更新日:2023/10/26
運送業におすすめの保険とは?保険料や対策できるリスク等を解説
運送業には運送中の荷物の破損や運送に使用している自動車が事故に遭うリスクなどがあると考えられます。そのようなリスクの対策として貨物保険や法人向けの自動車保険などの法人保険に加入することをおすすめします。保険料など相談は「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 運送業には従業員の交通事故や受託物の破損などのリスクが考えられる
- このようなリスクが起こると経営に大きな影響を与える
- 上記のようなリスクの対策として法人向けの自動車保険や貨物保険などの加入が必要
- リスク対策や法人保険の相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 運送業が抱えるリスク
- 運送業を取り巻くリスク①受託貨物の破損
- 運送業を取り巻くリスク②名誉毀損・プライバシー侵害
- 運送業を取り巻くリスク③作業対象物や借用物の破損
- 運送業を取り巻くリスク④輸送した貨物による損害賠償
- 運送業を取り巻くリスク⑤設備・機材不良による損害賠償
- 運送業を経営する上で知っておくべき実際にあった被害の事例
- 事例①フォークリフトの事故によって従業員に怪我・後遺症が残った
- 事例②洗濯機の搬入・設置作業後に漏水事故が発生した
- 事例③トラックの荷台から機械が落ちて破損した
- 事例④搬送中の機械を急ブレーキで破損して修理代を請求された
- 運送業が加入すべき法人保険
- ①貨物保険
- ②労働災害総合保険
- ③所得補償保険
- ④雇用慣行賠償責任保険
- ⑤法人向け自動車保険
- ⑦運送業総合保険
- 運送業のリスクに備えた保険に加入する際の注意点
- 注意点①故意や重大な過失は補償対象外
- 注意点②免責金額・保険金の限度額をしっかり確認する
- 注意点③補償範囲をしっかりと確認・比較する
- 法人保険の加入方法
- 個人事業主でも加入できる?
- 参考1:運送業者が任意保険に加入しない主な理由
- ①大手の運送業企業は自家保険の方が安く済む
- ②中小企業は保険料を支払えない場合が多い
- ③リスクの認識が緩い
- まとめ:運送業のリスク多いため保険の加入が必須!
目次
運送業が抱えるリスク
運送業はお客さまのもとに荷物を届けるために荷物を預リ運ぶ、そして長距離の運転も行うということから様々なリスクが考えられます。
運送業が抱えるリスクとして以下が挙げられます。
- 受託貨物の破損
- 名誉毀損・プライバシー侵害
- 作業対象物や借用物の破損
- 輸送した貨物による損害賠償
- 設備・機材不良による損害賠償
それでは、運送業が抱えるリスクについて以下で説明していきます。
運送業を取り巻くリスク①受託貨物の破損
運送業として受託貨物の破壊のリスクは常に隣り合わせであると言えます。お客さまから預かった大切な荷物をお届け先まで届けるまでの間に預かっていた荷物が壊れてしまうということも有り得る話です。
荷物が壊れてしまう原因としては以下が考えられます。
- 交通事故によって荷物が破損
- 従業員が荷物を積み下ろししている時に落としてしまった
- 従業員が運んでいる時にぶつけて壊してしまった
運送業を取り巻くリスク②名誉毀損・プライバシー侵害
運送業はお客さまと直接接し対応する仕事であることから、お客さまやそれに関わる人の名誉を意図せず傷つけてしまったり、プライバシーを侵害してしまうという可能性もなきにしもあらずです。
名誉棄損とは、本当か嘘かどうかに関わらず、個人情報が広められたことにより、企業の社会的評価などに影響が出ることを言います。またプライバシーの侵害は、本人が望んでいない状態で、プライベートや個人的な情報が公にさらされることを言います。
名誉棄損ではお客様のお届け先を訪れた際に不審者がいたとのことで捉えた不審者がお客様の関係者であった事例があります。またプライバシーの侵害に当たる事例として、仕事として届け先を訪れたことをきっかけに知った情報について従業員がインターネットや文書などで発信したことがあります。
当然不審者に間違われてしまった側は不愉快ですし、不名誉だと感じるでしょう。場合によっては不審者に間違えて拘束した、その場面を近所の人に見られてしまい誤解されることになったと従業員を名誉毀損で訴えることも考えられます。
運送業の場合お客さまの住所や個人情報などに触れたり、目にすることも多いため、プライバシー侵害については特に意識して注意する必要があります。
