更新日:2020/05/23
火災保険は未加入だとどうなる?火災保険に入らないリスクを解説
火災保険に未加入の場合、火災が起きた時の損害額が全て自己負担になり多大なリスクが生じます。火災保険の加入が強制されるのは住宅ローン契約時と賃貸アパート・賃貸マンション契約時であり、それ以外は火災保険の加入は義務ではないものの、火災保険の未加入率は低くいです。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 火災保険は未加入だとどうなる?火災保険に加入しないリスクとは
- 火災保険に未加入だと損害額が全額自己負担になる
- 火事で建物が損壊した場合被害額は2000万円を超えることもある
- 参考:火災保険の未加入率は低い
- 参考:地震保険の未加入率
- 火災保険の未加入が認められないケース
- 未加入が認められないケース①マンションやアパートなどの賃貸契約時
- 未加入が認められないケース②住宅ローン契約時
- 火災保険の未加入で火事が起きた場合の自己負担額の下げ方
- 未加入時の対策①自治体からの災害見舞金を受け取る
- 未加入時の対策②隣家に故意・重過失があったら損害賠償金を請求する
- 未加入時の対策③地方自治体の一般廃棄物処理減免制度を利用する
- 補足:自己負担できない時は低金利融資制度を利用する
- 火災保険の未加入はリスク大!火災保険にお得に加入する方法とは?
- まとめ:火災保険の未加入のリスクを理解して火災保険に加入しよう
目次
火災保険は未加入だとどうなる?火災保険に加入しないリスクとは
火災保険に加入を検討している方の中には、「火災保険には未加入でも大丈夫?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
保険料といえば、生命保険料や自動車保険料など負担するものが多いので、できれば未加入で済ませたいと思うかもしれません。
確かに、火災のリスクはそれほど高くないため、加入する必要性があまり感じられないのも事実です。
しかし、火災保険に未加入の場合、もし火災などの事故が起きたときに多額の損害金を自分で支払わなければなりません。
ここでは、火災保険に未加入でも大丈夫なのかどうかを判断するために、
- 火災保険に未加入の場合のリスクはどういったものがあるのか?
- 火災保険の未加入で火事が起きた場合はどうしたら良いのか?
- 火災保険にお得に加入する方法
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、火災保険に未加入の場合のリスクや加入が必要なケースなどについてお分かりいただけると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
火災保険に未加入だと損害額が全額自己負担になる
火災保険に未加入で家が火事になった場合、現状回復にかかる全ての費用を自己負担しなくてはなりません。
火災保険の加入に法的義務はなく、強制ではないのですが、もらい火による火事の場合でも火災保険に未加入であれば、全て自己負担することになります。
わが国では、火災に関する法律の中に「失火責任法」があります。
失火責任法とは、過失によって火災を発生させた場合、原則として民法上の損害賠償責任を負わないことを定めている法律です。
よって、もらい火しても火元には賠償金を一切請求できず、自己負担となってしまうわけです。
火事で建物が損壊した場合被害額は2000万円を超えることもある
生命保険や自動車保険は「入らなければ!」と感じている方が多くいる一方で、火災保険についてはそれほど危機感を感じている方は少ないです。
もしも家が火事になったら大変だとは思いつつも、自分の家が火事になる可能性はほとんどないと思いがちです。
そのため、火災保険の必要性をそれほど感じていないと思われますが、火事は絶対に自分の身に起こらないということはありません。
万が一、自分の家が火事になった場合、家の立て直しにかかる費用は家のグレードにもよりますが、大手ハウスメーカーの場合だと2,000万円〜4,000万円、地方工務店の場合でも1,000〜1,700万円程度かかってしまいます。
その場合、火災保険に加入していれば補償を受けることができますが、未加入の場合は全額自分で支払わなければなりません。
「うちは大丈夫だろう」と考えずに、実際の被害がどれほど大きいものなのかを知っておくことも大切です。
参考:火災保険の未加入率は低い
まず初めに、実際の火災件数を見てみましょう。
消防庁の調査によると、火災の件数はここ10年でおおむね減少傾向にあり、平成30年度の出火件数は37,981 件でうち建物火災は20,764件にのぼります。これは、10年前と比べると約3割減少しています。
また、平成30年度の世帯数は58,007,536世帯で、単純計算すると、火災が起こる確率は約0.03%になります。
ここからは、火災保険の未加入率及び、台風や水漏れを補償する水災補償の未加入率について、見ていきましょう。
火災保険の未加入率
火災保険への加入率は約80%となっており、未加入率はわずか20%に留まっています。
