【事業承継】法人向け生命保険を活用して税負担を軽減する方法とは?

法人保険を活用することで事業承継を上手に行うことができることをご存知でしたか?最近は、「経営承継円滑化法」で法人保険での事業承継が簡単にできるようになりました。今回は、事業承継の事前準備の重要性や、後継者を親族にするメリット・デメリットに関してご説明します。

法人保険を使ってどのように事業承継対策をすればいいの?

経営者の高齢化に伴う引退や、死亡、病気など、事業承継が行われる原因は様々なものがあるかと思います。


事業承継する時には相続税や贈与税が課税されてしまうので「後継者の税負担を少しでも軽くしたい」と思うものですよね。


相続税や贈与税の対策をするなら、法人保険に加入すると自社株の評価額を下げることができ、後継者の税負担を軽くすることができます。


しかし、法人保険といっても様々な種類があるので、どの保険が事業承継に適しているのかという観点から、自分の会社の特徴にあった保険を選ぶことが重要です。


そこで本記事では、法人保険を使った事業承継対策について 

  • 法人保険を使った事業承継対策の2つの方法 
  • 事業承継対策に使える法人保険の種類とメリット・デメリット 
  • 個人契約の生命保険を使った事業承継対策 
  • 「経営承継円滑化法」による事業承継支援 

以上のことを中心に解説します。


この記事を読んでいただければ、法人保険を使った事業承継対策とは具体的にどのような方法なのかを詳しく知る上で役立つとおもます。


ぜひ、最後までご覧ください。 



法人保険を活用して事業承継対策をする2つの方法

法人保険を活用して事業承継対策をする方法として、ここでは以下の2つを解説します。


  • 自社株の評価を下げる 
  • 自社株を買い取る資金を準備する  


事業承継の際に相続税を節税するなら、法人保険に加入することで自社株の評価を下げることが重要です。


また、後継者が自社株を相続する時に、一度会社に自社株を買い取ってもらうことで、後継者が支払う相続税分の資金を準備するという方法もあります。


このとき、会社は自社株を買い取るための資金を積立型の保険に加入することで準備することができます。


次から法人保険を使ったこれらの事業承継対策について具体的に見ていきましょう。

①利益を圧縮して自社株の評価を下げる方法

事業承継をすると後継者に相続税が課税されてしまうので、相続税をできるだけ小さくするなら会社の利益を圧縮して自社株の評価額を下げることが必要です。


「自社株」と「自社株の評価額」とはそれぞれ以下のことを意味しています。 


  • 自社株=株式会社が保有している自社の株のこと。 
  • 自社株の評価額=その会社にどのくらいの資産価値があるのかを表したもの。


非上場株式企業の株価の評価方法には以下の3つがあります。


  • 類似業種比準方式 
  • 純資産価額方式 
  • 配当還元方式 


これら3つの方法のうち、例として「純資産価額方式」をあげて解説します。


純資産価額方式では会社の資産が多く、負債が少ないほど、自社株の評価は高くなります。


つまり、できるだけ会社の資産を減らすか、負債を増やせば自社株の評価を下げることができるのです。


法人保険に加入すると支払った保険料が資産計上されるものと損金算入されるものがあります。


保険料が損金算入されると、益金と相殺できるので利益圧縮をすることができます。


保険料が損金算入される保険を選ぶと、1年目では解約返戻金がゼロ円となるので、保険の価値もゼロ円となります。


そこで、保険料を支払うことで、自社株の評価額も下げることができるのです。

②法人契約の終身保険で自社株を買い取る資金を準備をする

会社の自社株の評価額が高ければ高いほど、相続税も高くなり、納税資金が不足してしまう可能性があります。


そこで、会社法で定められている「自社株の取得」を利用することで、後継者は会社に自社株を売り渡し、納税をするために十分な額の代金を受け取ることができます。


自社株の取得とは、株式会社が発行した株を、株式会社が株主から買い取ることを意味しています。


自社株を取得する具体的な順序としては以下の通りです。

  1. 経営者が後継者に自社株を承継する。 
  2. 後継者が会社に自社株を売る。 
  3. 会社が自社株を買い取り、後継者に代金を渡す。 
  4. 後継者は会社から受け取った代金を使って、相続税を納税する。 