運送業を取り巻くリスク③作業対象物や借用物の破損
運送業としてお客さまからの荷物を扱う仕事においては様々な作業があります。その作業中に荷物やそれに関わった人が怪我をしてしまったり、荷物の搬入などの際に借りた道具を壊してしまったりということも考えられます。
例えば、作業対象物の破損については以下のような例があります。
- 搬入後に荷物の置き方が適当であったことから荷物が倒壊してしまい、近くを通った人に当たって怪我をしてしまった
- 荷物の倒壊と同時に倒れた拍子に荷物も壊れてしまった
運送業を取り巻くリスク④輸送した貨物による損害賠償
時には輸送した荷物によって損害賠償が発生することもあります。例えば送ってはいけない荷物を送ってしまった場合の損害賠償です。
輸送した貨物による損害賠償としては以下のことが挙げられます。
- お客さまの都合や会社の都合で出荷が差止めになる荷物
- 運送中の食料品に雑菌が混入してしまい食中毒が発生してしまった
- 引き渡すべき材料を間違えてしまったために異なる完成品が出来上がってしまった
運送業を取り巻くリスク⑤設備・機材不良による損害賠償
運送業が抱えるリスクとして、設備や機材の不良でトラブルや事故が発生し、損害賠償をされるということもあります。
例えばお客さまからの大切な荷物を預る所として倉庫があります。倉庫のセキュリティや管理、温度設定などがきちんとされていて問題がなければいいのですが、セキュリティサービスや倉庫の鍵のかけ忘れ、温度設定のミスということも考えられます。
そのような状況下において、以下のことがあると言えるでしょう。
- 倉庫内に不審者が忍び込みお客さまから預かっていた大切な荷物が無くなってしまった
- 温度設定のミスによって温度管理しなければならない荷物がダメージを受けてしまった
運送業を経営する上で知っておくべき実際にあった被害の事例
先ほど紹介したように運送業を経営していく上では様々なリスクがつきものであり、常にトラブルと隣り合わせであるといっても過言ではありません。
運送業を経営する上で知っておくべき実際の被害の事例として
- フォークリフトの事故によって従業員に怪我・後遺症が残った
- 洗濯機の搬入・設置作業後に漏水事故が発生した
- トラックの荷台から機械が落ちて破損した
- 搬送中の機械を急ブレーキで破損して修理代を請求された
事例①フォークリフトの事故によって従業員に怪我・後遺症が残った
フォークリフトの事故によって従業員が怪我をしてしまい、結果として後遺症が残ったというケースがあります。
従業員が倉庫内で荷物の上げ下ろしの際に使っていたフォークリフトがコンテナの扉に接触してしまいました。
その拍子にコンテナの扉付近にいた出入り業者の男性が跳ね返ったコンテナの扉に接触してしまい、その勢いで転倒、転倒が原因で頭蓋骨を骨折してしまいました。
頭は脳や重要な神経が通っているところから後遺症が残りやすい部分ではありますが、この弾性についても頭蓋骨骨折で後遺症が残ってしまいました。
頭蓋骨骨折による後遺症についての損害賠償として、フォークリフトの事故後会社側は被害者である男性に約6,900万円を支払ったのです。
事例②洗濯機の搬入・設置作業後に漏水事故が発生した
洗濯機を搬入後、設置する作業をしますがその際に漏水事故が起こってしまったということもあります。
家電量販店が洗濯機を購入したお客さまの元を訪問し、洗濯機を運び込みました。
洗濯機を使うためには洗濯機と水道ホーズなどを繋ぐ必要があり、その設置作業も一緒におこなったのですが、その設置に失敗してしまったのです。
洗濯機本体とホースの接続不良により、洗濯機の搬入後に水漏れが発生してしまいました。
洗濯機からの水漏れで脱衣所の床、そして購入者の部屋だけに被害はとどまらず下の階の部屋にまで被害が及んでしまったのです。
このような漏水事故による被害について損害賠償を行う義務があると言えるでしょう。
その後、会社側は約580万円を支払いました。
事例③トラックの荷台から機械が落ちて破損した
トラックに荷物を積み込んで目的の場所までを運ぶという作業で、積み込みに失敗し荷物が破損してしまうというケースがありました。
あるところで建物の改築があり、それにに伴って内部の収容機器の移設するための作業がありました。
使用する産業機械を台車に載せた後、リフト付きのトラックに積み込んだのですがその際に高さ1メートルもあるトラックの荷台から産業機械が滑り落ちてしまったのです。
