公的医療保険の訪問看護は、介護保険に該当しない方が対象です!

公的医療保険による訪問看護の対象は、介護保険が利用できない方や、重い病気や症状のある方で、医師が訪問看護を必要と認めた場合です。医療保険による訪問看護では、利用回数、時間に制限があります。また、費用負担も対象年齢により異なります。

公的医療保険の訪問看護の対象者の条件とは?

何か病気になったり、怪我をした場合に、診察や看護を受けようと思えば、自ら病院に出向いたり、場合によっては入院したりすることが必要です。


しかし、中には非常に重い病気(症状)で、自分からは病院に行くことすらできず、医師やナースに訪問してもらうというケースがあります。


このような訪問看護について、「費用は公的医療保険の対象となるの?」「訪問という意味では、介護保険もあるけど、どう違うの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?


そこで、この記事では


  • 公的医療保険と介護保険にはどんな違いがあるの?
  • 公的医療保険で訪問看護の対象になる人はどんな人?
  • 公的医療保険で訪問看護を受けるにはどんな手続きが必要?

について解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただきますと、「公的医療保険による訪問看護の基礎知識」や「訪問看護を受けるための手続き方法」等についてご理解いただけるはずです。

ぜひ、最後までお付き合いください。

医療保険と介護保険との訪問看護の対象者の条件の違いについて

「医療を受ける」という点を考えると、一般的には自分から病院に出向いたり、場合によっては入院するということが頭に浮かびます。

しかし、病気の症状が重く、病院に行くことができない場合や、終末期を自宅で過ごしたいという希望がある場合などの事情がある場合には、ナースに自宅まで出向いてもらう「訪問看護」という制度があります。

この訪問看護については、医師により訪問看護が必要と認められる場合には「公的医療保険」が適応されます。

この訪問看護ににた制度としては、「公的介護保険」というものがありますが、この二つははっきりと区別されています

まず訪問看護のばあい、介護保険が医療保険よりも優先的に適用されるため、つぎのような該当者には介護保険が適用されます


  1. 65歳以上の方で、要支援・要介護と認定された場合
  2. 65歳未満40歳以上の方で、16特定疾患(がん、間接リウマチ、骨折を伴う骨粗鬆症等)に該当し、要支援・要介護と認定された場合

この条件に該当しない場合には介護保険は適応されず、当然のことながら40歳未満の方は介護保険によるの訪問看護を利用することができません。


つまり、このような条件に該当しない場合で、訪問看護が必要と医師から認められた場合に該当者となるわけです。

医療保険の訪問看護は介護保険の対象外である人

医療保険の訪問看護は、介護保険の対象外であって、医師が訪問看護の必要性を認めている場合に利用されます。

公的な費用を使っての訪問看護となるため、利用にあたってはいくつかの条件があります。

条件1:利用可能な回数及び時間数

医療保険の訪問看護では、通常は週に3回までの利用とされていますが、がんの末期である場合など、特別に頻回の訪問看護が必要と医師が判断した場合や、厚生労働大臣指定の疾病の患者はこの限りではありません。


また、症状の悪化等により、医師から「特別訪問看護指示書」という文書の交付を受けることが出来た場合は、つきに1回に限られますが、最長14日連続の利用も可能とされています。


一般的な1回の訪問時間はおよそ30分~90分程度とされています。


条件2:医療保険の訪問看護の自己負担額

医療保険は支給限度額はありませんが、自己負担額は年齢や所得によって異なります。


70歳以上の方は、原則として訪問看護の医療費の1割負担となります(ただし、現役並みの所得がある場合には3割負担となります)。


具体的な金額については、その時間の長さによって違ってきますし、地域によっても金額に差があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

65歳以上の場合

65歳以上の場合、一般的には介護保険による訪問看護を受けることになるのですが、そのためには、介護認定を受けることが必要となります。

この介護認定を受けるにあたっては、さまざまな条件があり、申請から認定まである程度の時間を要します。

そのため、65歳以上の方でも、要支援・要介護に該当しない方で、医師が訪問看護の必要性を認めている場合には、医療保険による訪問看護が利用されることになります。

40歳以上65歳未満の場合

公的介護保険の被保険者は、基本的に65歳以上の方で介護認定を受けた方(要支援含む)ということになります。

しかし、65歳未満であっても介護保険の適応になるケースがありますのでご紹介しておきたいと思います。

この場合の年齢用件は40歳以上65歳未満ということになり、以下の二つの場合に適用されます。

  1. 16特定疾患の対象者ではないが、医師が訪問看護の必要性を認めた方
  2. 16特定疾患の対象者ではあっても、介護保険の要支援・要介護に該当しないが、医師が訪問看護の必要性を認めた方

