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【経営者必見】法人の役員保険・役員退職金・役員借入金を徹底解説

経営者や法人の方は役員保険について明確なメリットを知って加入していますか?役員保険加入には3つのメリットがあります。役員退職金はどのような法人保険で準備できるのか、役員借入金のメリット・デメリットや返済方法、労災保険特別加入制度についても解説します。

法人の役員保険に加入すべき?役員退職金・役員借入金の特徴はなに?

役員保険について、「なんとなく経営に有利」と、漠然としたイメージで加入している方は少なくありません。


保険の営業マンに勧められるまま、なんとなく加入されている方も多いのではないでしょうか。


役員保険はメリットだけでなくデメリットもあり、正しい知識がないと経営に良い影響を与えることができないかもしれません。


そこで、この記事では「知らないと困る役員保険の基礎知識」について、

  • 役員保険の特徴とメリット・デメリット
  • 役員退職金に使える4つの法人保険
  • 役員借入金のメリット・デメリットと返済方法
  • 役員も加入できる労災保険特別加入制度
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、役員保険が本当に必要なのか正しい判断ができるようになります。

ぜひ最後までご覧ください。

役員保険に加入すべき3つのメリット

役員保険とは、経営者・役員の方向けの生命保険で、保険料は法人が支払います。


経営者・役員の方向けの生命保険と一口に言っても種類は豊富で、それぞれ違うメリット・デメリットがあり、目的によって役員保険を選ばなくてはいけません。


全体像として役員保険が経営に有利に働く3つのメリット

  • 【事業保障】もしもの時に会社を守る
  • 【資金繰り】黒字の時は節税に、赤字の時は資金準備ができる
  • 【資金準備】退職金準備に使える
となっています。

これらのメリットを理解すれば、法人に役員保険のどのメリットが必要なのか判断できるようになります。

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

【事業保障】もしもの時に会社を守る

経営者や役員にもしものことがあったら、会社は大きな損失を受けてしまいます。


業績が悪化すると事業活動だけでなく、銀行から借金をしていた場合の返済資金の調達が難しくなります。


役員保険に加入しておけば、受け取った保険金で借入金を返済したり、業績悪化を防ぐことができます。


会社の中心にもしものことがあっても、会社自体は存続していけるように手を打っておくと、法人の成長は盤石のものとなるでしょう。

【資金繰り】黒字の時は節税に、赤字の時は資金準備ができる

役員保険には保険料の一部・あるいは全額を、損金に算入することができるタイプがあります。


損金に算入することで利益を減らし、法人税を節税できます。


また、高い返戻率の満期保険金や解約返戻金があるタイプもあり、いざという時のための緊急資金として積み立てることが可能です。


黒字の時は利益を減らして節税しながら貯蓄し、赤字の時は解約返戻金で益金として赤字をカバーできるので、安定した経営基盤を構築する一助となります。


ただし、役員保険を契約した最初の数年は、解約返戻金の額が保険料に対し少ないので注意が必要です。

【資金準備】退職金準備に使える

役員保険は節税しながらお金を積み立てる特徴から、退職金の準備としても有効です。


例えば他の手段で積み立てる場合、投資では変動によるリスクが高く、予定した金額に到達しないかもしれません。


現金預金で積み立てる場合は、利益から税が引かれた資金で積み立てるので、退職金の額が予算より大幅に下回ってしまいます。


役員保険の場合は、積み立てる間は損金として節税し、退職する場合は解約返戻金や満期保険金を退職金として確実に利用できます。


退職金の準備に役員保険を使うのは、投資や現金預金より効率的かつ安定します。


それでは続いて、役員保険を使って役員退職金を準備するメリットについて解説します。

法人保険を使って役員退職金を準備すべき3つのメリットと注意点

役員保険は退職金の準備に有利と説明しましたが、ここでは更に掘り下げていきます。


投資や現金預金より効率的で安定しているとお話しましたが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?


