法人の逓増定期保険の経理処理ってどうなる?税務関係について解説!

法人保険の逓増定期保険は解約返戻金を上手に受け取ることで節税が期待できます。そこで、今回はより深く法人保険の逓増定期保険を知りたい方に対して、経理処理についてご説明します。また、死亡保険金・解約返戻金の受け取り時、失効した場合の経理処理に関してもご説明します。

法人契約の逓増定期保険の経理処理はどのようにするのか?

死亡保険金が5倍まで膨らむ法人契約の逓増定期保険は、税負担の軽減や退職金準備を考えている方にとってかなり魅力的なのではないでしょうか。


しかし法人契約の逓増定期保険は、経理処理の方法が少し複雑なので把握できていない方も少なくないでしょう。


実はケースによっては、条件により損金計上できる割合が異なるので注意が必要です。


今回の記事では

  • 保険料を支払った時
  • 死亡保険金を受け取った時
  • 解約返戻金を受け取った時
  • 契約が失効した時
に分けて逓増定期保険の経理処理方法を説明していきます。

この記事を読んでいただければ、逓増定期保険の基本的な経理処理を把握することができ、逓増定期保険に加入することが法人にとってメリットとなるかどうかの判断に役立つと思います。

どうぞ最後までご覧ください。

逓増定期保険の税務取り扱いと保険料支払い時の経理処理

法人保険に加入すると、支払った保険料は損金計上ができま

なので、保険の加入を検討されている方の中には、「予想外の黒字のため、法人税対策として法人保険加入を検討しはじめた」というケースもあります。


通常、法人保険は商品によって、全額損金・1/2損金というように損金計上できる割合が決まっています。

しかし、逓増定期保険の場合、損金計上できる割合条件によって細かく定められています


また、支払保険料の経理処理については、国税庁の通達によって決まります。  

保険期間の「前半6/10」と「後半4/10」では、支払保険料の経理処理の方法が異なります。


法人が逓増定期保険の加入を検討している場合、どの条件に当てはまるのかを契約をする前に必ずよく確認するようにしましょう。


そこで、ここでは

  • 前半6/10の場合
  • 後半4/10の場合

について、詳しく解説していきます。


前半6/10の時:支払い保険料は費用と資産に計上される

逓増定期保険の場合、保険期間の前半6/10と後半4/10で支払保険料の経理処理方法が違います。

まず前半6/10についてですが、経理処理の方法は下記のように区分分けされています。


区分損金計上割合
保険満了時の被保険者の年齢が45歳を超える場合
(2、3に該当するものは除く)
支払保険料の1/2
保険満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの
(3に該当するものは除く)
支払保険料の1/3
保険満了時の被保険者の年齢が80歳を超え、加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるもの支払保険料の1/4
(参考:国税庁 )

このように損金計上できる割合が全く違いますので、注意が必要です。

後半4/10 の時:支払い保険料の経理処理

次に保険期間の後半4/10の経理処理について確認してみましょう。

前半6/10とは異なり、経理処理の方法は次のように統一されています。

  • 支払保険料の全額を損金計上
  • 保険期間の前半6/10で資産計上していた累積額を、保険期間の経過に応じ、損金計上

このように後半4/10についてはシンプルな経理処理の方法となっています。

逓増定期保険の保険料の経理処理については、保険期間の前半6/10にあたる時期に特に注意しましょう。

逓増定期保険で死亡保険金・解約返戻金を受け取るときの経理処理

ここまでは逓増定期保険の保険料の経理処理について解説してきました。


では逓増定期保険で死亡保険金や解約返戻金を受け取ったときの経理処理はどうなるのでしょうか。


逓増定期保険は税負担の軽減効果があるだけでなく短期間で解約返戻金を積み立てるなどに活用されるため、解約返戻金の受取時の経理処理も重要になってきます。


では解説していきます。



死亡保険金受取時:資産計上分を差し引いた分を雑収入に計上

まずは死亡保険金を受け取った場合の経理処理方法から確認していきましょう。


法人が死亡保険金(および高度障害保険金)を受け取った場合、損金ではなく益金(雑所得)として処理することになります。


具体的には、受け取った死亡保険金(および高度障害保険金)から保険積立金(前払い保険料および配当金積立金)を差し引いた金額を雑収入として益金に算入することになります。


死亡保険金額 - 保険積立金 = 雑収入(課税対象金額)


もし受け取った保険金を死亡退職金(もしくは弔慰金)として支払った場合には損金算入できます。


ただし役員等の場合には適切な金額を超えての損金算入はできないので注意が必要です。

解約返戻金受取時:前払い保険料を差し引いた分を益金に計上

次に、解約返戻金を受け取った場合の経理処理方法について確認していきましょう。


法人が保険契約を解約して解約返戻金を受け取る場合、益金(雑所得)とみなされ、課税されます。


課税対象金額は、次のように計算します。

解約返戻金額 - 保険積立金 = 雑収入(課税対象金額)

(※2008年2月28日以降の契約の場合)