16特定疾患とは、介護保険第2号被保険者が要介護認定を受けることができる疾患のことです。

  • ガン末期
  • 間接リウマチ
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 脳血管疾患等


これらが対象となります。

40歳未満の場合

公的介護保険の適応になるのは、先にあげた条件に該当する方ということになり、40歳未満の方は対象外ということになります。

つまり、対象者の年齢が、40歳未満の場合は、公的医療保険の訪問看護の対象となるということです。

公的医療保険の場合、どのような患者でも希望すれば訪問看護を受けられるというものではなく、医師が必要性を認めている場合や、厚生労働省が指定した難病を持っている場合に利用することができます。

介護保険の対象者でも医療保険の訪問看護の対象になる場合がある

要支援・要介護といった、公的介護保険の認定を受け、本来ならば介護保険の訪問看護を利用できる方であっても、特に重い病気の方は医療保険の訪問看護の対象となる場合があります。

 

特例として、医療保険の訪問看護の対象疾患となる方は以下の通りです。


  • 介護保険にて厚生労働大臣が定める疾病に該当する方
  • 病状の悪化で医師の特別指示が出されている方

なお、介護保険の訪問看護と医療保険の訪問看護を併用することは禁止されています。

厚生労働大臣が定める疾病に該当した場合

公的医療保険が適応される訪問看護の対象患者として厚生労働大臣が定める疾病(対象疾患)とは、次の通りです。
  • 末期の悪性腫瘍
  • 重症筋無力症
  • ハンチントン病
  • プリオン病
  • 進行性ジストロフィー症
  • 頸髄損傷
  • 人口呼吸器を使用している状態等

病状の悪化により医師の特別指示が出ている場合

公的医療保険において訪問看護を受けられるのは、康生労働大臣指定の難病をもつ患者の場合か、医師がその必要があるということで指示をした患者ということになります。

医師の指示による訪問看護の中でも、特に病状の悪化で医師の「特別訪問看護指示書」が出される場合があります。


この指示書は、患者の容態の急速な悪化や終末期や退院の直後等に主治医の判断で、出すことの出来る指示書です。


この指示書が出ている場合、原則として認められている訪問回数をこえて訪問看護を受けることが出来ます。


具体的には、週4回以上(回数制限なし)の訪問看護を受けることが出来ます。


しかし、この指示書は14日間の有効期限がありますので、期限延長時には再発行が必要となります。

医療保険の訪問看護を受ける手続きの流れ

医療保険の訪問看護を受ける手続きの流れをまとめると以下の通りとなります。





①主治医または訪問看護ステーションに相談する


訪問看護ステーションとは、自宅で療養生活が送れるように、医師・ケアマネージャー等と連携し、訪問看護サービスを行う事業所のことです。


②主治医からの指示を受ける

相談後、主治医から訪問看護が必要と認められれば、「訪問看護指示書」を書いてもらいます。


この指示書は、公的保険を利用して訪問看護サービスを受ける際に必要となり、作成はだいたい1週間程度を要します。


指示書の有効期限は、主治医が発行した後6ヶ月間で、医療保険の適用を受ける訪問看護は週3回までの利用となります。


③訪問看護ステーションと契約し、サービスを利用する


訪問看護指示書が交付されたら、訪問看護ステーションと契約し、訪問看護サービスを受けます。


訪問看護サービスは主治医の指示に基づいた内容で提供されますが、患者の症状にもよりますが、概ね以下のような訪問看護サービスが提供されます。


  1. 血圧・脈拍等のバイタルチェックや病状の確認
  2. 入浴介助、食事、排泄のケア
  3. 認知症のケア
  4. 医師の指示よる範囲内での医療行為、人工呼吸器、酸素吸入器等の医療機器の管理
  5. 理学療法士、作業療法士等によるリハビリテーション
  6. 終末期のケア