生命保険や医療保険、自動車保険の加入率と比較しても、かなり高い割合です。
特に、住宅が密集している地域では、火災保険への加入率はほぼ100%になっているところもあり、その必要性が分かります。
また、火災保険に未加入の割合が低い理由として、基本的に住宅ローンを組むときなどは火災保険への加入が義務付けられていることが挙げられます。
火災保険に未加入でもいいのは、持家で住宅ローンが完済しているケースのみとなります。
台風や水漏れを補償する水災補償の未加入率
火災保険には、水災にあった時のために「水災補償」が組み込まれています。
「水災」とは、大雨や台風、集中豪雨、洪水、土砂崩れなどによる災害を指しています。
火災保険の加入者のうち、水災の補償を付けている人は66%になり、未加入率は34%にのぼります。約4割の方が水災補償を外してしまうわけです。
参考:地震保険の未加入率
都道府県別にみると、未加入率が高いのは高い順に沖縄県、長崎県、島根県となっており、沖縄県では84.6%にのぼります。
一方、未加入率が低いのは低い順に宮城県、愛知県、熊本県となっており、宮城県では47.9%にのぼっています。
宮城県では東日本大震災後、地震保険への加入が増加しました。全国で見ても、地震・津波の被害が多い地域は加入率が高い傾向にあります。
火災保険の未加入が認められないケース
ここまで、火災保険に未加入の場合のリスクと現状の未加入率について説明してきました。
火災にあった際のリスクは大きく、また、年々と地震や洪水などの水災も増えてきていることから、火災保険へ加入する必要性があることをお分かりいただけたかと思います。
実は、火災保険には未加入が認められないケースがあります。
- 賃貸物件の契約をするケース
- 住宅ローンを組むケース
ここからは、火災保険の未加入が認められない上記2つのケースについて、詳しく説明していきます。
未加入が認められないケース①マンションやアパートなどの賃貸契約時
マンションやアパートなどの賃貸物件を借りる際には、一般的に家財の火災保険に加入することが義務付けられています。
契約の際の手続きの一つで火災保険に加入しているはずですが、加入したことを覚えていない方もいらっしゃるかもしれません。
賃貸物件の場合、建物や部屋そのものにはオーナーが火災保険に加入していますが、各部屋内の家具家財については、各自火災保険に加入して万が一に備える必要があります。
先にもご説明したように、失火責任法により、隣家から燃え移ってきた火災については補償してもらえないためです。
未加入の場合は自分で全額を補償することになってしまいます。
未加入が認められないケース②住宅ローン契約時
住宅ローンを組んだときは、銀行から指定された条件を満たす火災保険に加入する必要があります。
火災保険の条件は、銀行によって異なりますが、一般的には次の2点が条件になることが多いです。
- 加入期間は10年(ただし、ローン期間が10年未満の場合はローン年数)
- 建物評価額以上の保険金額を設定する
住宅ローンを組むと、その返済だけで大きな負担となるため、火災保険料はなるべく安く抑えたいものです。
保険会社によって保険料が異なりますので、同じ条件でなるべく安い保険料のところを選ぶようにしましょう。
火災保険の未加入で火事が起きた場合の自己負担額の下げ方
前にも述べたように、火災保険に未加入の場合で万が一火災が起きた場合、全額自分で支払わなければならず、負担はかなり大きいものになるでしょう。
ですが、救済措置として、小額ですが自己負担額を減らす方法があります。
- 自治体からの災害見舞金を受け取る
- 損害賠償金を請求する(隣家に故意・重過失があった場合)
- 一般廃棄物処理減免制度を利用する
未加入時の対策①自治体からの災害見舞金を受け取る
火災保険に未加入の場合でも、万が一火災が起きた場合、自治体から災害見舞金を受け取ることができます。
参考として、一部自治体の火災、床上浸水にあった場合、負傷や死亡した場合の災害見舞金は以下の通りです。
港区 | 横浜市 | 大阪市 | 福岡市 | 札幌市 | |
---|---|---|---|---|---|
全焼 (単身世帯 ・一般世帯) | 50,000円 70,000円 | 30,000円 50,000円 | 40,000円 | 100,000円 | 30,000円 |
半焼 (単身世帯 ・一般世帯) | 40,000円 50,000円 | 20,000円 30,000円 | 20,000円 | 50,000円 | 20,000円 |
床上浸水 (単身世帯 ・一般世帯) | 40,000円 50,000円 | 10,000円 20,000円 | 0円 | 30,000円 | 20,000円 |
負傷 (1人当たり) | 40,000円 | 30,000円 | 0円 | 40,000円 〜100,000円 | 0円 |
死亡 (1人当たり) | 120,000円 | 60,000円 | 50,000円 | 200,000円 | 100,000円 |
災害見舞金の申請は、お住まいの市・区役所ですることができ、申請期限は多くの自治体で1年と定められています。
