更新日:2024/04/26
定年後、満額年金をもらいながら働く方法とは?収入次第で満額受給も可能
いざ老後を迎え、年金の受給が始まっても「一日中家にいると体がなまってしまう」「定年後も誰かのために働きたい」という思いから働き続けたいと考える方は多くいらっしゃいます。年金をもらいながら働くことはもちろん可能ですが、雇用形態や収入額によっては厚生年金がカットされることも。今回は定年後に満額年金をもらいながら働く方法や減額される場合の計算式について解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
そもそも、年金額に影響があるのは「会社員」として勤め続けた場合
そもそも、定年後働き続ける場合には年金が一切支払われないという制度が長く続いていました。
しかし、近年「高齢者の労働意欲が下がってしまう」との懸念から働きながら年金を受け取ることができる「在職老齢年金制度」です。
今回是非とも確認していただきたいのは、こちらの「在職老齢年金」とはあくまで「会社員」として厚生年金保険料を納めながら労働を続ける場合に、一定額を超えた分は厚生年金から減額される制度のことです。
パート・アルバイトとして厚生年金に加入せずに働いている場合の収入は計算に含まれませんのでご注意ください。
年金をもらいながら働く方法|働いていても在職老齢年金を受給できる
国民年齢の加入年齢が60歳未満までなのに対して、厚生年金の加入年齢は70歳未満までですので、60歳を超えても会社員として厚生年金に加入しながら雇用を継続することは可能です。
在職老齢年金とは、60歳を超えても働き続け、厚生年金に加入しながら厚生年金を受給することができる年金のことを指します。
在職老齢年金をもらいながら働く方法には、年金の一部または全額が支給停止になる場合もありますので注意が必要です。
【在職老齢年金の支給額】
在職老齢年金 | |
---|---|
毎月の報酬+年金の月額の合計が50万円以下 | 全額支給 |
毎月の報酬+年金の月額の合計が50万円を超える | 減額 |
カットされずに満額年金をもらいながら働く方法を解説します
在職老齢年金支給額は基本月額と総報酬月額相当額によって決定します。
【基本月額とは】
- 60歳以上65歳未満⇒加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額
- 65歳以上⇒加給年金額を除いた報酬比例部分の老齢厚生年金の月額
【総報酬月額相当額とは】
- その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与÷12で出した金額
在職老齢年金は、沢山働けば働いた分だけ給料をもらうことができますが、その分受け取ることができる年金がカットされる仕組みになっているのです。
年金を満額もらいながら働く方法を解説していきます。
60歳~70歳の方が年金を満額年金ををもらいながら働く方法
60歳~70歳の方が年金をもらいながら会社員として働くためには、収入額を一定額に抑えなくてはいけません。
その一定額とは、毎月の報酬+年金の月額の合計が50万円以下であることが収入の条件となっています。
ちなみに、ここでいう「毎月の報酬+年金の月額」というのは、「会社員としての給与収入+厚生年金の月額」ということです。
また、賞与も含まれますのでお気をつけください。
毎月の報酬+年金の月額の合計が50万円を超えてしまうと、支給される在職老齢年金の一部または全額が支給停止になってしまいますので覚えておきましょう。
厚生年金から抜けてしまうという手もある
年金がカットされないように、働き方を調整して、収入を抑えながら在職老齢年金を受け取るのが大変だという方は、おもいきって厚生年金から抜けてしまうというのも一つの手です。
個人事業主や非常勤役員の人は、厚生年金に加入する必要がありませんので、これも満額年金をもらいながら働く方法の一つです。
例えば、今働いている職場と業務請負契約をして、個人事業主として働けば、厚生年金に加入することなく同じ業務で働き続けることが可能です。
年金は繰り上げ受給をすることも可能です。個人事業主になってからは、繰り上げ受給による年金の減額を考えながら、自分に合ったスタイルの仕事量を考えて働き続けることが可能です。
年金をもらいながら働く方法|シミュレーション・具体例で解説!