④契約終了または契約更新

訪問看護指示書の有効期限は主治医が発行した後6ヶ月間となりますので、有効期限の到来により契約を終了するか更新するかを決めます。


患者側が継続を希望する場合、訪問看護ステーションの看護師を経由して、主治医に指示書の交付を依頼します。 


再交付については、医師による診療結果、訪問看護師が提出する訪問看護計画書及び報告書を参考にして、主治医が必要性を判断します。

医療保険利用時の訪問看護の料金の負担割合と金額について

介護保険と医療保険では回数や金額が異なり、負担額は年齢や所得に応じて人それぞれです。


加えて、訪問看護を利用する症状によっても負担額は異なります。


ここからは、医療保険利用時の訪問看護の料金や、負担割合などについてまとめてみます。


医療保険の場合の訪問看護は通常、週1~3回まで利用可能で、一回の利用時間は30分~90分の範囲とされています。


さらに1日あたりの訪問看護の回数は、原則1回とされています。


しかし、特別に重い病気や症状の方で厚生労働大臣が定める疾病等の患者は、医師が必要と確認した上で週4回以上の利用や、1日あたりの訪問介護の回数も複数回の利用、1回90分を超える長時間の利用も可能です。


これらの利用料金は、様々なケースによって負担額が異なりますし、一回の利用料金に加え、移動距離、時間等が加味された料金となります。


また、訪問看護を依頼するサービス会社によっても料金は異なりますし、訪問看護の中には医療保険が適用とならないサービスもありますので、よく確認しておくことが必要です。


ここでよく比較されるのが介護保険と医療保険の違いですので、下記の表にまとめてお示しします。

介護保険医療保険
サービスが利用できる人要支援・要介護の認定を受けた
65歳以上の人
40歳~64歳で特定疾病の人
40歳未満の人
40歳以上で要支援・要介護でない人
要支援・要介護の認定を受けた人で難病や末期がんの人、人工呼吸器装着者など
自己負担額他の介護サービスと合わせた利用額の1割または2割年齢や所得によって1割~3割
利用回数制限なし原則として週3日

後期高齢者(75歳以上)の場合

後期高齢者(75歳以上)の場合は、週3回利用で負担額は通常1割負担ですが、現役並み所得者の方は3割負担となります。

おおよその負担割合ごとの料金は次の表の通りです。

医療保険料金負担額(1割)負担額(3割)
訪問看護週3回まで約555円約1,665円

後期高齢者以外の場合

後期高齢者(75歳以上)のか対外の場合で、公的医療保険に加入している方の負担割合と訪問看護賞金については、おおよそ下記の表の通りです。

医療保険料金負担額(1割)負担額(2割)負担額(3割)
訪問介護高齢受給者
(70歳~74歳)
約555円
約1,665円
一般
(70歳未満)
約1,665円
3歳以上6歳未満約100円
3歳未満約100円

このように、後期高齢者以外の方は年齢や所得に応じて利用料金が異なることがわかります。


1割負担であれば経済的負担は大きくは感じないと思いますが、3割負担ともなると1回で約1,600円の費用が発生し、週3回利用すれば1,600円×3日で4,800円の費用負担となります。


また、6歳以上~70歳未満の方は、一律3割負担とされていますが、病状によって負担額が異なることがあります。


特に国に指定された特定疾病(難病)の方や、重度心身障害者の方は医療保険とは別に助成が受けられる場合があり、特別な申請が必要です。


この申請をし、認定を受けられた方は負担額が軽減されるようになっています。

難病・重度心身障害者の場合

それでは、実際に難病の指定を受けている場合や、重度心身障害者が方尾門看護を受けた場合の負担額はどうなっているのでしょうか?