役員保険を使って退職金を準備すると、次の3つのメリットがあります。


  • 保険料が損金算入なので、節税することができる
  • 他の資金と区別できるので取り崩しにくい
  • もしもの場合の保障になる

これらのメリットと、役員退職金を準備する注意点について詳しく解説していきます。

【メリット1】保険料が損金算入なので、節税することができる

役員保険には保険料の一部・あるいは全額を損金として算入できるものがあります。


損金として算入すると節税効果も発生するので、税金として引かれるはずだった利益と積立金で、実際に積み立てた額以上に法人にとって有利に働きます。


しかし、保険料の全額が損金になる節税効果が高い役員保険の中には、解約返戻金のピークが短い、あるいは全額掛け捨てになってしまうものもあります。


節税効果だけではなく、解約返戻金や保障内容も考慮して役員保険を決める必要があります。

【メリット2】他の資金と区別できるので取り崩しにくい

役員保険で退職金を用意すると、保険料として積み立てられるので他の資金との区別が容易です。


もし、現金・預金で積み立てていると、資金が必要になったときに口座から引き出した際に、誤って退職積立金まで使用してしまう場合があります。


役員保険の場合、利用するにしても解約の手続きが必要になるので、そのような間違いは起こりません。


様々な資金を管理する法人にとって、役員保険の管理の容易さもメリットと言えるでしょう。

【メリット3】もしもの場合の保障になる

役員保険は解約返戻金の額が大きく、緊急資金が必要になった際の資金にも有効です。


本来、解約返戻金は大きな税金がかかりますが、その全額を利用して損金に算入することで、税金を避けることが可能です。


さらに、役員保険の養老保険には契約者貸付制度があり、審査・担保なしで利用できます。


借入限度額は解約返戻金の90%で年利は3%と、緊急時の資金調達には非常に有効です。


続いて、役員退職金を準備するときの注意点について解説します。

役員退職金を準備するときの注意点

役員退職金を準備するときの注意点として、「会社のキャッシュフローが悪化するリスクがある」ことと、「解約のタイミングを誤ると損をする」ことがあります。


役員退職金に利用できる役員保険は基本的に保険料が高額です。


5年、10年と長期間払い続けなければならない保険料は、法人のキャッシュフローを圧迫してしまう可能性があります。


また、解約返戻金は役員保険の積み立てた当初は解約返戻率が低く、支払った保険料の半額以下しか返ってこない期間もあります。


解約返戻金のピークが短い役員保険もあるので、解約・退職の時期は解約返戻金がピークの時期に合わせることをおすすめします。

経営者・役員の退職金準備に使える4つの法人保険

法人保険には退職金の準備に適切なものと、そうでないものがあります。

経営者・役員の退職金準備に使える4つの法人保険を厳選しました。

  • 逓増定期保険
  • 長期平準定期保険
  • 全額損金定期保険
  • 小規模企業共済

経営者・役員の方の退職金の準備として法人保険を利用する場合は、これらの中から適したものを選ぶことになると思います。

それぞれのメリット・デメリットについて解説しますので、「法人の経営プランと合致するものはどれ?」と考えながら参考にしていただければ幸いです。

逓増定期保険 のメリット・デメリット

逓増定期保険は節税に役立つと言われる法人保険です。


特徴として、企業が成長していくことを考慮し、保険金額が年月が経つにつれ最大5倍まで増額していきます。


退職金に役立つメリットとしては、

  • 5~15年で保険料の1/2を損金に算入しながら退職金の準備が可能
という点です。


逓増定期保険は比較的短期間で解約返戻金のピークになるので、節税しながら短期間で資金を回収できます。


デメリットとしては、

  • 高額な保険料がキャッシュフローを悪化させる可能性
  • 解約返戻金の返戻率が低い時に解約すると、払った分が損する

です。


逓増定期保険は保険料が高額なので、法人のキャッシュフローを悪化させる可能性があります。


また、解約返戻金のピークが短く、ピークを過ぎると解約返戻率が下がり、支払った保険料より損をしてしまうかもしれません。


退職時期が明確に決まっている場合などに逓増定期保険はおすすめです。

長期平準定期保険のメリット・デメリット

法人保険の中でも、長期の保険期間を設定するものが、長期平準定期保険です。


メリットは、

  • 20~30年かけて保険料の1/2を損金に算入しながら退職金を準備できる
