更新日:2020/07/15
火災保険の加入は必要?火災保険の必要性と必要な特約を解説
火災保険は火災だけでなく水災や風災など幅広く補償するためいざという時に必要です。新築マンションや賃貸住宅では火災保険の加入が義務づけられている所もあり、火災保険の加入率は高いです。自分に必要な補償を付帯し、地震保険や家財保険の必要性も見直しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
火災保険の加入は必要?必要な特約も合わせて解説
火災や自然災害などの万一に備えて加入する火災保険。多くの方が契約しているかと思います。しかし、中にはなんとなく契約しているが、必要性に疑問をもたれている方もいるのではないでしょうか。
確かに、火災や自然災害に遭うことは滅多にないので、高い保険料を払い続けることに不満を感じる方もいると思います。
火災保険の加入率は意外と高く、約8割となっていますが、不動産会社や金融機関担当者に言われるままに加入したり、保障内容を確認せずにとりあえず加入しているというのが実態のようです。
この記事では、
- 火災保険に加入しない場合のリスク
- 補償内容と補償対象について
- 地震保険の必要性
- 特約の必要性
についてご紹介します。
この記事をお読みいただければ、火災保険の必要性や補償内容や対象についてお分かりいただけるかと思います。ぜひ最後までお読みください。
火災保険に入らないリスクとは?火災の発生数と被害額
火災保険に加入している方は多いと思いますが、どれくらいの割合で火災に遭う可能性があるのでしょうか?
平成30年の建物の火災件数は、20,764件という結果があります。平成31年1月時点での日本の世帯数は、約5,853万世帯となっています。これらを計算すると、火災に遭う確率的には、0.04%以下となるのです。
思っていたよりも低い数値だった方もいるのではないでしょうか?では、火災が起こった場合、どれくらいの損害が出る物なのでしょうか?
建物火災の損害額の平均は、341万円であるというデータがあります。しかし、あくまで平均でこの金額です。家が全焼してしまい、立て直しが必要になった場合、これ以上の金額がかかってしまいます。
このような場合に火災保険に加入していないと、家を建て直す資金が無い状態となってしまい、大きなリスクとなってしまうのです。
参考:火災保険の加入率
火災に遭う確率がかなり低いため、火災保険に加入する必要が無いのではと感じる方もいるかもしれません。しかし、隣家からの延焼に遭ってしまった場合、隣家に損害賠償をすることはできません。失火責任法という法律があり、火元の家に重過失が無い場合は自分で直す必要があるのです。
隣家からの延焼や、全焼などの大きなリスクに備えるためにも、火災保険に加入しておくことをおすすめします。
では、実際にどれくらいの方が火災保険に加入しているのでしょうか?
火災保険の加入率は、2015年に内閣府が調査した結果によると、持家世帯の保険・共済の加入件数・割合は82%となります。
持家世帯の保険・共済(建物のみ) の加入件数 | 割合 | |
---|---|---|
保険 | 2,123万件 | 61% |
共済 | 1,168万件 | 33% |
保険+共済 (重複を考慮) | 2,880万件 | 82% |
(参考:保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告)
以上のように、8割以上の人が、万一に備えて火災保険に加入しているのが現状です。
火災保険の補償内容と補償対象
火災保険で補償されるのは火災、というイメージを持つ方が多いと思います。しかし火災だけではないのです。
補償内容は以下のようになっています。
- 火災
火事により住宅に損害が出たなど - 落雷
落雷により家電製品が故障したなど - 破損・爆発
ガスに引火して爆発が起き、損害が出たなど - 風災・雹災・雪災
台風などの強風で窓が割れてしまったなど - 水漏れ
マンションで水漏れがおき、自分の部屋も被害を受けたなど - 水災
近くの川が氾濫し、自宅が床上浸水したなど - 盗難
泥棒が侵入し、家に置いてあった家財を盗まれたなど - 騒擾・集団行為に伴う暴力行為