60歳~64歳、または65歳以上の方がどれくらいの収入があると、在職老齢年金をいくら受け取ることができるのか、計算方法だけではパッとしませんよね。
それでは実際に、年金をもらいながら働く方法である「在職老齢年金」について、65歳以上の方と65歳未満の方では、収入によって年金の支給額がどのように変化するのかを、年金をもらいながら働く方法を、具体的なシミュレーションで見ていきたいと思います。
年金を満額受給できる場合・カットされる場合
65歳以上の方が働きながら年金を受給したときに、基本月額+標準報酬月額が50万円を超え、年金をカットされる場合の支給停止月額の計算方法は次の通りです。
実際に、例をあげて見てみましょう。
(例1)
- 年齢:67歳
- 基本月額:15万円
- 標準報酬月額:20万円
- 過去1年間の賞与:30万円
(例2)
- 年齢:66歳
- 基本月給:20万円
- 標準報酬月額:35万円
- 過去1年間の賞与:30万円
参考:満額年金をもらいながらパート・アルバイトはできるのか
正社員に限らず、パートやアルバイトとして年金をもらいながら働く方法もあります。ここでは、パートやアルバイトとして年金をもらいながら働く方法を解説していきたいと思います。
満額年金をもらいながら働く方法は、これまで解説をしてきた以下の条件と一緒です。
【60歳以上65歳未満の在宅老齢年金】
在職老齢年金 | |
---|---|
毎月の報酬+年金の月額の合計が28万円以下 | 全額支給 |
毎月の報酬+年金の月額の合計が28万円を超える | 減額 |
【65歳以上の在宅老齢年金】
在職老齢年金 | |
---|---|
毎月の報酬+年金の月額の合計が47万円以下 | 全額支給 |
毎月の報酬+年金の月額の合計が47万円を超える | 減額 |
それともう一つの方法が、厚生年金に加入しなくても良い働き方をすることです。以下の条件に該当すると、厚生年金に加入する必要がありますので覚えておいてください。
- 週の労働時間が20時間を超える
- 月給が88,000円以上
- 1年以上の雇用が見込まれている
- 昼夜学生でない
参考:失業保険と年金受給は両立することができるのか
60歳を超えて定年退職をした後に、ある一定の条件を満たすことによって、失業保険と年金をどちらも受け取ることが可能です。
基本的には、失業保険をもらうための手続きをした時点で、失業保険を受給中は年金の支給がストップします。
60歳~64歳の方が受け取る雇用保険のことを「失業給付」と言い、65歳以上の方が受け取る雇用保険のことを「高年齢雇用継続給付」と言います。
失業給付を利用した場合は、その間老齢厚生年金は全額支給停止になり、高年齢雇用継続給付を利用した場合には、その間老齢厚生年金は一部支給停止になります。
しかし、65歳になる直前に退職し、実際に失業保険を受け取るのが65歳になってからの場合、失業保険と老齢厚生年金の両方を受給することが可能なのです。
この裏技はとてもレアなケースではありますが、失業保険と年金受給は両立することができるのはとても大きなメリットですね。
まとめ:年金をもらいながら働く方法はある!
ここまで解説をしてきたように、年金をもらいながら働く方法はあります。年齢や収入によって受け取ることのできる金額は違ってきますが、その点をきちんと把握していれば、より安定した生活を送ることができるかもしれません。
改めて、年金をもらいながら働く方法をまとまてみましょう。
【年金をもらいながら働く方法】
- 厚生年金に加入し、働き方を調整することによって、働きながら老齢厚生年金を受け取ることができる。
- 共済年金に加入し、働き方を調整することによって、働きながら退職共済年金を受け取ることができる。
- 厚生年金から抜けて、個人事業主や非常勤役員として働くことによって、働き方によっては年金を満額受け取りながら働くことができる。
- パート・アルバイトをしながらでも、年金を受け取ることができる。
それぞれ気を付けなければいけない事がありますので、メリット・デメリットをしっかりと考えたうえで、「年金をもらいながら働く方法」を利用してみることが大切です。