法人保険の出口戦略は退職金だけではない!4つの出口戦略を徹底解説

法人保険の保険料は支払い時に一部が損金計上されますが、解約返戻金や保険金などを受け取った際は益金に計上されます。そのため法人保険の加入時に出口戦略を考えなければ法人保険のメリットを最大に享受できません。今回は4つの出口戦略と2つの注意点に関してご説明します。

なぜ法人保険の出口戦略を考える必要があるのか?

解約返戻金の受け取り時に、どのような出口戦略をするか迷っている経営者の方もいるかもしれません。


保険料を損金算入していても、出口戦略について深く考えていないがために、受け取れる金額が大きく変わってしまいます。


しかし、一般的には法人保険の出口戦略といえば退職金というイメージを持っている方が多いのですが、実は法人保険の出口戦略は退職金だけではありません。


そこで今回は、法人保険の出口戦略について

  • なぜ法人保険の出口戦略は必要なのか
  • 法人保険の4つの出口戦略
  • 法人保険の解約返戻率

以上のポイントを解説します。


この記事を読んでいただければ、法人保険の出口戦略の計画を立てる上で役に立つと思います。


ぜひ最後までご覧ください。


出口戦略は法人税の節税のために必要

法人保険の出口戦略について考えることがなぜ必要なのでしょうか?


そもそも出口戦略とは、法人保険を解約した際の使い道のことです。


法人保険を解約すると解約返戻金を受け取ることになりますが、そのままでは益金として計上されてしまいます。


益金として計上されると課税対象になってしまうため、保険料支払時の損金算入による節税の効果がなくなってしまいます。


解約返戻金自体は益金として計上されますが、法人税を節税するには、その益金を損金と相殺させることが大切です。


そこで、解約返戻金を損金として計上させるために役員や従業員の退職金などに使うことで、法人税の課税対象が少なくなり、節税効果が見込めるのです。


このように、出口戦略について考えることは、法人税を節税する上で重要であるといえます。

法人保険の4つの出口戦略を解説

ここからは法人保険の出口戦略について以下の4つご紹介します。


  1. 退職金の資金として使用する方法
  2. 設備投資の減価償却を使用する方法
  3. 従業員のボーナスに使用する方法
  4. 広告費に使用する方法


これらの方法はどれも経理上損金として計上されるものですが、ここで注意して欲しいのは、間違った方法で行うと損金として計上されない可能性があるということです。


例えば、従業員へのボーナスであれば利益操作とみなされてしまったり、広告費が損金として計上されなかったりする場合があります。


その場合、思わぬ不利益を被ってしまう可能性があるので、これらの出口戦略を実行する前に注意する必要があります。


1.退職金の資金として使用する方法

法人保険の出口戦略についてもっともよく使われているのが、退職金の資金として使用する方法です。


退職金は設備投資などと比べると額が大きく、節税効果が大きいからです。


しかし、注意していただきたいのは、退職金であれば必ず損金として計上できるというわけではないということです。


法人税法によると「不相当に過大な退職金は損金として計上することができない」と定められているように、上限額があります。


退職金の上限額の算出方法には、「功績倍率法」と「1年あたり平均法」の2つがあります。


功績倍率法

退職金の算定において主に用いられているのが、この功績倍率法です。

役員退職給与の適正額=最終月額報酬×勤続年数×功績倍率 

功績倍率=役員退職金の支給額/最終月額報酬×勤続年数


同業類似法人とは、地域、業種、退職時期、売り上げ金額、退職自由、所得金額、在籍年数といった諸々の指標を用いて、合致する法人を選定するというものです。


1年あたり平均法

1年あたり平均法とは、なんらかの理由によって最終月額報酬が低くなってしまった場合に、平均額を算定することで適正退職給与額が低くならないようにするというものです。

適正退職給与額=役員勤務年数×同業類似法人の1年当たり平均額

1年当たり平均額=退職給与額/役員勤務年数

2.設備投資の減価償却を使用する方法

減価償却とは、会社で購入した建物や機械の耐用年数が20年だとすると、20年間にわたって毎年少しずつ価値が減少していくので、その固定資産について費用処理していく経理処理のことです。


設備投資の減価償却を利用することで、購入した固定資産について、耐用年数が過ぎるまで毎年一定額の損金を計上することができるので、節税効果が見込めます。


減価償却ができるものとして、大きく分けると有形財産と無形財産の2つがあります。


有形財産の例として以下のものが挙げられます。

  • 建物
  • 機械
  • 船舶
  • 車両
  • 航空機
  • 工具


無形財産の例として、以下の知的財産権や用益物権が挙げられます。

  • 意匠権
  • 商標権
  • 著作権
  • 採石権
  • 漁業権
  • 鉱業権


建設会社であれば重機、病院であれば医療機器などが減価償却可能な設備として挙げられるでしょう。


3.従業員のボーナスに使用して、満足度を上げる

従業員へのボーナスは全額損金に計上されるため、法人保険の解約返戻金を従業員のボーナスに充てることも可能です。


また、社員旅行の経費も福利厚生の経費として認められているため、従業員の満足度をあげることもでき、法人税の節税と合わせて一石二鳥の効果が見込めます。


従業員へのボーナスが損金として計上される場合

ただし、ここで注意して欲しいのは、従業員へのボーナスが損金と認められるためには、以下の3つの条件を満たしている必要があることです。

  1. 事業年度終了の日までに、賞与金額を従業員ごとに、かつ、全ての従業員に同時期に通知する。
  2. 事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に全額支払う。
  3. 未払いの賞与として、決算時に経理処理をする。