自宅前で集団による暴力行為がおこなわれ、塀などの損傷を受けたなど - 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
自宅に自動車が衝突したなど
これらの補償は火災保険に加入すればどの場合でも補償されるという訳ではなく、付帯する必要がある場合もあります。
これらの破損汚損に対する補償が必要かどうか悩む方も多いと思います。ガスなどを利用することがある場合は破損・爆発補償を付帯する、近くに川があったり、水害の多い地域のに住んでいる場合は水災補償を付帯する、など、ご自身の状況に応じて補償内容の付帯を考えるようにしましょう。
また、補償の対象として以下の3つから選択することになります。
- 建物のみ:建物本体や、門・車庫・倉庫・堀など
- 家財のみ:家具、家電製品、洋服など
- 建物+家財:上記の建物、家財の両方
補償対象となる建物ですが、建物本体はもちろん、門や車庫といった「動かせないもの」も対象となっています。家財は、家具家電や洋服・アクセサリーなどの「建物の中にあり動かせるもの」を指しています。
「高価なものが多いか」「賃貸か持ち家か」をポイントにして、対象範囲を選ぶのが良いでしょう。
賃貸物件ではオーナー側が建物の火災保険に加入しているため、対象は家財のみとなります。
このように、自分の暮らし方に応じて対象や範囲を選択することが大切です。
家財保険の必要性
家財保険とは、契約者の保有する家財一式を対象とする保険です。
以下のものが家財保険の補償対象となります。
- 冷蔵庫
- 洗濯機、
- テレビ
- 高額家電
- ソファ
- ベット
- ダイニングテーブル
- 高級家具
- 洋服・バッグ・アクセサリーなどの服飾品
家財というと高額なアイテムだけをイメージしがちですが、食器や歯ブラシ・洋服などの生活用品を一式に、一度に買い揃えることになるので、思っている以上に高額になることがあります。
また家財保険の補償はいくらが適切なのでしょうか。
2019年10月時点で、買い揃えるための費用(再調達費用)の目安として、
世帯主の年齢 | 独身 | 夫婦のみ | 夫婦・子ども1人 | 夫婦・子ども2人 |
---|---|---|---|---|
30才前後 | 300万円 | 710万円 | 800万円 | 890万円 |
35才前後 | 300万円 | 990万円 | 1,080万円 | 1,170万円 |
40才前後 | 300万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,400万円 |
45才前後 | 300万円 | 1,400万円 | 1,490万円 | 1,580万円 |
50才前後 | 300万円 | 1,480万円 | 1,610万円 | 1,700万円 |
と指標があるので参考にしてみてください。
このように、家族数や年齢に応じて再調達費用は高くなる傾向があります。
ですから、どのくらいの保証内容を準備しておくべきかは、将来的な家族構成も踏まえて検討するのが良いでしょう。
参考:マンション・オール電化でも火災保険の加入は必要?
マンションでは火事が起きにくく、オール電化でも火元が少ないため、火事になる確率が低く感じますよね。マンションやオール電化の住宅では、火災保険は必要なのでしょうか?
火災保険の補償範囲は火災だけではありません。台風での被害や水災も補償対象となります。実際に火災保険の保険金が支払われる原因としては、火事などの火災よりも、自然災害が原因の場合が多くなります。
また、自宅からの出火の可能性は低くても、隣家からのもらい火や放火が原因の火事もあります。さらに、日本で発生することの多い地震の被害に遭った場合に補償してもらえる地震保険には、火災保険に加入していないと加入できないのです。
そのため、火事に強いマンションやオール電化の住宅に住んでいた場合でも、火災保険に加入しておくことをおすすめします。
参考:地震保険の加入は必要?
火災保険に加入した際に、地震保険へ加入するかどうかを決める必要があります。日本では地震が多いため、備えとして加入しておくと安心ですよね。
この地震保険、加入は必要なのでしょうか?