高さがある荷台から機械が滑り落ちてしまって無事であることは稀です。実際、高さ1メートルもある荷台から機械が壊れてしまったのです。
産業機械は非常に高価であると同時に代替機が用意されるまで時間がかかってしまう場合があります。
このトラブルにおいて会社側は損害賠償として約520万円を支払いました。
事例④搬送中の機械を急ブレーキで破損して修理代を請求された
運送中は預かっている大切な荷物を守ること、異状のない状態でお客さまに運ぶことが第一とされます。
荷物を守るという目的から、搬送中に荷物が汚れたり濡れたりするのを防ぐためにシートやカバーを掛けることがあります。
ある時、搬送中の荷物にカバーを掛けて運んでいましたが事故を防ぐためのとっさの急ブレーキで荷物に掛けていたカバーが外れてしまいました。
カバーが外れてしまったことで吹き込んだ雨水が荷物に入り込み、荷物が壊れてしまったということがあったのです。
当然荷物を預けていた荷主は壊れてしまった荷物の損害賠償を会社に請求しました。
会社側は預かっていた大切な荷物を不注意で壊してしまったということで約430万円の賠償金を支払ったのです。
運送業が加入すべき法人保険
ここからは先ほど紹介したリスクや事故に対応するための法人保険をいくつか紹介します。運送会社はトラックなどでお客さまの荷物を目的地まで届けることを仕事としています。
お客さまの大切な荷物を扱っているということ、そして長時間長距離のトラック運転で身体を酷使するということから様々な事故やトラブルが起こることが予想されます。
そのようなトラブルに対応するために法人向けの任意保険の加入をおすすめします。ただし保険会社が提供している法人保険は様々な種類があるため、ここでは運送業の経営に関係のある任意保険をいくつか紹介します。
運送業に必要と考えられる法人保険は以下になります。
- 貨物保険
- 労働災害総合保険
- 所得補償保険
- 雇用慣行賠償責任保険
- 法人向けの自動車保険
- 運送業総合保険
①貨物保険
運送業を経営している方々なら既に加入しているかと思いますが、まずは「貨物保険」の解説をしていきます。
運送業とは、荷物を受け取りお客さまの待つ所まで無事に荷物を運び切ることが仕事です。
しかし、日々沢山の荷物を扱う従業員として最善を尽くすものの、お客さまから預かっていた荷物を傷つけてしまったということも十分に考えられます。
人間ですから当然間違いはあるものの、お客さまにとっては荷物は無事に運ばれて自分の元に届くと信じているわけです。
その信頼を裏切ってしまい無事に届けることができなかった場合、お客さまの信頼問題にも関わってきます。
考えられる運送中のトラブルとしては
- 運送車両の火災
- 荷物の破損
- 荷物の盗難
- 輸送車両の事故による荷物のダメージ
ということが考えられるでしょう。
もしお客さまの荷物を傷つけてしまった場合、その荷物の実際の損害費用を補償するという考え方です。
しかし、保険金支払い対象外となることもあります。
- お客さまの荷物にわざと傷をつけた場合
- 荷造りが不十分という過失がある場合
以上の荷物のトラブルなどでは保険金が支払われないケースもありますので、ご注意ください。
②労働災害総合保険
仕事最中や仕事場に行く最中の通勤中の従業員の怪我やトラブルは労働災害として扱われます。
労働災害が起こった場合、従業員は以下の行動をとるでしょう。
- トラブルによる怪我で仕事を休業する
- 怪我の治療
- 入院や通院
労働災害と認められた場合は、労働者災害補償保険法による社会保障の制度で労災保険が支払われます。
この労働者災害補償保険法で加入が義務付けられている労災保険は政府労災と呼ばれ、原則として1人でも労働者を雇用する会社であれば全ての会社に適用されます。
しかし、上記の政府労災だけでは補償が不十分である場合も無きにしもあらずです。
補償でカバーしきれない時でも上乗せして補償を受けることができるように加入すべきものが任意で加入する労働災害総合保険です。
労働災害総合保険は保険会社に支払った保険料について全額経費として扱うことができるの課税金額の減額にもつながります。
しかし、1人親方などのような個人事業主の場合は経費ではなく社会保険控除という扱いになりますので、帳簿管理や納税の際にはご注意ください。
③所得補償保険
元気に働くことができているうちは会社から働いた分の決まった額のお給料が支給されます。
しかし、何事もなく働くことができている間はいいですが、もしも病気にかかってしまったり怪我をしてしまった場合は元気に働くことができなくなります。
