更新日:2020/05/09
液状化・地盤沈下による家の傾きは火災保険・地震保険で補償される?
液状化や地盤沈下・大雨による住宅被害や家の傾きは、地震保険・火災保険で補償されるのでしょうか。実は、液状化したら被害は地震保険で補償されます。さらに、保険金額には時価が関係するため新築はもらえる保険金限度額が高くなります。今回は、液状化や地盤沈下が起きた際の被害例や保険利用例を詳しく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
液状化・地盤沈下による家の傾きは火災保険・地震保険で補償される?
地震や大雨などの自然災害が起こった際、地盤沈下による液状化被害に合うことがまれにあります。液状化現象により、家が傾いた場合や全損してしまった場合、火災保険や地震保険で補償できるのか気になります。
実は、液状化がおこった場合の被害は「地震保険」で補償されます。ただし、液状化の原因が地震であること、一定以上の損害が認められなくてはいけません。
そこでこの記事では、液状化による被害について
- 液状化や地盤沈下による被害は地震保険で補償される?
- 建物の被害例と保険利用例
- 保険金の金額目安
- 地震保険の保険金請求方法
液状化・地盤沈下による建物被害は地震保険で補償できる
地震が原因で起こりやすいとされている液状化や地盤沈下、地震保険で補償されるのか不安な方も多いでしょう。そもそも液状化とは、地震が発生した際に地盤が液状になることを言います。
地震の振動によって揺さぶられることで、その一部が液体の状態になってしまいます。通常だと、砂と砂が結びついた状態なのですが、地震により何度も房ぶられることで砂の粒子が離れてしまい、液体と同じように動いてしまいます。
液状化した土地は、水の比率より重い建物が沈んでしまったり、逆に水の比率より軽いマンホールは浮き上がります。地震で建物にそれほど被害がない場合でも、液状化によって被害が出るケースも多いです。
地震が原因となる液状化現象については、地震保険で補償されます。建物の傾斜や最大沈下量などから、被害状況を確認し、一定以上の損害がある場合に保険金が支払われる仕組みです。
液状化・地盤沈下による建物の被害例と保険の利用例を紹介
液状化現象は、震源地から離れた場所で起こることが多いそうです。地震での被害はそこまでひどくなかったのに、液状化によって建物が被害を受けてしまうのはとてもつらいですよね。
液状化が起こることで考えられる被害としては、以下のようなものになります。
- 木造住宅の沈下や傾斜
- 塀の倒壊
参考①日本で起こった液状化現象
日本は地震国といわれるほど、地震の多い国です。同時に、液状化現象も起こりやすいといえるでしょう。液状化現象が起こった記憶に新しい地震としては、2011年3月に起こった東日本大震災や2016年の4月に起こった熊本地震などがあげられます。
液状化は、どんな土地でも起こるというものではありません。実は、液状化が起こりやすい条件があります。
例えば、埋立地や以前は河だった場所、大きな河の近くなどです。一度液状化してしまった土地は繰り返し起こりやすくなります。
現在、日本で騎乗化現象が起こりやすい地域としては、北海道駒ヶ岳周辺や内浦湾沿岸部など、東北地方では八郎潟や仙台湾など、関東地域では関東平野や相模川河口付近などがあげられます。特に愛知県では、西部と南部がほとんど液状化懸念地域に設定されています。
とはいえ、どの場所でも起こりうる災害なのでどこに住んでいても注意しておく必要があるでしょう。
参考②地震保険・火災保険に入ってないとどうなる?
もし、地震保険や火災保険に入っていない場合、液状化が起きたときどうなるのでしょうか?保険に入っていない場合、このようなデメリットがあると考えられます。
- 被害額をすべて自己負担しなくてはいけない
- 被害額が大きいほど、生活に支障が出る可能性が高い
- 住宅ローンがまだの残っている場合、被害額がさらに大きくなる
- 家が傾くことで、体調を崩してしまう可能性がある
液状化・地盤沈下で地震保険の保険金はいくらもらえる?