会社が後継者から自社株を買い取るには、そのための資金を準備する必要があります。


そこで、死亡保険金がある法人保険に加入することで、経営者が死亡した時に会社が自社株を買い取るために必要な資金を受け取ることができるのです。


死亡保険金のある法人保険として、以下の2つが考えられます。

  • 終身保険 
  • 長期平準定期保険  


終身保険

保険期間が一生涯続くので、確実に保険金を受け取ることができます。


しかし、保険料が全額資産計上されるので、利益の圧縮による節税を行うことはできません。


長期平準定期保険

90歳、100歳といった長期にわたって保険期間が続くもので、保険期間内に死亡した場合に保険金を受け取ることができます。


しかし、長期平準定期保険では、被保険者があらかじめ決められた保険期間より長生きしてしまった場合は保険金を受け取ることができないので注意してください。

事業承継対策に使える法人保険を解説!自社株の評価を下げる

事業承継の際に後継者の税負担を少なくするには、自社株の評価を下げることが重要だと説明しました。


自社株の評価を下げるなら、法人保険を使うことで、保険料を損金算入させることが重要です。


では、自社株の評価を下げる効果がある法人保険にはどのような種類があるのでしょうか。


ここでは事業承継に使える法人保険として、以下の2つの法人保険のメリットとデメリットを順番に解説していきます。 


  • 逓増定期保険 
  • 長期平準定期保険

逓増定期保険を使うメリット・デメリット

逓増定期保険とは、死亡保険金額が加入時から徐々に増えていき、最終的に死亡保険金額が契約当初の5倍ほどになる保険のことです。


例えば、加入時の死亡保険金額が8,000万円だったとすると、その5倍の額である4億円にまで増やすこともできるのです。


また、死亡保険金だけでなく、解約した時には解約返戻金を受け取ることができます。


解約返戻金をどのくらい受け取れるのかは、解約返戻率によって異なります。


解約返戻率にはピークがあり、逓増定期保険の場合は加入して5年から15年という短期間で、これまで支払った保険料と同額の解約返戻金を受け取ることができるのです。


そのため、逓増定期保険は5年から15年で事業承継が決まっている経営者に向いています。


ただし、解約返戻率がピークに到達するのが早い代わりに、保険料も非常に高額になってしまいます。


保険料が高額であるとキャッシュフローが悪化してしまいますが、損金算入できれば益金と相殺することで相続税を節税することができます。


逓増定期保険のメリット

  • 短期間で保険料がピークに到達するので事業承継の見通しを立てやすい。 
  • 保険料が高額であるため損金算入できれば節税効果が高い。  


逓増定期保険のデメリット

  1. 保険料が高額であるためキャッシュフローが悪化してしまう。
  2. 解約返戻金のピークと事業承継の時期がずれると損をしてしまう。

長期平準定期保険を使うメリット・デメリット

長期平準定期保険とは、保険期間の全期間にわたって保険料を平準化し、長期間に渡って保障が続く法人保険のことです。


長期平準定期保険では90歳満期、100歳満期といった非常に長い保険期間が続くのが特徴で、解約返戻金のピークは加入時の20年から30年後となっています。


そのため、長期平準定期保険は、事業承継の時期の見通しが20年後から30年後くらいに定まっている、年齢が比較的若い経営者に向いています。


長期平準定期保険は保険料が高額なので、キャッシュフローに余裕がない会社だと資金繰りが厳しくなってしまう可能性があります。


ただ、保険料の1/2が損金算入されるので、事業承継対策をしながら、同時に節税対策にも活用することができます。


長期平準定期保険のメリット

  • まだはっきりと事業承継の見通しが立っていない会社が加入しやすい。
  • 保険料の1/2が損金算入されるので節税対策をすることができる。


長期平準定期保険のデメリット 

  • 保険料が高額であるためキャッシュフローが悪化してしまう。 
  • 解約返戻金のピークを過ぎると保険金が減っていくので、事業承継の時期がずれると損をしてしまう。 

個人契約の生命保険で事業承継対策をする場合は?