ここからは、具体的な例をあげて、その負担額がどれくらいになるかをご紹介していきます。

【難病の方の負担額】

特定疾病医療受給者証をお持ちの方は、世帯収入に応じて自己負担額が無料~3万円に区分されます(年6回以上、月ごとの医療費が総額が5万円を超える月がある場合は上限の軽減あり)。


人工呼吸器装着者は、世帯収入に関わらず一律1,000円の負担額となっています。


特定疾病医療受給者で医療費の助成を受けられるのは、記載された対象の疾患に関わる訪問看護のみとされています。


国が指定する難病に罹患されているかたは、お住まいの管轄する保健所へ申請し、認定を受けてから訪問看護を利用するようにすると医療費の助成を受けられ、負担額を軽減することができます。


【重度心身障害者の方の負担額】 

お住まいの自治体や所得によって異なりますが、1割負担か自己負担限度額で、健康保険証と一緒に、重度心身障害医療費受給資格証を提出する必要があります。


【自己負担額の例】

  • 1つの訪問看護ステーション利用につき、自己負担額500円/日
  • 1つの訪問看護ステーションあたり自己負担額は月2日限度
  • 複数の訪問ステーションを利用した場合は月額上限額2,500円
1割負担以外での月額上限額はお住まいの自治体によって異なり、市町村によっては市独自の限度額を設定しているところもあります。


1割負担や限度額でサービスを受けるには重度心身障害医療費受給資格証が必須であり、障害者手帳などで申請し、認定を受けなければなりません(毎年更新が必要)。


限度額の設定は、毎年更新時の世帯収入に応じて変動がありますので、お住まいの区・市役所の窓口等で確認しましょう。

加算料金について

訪問看護は、症状や行う看護の内容によって、加算料金が発生する場合があり、その加算料金をまとめると次のようになります。

長時間訪問看護加算(週1回まで)
(15歳未満の超重症児または準超重症児は週3回まで)
約5,200円
緊急時訪問看護加算(1日につき)約2,650円
特別管理加算(1月につき)利用者の状態で約2,500円または約5,000円
通院時共同指導加算(1月につき)
(利用者の状態に応じ付き2回を限度)
約6,000円
特別管理指導加算約2,000円
退院支援指導加算(週4日以上訪問できる方)約6,000円
在宅患者連携指導加算(1月につき)約3,000円
在宅患者緊急時等カンファレンス加算(1月につき2回)約2,000円
ターミナルケア療養費約20,000円

※記載の金額からそれぞれの負担割合に応じた金額が自己負担額となります。


また、これらの加算料金以外にも時間外加算や複数名訪問加算など、その看護内容に応じて加算項目が設定されることもあります。


例:時間外加算


  • 夜間・早朝訪問看護加算 6時~8時・18時~22時 約2,100円
  • 深夜訪問看護加算 22時~6時 約4,200円 


訪問当日のキャンセルも場合によっては、全額自己負担でキャンセル料が発生する可能性もあります。


加算部分に関しては症状によって必要な加算が異なるので、全ての方が必要なわけではありません。


サービスを受ける方のご希望によっは24時間対応のサービスなどを追加できる場合もあり、その場合はその分の加算料金が発生します。


注意したいのが、これらの加算料金も依頼するサービスセンターによって料金が異なるということです。


サービスの料金については、個々に確認することをおすすめします。

まとめ:医療保険の訪問看護の対象について

ここまで、公的医療保険で受けることの出来る「訪問看護」や公的介護保険との違い等について解説してきましたが、いかがでしたか?


この記事のポイントは、


  • 公的医療保険における訪問看護と、介護保険におけるそれとでは、対象者が大きく違ってくる
  • 公的医療保険の訪問看護対象者は、医師がその必要性を認めた人か、個性労働大臣指定の難病にかかっている人
  • 公的医療保険の中で訪問看護を受けるための手続きの流れ
  • 実際に訪問看護を受ける場合の条件や、費用負担について

でした。

公的医療保険をつかって医療を受ける場合は、基本的には本人が病院に出向くことになります。

しかし、難病にかかっている場合や終末期の患者、重篤な症状のではあるが、入院が出来ない場合などは、そういったわけにもいきません。

そのために準備されているのが、「訪問看護」という制度です。

この制度をうまく活用することにより、患者自身やその家族の身体的・心理的負担はかなり軽減できるはずです。

また、最近では、一般的な公的医療の訪問看護サービスに加えて、さまざまなサービスを提供する事業者も増えています。

ただし、追加のサービスを受けるためには、そこに費用負担という問題が発生してくることも事実です。

自分や家族が自宅療養を余儀なくされるという事態にならないに越したことはありません。

しかし、いざというときには、このような制度の内容をきちんと理解し、費用負担と必要なサービスのバランスを考えた上で、上手に活用することで少しでも負担感の少ない闘病生活につなげたいものですね。

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