放火による火事で火災保険は補償される?補償される事例とは?

放火は火災の出火原因1位であり、その被害の対策を十分にしていても100%防げる保証はどこにもありません。いつ身の回りに起きるかわからない放火ですが、火災保険は適用されるのでしょうか?今回は、放火が起きた際の火災保険の補償範囲や例外について紹介します。

放火で自宅が火事になった場合に火災保険は使える?

近所で放火事件が起きると、いつか自分の家も被害に遭うのではないかと不安になってしまいますよね。


そのように不安に思うと、万が一自宅が放火の被害に遭ったとき、火災保険で放火の被害も補償できるのか気になってくるのではないでしょうか。


基本的に、火災保険では放火の被害もカバーできますが、火災保険の契約者の対応によっては、放火の被害を補償してもらえないこともあります。


そこで、この記事では「火災保険と放火」について、

  • 放火による被害は火災保険で補償されるのか
  • 火災保険で放火の被害が補償されないケース
  • 今すぐできる放火対策

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、放火を防ぐ方法や、万が一放火の被害に遭ってしまったときに補償金をもらう方法が分かります。


是非最後までご覧ください。


基本的に放火による火事の場合は火災保険で補償される!

基本的に、放火による火事が発生したときは、火災保険で補償することができます。


放火による火災は、19年連続で火災の原因のうち1位を占めており、決してまれなことではないのです。


「放火」と一口に言っても、放火の原因や状況はさまざまです。


本当に関係ない第三者が家に火をつけるケースはもちろん、家族などの関係者が意図的に火をつけるというケースもあります。


放火の犯人や状況によっては、必ずしも火災保険の補償金が下りるわけではありません。


では、火災保険による放火の補償範囲について、簡単にご説明していきますね。

放火は火災保険で必ず補償される!補償範囲について解説

原則、火災保険で放火の被害は補償されるのですが、中には補償対象外となるケースもあります。


放火が、契約者や被保険者の

  • 故意
  • 重大な過失
  • 法令違反

によるものであった場合は、火災保険の補償対象外となってしまいます


例えば、火災保険の契約者が故意に放火したり、「放火が起きる」と明らかに予想できる状態だったにもかかわらず何もしなかったりという場合などは、放火による被害が出ても、火災保険で補償されません。


上記のような状態で放火が行われた場合は、火災保険の免責事項(保険会社が補償金を支払わなくてもよいケースのこと)にあてはまり、補償金が下りないのでくれぐれも注意しましょう。


では、放火が免責事項にあてはまるケースをいくつかご紹介していきます。

家族(身内)または従業員が故意に放火をした場合は免責になる

家族従業員などが故意に放火した場合は、火災保険の免責事項にあてはまるため、補償金は出ないです。


たとえ、放火した家族や従業員などが火災保険の契約者・被保険者でなかったとしても、補償金をもらえるケースは非常に少ないです。


火災保険の保険金目的で放火することを防ぐためですね。


過去の裁判事例では、「従業員が、火災保険の契約者の意図をくみとって放火した可能性が高い」とされ、補償金が下りなかった例もあります。


もちろん、故意な放火とはいっても、まったく関係ない第三者の故意な放火は、基本的に火災保険で補償されるので安心してください。

重大な過失があった場合も免責になってしまう

火災が起こりやすい状態を放置していたりと、放火・火災を誘発するような重大な過失があった場合、免責事項に該当し保険金は受け取れません。


例えば過去にあった裁判事例では、

  • 鍵をかけないまま長期間空き家のまま放置し放火犯が侵入した
  • 電気会社から指摘された漏電疑いを放置し、修理やブレーカーの切断を怠った
  • 石油ストーブの近くで、しっかりと固定されない状態で洋服を吊るしていた

などがあります。


戸締りは確実に行い、燃えやすいものはしまっておく等、火災を引き起こすことを予知できるような状態は防ぐようにしましょう。

ただし、精神疾患を持つ人による放火は免責事項は適用されない!