事業承継対策としては、法人保険に加入する以外に、経営者が個人契約の生命保険に加入して、後継者が生命保険金を受け取ることで納税資金を確保する方法もあります。


しかし、注意点としては個人契約の生命保険金を受け取ることができるのは法定相続人(2親等以内の血族)だということです。


つまり個人契約の生命保険で事業承継をする場合は、後継者を2親等以内にしなければなりません。


法定相続人(2親等以内の血族)とは、経営者にとって以下のような関係にある人のことです。 

  • 子および子孫 
  • 配偶者 
  • 父母 
  • 兄弟姉妹  


3親等以内の血族であった場合、配偶者や2親等以内の血族がいないと法定相続人にはなれないので、養子縁組などで法定血族になる必要があります。

保険金受取人を後継者(法定相続人)にして事業承継の資金準備

事業承継の際に後継者が自社株を相続すると、相続税が課税されてしまい、後継者個人の税負担が大きくなってしまいます。


そこで個人契約の生命保険の保険金受取人を後継者にすることで、多大な税負担や自社株の買い取りに対する資金を準備することができます。


後継者(法定相続人)が受け取った死亡保険金は相続財産ではないため、他の相続人によって分割されたり、遺留分の請求によって減殺されたりしません。


つまり、後継者が経営者の死亡保険金を独り占めすることができ、安全にまた確実に資金準備をすることができるのです。


生命保険金は「みなし相続財産」として相続税が課税されてしまいますが、以下の式で求められる額の分だけ控除を受けることができ、相続税対象の減額にもつながります。

 控除額=500万円×法定相続人の人数

事業承継をする際に後継者を「親族」にするメリット・デメリット

事業承継をする際に、後継者を親族にすることにはどのようなメリット・デメリットがあるのかも知っておきましょう。


メリット

  • 経営者にとっては信頼できる。 
  • 従業員や取引先に受け入れられやすい。 
  • 早い時期から事業承継の準備をすることができる。 


デメリット

  • 親族が優秀でなかった場合、会社が衰退してしまう。 
  • こちらが頼んでも親族が継承してくれない場合がある。 
  • 親族内で後継者争いや遺産トラブルが起こる可能性がある。

「経営承継円滑化法」を活用してスムーズに事業承継を行う 

「経営承継円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)」を活用することで、スムーズに事業承継を行うことができます。


「経営承継円滑化法」では以下の3つの支援が行われます。

  • 税制支援 
  • 金融支援 
  • 民法の特例  


税制支援では、後継者が自社株を相続した時の相続税・贈与税の納税が猶予されます。


ただし、猶予のためには事業継続が5年間継続されていることが必要です。


金融支援では、経営者の死亡による資金調達を支援するため、以下の資金援助に関する特例の措置などがあります。 


  • 中小企業信用保険法の特例 
  • 株式会社日本政策金融公庫方及び沖縄振興開発金融公庫法の特例  


民法の特例では、相続に伴う以下の2つの適用を受けることができます。


  • 生前贈与株式等が遺留分の対象から除外される。 
  • 生前贈与株式等の評価額があらかじめ固定される。 

まとめ:法人保険を活用することで後継者の負担を減らせる

法人保険を使った事業承継対策について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは 

  • 事業承継では法人保険で後継者の税負担を軽減することは重要
  • 自社株の評価額を下げるなら逓増定期保険か長期平準定期保険がおすすめ 
  • 個人契約の生命保険に加入すれば後継者が保険金を独り占めできる
  • 経営承継円滑化法を使うと事業承継で多くのメリットがある。

でした。


経営者の突然の死亡や病気などによって、いつ事業承継が必要になるかわかりません。


事業承継がいつ来ても大丈夫なように、法人保険を使った事業承継対策についてはあらかじめ考えておきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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