液状化や地盤沈下が起こった場合、地震保険で保険金がどれくらいもらえるのか気になるところです。保険金のイメージですが、何となく少ない印象がありますよね。実際にどれくらいもらえるのか見てみましょう。
まずは建物の場合の保険金です。
傾斜・沈下の状況 | 保険金 |
---|---|
傾斜1度超・沈下30cm以上 | 保険金額100% |
傾斜0.8度超1度以下・沈下20cm超30cm以上 | 保険金額60% |
傾斜0.5度超0.8度以下・沈下15cm超20cm以下 | 保険金額30% |
傾斜0.2度超0.5度以下・沈下10cm超15cm以下 | 保険金額5% |
地震保険の保険金額は、建物と家財に対して火災保険で設定した30%~50%の範囲内で設定します。上限としては、建物が5,000万円までで家財は1,000万円です。
例えば、建物に2,000万円の火災保険を設定した場合、地震保険で受けられるのは1,000万円までとなります。ただし、保険金額はすべて時価が関係しています。そのため新築の場合、保険金の限度が多くなります。
続いて、家財の場合の保険金です。
損害状況 | 保険金 |
---|---|
時価額80%以上の損害 | 保険金100% |
時価額60%以上80%未満の損害 | 保険金60% |
時価額30%以上60%未満の損害 | 保険金30% |
時価額の10%以上30%未満の損害 | 保険金5% |
東日本大震災では、約75万件に対し総額1兆2,000億円以上の保険金が支払われているようです。地震保険は他の保険のように、支払いを渋られることはまずないので、加入しておくと安心ですよ。
液状化・地盤沈下にあった人を救う公的支援制度とは
液状化や地盤沈下に合った際、地震保険以外にも公的支援制度というものがあります。支援金には、住宅の被害に応じて支給される基礎支援金と、再建方法に応じて支給される加算支援金があります。
まず、基礎支援金の支給について例を挙げて解説します。
被害状況 | 世帯1人の保険金 | 世帯2人以上の保険金 |
---|---|---|
住宅が全壊 | 75万円 | 100万円 |
被害により住宅を解体する場合 | 75万円 | 100万円 |
住宅に長期間住めない場合 | 75万円 | 100万円 |
大規模な修繕が必要な場合 | 37.5万円 | 50万円 |
住宅の被害程度と世帯人数によって金額が変動します。では次に、加算支援金についてみてみましょう。
再建方法 | 世帯1人の保険金 | 世帯2人以上の保険金 |
---|---|---|
建築または購入 | 150万円 | 200万円 |
補修 | 75万円 | 100万円 |
賃貸(公共住宅以外) | 37.5万円 | 50万円 |
これらの支援金制度を利用する場合は、その自治体の人口から被害を受けた住宅の数が一定以上必要となります。利用しやすい制度とはいえ、少しの地震では使うことができません。
注意:液状化・地盤沈下でも保険金が支払われないケース
地震保険に加入している場合でも、液状化や地盤沈下が起こった際に保険金が支払われないケースがあります。
- 液状化が起こり被害を受けても、液状化が起こった日の翌日から10日目以降に起こった損害
- 紛失や盗難による損害
- 保険契約者・被保険者の故意的な過失・法令違反
- 液状化後、3年を過ぎてから請求した場合
液状化・地盤沈下で建物が被害に!地震保険の保険金請求方法とは
液状化や地盤沈下により損害を受けた際の、保険金請求方法を解説します。基本的な請求ステップとしては、以下の通りです。
- 事故の連絡を行う
- 保険会社が調査日を調整し、連絡する
- 調査員の訪問により、被害状況を確認する
- 保険金請求に必要な書類の提出
- 保険金の支払い
まとめ:液状化・地盤沈下は地震保険で補償しよう
地震の際の液状化や地盤沈下による被害は、地震保険で補償されることを解説しましたが、いかがだったでしょうか?
この記事のポイントは、
- 液状化などの損害は地震保険で補償できる
- 火災保険で設定した30%~50%の範囲内が上限となる
- 液状化による傾斜や沈下の具合によって、保険金が変わる
- 公的支援制度は、状況や世帯人数によって金額が異なる