過去事例では、「精神障害に罹患し、自由な意思決定が出来ない状態における事故は免責事項に該当しない」と判決が下っています。つまり心神喪失等の精神疾患を持っている犯人による放火の場合、火災保険の保険金は受け取ることが出来ません。(参考:平成26年神戸地裁判決)


令和元年度の犯罪白書によると、平成30年の放火による総検挙数537件のうち、精神疾患者による放火は94件であり、約17.5%が精神障害を持つ犯人による犯行です。

(参考:令和元年版 犯罪白書

火災保険で空き家の補償は対象外になることがある

多くの火災保険では、空き家は補償対象外としています。普段から住居として利用している建物に比べると、空き家は放火による火災や、隣家からの延焼等のリスクが高くなるためです。


また、すでに火災保険に加入済みの場合であっても、途中から人が住まず空き家となってしまった場合であっても、保険会社はその事実を知るすべがありませんので、保険料支払いは継続します。しかし、火災が発生し、いざ保険金請求をしようすると、補償対象外となってしまう可能性もあるので、定期的な保険見直しは大切です。

焼損の程度によって支払われる保険金額は変わる

放火被害にあった場合に、保険金はいくらもらえるのでしょうか。保険金額は損害度合いによって異なります。保険金額を決める損害度合いは、保険会社によっても異なりますが、

基準損害度合い
全損契約金額の50%損失または、床面積の70%以上を損害
半損契約金額の20~50%を損失または、床面積の20~70%未満を損害

とされています。


損失度合いは、保険会社による判断となるので、実際にどちらに該当するかは分かりません。保険金請求時は、被害状況を正しく伝えるようにしましょう。

適切な保険金を受け取るためのコツをご紹介

保険金請求の流れや請求のコツを紹介します。


まず、保険会社に被害にあった旨申告すると、保険会社から送付される書類に必要事項を記載し、事故報告書や見積書などの必要書類を同封し、保険会社に返送します。その後保険会社にて被害状況の確認や、審査を行った上で保険金支払いの流れとなります。


請求~支払をスムーズに進めるためのコツとしては、

  1. 被害状況が正しく伝わるように、片付け前の写真を複数枚撮影する
  2. 事故内容報告書、修理見積書は詳細に正確に記載する
  3. 保険会社から求められる必要書類は漏れなく提出する
  4. 保険請求期限である3年以内に、請求を行う

などが挙げられます。特に、損害を小さく判断されて、必要な保険金が下りない事態を避けるためにも、被害状況を正確に伝えられるように写真や事故内容報告書・見積書を揃えるのが大切です。


万が一のケースに備えて、請求方法やコツは頭に入れておくと安心です。ぜひ参考にしてみてください。

参考:放火の犯人に損害賠償の支払いを請求することはできるのか

放火の被害に遭ったときは、まず、保険会社に補償金を請求します。


火災保険の保険金を請求するには、以下の書類が必要です。

  • 保険証書
  • (消防署など)関係官署の罹災証明書
  • 受取人の印鑑証明書
  • 支払請求書

また、放火犯にももちろん賠償責任があるため、民事裁判で放火犯に損害賠償請求することができます。


賠償請求方法としては、裁判示談の2種類があり、それぞれで以下のような違いがあります。

賠償請求方法賠償金
裁判家財・住宅の損害額(時価)
示談家財・住宅の損害額の50~120%

賠償請求までの基本的な流れとしては、

  1. 刑事裁判(容疑者が放火したかどうかを確定するため)
  2. 民事裁判または示談(賠償請求額を決めるため)