突然の病気や怪我によって働けなくなった場合、働けない期間中は会社からお給料が支払われず、生活が苦しくなってしまうのは火を見るよりも明らかです。
働けなくなったの所得をカバーするのが所得補償保険です。
所得補償保険では以下の状態が原因で所得がない状態になってしまった場合の生活を保障します。
- 仕事中の突然のトラブルによる怪我や病気が原因で働けなくなった
- プライベートの国内外旅行で怪我をしてしまい働けなくなった
- 束の間の休日を楽しんでいた時に怪我をしてしまい働けなくなった
仕事中だけでなく、プライベートの病気や怪我が原因で働けなくなった場合も仕事中と同じように所得補償します。
保険会社によっては特約を付けることによって、被保険者の家で家事全般を行っている家族の方も補償の対象にすることができる場合があるので、詳しくは保険会社にご相談ください。
④雇用慣行賠償責任保険
雇用慣行賠償責任保険とは、雇用関係で会社と従業員がトラブルになった場合に会社が負担する費用や従業員への賠償などによる出費を補償するための法人保険です。
従業員と会社の間で生じた労働についての争い事は、裁判所で原則3回以内という少ない回数で解決することを目的に設けられた労働審判制度によって、労働に関する訴訟の数は年々増加しているというデータがあります。
やはり会社としていくら気をつけていたとしても、以下のような会社内トラブル
- ハラスメント行為
- 差別的行為
- 雇用関係トラブル
これらのトラブルは完全に防ぐことはできません。
もし訴訟となった場合、被害をうけた従業員に対しては会社として賠償する義務が発生する可能性もあるでしょう。
万が一賠償する必要がないという判断がおりた場合であっても訴訟にかかる費用が多額になるということもありえます。
雇用慣行賠償責任保険では
- 法律上の損害賠償金:
法律上の賠償責任を果たすことによって被る金銭的被害の補償 - 争訟費用:
従業員から損害賠償責任についての訴訟で支払うことになった費用や弁護士をつけるための費用、証拠集めのために支払った費用などの補償
⑤法人向け自動車保険
運送業にとっては必須の法人保険である、法人向けの自動車保険について解説していきます。自動車保険は個人でも加入できるため馴染みのある保険の一つかと思います。
では、法人向けの自動車保険と個人で加入する自動車保険にはどのような違いがあるのでしょうか?以下が法人と個人で加入する場合の違いになります。
加入条件 | 契約方法 | |
---|---|---|
法人向けの自動車保険 | 契約者等を法人として契約する必要がある | フリート契約が可能 |
個人で加入する自動車保険 | なし | 1台ずつでの契約 |
法人向けの自動車保険は、加入条件として、契約者、記名被保険者、車両所有者を全て法人として契約する必要があります。また契約の方法として10台以上まとめて契約する方法のフリート契約が法人では可能です。
法人として自動車保険に加入する場合は保険料が高額になる場合があります。そのためコストを抑えたい方は、加入方法や条件について十分に理解しておく必要があります。
法人向けの自動車保険の加入条件や契約方法について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧になるか、「マネーキャリア」にて専門家に相談することをおすすめします。
⑦運送業総合保険
運送業総合保険とは運送に関わる一連の流れで起こりうるトラブルに備えた保険です。
運送と一口に言っても、
- お客さまの所から荷物を受け取る
- 受け取った荷物を会社に持ち帰り、一時的に倉庫などに保管
- トラックに預かった荷物を積む
- トラックによる長距離移動
- お客さまに預かっていた荷物をお渡しする
という長いルートを辿っています。
お客さまから預かっている大切な荷物ですが、いつどこで何が起こるかは神のみぞ知るです。
一時的だからと管理が不十分な状態の倉庫で保管していたために紛失や盗難にあうことも考えられるでしょう。
また、倉庫から取り出してお客さまの元に運ぶまでの長い道のりで、何もなければいいのですが、以下のようなトラブルが起こることが考えられます。
- 自動車事故
- 預かった荷物の盗難や紛失
- 事故によるドライバーの怪我
- トラックの故障で動かなくなる、配送不能になる
そのような考えられうる様々な運送関係のトラブルに対応するものが運送業総合保険です。