未加入時の対策②隣家に故意・重過失があったら損害賠償金を請求する
前に述べたように、火災に関する法律の中に「失火責任法」があります。
失火責任法では、過失によって火災を発生させた場合、原則として民法上の損害賠償責任を負わないことを定めていますが、重過失の場合は除きます。
重過失とは、寝タバコが原因で出火した、天ぷらをしている最中にその場を離れたために天ぷら油に引火したといった場合です。
隣家の重過失によるもらい火で火事が起きた場合、失火責任法が適用されないため、火元には賠償責任が生じることとなります。
なお、損害賠償金については、家の損害額と同等の賠償金、心理的苦痛に対する慰謝料(5〜50万円)を請求することが可能です。
ですが、家の損害額に関しては、火災直前の時価となるため、現状回復費用から時価を差し引いた分に関しては、自己負担となります。
未加入時の対策③地方自治体の一般廃棄物処理減免制度を利用する
火災にあった場合、経済的に大きな損害を負っているため、それを少しでも救済するために、地方自治体は「一般廃棄物処理減免制度」を設けています。
火事後の燃えカスの処分費用の一部をお住まいの自治体が負担してくれるわけです。
一部自治体の一般廃棄物処理減免制度は以下の通りです。
自治体 | 減免額 | その他の条件 |
---|---|---|
東京都23区 | 90%免除 | ゴミによっては引き取りできないものもあり |
横浜市 | 全額免除 | 建て替え等により生じた廃棄物や事業系廃棄物の一部は除く |
大阪市 | 15トンまで全額免除 | 15トンを超える分には有料(10kgごとに9円) |
名古屋市 | 全額免除 | 処分場等に自身で搬入する |
一般廃棄物処理減免制度については自治体によって大きな差があります。
同じ県内でも異なる場合もあるので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせる必要があります。
補足:自己負担できない時は低金利融資制度を利用する
火災保険に未加入で火災にあった場合で、現状回復費用を自己負担できない場合は、「低金利融資制度」を利用できます。
低金利融資制度は、全ての地方自治体に設けられており、通常金利の50〜70%引きの金利で融資を受けられる制度です。
これまで述べてきた自己負担額を下げる方法を使っても、それに対する自己負担金が足りない場合は、お住まいの自治体に出向き、低金利融資制度を利用する相談をしてみましょう。
なお、低金利融資制度を使って借り入れできるのは、建物の原状回復費用のみです。
今後の生活費が足りない場合は、建物の原状回復費用に充てる予定の自己資金を生活費に充てて、原状回復費用を借り入れすることが必要になるでしょう。
また、今後の生活費については、火災によって経済状態が悪化した場合、市営住宅に優先的に入れる場合が多いので、こちらについてもお住まいの自治体に相談してみて下さい。
火災保険の未加入はリスク大!火災保険にお得に加入する方法とは?
火災保険は、生命保険などに比べて保険金を請求する機会が少ないため、それほど手厚い補償にする必要はないと考える方が多いようです。
火災保険の保険料を安くするためには、次の3つがポイントになります。
- 補償額を最小限に抑える
- 免責金額を設定する
- 耐火構造の建物にする
これらを考慮して火災保険に加入すれば、保険料は安く抑えられますが、実はもっとお得な方法があります。
それは、ネット通販型火災保険に加入する方法です。
ネット通販型火災保険は、人件費や店舗の維持費などがかからないため、保険料を安くすることができます。
また、ネット上には複数の火災保険の一括見積サイトがありますので、一つ一つ問い合わせなくても一度に保険料の見積もりを出してもらうことができます。
その中から、納得の補償で一番安いところを選ぶのがおすすめです。
まとめ:火災保険の未加入のリスクを理解して火災保険に加入しよう
火災保険に未加入の場合のリスクや加入が義務付けられているケースなどについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回のこの記事のポイントは、
- 火災保険に未加入で家が火事になった場合、現状回復費用は自己負担となる
- 火災保険に未加入の場合、もらい火でも自己負担となる
- 火災保険は法的に加入が義務付けられているわけでないが、未加入の場合のリスクが大きいため、加入率は80%にも及んでいる
- 賃貸物件を契約する際や住宅ローンを組む際には、火災保険への加入が義務付けられている
- 自己負担額を下げるために、「災害見舞金を受け取る」「 損害賠償金を請求する(隣家に重過失があった場合)」 「一般廃棄物処理減免制度を利用する」方法がある
- それでも自己負担できない場合は地方自治体の低金利融資制度を利用できる
でした。
火災保険の保険料は保険会社によって異なりますので、複数の商品を比較検討し納得の火災保険を選びましょう。
なお、ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。