以上のことを中心にお伝えしていきます。
この記事を読めば、今後ふたたび北海道が地震にみまわれた場合の被害状況が予測でき、あなたが備えるべき保険についてお分かりいただけるはずです。
ぜひ、最後までご覧になってください。