例えば、解約返戻金2,000万円を受け取り、保険料積立金として1,200万円計上した場合、雑収入は

2,000万円-1,200万円=800万円

となります。


前項でも出てきましたが、保険積立金とは前払い保険料として資産計上していたお金のことです。


生命保険というのは本来、年齢が上がれば死亡リスクが高まるため、保険料は上がるものですが、逓増定期保険の場合はずっと定額です。


なぜそのようなことが可能になっているかというと、将来払う保険料の一部を前払いして保険会社に預ける仕組みになっているからです。


つまり、逓増定期保険の保険料は

  • その時の保障のための保険料
  • 将来の保障のための積立金(前払い保険料)
で成り立っているということになります。


また、もし前払い保険料の累計よりも解約返戻金が下回る場合は、雑収入ではなく、雑損失として処理します。

参考:逓増定期保険の解約返戻率は5~10年でピークになる

解約返戻率のピークは保険会社によって異なりますが、およそ契約後の5~10年後です。契約返戻金は、解約する時期により受け取れる金額が変わります。


受け取れる金額は、

支払済み保険料×解約返戻率=解約返戻金額

の計算式で算出できます。


逓増定期保険は、何十年と保険料を払い込みをするというよりは、5年後、10年後のための資金作りとして加入するケースが多いです。


何年後に解約返戻率のピークが来るかは、保険商品によって異なります。

解約する予定の時期には、支払った保険料と同額、またはそれ以上の金額になっているかを確認しておきましょう。


資金計画に合わせて、「何年後に解約返戻率のピークが来るようにすればよいか」など考慮し保険を選ぶのも良いでしょう。

逓増定期保険が失効したときの経理処理

逓増定期保険は上述したように、解約返戻率のピークが早い段階できます。


契約当初は解約返戻率のピーク時にあわせて退職し、退職金にあてようと計画している法人が多いことでしょう。


しかし法人の中には状況が変化し(経営状況の悪化、もしくは退職などの出口対策がなくなってしまうなど)予定通りにできなくなる場合もあります。


このような危機に瀕した場合の対策として、使えるのが保険契約の「失効」です。


もし保険料の支払いをやめて保険契約自体を失効させてしまえば、その時点での解約返戻金は保険会社にストックされます。


そのため雑収入が発生することはないので、経理処理をする必要がありません


経理処理が不要である以外にもメリットがあります。


逓増定期保険は解約返戻率がピークに達した後、返戻率がどんどん下がっていくものですが、もし解約返戻率のピーク時に保険契約を失効させた場合、そのピーク状態が維持されます。


ただしこの方法の効力は一時的なもので、失効した保険契約を復活させられる期間(保険会社によりますが、約1年~3年)が過ぎてしまうと、経理処理つまり雑収入分を資産計上する必要があります。


あくまで時間稼ぎにしかならない方法ということをご留意ください。


またこの方法は、保険会社によってその後の契約を断るところもあり、あまり好まれないので、あくまで最終手段と考えていただいたほうが良いと思われます。



逓増定期保険でキャッシュを手元に残せる仕組み

逓増定期保険の仕組みを理解し、うまく活用できれば、手元にキャッシュを残すことができます。

ここでは、
  1. 法人税を安く抑える
  2. キャッシュフローのコントロール
の2点について、詳しく解説してきます。

保険期間の「保険料を支払っている時期」と「解約返戻金の受け取る時」に、それぞれ保険の仕組みをうまく利用することが大切です。

「仕組みが難しくてわからない」という方にも、分かりやすく説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

仕組み①:法人税を比較的安く抑えることができる

保険料の支払いは、損金として計上することができるので、支払う法人税が安くなり手元にキャッシュを残すことができます。

法人税

課税所得金額(益金ー損金)×法人税率=法人税

で算出することができます。なので、法人税を減らすためには、益金を減らし損金を増やす必要があります。

保険期間の前半は、保険料の支払いを損金計上し、法人税を減らします。
後半は、解約返戻率のピークの時に解約し、益金と同額の損金を計上することにより、法人税をできるだけ安く抑えるようにしましょう。
益金、損金がプラスマイナスゼロの場合は、税金は非課税となります。

仕組み②:キャッシュフローをコントロールしやすい

逓増定期保険の仕組みをうまく利用できれば、キャッシュフローをうまくコントロールをすることができます。
キャッシュフローとは、わかりやすく言うと「お金の流れ」のことです。

例えば、数年後に必要な資金のために、保険に加入し、保険期間の前半で節税をしながらキャッシュを積み立て、後半には解約返戻率のピークでなおかつ資金が必要な時期に保険を解約し、そのまま解約返戻金を資金として利用します。

このように、逓増定期保険は、益金、損金のバランスがとりやすく、お金の計画が立てやすいです。

キャッシュフローをうまくコントロールすることにより、経営の安定にもつながります。

まとめ:法人の逓増定期保険の経理処理は支払い時期によって変化


法人保険の逓増定期保険の経理処理について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは

  • 逓増定期保険の保険料支払時の経理処理
  • 逓増定期保険の死亡保険金受け取り時の経理処理
  • 逓増定期保険の解約返戻金受け取り時の経理処理
  • 逓増定期保険を失効させた場合の経理処理
でした。

特に注意していただきたいのは、保険料支払時の経理処理で、法人が保険料を支払った時期によって経理処理の方法が変わります

契約される際には、法人がどの条件にあてはまり、損金計上できる割合がいくらになるのか事前に確認しておかないと、期待した法人保険の効果を受けれない場合があります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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