特約を付けることによって貨物の損害の有無を確認するために必要となった検査費用や事故の際の片付けに要した費用も補償することも可能です。
運送業のリスクに備えた保険に加入する際の注意点
運送業においてリスクに備えるために保険に加入すべきということですが、保険に加入する際に考慮しなければならない注意点があります。
その注意点というのは
- 故意や重大な過失は保障対象外
- 免責金額・保険金の限度額をしっかり確認する
- 補償範囲をしっかりと確認・比較する
注意点①故意や重大な過失は補償対象外
「故意」や「重大な過失」の意味は以下の通りです。
用語 | 意味 |
---|---|
故意 | これをしたらどうなるかという後の結果がわかっていながらわざと行うこと |
重大な過失 | 気をつけていればトラブルや事故を予想し起こらないように防止することができたにも関わらず、ただ漫然と見逃してしまったという場合 |
当然ですが、「わざと起こした」「気をつけていれば防げた」という内容の事故やトラブルは補償の対象外であるとして保険金は1円も支払われません。
保険は「気をつけて自分たちとして手を尽くしてはいたが、トラブルや事故を起こしてしまい困っている」という人や会社を助けるためのものであります。
保険金欲しさにわざと事故やトラブルを起こす人のためにあるものではありません。
また、「重大な過失がある場合」については自分で防ごうと思えば防げたであろうトラブルや事故についてまで守り、補償するということはありえないといっても過言ではないでしょう。
注意点②免責金額・保険金の限度額をしっかり確認する
保険というものは万能ではないので、全てのトラブルや事故に対応できる、安心できるということはありません。
運送会社での全ての事故やトラブルに保険金を支払うというものではなく、会社ごとのプランや特約によって補償の範囲が異なってくるのです。
また、もしも事故が起こった場合、契約している会社側での負担は避けられない「免責金額」というものがあることもあるので注意が必要です。
つまり免責金額20万円の保険に加入し、トラブル解決のために支払った費用が200万円だった場合は保険会社から180万円は保険金が支払われますが、免責金額である20万円は支払われません。
免責金額がある分、保険料が少し安くなる場合があるというメリットもありますが、会社の財政事情と相談しながら決めましょう。
また、保険金も際限なくいくらでも支払われるわけではありません。
保険会社やプランによって「無制限」とならない限り、支払上限額が設定されていますので、保険の加入の前にしっかりと確認しておく必要があります。
注意点③補償範囲をしっかりと確認・比較する
保険に加入するにあたって補償内容はしっかりと確認し、以下の内容について比較検討する必要があります。
- 自分の会社に適した補償内容であるか
- 考えうるトラブルや事故にきちんと対応できるのか
保険会社はいくつもあり、同じような保険の商品名やプランであっても保証される範囲は異なっているということもあります。
何か会った時のために、会社としての損害や金銭的ダメージを少しでも軽くしたいという思惑で加入したにも関わらず、いざ事故やトラブルがあって保険会社に報告したところ補償の対象外であるため保険金が支払われないというのではあんまりですよね。
保険に加入する前に、
- 自分の会社でどのような事故やトラブルがこれまで多かったのか
- 今後はどのようなことが起こりうるのか
ということについて予想することも大切です。
これまで多かったトラブル、今後増えていきそうな問題や課題などにしっかりと対応し、損害をカバーしきれるのか補償範囲をしっかりと確認していくつかの保険会社と比較していくことで自分の会社にぴったりの保険に加入することができるでしょう。
法人保険の加入方法
ここまで記事をご覧になって、自身が経営する運送業でも保険が必要と考えている方がいると思います。
法人保険の加入方法は、加入したい保険を取り扱っている保険会社または、保険代理店に問い合わせることで加入することができます。
しかしご自身が思っているリスクより、大きなリスクが事業を取り巻いている可能性があります。そんな事業のリスクに関する相談は、「マネーキャリア」をご利用ください。
「マネーキャリア」では、リスク対策や法人保険の専門家が、相談者の事業を潜在的に取り巻くリスクまで理解した上で、最適な保険の提案までしてくれます。
事業に関することで、気になることがある方は以下からお申し込みください。
個人事業主でも加入できる?
