夫が扶養する方が得?損をしない共働き夫婦の扶養について解説

共働き夫婦の中には、年末調整や確定申告などで子供を扶養に入れて控除を受けている方も多いのではないでしょうか。しかし夫か妻か、どちらの扶養に入れるべきか悩むことはありませんか?この記事では、共働き夫婦が扶養で損をしないための考え方や知識、税金の計算方法などを解説します。

共働き夫婦の扶養について解説

今の時代は共働きが当たり前になりつつありますが、働きながら子供を扶養していると所得税の扶養控除の恩恵の大きさが身に沁みて分かります。


そんな扶養控除ですが、共働きの夫か妻のどちらの扶養とするのが得なのか、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。


そこで、この記事では「共働き夫婦が子供を扶養に入れる場合どちらの扶養に入れるのが得なのか」について、

  • 共働きでも一般的に子供は夫の扶養に入れるが本当に得なのか
  • 子供を扶養に入れることで受けることができる控除や制度とは
  • 共働きで子供を夫または妻の扶養に入れたときのそれぞれの税額シミュレーション

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、共働きで子供をどちらの扶養に入れればいいのか、夫が専業主夫の場合や妻の方が収入が多い場合などのケースではどうすればいいのか等ケース別に詳しく知ることができ、税金をお得にすることができます。


是非最後までご覧ください。

子供を扶養に入れるなら、共働きの場合はどちらが得?

夫婦二人で共働きしていて16歳以上の子供がいると、特に企業務めの方や公務員の方は、年末調整のときにどっちの扶養に入れるかを考えたことがあるでしょう。


共働きであっても特に何も考えずに夫の扶養にしているという人もいますが、場合によっては妻の扶養に入れたほうが、家族全体で見れば税金が少なく済むというケースもあります。


以下で、共働きのとき子供の扶養をどちらに入れれば得なのか、ケース別に解説していきます。

年収が高い方の扶養に入れるのが一般的だが例外もある

扶養控除を受ける際は、基本的に年収の高いほうに入れるのが一般的です。

所得税は年収の多さに比例して、税率が5%、10%、20%…と徐々に上がっていく累進課税制度です。

扶養控除は所得の金額を扶養人数一人につき38万円減額するため、例えば所得税率10%の人が扶養控除を受けた場合、所得税は3万8千円安くなります。

一方、税率が5%の人が扶養控除を受けたとしても、安くなる所得税は1万9千円です。

そのため、扶養控除は年収の高い方に入れたほうが得になります。

これは妻の方が収入が多いときももちろん同様です。

ただし、住民税について言えば非課税限度額という制度があり、扶養人数によっては住民税が非課税となります。

非課税限度額は扶養人数が多いほど対象となる年収も多くなり、扶養に入れることによって住民税が非課税となるのであれば、年収が低くとも扶養に入れたほうが得な場合もあります。