役員へのボーナスが損金として計上される場合

もう1つ注意してほしいのは、従業員へのボーナスと異なり、役員へのボーナスは簡単に支払うことはできないということです。


役員へのボーナスを突発的に支払うと、税務署から利益操作だとみなされて損金として計上してもらえない事態になる可能性があります。


以下の2つの場合であれば、役員へのボーナスが損金として計上されます。

  1. 事前に税務署に届出をしていた場合。
  2. 使用人兼務役員の使用人部分に対する支払いの場合。


社員旅行の経費が損金として計上される場合

社員旅行の経費が損金として計上されるには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
  1. 旅行の内容が社会通念上一般的なものであること
  2. 4泊5日以内の旅行であること
  3. 参加する従業員の数が、全従業員の50%以上であること

4.広告費に使用して企業のブランドを高められる

広告宣伝費も損金として計上されるのですが、まず注意してほしいのが、広告宣伝の対象が特定の者なのか不特定の者なのかによって、広告宣伝費とされるかどうかも変わるということです。


対象が特定の者である場合、それは広告宣伝費ではなく交際費とされてしまいます。


交際費とされた場合、その50%しか損金として計上されず、節税効果が低くなってしまいます。


たとえば、美容院の経営者にとっての化粧品の製造販売業社、病院の経営者にとっての医薬品の製造販売業社のように、日頃から取引を行う相手は特定の者であるとみなされ、交際費とされてしまいます。


そうならないために、広告宣伝費として認められるためにはどのような条件を満たしている必要があるのかしっかりと事前に確認しておくことが必要です。

4つの出口戦略以外に知っておきたい2つのポイント

これまでは法人保険の出口戦略について解説してきましたが、法人保険で損をしないためには出口戦略について知るだけでは不十分です。


ここから解説するのは、出口戦略ではなく法人保険の解約返戻率についてです。


法人保険は解約すると返戻金を受け取ることができますが、その金額はどのタイミングで解約するかによって異なります。


解約することで受け取ることができる金額の割合を表したものを解約返戻率と呼びますが、もっとも解約返戻率が高くなるタイミングを見計らって解約することで、法人保険の節税効果を最大限に上げることができるのです。


法人保険の解約返戻率について、月別返戻率失効による解約返戻率の2つのポイントに焦点を当てて解説していくので、ぜひご参考にしてください。

1.解約のタイミングがとても大切!月別返戻率を確認しよう

法人保険に加入する際、営業担当者から説明される解約返戻率とは、通常は年別の返戻率となっています。


そのため法人保険に加入する経営者の方は、法人保険の解約返戻金について、年別の返戻率しか知らされていないという場合があります。


しかし、実は解約返戻率は年ごとに異なるだけでなく、月ごとにも異なるのです。


このように、月ごとに異なる返戻率のことを月別返戻率と呼び、どの月で解約するかで返戻金の額も異なるので注意しましょう。

2.失効させることで高い解約返戻率の期間を逃さない

法人保険の解約返戻率にはピークがあります。


ピークを過ぎてしまうと、解約返戻率も下がっていくので、必然的に受け取れる解約返戻金も下がってしまいます。


法人保険の効果を最大限に引き出すなら、解約返戻率がピークになったタイミングで解約をするべきです。


とはいえ、従業員が退職をするタイミングなどの時間的なズレが生じることで、解約する時にどうしても解約返戻率のピークを過ぎてしまうということもあるでしょう。


そこでおすすめなのが、保険の失効を利用するということです。


解約返戻率がピークになったときに、保険料の支払いを止めることで保険を失効させ、解約返戻率をずっとピークに保った状態にしておくことができるというものです。


法人保険の解約返戻金は、失効したとしても解約返戻金を受け取る権利は消滅しないので、もっとも解約返戻率が高い時に解約返戻金を受け取ることができるのです。


ただし、失効を利用する際は以下の2点について注意しておくことが大切です。


  • 会社によっては失効期間に期限があり、それを過ぎると解約返戻金を受け取れなくなる。
  • 節税対策であることを見抜かれ、税務署に指摘されることがある。

まとめ:法人保険加入時には出口戦略を考える必要がある

法人保険の出口戦略について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


 今回のこの記事のポイントは

  • 法人保険の出口戦略には節税効果がある
  • 出口戦略には退職金以外にも計4つの方法がある
  • 退職金やボーナスは損金として計上されない場合があり、注意が必要
  • 解約返戻率について知っておくことが重要

でした。


法人保険の出口戦略は多様なので、どれを選んだらいいのか迷ってしまうこともあると思います。


どの選択が最大の節税効果を発揮するのか、出口戦略だけでなく解約返戻率など他の要素も吟味しつつ選択するといいでしょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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