  • 終身保険に近い保険期間

です。


長期平準定期保険は長期間に及び節税効果を受けられます。



さらに95歳満期や100歳満期など、終身保険に近いものもあるので、終身保険に近い法人保険を探している方にもおすすめできます。


デメリットは、

  • 高額な保険料がキャッシュフローを悪化させる可能性
  • 解約返戻金の返戻率が低い時に解約すると、払った分が損する

です。


長期平準定期保険も逓増定期保険と同じく保険料が高額なので、法人の資金を圧迫してしまう可能性があります。


保険期間が長い分解約返戻金のピークが遅く、契約してすぐに解約すると解約返戻率が少なくなってしまいます。


長期的に保険料を払い続けられる場合は、長期平準定期保険も十分選択肢に考えられます。

全額損金定期保険のメリット・デメリット

全額損金定期保険は、保険料の全額が損金に算入できる法人保険です。


以前までは掛け捨てで、解約返戻金が期待できないものばかりでしたが、最近では解約返戻金が高いタイプの法人保険も増えてきました。


メリットは、

  • 保険料の全額が損金に算入できる
  • 手厚い保障を受けられる

です。


保険料の全額が損金に算入できるので、他の法人保険より高い節税効果が見込めます。


さらに、治療費や入院費を保証するタイプもあり、他の法人保険より手厚い保障も魅力です。


デメリットは、

  • ピーク期間に解約しても、保険料が戻ってくるのは80%程度
  • 高額な保険料がキャッシュフローを悪化させる可能性

です。


全額損金定期保険は保険料の全額を損金に算入できる代わりに、他の法人保険より解約返戻率が少ない傾向(保険料の80%程度)にあります。


保険料も他の法人保険と同じく高額で、長期的な計画を立てなければ法人の資金を圧迫してしまう可能性も。



全額損金定期保険は、全額損金の節税効果を利用したい経営者・役員の方におすすめの法人保険と言えます。

小規模企業共済のメリット・デメリット

小規模企業共済とは、小規模な法人の役員と個人事業主を対象とした、中小企業基盤整備機構が提供している共済制度です。


解約することで、それまでに積み立てた掛金に応じ共済金を受け取り、退職金などにすることができます。


メリットは、

  • 掛金は最大で120%くらいに増えて戻ってくる
  • 所得控除を受けられる

です。


小規模企業共済は掛金の納付期間に応じて、最大約120%が返ってくるので、計画的に積み立てられれば大きなリターンになります。


また、掛け金の全額が所得控除になるので、非常に高い節税効果が見込めます。


デメリットは、

  • 240ヶ月目(約20年後)になって初めて掛金の100%に達するので、その前に解約すると損をする

です。


20年経過前に中途解約すると赤字になってしまうので、早めに解約する場合は他の法人保険の方が有効な可能性があります。


かなり長期的な共済制度ですが、短期間で解約せず、掛金より大きなリターンが欲しい場合におすすめです。



役員借入金のメリット・デメリットについて解説

役員借入金とは、役員が法人に対して貸付けているお金のことです。


法人に資金が足りない場合に、経営者・役員が個人的に法人へお金を貸付け、急場をしのいだり新たな事業への資金にすることも多くあります。


この時に資本金として借り入れると、返済は役員報酬などにするしかなく、スムーズに返済することができません。


【メリット】金融機関等と違い、返済が自由にできる

役員借入金のメリットは、返済が自由にできることです。


金融機関などから借り入れると利息を支払う必要があったり、支払期限などが発生してしまいます。


金融機関への返済が滞ると延滞利息が発生したり、担保が差し押さえられてしまうことも少なくありません。


一方、役員借入金だと利息も無く(貸付けた役員が了承した場合)、自由に返済することが可能なのはメリットと呼べるでしょう。

【デメリット1】社長の相続財産になるので、相続税が発生する

役員借入金は、貸付けた経営者・役員が死亡した場合、相続財産になるので相続税が発生してしまいます。


例えば、役員借入金が5000万円あった場合、5000万円の相続財産があるとして計算する必要があり、状況によっては高額な相続税が課せられかねません。


法人の中には経営者が多額の資金を貸していることも珍しくありませんので、注意しましょう。

【デメリット2】金融機関からの評価が下がる

2つ目のデメリットは、金融機関からの評価が下がるです。