いずれにせよ、所得税や住民税の計算方法をしっかりと知ったうえで、どちらの扶養に入れるのかを考えることが重要です。

受けられる控除や関係する制度・手当を把握した上で考える

所得税の控除は、なにも扶養控除だけではありません。


例えば、一番身近で減税幅が大きい控除としては住宅借入金等特別控除があります。


これは、いわゆる住宅ローンを利用して住宅を購入したとき、そのローンの残高に対して一定の割合を掛けた金額を、税額控除として所得税から控除できる制度です。


年度によって控除限度額は変わりますが、大きいと所得税そのものを50万円減額できるケースもあります。


この控除を例えば夫が受けて所得税が0円となることもありますが、その場合扶養控除に入れても所得税が安くなることがなく、意味がない場合もあります。


そういったときは、妻の扶養に入れて妻の所得税を安くしたほうが、全体的に所得税額が少なくなります。


他にも、保育園の保育料は所得の金額をベースにすることもあるため、扶養に入れて所得の金額が下がれば、保育料が安くなるケースもあります。


さらに会社では扶養手当などの手当金を出す会社もありますが、子供を扶養に入れていないと扶養手当が出ないということもあります。


練馬区:保育料

税制上の扶養と健康保険の扶養は別物

多くの人が混同していますが、一口に「扶養」と言っても制度上は2つの種類があります。


まず1つ目は、所得税法上の扶養です。


こちらの方が一般的によく使われる扶養ですが、所得者が扶養する人一人あたり38万円が所得の金額から控除される制度がこれに該当します。


また、2つ目は健康保険上の扶養です。


通常、健康保険に加入するには保険料を支払わなければなりません。


日本においては一人一保険が原則であるため、通常は子供であっても保険料を支払って健康保険に加入することになります。


しかし、親などに養われている間は健康保険料を支払うことなく、保険に加入することができる制度があります。


これが健康保険の扶養です。


この二つの扶養は、それぞれ基準となる金額や条件が異なるため、別々に考えましょう。

健康保険上は収入が高い親の扶養に入れるのが基本

所得税法上の扶養では、所得の金額に関係なく親のどちらに入れるかは任意となっています。


しかし、健康保険上の扶養は収入が高い方の親に入れることが基本となっています。


健康保険法では、家計を支える人でかつ基本的に同居している子供でなければ扶養に入れないなど、所得税法上の扶養よりも厳しい基準となっています。


両親ともに収入が同じくらいの場合は、任意でどちらの扶養に入れるかを決めることができます。


ただし、会社によっては手当等の関係もあり、基本的には所得税法上の扶養も収入の高い方に入れることが求められることもあります。


事前に会社に相談しておき、どちらの扶養とするかを決めてください。

所得税の控除と住民税の控除

所得税における扶養控除の金額は一人あたり38万円ですが、住民税の場合は35万円と、所得税の計算とは異なっています。


これは配偶者控除や保険料控除なども同様であり、所得税と住民税では若干計算の仕方が異なります。


給与所得控除後の金額を算出するまでは同じなのですが、そこから先は計算方法が異なるため、計算シミュレーションをするときには注意してください。

参考:控除額から減税額を計算する方法

扶養控除による控除額は、38万円がそのまま所得税から引かれるのではなく、税金を計算する前の所得の金額から引かれます。


ただし、こちらは所得控除であり、所得税額から直接控除することができる税額控除とは異なるのでご注意ください。


控除額については、自分の所得税率から簡単に算出することが可能です。


例えば税率が10%の人の場合、控除できる所得税額は38万円×10%=3万8千円となります。


また、所得控除によって税率が変わるケースもあります。


例えば扶養控除適用前の所得の金額が210万円だったとすると、そのままでは税率が10%となりますが、扶養控除が入ることによって所得の金額は172万円となり、税率は5%となります。


このようなケースでは、所得税額そのものが大きく下がることとなります。

共働き夫婦それぞれの扶養に子供を入れてシミュレーション

それでは、具体的に共働きの夫婦が扶養控除を適用することによってどのぐらい税額が安くなるのかを、モデルケースを交えてご紹介します。


子供の人数や年齢によって何パターンものシミュレーションがありますが、今回はその中でも多いと思われる、夫婦共働きで子供が二人いるケースについて解説します。


共働きではどちらか片方の収入が多くなることが多いため、そのようなモデルケースをご紹介します。

モデルケースを紹介

まず、シミュレーションをするにあたっては具体的な年収が必要となります。


ここでは、年収450万円の夫と、年収250万円の妻を例にご紹介します。


この場合、所得の金額は以下のように算出されます。




給与収入
450万円
250万円
給与所得控除
134万円
83万円
社会保険料控除
63万円
35万円
基礎控除38万円38万円
所得の金額215万円94万円

この例で、子供が二人いる場合のシミュレーション結果は以下の通りです。

16歳未満の子供が2人いる場合

まず、子供が二人とも16歳以下である場合です。


この場合の前提として、所得税の扶養控除は16歳以上の子供に限られるため、夫に二人とも扶養を付けても控除される所得税額はありません。


これは妻でも同じことなのですが、こういったケースでは妻に一人もしくは二人とも扶養を付けたほうが得になります。


それは、住民税の非課税限度額制度があるからです。


東京都の場合、住民税が非課税となる所得の金額は、最大で(35万円×本人と扶養親族の人数の合計+32万円)と計算されます。


子供が一人いる場合は102万円まで、二人いる場合は137万円までの所得であれば、住民税が非課税となります。


よって、モデルケースでは少なくとも子供一人を妻の扶養に入れれば、妻の住民税は非課税となり、家庭全体で見ると得になります。

16歳以上の子供が2人いる場合

次に、子供が二人とも16歳以上である場合の税額についてシミュレーションします。

扶養の入れ方
夫の所得の金額妻の所得の金額税額(合計)
二人とも夫の扶養
139万円
94万円116,500円
一人が夫の扶養、もう一人が妻の扶養
177万円56万円116,500円
二人とも妻の扶養
215万円18万円126,500円
なお、このケースでは計算を簡略化するため、復興特別所得税は考慮しておりません。

この場合、夫の扶養に入れたほうが得となります。

所得の金額が195万円を超えると税率が5%から10%になるため、このケースでは特に夫に扶養控除を付けたほうが、税率そのものが下がるため所得税が安くなります。

参考:税制上の扶養なら子供を一人ずつ分けることも可能

なお、所得税法上の扶養は年収に関係なく扶養控除を適用することができるため、子供が二人の場合は一人ずつに分けることも可能です。


上記のモデルケースでは意味がありませんでしたが、例えば夫も妻も年収450万円であった場合、下記の表のように扶養の入れ方で税額が変わります。


扶養の入れ方
夫の所得の金額
妻の所得の金額
税額(合計)
二人とも夫の扶養
139万円
215万円
187,000円
一人が夫の扶養、もう一人が妻の扶養
177万円
177万円
177,000円
二人とも妻の扶養
215万円
139万円
187,000円

このように、扶養控除によって税率が変わるところにいる人は、扶養を分けることによって所得税が下がるケースもあります。

参考:別居している両親や親族を扶養に入れることもできる

扶養控除は、なにも子供の扶養だけに適用されるわけではありません。


生計を一にする人がおり、その人によって生活が支えられている人がいれば、扶養控除の対象となります。


特に両親の場合は、同居していなくとも扶養控除の対象とすることもできます。


同居している場合はさらに範囲が広く、親族や兄弟など、誰でも扶養に入れることができます。


ただし、扶養されている人の収入金額が一定以下であるなど、その人によって生計が維持されていることが客観的に証明される必要がありますのでご注意ください。

共働き夫婦の扶養についてのまとめ

共働き夫婦の子供はどちらの扶養に入れるのが得かについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 共働きでは一般的には年収の高い方の扶養に入れるが、例外的なケースもある
  • 所得税法上の扶養と健康保険上の扶養は別物
  • 子供が二人以上いれば、共働きの夫と妻に分けてそれぞれ扶養に入れることもできる

です。


扶養控除の金額は小さくなく、場合によっては一人扶養に入れることによって所得税率が下がるケースもあります。


共働きをしている人は、一度しっかりと自分自身でも所得税額のシミュレーションをし、どっちの扶養に入れるか、最もお得になるように扶養控除を活用しましょう。


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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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