運送業を経営している方の中には、個人事業主いわゆる黒ナンバーとして運送業をしている方がいると思います。
そのような方々でも法人保険に加入することは可能です。一人で事業を経営するということは、その分、何かあった時の責任が全て個人に集中することになるため、よりリスク対策が必要と言えます。
黒ナンバーにおすすめの保険やリスク対策については以下の記事で解説しているので、気になる方はそちらをご覧ください。
参考1:運送業者が任意保険に加入しない主な理由
運送会社としてお客さまの大切な荷物を預る仕事、長距離の運転によって身体を酷使する仕事であるということから、お客さまのために、そして会社で働く従業員のためにも任意保険に加入するべきと考えられます。
しかし、中小企業をはじめとして未だに任意保険に加入していない場合が多く見られます。
運送業者として任意保険に加入しない理由としては
- 大手の運送業企業は自家保険の方が安く済む
- 中小企業は保険料を支払えない場合が多い
- リスクの認識が緩い
①大手の運送業企業は自家保険の方が安く済む
大手の運送会社で保険が未加入という背景には自家保険の存在があります。
自動車を所有している人や会社は自動車ごとに加入しなければならない自動車賠償責任保険には原則加入していますが、保険会社で販売している保険はあくまで「任意」としての保険です。
加入するもしないもその会社に委ねられているといっても過言ではありません。
大手の運送会社で任意保険に加入した場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | 事故対処時など何かあった時の保障も手厚く安心できる |
---|---|
デメリット | 毎月・毎年の保険料が高額 |
自家保険のみで事故処理などを賄うメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | 保険会社に支払う保険料が節約できる |
---|---|
デメリット | 想定していた以上に事故処理やトラブルに多額の賠償金が必要になった場合 対処できない |
自家保険は保険会社に毎月、毎年の保険料を支払わなくてもいい分、大幅なコストダウンになると言えますが、想定していた以上の賠償金が必要になった、事故件数が重なり自家保険ではまかないきれなくなったというデメリットもあることをしっかりと頭に入れて置かなければなりません。
②中小企業は保険料を支払えない場合が多い
中小規模の運送会社では自家保険は不可能であると考えられます。
自家保険をするだけの資金もなければ、毎年保険会社に支払うための資金もないという運送関係の中小企業は数多く存在します。
中小企業の運送会社で、資金不足を理由に任意保険に加入していない会社に所属しているドライバーがもしも事故を起こしてしまった場合、悲惨な結末が待ち受けています。
自動車賠償責任保険でまかないきれない分の賠償金や事故の処理に要した費用は会社の資金で賄うしかないのです。
賠償金や事故の処理に要する費用は高額になると言われていて、保険会社への保険料を惜しむ中小企業が支払いきれるような金額ではありません。
毎年の保険会社に支払う保険料よりもはるかに事故にあった場合の損害の額の方が大きいというのは明らかです。
保険会社に支払う保険料を惜しむよりも、もし事故を起こしてしまった時の賠償や事故処理に支払う莫大な金額を考えたら、毎年保険会社に少しずつ支払っていざというときの転ばぬ先の杖、安心をお金で買ったという考え方をした方が得策といえます。
③リスクの認識が緩い
保険に加入しない理由の中でも一番問題であるのが「リスク認識の甘さ」です。
長距離車を長時間走らせている運送業という仕事の形態から、車での事故はつきものであり、常に車の事故やトラブルとは隣合わせであるということを自覚しながら注意深く仕事をしなければならないと言えます。
しかし、中には以下のような認識を持つ従業員や会社もあるのです。
- ベテランだから事故を起こすはずがない
- 注意していれば事故を起こすことはないだろう
このような自分の運転スキルへの過信やリスクへの認識の甘さが見られる会社や従業員もいます。
車を扱うのが人間である以上「絶対」「無事故」ということはまずありえません。
事故へのリスクの認識の緩さが保険に入る必要がないという判断をしている場合、もし事故に遭ってしまい、その時に多額の賠償金や事故処理費用を支払わなければならないという現実に直面して途方に暮れるのは火を見るよりも明らかです。
人間失敗することも事故を起こすこともありえるので、万が一に備えておくことこそ大切であると言えます。
まとめ:運送業のリスク多いため保険の加入が必須!
運送業としてお客さまの大切な荷物を扱い、長時間・長距離の運転を行う仕事上
- 受託貨物の破損
- 名誉毀損・プライバシー侵害
- 作業対象物や借用物の破損
- 輸送した貨物による損害賠償
- 設備・機材不良による損害賠償
- 貨物保険
- 労働災害総合保険
- 所得補償保険
- 雇用慣行賠償責任保険
- 任意の自動車保険
- 運送業総合保険
- 故意や重大な過失は保障対象外
- 免責金額・保険金の限度額をしっかり確認する
- 補償範囲をしっかりと確認・比較する