という流れが基本です。


民事裁判を選ぶか示談を選ぶかは、被害者が決めることができます。


裁判の場合、火災保険で補償しきれなかった金額を犯人に請求することができます。


ただし、裁判の場合は、刑事裁判で放火犯が有罪にならなければ損害賠償を請求できないので、有罪が決定し、賠償金が下りるまでに1年以上かかることもあります。


基本的に、放火犯から示談の申し出がなかった場合は、裁判を選択することになる可能性が高いです。


被害者が自ら示談を申し入れると、賠償金が少なくなってしまうことが多いからです。


「裁判に時間がかけられない」という方は示談、「時間がかかってもよいので、きちんと時価分の賠償金を請求したい」という方は裁判を選ぶのがよいかもしれません。


また、犯人が見つからなかった場合でも、放火が火災保険の契約者と関係ない第三者によるものだと分かれば、火災保険の保険金は下りるので安心してください。

放火に遭わないための対策を紹介

ここまで、火災保険で補償される放火の被害についてご説明してきました。


火災保険では多くの場合で放火の際に、保険金が下りるのでしたね。


しかし、いくら火災保険で補償金が下りたとしても、燃えてしまった大切な家財などは二度と戻ってきません。


場合によっては、大切な人の命すら失ってしまうこともあります。


できることなら、保険金にかかわらず、そもそも放火被害に遭わないようにしたいものですよね。


では、ここからは、今すぐできる放火に遭わないための対策をご紹介していきます。


記事としては終盤となりますが、皆さんにとって重要な対策方法を説明していくので、もう少し頑張って下さいね。


家の周りに燃えやすいものを置かない

放火を防ぐためには、まず、家の周りに燃えやすいものを置かないようにしましょう。


燃えるゴミを置いておいたり、段ボールなどを放置したりしてはいけません。


共同住宅の場合は、廊下や階段部分など、共用の部分に燃えやすいものを置かないように心がけましょう。


また、消火器がある場合は、消火器の周りに物を置かないことも大切です。


消火器の周りに所せましと物を置いていると、放火魔に「防火対策に関心がない家だ」と認識され、自宅が放火のターゲットにされる可能性もあります。

物置には鍵をかける

放火を防ぐには、物置に鍵をかけておくことも重要です。


放火犯は、物置車庫などに侵入し、車やバイクのボディカバーシートに火をつけることもあります。


家の周りの燃えやすいものを物置にしまったからといって安心せず、きちんと施錠することを忘れないようにしましょう。


さらに、ボディカバーシートなどを防炎仕様のものにしておけば万全です。

まとめ:火災保険に加入していれば放火された場合でも安心

火災保険と放火について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 放火による被害は火災保険で補償されるのか
  • 火災保険で放火の被害が補償されないケース
  • 今すぐできる放火対策

です。


基本的に、放火による被害は火災保険で補償されます。


ただし、保険の契約者・被保険者の関係者が故意に放火した場合や、放火事件が起きる可能性が高いと容易に推測できた場合などは、保険金が出ないこともあるので注意してください。


特に、燃えるものを無施錠で放置しているなど、契約者や被保険者が重大な過失を犯してしまう場合には注意しましょう。


大切な家・家財を守るため、重大な過失を犯さないためにも、普段から防火対策しておくことが大切です。


家の周りに燃えるものを置かず、物置や倉庫にはきちんと鍵をかけるように心がけましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。  

この記事の監修者
森下 浩志
2018年に早稲田大学基幹理工学部に入学。保険×テックの領域で保険業界をイノベーションをしていく姿勢に共感し、「ほけんROOM」の運営に参画。2019年にファイナンシャルプランナー、損害保険募集人資格を取得。

ランキング

  • 【簡単3分見積もり】火災保険/地震保険の一括見積もりはこちら
  • 火災保険・地震保険の加入率を紹介!地震保険は付帯するべき?
  • 火災保険の加入って必要?加入の必要性と加入時の選び方を徹底解説
  • 火災保険の必要書類って何?状況ごとに異なる書類を詳しく解説!
  • 2019年に火災保険が値上げ。保険料節約のための加入時期は?
  • 火災保険料の相場って平均いくら?目安となる平均金額と保険料の仕組み!
  • 賃貸住宅の火災保険の選び方とは?必要性と選び方の手順を解説
  • 雪害・雪災に火災保険が使える!保険金が支払われる条件とは?
  • 自然災害のために火災保険は必要!補償範囲を確認しよう!
  • 【必読】住宅が土砂崩れ被害にあった!火災保険は適用される?
  • 【必読】台風で自宅が被害を受けた!火災保険は適用される?
  • 火災保険の風災・雪災・雹災補償の適用範囲は?ケースごとに解説!
  • 火山の噴火による家の被害は火災保険・地震保険で補償される?
  • 落雷による被害は火災保険で補償される?補償範囲と請求方法を紹介
  • 液状化・地盤沈下による家の傾きは火災保険・地震保険で補償される?
  • 津波の被害は火災保険で補償されない!地震保険の加入が必要!
  • 【簡単3分見積もり】火災保険/地震保険の一括見積もりはこちら
  •