役員借入金によって評価が下がる理由は、自己資本比率が下がるとみなされることが原因です。


さらに役員借入金の返済の目途が立っていないと、さらに評価が下がってしまう可能性があります。


金融機関からの評価が低いと、必要となったときに資金を借り入れることができませんので注意が必要です。

役員借入金の2つの返済方法 

これまで、役員借入金のメリットとデメリットについて解説してきましたが、続いては役員借入金を返済する方法について解説します。


役員借入金を返済するには、

  • 役員報酬を引き下げて、その分を借入金返済に利用
  • 法人保険を利用し、万が一の時に備える
の2つの方法があります。

これらの返済方法は全く異なりますが、役員借入金の返済にはこれらの方法を併用することをおすすめします。

それぞれの内容について解説します。

役員報酬を引き下げて、その分を借入金返済に利用    

役員借入金を返済する最もスタンダードな方法が、役員報酬を引き下げて、その分を借入金返済に利用することです。


仮に月に50万円の役員報酬をもらっていた場合、報酬額を30万円に引き下げて、20万円を借入金で支払います。


この方法だと、役員報酬額が50万円から30万円に下がるので、所得税・住民税・社会保険料の負担が減少する節税のメリットがあります。


ただし、法人側は報酬額を引き下げた分利益が増えることになるので、法人税が増加してしまう可能性もあるので注意が必要です。

契約者:法人、被保険者:社長、保険金受取人:後継者で生命保険を利用

続いての返済方法は、役員借入金を貸し付けている当人が死亡・高度障害になったときに備え、法人保険を活用して返済できるようにします。


この時、「契約者:法人、被保険者:社長、保険金受取人:後継者」の契約状態で法人保険を活用しましょう。


この状態で契約しておけば、返済期間中に役員借入金を貸し付けている方が死亡・高度障害になってしまっても、後継者の方が死亡保険金を受け取ることで、役員借入金を返済することになります。


ただし、法人保険は保険料が高額になってしまうものも少なくありません。


法人の財政状態を考え、適切な法人保険を選択しましょう。

役員も加入できる労災保険特別加入制度について解説

続いては、経営者・役員が加入できる労災保険特別加入制度について解説します。


労災保険は、業務上や通勤途上における災害を対象にした保険で、通常は賃金を支払われる立場の従業員しか加入することができません。


しかし、中小企業の経営者や個人事業主の中には、経営者としてだけでなく、従業員のようにレジ打ちや営業活動などを行っている場合もあります。


そういった従業員としての側面もある経営者・役員も労災保険に加入できる特別加入制度は、以下の要件を満たせば適用されます。


  • 労働者数が一定数以下(事業内容で異なる)
  • 1名以上の労働者がおり、労働保険が成立していること
  • 労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託していること

詳しくは、こちらの「役員・社長」の方必見!法人向け労災保険特別加入制度を徹底解説!に記載してありますので、興味のある方はご覧ください。

まとめ:経営者に見て欲しい役員のための法人保険について

「役員保険の基礎知識」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


今回のこの記事のポイントは、

  • 役員保険は「事業補償・資金繰り・資金準備」のメリットがある
  • 役員保険で退職金を準備すると、節税しながら万が一の保障にもなる
  • 役員保険で退職金を効率的に準備できる法人保険は4種類あり、それぞれにメリットとデメリットが存在する
  • 役員借入金は返済が自由にできる反面、相続税が発生したり金融機関の評価が下がる可能性も
  • 労災保険に中小企業や個人事業主の経営者が加入できる特別制度がある
です。

役員保険は正しく使えば会社に大きな利益をもたらす反面、使い方を誤れば損をしてしまう可能性もあります。

しかし、正しい知識で役員保険を使用できれば、デメリットを回避し、投資や融資にないメリットだけを享受することも難しくありません。

この記事が、役員保険で様々なリスクを回避し、堅実な経営を生み出す一助となれば幸いです。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

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