加入が必要な人としては、以下のような人が挙げられます。
- 住宅再建のための十分な貯えが無い
- 新築住宅を購入した
- 住宅ローンがまだ残っている
- 地震だけでなく、津波や噴火の危険のある地域に住んでいる
以上の様な方は、地震保険への加入の必要性が高いと言えます。
地震保険は地震で被害に遭った場合、住宅再建の資金として利用する場合が多いと思います。そのため、住宅を再建できるほど貯金がない、といった場合、加入をおすすめします。
また、住宅を建てたばかりの方や、住宅ローンが残っている場合も、地震などで家が倒壊してしまった場合、修理費用を捻出するのが難しい場合が多くなるのではないでしょうか。このような方も地震保険に加入しておくと安心です。
地震保険は地震だけでなく、地震による津波や噴火での被害も補償してもらえます。そのため、津波の被害に遭う可能性が高い地域など、住んでいる地域も加入する際のポイントとなります。
火災保険の必要な特約を紹介
火災保険の必要性についてご紹介してきましたが、火災保険に加入する場合、どの特約を付けた方がいいのか分からない方も多いと思います。
火災保険の特約には個人賠償責任特約や弁護士特約等様々なものがありますが、必要な特約をいくつか挙げると、
- 類焼損害補償特約
- 臨時費用補償特約
などが挙げられます。
名前だけ聞いてもいまいちどんな特約なのかピンと来ない、といった方も多いと思いますので、それぞれどのような特約なのかを詳しくご紹介していきます。
①延焼先の損害を補償するのに必要な「類焼損害補償特約」
先ほど少しですが、隣家からの延焼は自分で直す必要があることをご紹介しました。逆に言うと、たとえ火元が自分の家で、隣家に被害を与えてしまっても、自分が補償する必要はない、ということです。
しかし、過失が無いと言っても、自分の家が原因なのに何もしないというのは、今後の関係がぎくしゃくしてしまいそうですよね。
このような場合に必要な特約が「類焼損害補償特約」になります。隣家に延焼してしまった場合、隣家の修理費用を補償する特約です。
類焼損害補償特約は、隣家が火災保険に加入していなかった場合や、加入していても金額が足りなかった場合などに利用できる特約になります。
似たような特約で「失火見舞費用保険金」といった特約もありますが、こちらは修理費などではなく、見舞金を支払ったときに保険金が支払われる特約です。仮に延焼先の家が自分の火災保険で修理費を賄った場合でも、利用できる特約になります。
②臨時費用補償特約
火事に遭い、修理を行うときに火災保険を利用すると思いますが、基本的には修理費用しか補償されません。
修理を行う際などには、意外と他のことでお金が必要になるのです。
- 修理中の仮住まい
- 火災の被害に遭った周辺のものの撤去費用
- 火災の際に負った怪我の治療費
- 近隣へのお詫び
などで、意外とお金がかかります。
このような費用を補償してくれる特約が、「臨時費用補償特約」になります。保険会社により差がありますが、支払われる保険金に10~30%上乗せできる特約になります。特に何に使わなくてはいけない、と使い方が限定されていないのが大きな特徴です。様々なことに利用できるため、付帯しておくことをおすすめします。
まとめ:火災保険で家の損害を補償しよう
いかがでしたか?ここでは火災保険の必要性について詳しくご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
- 火災保険に加入しないことのリスクが大きいため、火災保険への加入は必要
- 火災保険の加入率は80%以上
- 火災保険に加入することで、火災以外の落雷、爆発、風災、水災などにも備えることができる
- 家財保険は高級な家財がそれほどない場合でも加入するのがおすすめ
- マンションやオール電化の場合、火災よりも自然災害に備えるために火災保険へ加入が必要
- 地震保険は、住宅ローンが残っている人・十分な貯蓄が無い人は加入する必要がある
- 火災保険に必要な特約は、類焼損害補償特約・臨時費用補償特約など
になります。
火災保険に入るべきか悩んでいる方もいるかもしれませんが、火災保険は火事だけでなく、落雷などの自然災害も補償してくれる保険です。補償内容も自分である程度決めることができるため、必要なものは付け、不要なものは外し、ご自身の住宅に合った火災保険に加入することをおすすめします。
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